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恋愛編
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「私、自分の気持ちがよくわからないの」
紅茶のカップを手に、ため息と共に言葉を吐き出す
「ご自分の気持ち、ですか…?」
首をかしげたマーサに力なく微笑みを返して続けた
「殿下のことは小さな頃から存じ上げていて、尊敬もしていたの
少し距離が開いた時期もあったけれど、そういうものだと思っていたから婚約することに異存はなかったわ
ただ…」
そこに、恋情があったかと聞かれると、私はなかったと思うと答える
確かに小さな頃の私は彼の事が大好きだった
だが、その幼い頃の憧れと初恋は、恋に恋するものであって、その人のことを特別に思うような感情ではなかったと思うのだ
ゲームの記憶を思い出してからは、断罪ルートへの恐怖からその感情にさえも蓋をした
結果、国への愛国心と公爵令嬢という立場からヒロインに注意をして回っていただけで、私のなかには殿下への想いとか、嫉妬心とかは全く存在していなかった
だが、最近になって再び殿下とお話しするようになり、少しづつ共に過ごす時間が増えた
そうしているうちに、だんだんと彼のことを考える時間までが増えてきた
彼の事を考えると、じんわりと心が暖かくなる
嬉しいような、何だか気恥ずかしいような…そんな気持ちが込み上げてくるのだ
他の女性とともにいるところを見ると気持ちがざわめいて、反対に彼が私のために何かを考えたり、してくれたりすると、とても嬉しい
自分の中に渦巻いていた感情を、思いつくままにぽつりぽつりと言葉にしていく
それを黙って聞いていたマーサは、私の話が途切れたのを確認してそっと口を開いた
「・・・お嬢様は、ご自分の気持ちがわからないと仰いましたが…
本当はもう理解しておられるのではないでしょうか」
マーサにそう言われ、パッと顔を上げる
・・・私は…
「・・・そうかも、知れないわね」
ぽつりとそう呟くと、マーサは優しく微笑んで言葉をつづけた
「お嬢様は、幼い頃から皇太子殿下の最有力の婚約者候補として育てられておりました
同年代の殿方は周囲から遠ざけられ、お茶会などでも殿下以外の異性と話す機会はほとんどなかったように思われます
もしかしたら、無意識化で恋をすることはいけないことだと思ってしまっていたのかもしれませんね」
「・・・」
「恋をすることは、女性を綺麗にしてくれます。人生を豊かにしてくれます。
他の殿方に恋をしてしまったのであれば、悲しい結末が待っているかもしれませんが…
お嬢様のお相手は他でもない皇太子殿下のご様子
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‶自分の気持ちに素直に”
それは、公爵令嬢として表の顔を張り付けて生きてきた私には少し難しい
だが、小さなころから一番側で仕えてくれていた彼女の言葉は、私の心にストンと落ちてきた
「・・・ありがとう。頑張ってみるわ」
お礼を言うと、マーサは優しい笑みのままこくりと頷いた
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