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恋愛編
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「此方ですわ!」
「わかっているからあまり引っ張るな」
「だって早く見ていただきたいんですもの!」
「今まで何度も見ているだろう」
「あら、今年のは特別に綺麗ですのよ
それにわたくし、一緒に見るのを楽しみにしていたんですもの」
聞こえてきた声に薔薇を受け取ろうと伸ばした手をピタリと止める
今の声は殿下?
それと、女性のようだけれど・・・
確認しようと声の聞こえた方向に視線をむけるとちょうど曲がり角から腕を組んだ二人の人影が現れた
「あそこですわ!」
「わかっているから
こら、引っ張るなと言っているだろう」
会話をしながら出てきたのは予想通りの殿下と、もう一人
ウエーブのかかった金の髪を靡かせ、オレンジ色の可愛らしいドレスを着た人形のような少女だった
殿下と親しげに腕を組む、少女…?
その姿に何故だかわからないが胸がドクリと音をたてる
何…?
なんだか嫌な感じだわ…
どくどくと音をたてる心臓
つーっと背中に冷たいものが伝うのを感じた
何?何故?
・・・もしかして殿下と親しげにする女性を見て無意識にゲームと重ねているのかしら…?
そう思い当たり、きゅっと目をつぶることで思考を追い払う
落ち着きなさい、セシリア
本物のヒロインに会ったときもこんなに動揺なんてしていなかったじゃないの…
心のなかで自分にそう言い聞かせていると、レオナルド様が二人の姿を見て声を発する
「おや?二人一緒にどうしたんだい?」
その声で殿下達も私たちに気がついたようでこちらを向いた
「あら、お兄さま?」
少女の声を聞いた瞬間、またも心臓が嫌な音をたてた
“お兄さま”と言うことは、この少女もこの国の王族なのだろう
動揺のなかでも咄嗟にそう判断し、一歩下がって頭を下げた
「またアルベルトを連れ回してたのかい?」
レオナルド様があきれたように少女に問う
「まぁ!失礼ですわね
連れ回してなんていません
今年も一緒に薔薇を見ようとお誘いしていただけですわ」
「…それを連れ回すっていうような気がするのは僕だけかい?」
下げた頭はそのままに、そっと目線だけ上げて会話する二人を目に写す
レオナルド様の言葉に少女はぷぅっと頬を膨らませて彼を睨んだ
「違いますわ!
アルベルト様だってわたくしといるのを楽しんでくださっていますもの!
そうですわよね、アルベルト様?」
組んだ腕に力をこめ、殿下に身を寄せて上目使いに見上げる少女
殿下はそれを遠ざけるでもなく、曖昧に笑うだけ
かわりにレオナルド様が眉間に皺を寄せて口を開いた
「やめなさい、アルベルトが困ってるだろ?
それに、何度もいうが未婚の女性がそんなに馴れ馴れしく男に触ってはいけないよ」
「もう!お兄さまったら古いですわ
今時これくらいは普通ですのよ?
最近流行りの小説にもそう書いてありましたわ」
「何を参考にしてるだ…」
レオナルド様が疲れたようにため息をつき、少女は勝ち誇ったように笑う
しかしその笑みは次のレオナルド様の言葉で凍りついた
「だいたい、婚約者の前でそんなにベタベタしたら失礼だろう?」
その言葉に、少女がぐっと表情をこわばらせる
「…婚約者?誰のです?」
「誰って、アルベルトだよ
お前も知ってるだろ?アルベルトはこの間彼女と婚約したんだよ」
その言葉を受け、少女の視線が自分に向いた
「セシリア嬢、紹介するね。僕の妹のローズマリー
年齢はセシリア嬢の一つ下だけど、体が弱くて医師に国外に出るのは止められてるから学校には通ってないんだ」
レオナルド様が私を振り返ってそう教えてくださる
「ローズマリー、こちらはラピス皇国のセシリア・リスト公爵令嬢
さっきも言ったけど、アルベルトの婚約者だよ」
私の事を紹介された少女…ローズマリー様はくりくりとした大きな目を細めて私を睨んだ
よく見ればその瞳には涙が浮かんでいる
「…貴女が、アルベルト様の…」
少女は呟いて、グッと悔し気に唇を噛むとうつむいてしまった
そのわかりやすい行動に、私は彼女の思いに気づく
あぁ、この方は殿下のことを…
そう考えた瞬間また心臓が不快な音を立てた
「・・・お初にお目にかかります
ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございませんでした」
その音に気がつかないふりをして、私は丁寧に頭を下げ礼をとった
「・・・」
しかしローズマリー姫は何も言わない
「ローズマリー?お前も挨拶しなさい」
そう促されるも、彼女は無言のまま
「ローズマリー」
レオナルド様が再び彼女の名を呼ぶと、彼女は弾かれたように顔を上げ、キッと私を睨みつけてから踵を返す
「あ、こら!ローズマリー!」
「知りませんわ!!」
そう言い置いて走り去ってしまった後姿を見送り、レオナルド様がため息をついた
「セシリア嬢、妹が失礼したね
末っ子でたった一人の女の子だから、家族そろって甘やかしてしまったせいで我儘になっちゃって…
王族としても一人の女性としてもまだ未熟なんだ
僕が変わって謝罪するよ」
「あ、いえ
謝罪には及びません。ローズマリー様のお気持ちもわからなくはないですから・・・」
そういうとレオナルド様は困ったように笑った
「わかっているからあまり引っ張るな」
「だって早く見ていただきたいんですもの!」
「今まで何度も見ているだろう」
「あら、今年のは特別に綺麗ですのよ
それにわたくし、一緒に見るのを楽しみにしていたんですもの」
聞こえてきた声に薔薇を受け取ろうと伸ばした手をピタリと止める
今の声は殿下?
それと、女性のようだけれど・・・
確認しようと声の聞こえた方向に視線をむけるとちょうど曲がり角から腕を組んだ二人の人影が現れた
「あそこですわ!」
「わかっているから
こら、引っ張るなと言っているだろう」
会話をしながら出てきたのは予想通りの殿下と、もう一人
ウエーブのかかった金の髪を靡かせ、オレンジ色の可愛らしいドレスを着た人形のような少女だった
殿下と親しげに腕を組む、少女…?
その姿に何故だかわからないが胸がドクリと音をたてる
何…?
なんだか嫌な感じだわ…
どくどくと音をたてる心臓
つーっと背中に冷たいものが伝うのを感じた
何?何故?
・・・もしかして殿下と親しげにする女性を見て無意識にゲームと重ねているのかしら…?
そう思い当たり、きゅっと目をつぶることで思考を追い払う
落ち着きなさい、セシリア
本物のヒロインに会ったときもこんなに動揺なんてしていなかったじゃないの…
心のなかで自分にそう言い聞かせていると、レオナルド様が二人の姿を見て声を発する
「おや?二人一緒にどうしたんだい?」
その声で殿下達も私たちに気がついたようでこちらを向いた
「あら、お兄さま?」
少女の声を聞いた瞬間、またも心臓が嫌な音をたてた
“お兄さま”と言うことは、この少女もこの国の王族なのだろう
動揺のなかでも咄嗟にそう判断し、一歩下がって頭を下げた
「またアルベルトを連れ回してたのかい?」
レオナルド様があきれたように少女に問う
「まぁ!失礼ですわね
連れ回してなんていません
今年も一緒に薔薇を見ようとお誘いしていただけですわ」
「…それを連れ回すっていうような気がするのは僕だけかい?」
下げた頭はそのままに、そっと目線だけ上げて会話する二人を目に写す
レオナルド様の言葉に少女はぷぅっと頬を膨らませて彼を睨んだ
「違いますわ!
アルベルト様だってわたくしといるのを楽しんでくださっていますもの!
そうですわよね、アルベルト様?」
組んだ腕に力をこめ、殿下に身を寄せて上目使いに見上げる少女
殿下はそれを遠ざけるでもなく、曖昧に笑うだけ
かわりにレオナルド様が眉間に皺を寄せて口を開いた
「やめなさい、アルベルトが困ってるだろ?
それに、何度もいうが未婚の女性がそんなに馴れ馴れしく男に触ってはいけないよ」
「もう!お兄さまったら古いですわ
今時これくらいは普通ですのよ?
最近流行りの小説にもそう書いてありましたわ」
「何を参考にしてるだ…」
レオナルド様が疲れたようにため息をつき、少女は勝ち誇ったように笑う
しかしその笑みは次のレオナルド様の言葉で凍りついた
「だいたい、婚約者の前でそんなにベタベタしたら失礼だろう?」
その言葉に、少女がぐっと表情をこわばらせる
「…婚約者?誰のです?」
「誰って、アルベルトだよ
お前も知ってるだろ?アルベルトはこの間彼女と婚約したんだよ」
その言葉を受け、少女の視線が自分に向いた
「セシリア嬢、紹介するね。僕の妹のローズマリー
年齢はセシリア嬢の一つ下だけど、体が弱くて医師に国外に出るのは止められてるから学校には通ってないんだ」
レオナルド様が私を振り返ってそう教えてくださる
「ローズマリー、こちらはラピス皇国のセシリア・リスト公爵令嬢
さっきも言ったけど、アルベルトの婚約者だよ」
私の事を紹介された少女…ローズマリー様はくりくりとした大きな目を細めて私を睨んだ
よく見ればその瞳には涙が浮かんでいる
「…貴女が、アルベルト様の…」
少女は呟いて、グッと悔し気に唇を噛むとうつむいてしまった
そのわかりやすい行動に、私は彼女の思いに気づく
あぁ、この方は殿下のことを…
そう考えた瞬間また心臓が不快な音を立てた
「・・・お初にお目にかかります
ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございませんでした」
その音に気がつかないふりをして、私は丁寧に頭を下げ礼をとった
「・・・」
しかしローズマリー姫は何も言わない
「ローズマリー?お前も挨拶しなさい」
そう促されるも、彼女は無言のまま
「ローズマリー」
レオナルド様が再び彼女の名を呼ぶと、彼女は弾かれたように顔を上げ、キッと私を睨みつけてから踵を返す
「あ、こら!ローズマリー!」
「知りませんわ!!」
そう言い置いて走り去ってしまった後姿を見送り、レオナルド様がため息をついた
「セシリア嬢、妹が失礼したね
末っ子でたった一人の女の子だから、家族そろって甘やかしてしまったせいで我儘になっちゃって…
王族としても一人の女性としてもまだ未熟なんだ
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「あ、いえ
謝罪には及びません。ローズマリー様のお気持ちもわからなくはないですから・・・」
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