紫の桜(番外編)

れぐまき

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番外編

楽しい時間(最終話直前)

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殿と紅葉のお兄様

好敵手であり、親友であり、葵上様を通じて御兄弟でもあったお二方
小さい頃の私はこの二人の関係が密かにうらやましかった・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「琴、ですか?」
「えぇ、弾いてくださらない?」

私の目の前で軽く首をかしげながら上目遣いにそういってきたのは梅壺の女御様…秋好中宮様だ

殿が彼女の貢献になってから顔を合わせるようになった私達
彼女はとても私を気にいって下さったようで、今では宿下がりの際は大半の時間を私の部屋でおしゃべりしながら過ごしている

帝の妻でもあられるお方がこんな気軽に私のところに来ていいのかと疑問はあるけれど、彼女は、良いんじゃないかしら?の一言で片づけてしまったので気にしないことにした

「かまいませんが…どうなさいましたの?
いきなり・・・」
「源氏の君が紫の上様の琴の音をすごく誉めるから気になってしまって・・・」

笑いながらそう言われキョトンとしてしまった


「殿が?」
「えぇ、すごく嬉しそうに話していらっしゃったわ」

からかうような笑顔を向けられ、バツが悪くなって目をそらす

「本当に仲がよろしいわよね
はじめて源氏の君から貴女のお話を聞いた時は自分の耳を疑ったわ
噂と全然違うんですもの」
「噂ですか?」
「噂、というより私が持っていた彼の人物像と言った方が近いかしら
お母さまのこともあったし、彼が一人の女性を愛することなんてできないと思っていたの
それが見事に裏切られたわ」
「・・・」
「あら、そんな顔なさらないで?
私、源氏の君と貴女の事、とてもうらやましく思っているのよ」

ふふ、と上品に笑う彼女
なんだか一層恥ずかしくなり、ごまかしてみる

「女御様こそ今上帝と、とても仲がよろしいと聞いておりますわ」
「あら、貴女と源氏の君には負けてしまうわ」
「まぁ、そんなことありませんよ
私の方こそ、うらやましく思っておりますのに」
「いえ、私こそ・・・」
「あら、私こそ・・・」

二人で言いあい、ふと言葉が途切れる
目を見合わせて、どちらともなく笑いがこみあげてきた

「「ふふふっ・・・」」

二人で話し、笑いあう
それだけのことなのに、なんだかとても楽しくて、しばらくの間笑いが止まらなかった
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