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変化の時…?
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行き交う人もまばらになった夕暮れ時
闇がすぐそこまで迫った大通りに場違いなほど朗らかな男の声が響く
「で?そろそろ私の妻になる準備はできましたか?」
「…」
「住まいを移る準備もしなけらばなりませんね。よければ私の式を手伝いによこしますよ」
「…」
「ああ、そういえばあなたのご家族にお会いしたことはありませんでしたね。血縁の方はいらっしゃるのですか?」
「…」
「血縁の方がいないとしても、お師匠様はいらっしゃるでしょう。どちらにせよ挨拶にはいかなければね」
「…」
「ふふ、照れているのですか?そんな所もまた可愛らしい」
「…照れてなどおらんわ!」
しびれを切らしたように怒鳴り声を発したのは水干姿の女性
彼女は苛立たしげに男―・・・安倍晴明を睨みつけ、噛みつかんばかりの勢いで言葉を発した
「いい加減に付きまとうな!もう一年にもなるんだぞ、一体何のつもりなんだ!?気に入った気に入ったというが、一体どこがだ?それほど言葉を交わしたこともないだろう!我は貴殿と婚姻を結ぶつもりなどない!そもそも我は男と添い遂げるつもりなどない!!女だからと・・・っ!?」
言葉を重ねていた女がビクリと肩を震わせ、後ろを振り返る
一瞬の間を置き、そこに黒い靄を纏う巨大な化け物が浮かび上がってきた
「そういえば、この辺りに瘴気を纏うもののけが出るという話がありましたねぇ」
「そんな呑気に言ってる場合か!?」
穏やかな笑みを浮かべたままのんびりと言葉を紡ぐ男に背を向け、女は化け物に向き合った
袖口から札を取り出し、小さく何事かを囁くと化け物に向かって札を飛ばした
一時まばゆい光を発した札は、すぐに効力を失って地に落ちる
それを数度繰り返すが化け物は弱る気配を見せない
「効かぬか・・・」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた女が再び袖に手を伸ばす
しかしそれより早く化け物が発する靄が二人をおそった
「しまっ・・!」
反射的に男を庇うように前に立ち、身をこわばらせる
しかし、予想していた衝撃はやってこず、かわりにふわりと優しい温もりに包まれた
「・・・?」
不思議に思い目を開けると飛び込んできたのは男物の着物
そっと顔を上げるといつも通りの食えない笑顔を浮かべた男がいた
状況が呑み込めずきょとんと見上げてくる女を見、晴明はふっと笑みをやわらげた
「そういうところが、気に入ったんです」
「え・・・?」
「ふふ、さて、私の大切な人を傷つけようとしたんです。それ相応の罰が必要ですね」
そう言うと男は指先を空に滑らせる
続いて呪を唱えると化け物に向かって指をはじいた
途端、化け物はまばゆい光にとらえられ、断末魔を残して消えていった
「・・・」
唖然とその様子を見守っていた女の頭に晴明が手を置いた
優しくその手を往復させ女と目を合わせる
「さ、帰りましょうか」
ゆるりと微笑んだ晴明
女はその様子を呆気にとられた表情で見つめ…
そして自身の顔が熱を持っていくのを感じた
<な…なんなんだ・・・?>
(「おや?顔色が・・・」)
(「う、うるさい!みるな!」)
闇がすぐそこまで迫った大通りに場違いなほど朗らかな男の声が響く
「で?そろそろ私の妻になる準備はできましたか?」
「…」
「住まいを移る準備もしなけらばなりませんね。よければ私の式を手伝いによこしますよ」
「…」
「ああ、そういえばあなたのご家族にお会いしたことはありませんでしたね。血縁の方はいらっしゃるのですか?」
「…」
「血縁の方がいないとしても、お師匠様はいらっしゃるでしょう。どちらにせよ挨拶にはいかなければね」
「…」
「ふふ、照れているのですか?そんな所もまた可愛らしい」
「…照れてなどおらんわ!」
しびれを切らしたように怒鳴り声を発したのは水干姿の女性
彼女は苛立たしげに男―・・・安倍晴明を睨みつけ、噛みつかんばかりの勢いで言葉を発した
「いい加減に付きまとうな!もう一年にもなるんだぞ、一体何のつもりなんだ!?気に入った気に入ったというが、一体どこがだ?それほど言葉を交わしたこともないだろう!我は貴殿と婚姻を結ぶつもりなどない!そもそも我は男と添い遂げるつもりなどない!!女だからと・・・っ!?」
言葉を重ねていた女がビクリと肩を震わせ、後ろを振り返る
一瞬の間を置き、そこに黒い靄を纏う巨大な化け物が浮かび上がってきた
「そういえば、この辺りに瘴気を纏うもののけが出るという話がありましたねぇ」
「そんな呑気に言ってる場合か!?」
穏やかな笑みを浮かべたままのんびりと言葉を紡ぐ男に背を向け、女は化け物に向き合った
袖口から札を取り出し、小さく何事かを囁くと化け物に向かって札を飛ばした
一時まばゆい光を発した札は、すぐに効力を失って地に落ちる
それを数度繰り返すが化け物は弱る気配を見せない
「効かぬか・・・」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた女が再び袖に手を伸ばす
しかしそれより早く化け物が発する靄が二人をおそった
「しまっ・・!」
反射的に男を庇うように前に立ち、身をこわばらせる
しかし、予想していた衝撃はやってこず、かわりにふわりと優しい温もりに包まれた
「・・・?」
不思議に思い目を開けると飛び込んできたのは男物の着物
そっと顔を上げるといつも通りの食えない笑顔を浮かべた男がいた
状況が呑み込めずきょとんと見上げてくる女を見、晴明はふっと笑みをやわらげた
「そういうところが、気に入ったんです」
「え・・・?」
「ふふ、さて、私の大切な人を傷つけようとしたんです。それ相応の罰が必要ですね」
そう言うと男は指先を空に滑らせる
続いて呪を唱えると化け物に向かって指をはじいた
途端、化け物はまばゆい光にとらえられ、断末魔を残して消えていった
「・・・」
唖然とその様子を見守っていた女の頭に晴明が手を置いた
優しくその手を往復させ女と目を合わせる
「さ、帰りましょうか」
ゆるりと微笑んだ晴明
女はその様子を呆気にとられた表情で見つめ…
そして自身の顔が熱を持っていくのを感じた
<な…なんなんだ・・・?>
(「おや?顔色が・・・」)
(「う、うるさい!みるな!」)
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