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番外編
贈り物1(夕霧結婚前)
しおりを挟むきっかけは子供たちの些細な行動
遊びに来ていた夕霧様に子供を預け裁縫を初めて一刻程経った頃
庭に遊びに出ていた三人が戻ってきた
「ははうえ!」
「お母さま!」
元気よく私を呼びながらパタパタと走ってきた幼い我が子をほほえましく見つめる
「どうしたの?」
問いかけると満面の笑みで顔を見合せた後、何かを私の手に乗せた
「「はい!どうぞ」」
若葉から手渡されたのは一輪の小さな花
姫からは花弁が数枚
「あら、桜・・・?どうしたの?」
私の言葉に反応したのは夕霧様
「風に舞った花が丁度若葉の頭に落ちてきたんです。綺麗なままだから母上に差し上げると言い出して…
姫も頑張って花弁を集めたんですよ。追いかけても無駄だからじっと桜の木の下で待って」
「まぁそうでしたの…
姫も若葉もありがとう
疲れたでしょう?少し休んできなさい」
そう言って子供たちを乳母に預け、夕霧様に向き直る
「夕霧様も、二人につき合わせてしまってごめんなさいね、ありがとうございました」
「いえ、私も二人と遊ぶのは楽しいですから」
ふわりとほほ笑んでそう答えた夕霧様は、それよりもと前おいて言葉を続けた
「私も紫の上様にお渡ししたいものがあるんです
これを・・・」
そう言って御簾の下から入れられたのは掌に乗るくらいの箱
促されて開けてみるとそこには花の形をした香袋が入っていた
「まぁ…素敵・・・」
「そうでしょう?私自身もある方から譲り受けたものなのですが、こういうものは男の私より女性が持っていた方がいいと思いまして」
「それで私に?よろしいのですか?」
「えぇ、私には貴女以上にそれが似合う方が思い浮かびませんので」
「ふふ、お上手ですね
それでは遠慮なく頂戴いたしますわ
ありがとうございます」
「はい」
二人して微笑みあい、ほわほわとした空気が漂う
しかしそんな空気もすぐに終わりを迎えた
「おや、なんだか楽しそうですね」
「え?」
「あら」
声と共に室内に入ってきた意味深な笑みを浮かべる紅葉のお兄様
「失礼しますよ、紫の上」
「いらっしゃいませ、紅葉のお兄様
今日は如何いたしましたの?」
「私も貴女にお渡ししたいものがあってね
夕霧に先を越されてしまったようだが」
笑いながらそう言って御簾の下から入れられたのは先ほどと同じくらいの箱
開いてみると小さな唐菓子が沢山入っていた
「まぁ!」
「貴女も子供たちも甘いものがお好きでしょう?よければ召し上がってください」
「はい、ありがとうございます」
お礼を言って三人で他愛もない会話を交わす
穏やかな時間は殿が返ってくるまで続いた
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