紫の桜(番外編)

れぐまき

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番外編

幸せの時間(結婚直後)

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お兄様との結婚後、私は未来への不安や、藤壺の宮様という大きな壁を感じながらも、それなりに幸せに過ごしている

これは私とお兄様の初めての夜から間もない頃のお話―・・・




「こんばんは、ご機嫌如何ですか?」
「お兄様、ようこそ」

柔らかい笑顔を浮かべながら邸にやってきたお兄様を、同じく笑顔を浮かべて出迎え、他愛もない話をして、触れ合って、一緒に眠る
そんな日がもう十日以上続いていた
今日もお話をしようと口を開く

「ねぇ、お兄様」
「あぁ、紫の上」

話しかけると返事ではなく逆に話しかけられた

「え、あ、はい
何でしょう?」

取りあえず返事をしてみるとスッと腕が伸びてくる
拒む必要もないのでじっとしていると、そっと頬にお兄様の手が触れた
頬を包み込むように手が置かれ、親指だけが私の顔をすべる


「?お兄様……っ!」

視界いっぱいに広がるお兄様の顔
唇に感じる柔らかい感触

いきなりのことに目を見開いて固まっているとゆっくりとお兄様の綺麗な顔が離れていった

「そろそろ“お兄様”というのはやめないかい?」
「え?あ・・・」

そっか、私ずっと“お兄様”って呼んでたっけ?
もう癖になっちゃってたんだ…


「えっと、殿…?」

なんとなく気恥ずかしくて疑問符付きで呼びかけるとものすごく綺麗に笑い返してくださった

「ふふ、何ですか?“紫の上”」


…なんかバカップルみたい…

そんなことを考ると一層恥ずかしくなってきた
赤くなっているだろう顔を見られたくなくて俯くと抱き寄せられる
そのままゆっくり髪をすかれて、そこからはいつもの流れ




結局、殿の側にさえいられれば私は幸せなんだ
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