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ナンバー9のアギアさん
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★前回のあらすじ。
アーリアお姉さんを仲間に誘った僕は、何故か恋人にさせられようとしていた。
お姉さんは美人ではあるが、色々と問題がある為軽く断るのだけど、仕事にはのってくれなそうだ。
僕はデッドロックを生贄にしてお姉さんを仕事に誘うことに成功し、町の南にある森に進みだす。
逆側の出口近くで馬車が倒れているのを発見してそこで魔物が出るのを待っている。
★
クー・ライズ・ライト (僕)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
アリーア・クロフォード・ストラバス(ギルドで寝ている人)
★
「ギュッギョ、ギャギャッギャ!」
影から出現した魔物こそ絶望のアギアと呼ばれる奴なのだろう。
僕はお姉さんが攻撃を防いでいる間に退避し、リュックから白いボードを取り出し撮影する。
「映し鏡よ、彼の姿を写したまえ」
僕は慌てず何時も通りにボードを確認し、相手の姿を見定める。
資料に書かれた通り、フードを被ったような頭をしていた。
その真っ黒のフードの中には、白い二つの光が輝いている。
全体を見れば人型のようではあるが、一目で人ではないと分かるぐらいな姿をしていた。
少しだけ胸が膨らんで見えるし、雌なのだろうか?
見えている腕は、青暗いような皮膚がボコボコと波打っている。
例えれば爬虫類の背骨の形というのだろうか?
まあそんな形だと思う。
魔物の両腕の先は剣となっており、それがアイツの武器なのだろう。
闇に潜む能力もそのままである。
出来る限り色々調べたい所だけれど、まずは。
「アーリアさん、キューブを使ってください!」
僕はアーリアさんに意外と軽い木製のキューブを放り投げと、相手の攻撃を防御しながら、背後を振り向かずに片手でキューブを受け取ってくれた。
「じゃあお姉さんが使わせてもらうわね」
「ギャララララ!」
しかしほんの一瞬のその隙を、アギアが狙って攻撃を放った。
「おっと!」
アーリアさんはキューブを掴んだ手を相手の剣に合わせ、攻撃をガッチリと防御している。
しかしキューブは相手の攻撃で半分も斬り裂かれてしまった。
相手の力はナンバーが上がって随分強化されている気がする。
「チッ、思ったより速いわね。中々当たらないわ」
ファラさんも攻撃を当てるのに苦戦している。
どうも速度にしても増えている気がする。
僕の目には相手の動きが少しずつ見えずらくなっている。
速さは一定値で止まっているようにみえるけど、景色と同化が進んでいると言った風だろう。
アギアが影の中に入り飛び出しまたは入り、二人を攪乱しながら攻撃をしている。
闇に入る能力を持つ魔物にとって、夜の時間が本番なのだ。
アーリアさんはアギアの攻撃を受け止めるが。
「クッ、動きが面倒だわね!」
ファラさんはやはり苦戦をしいられている。
「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」
僕はこの戦いに入ることは出来ないが、二人を手助けすることはできる。
背中にしょったリュックから道具を取り出し、道の中央へランタンを灯す。
既に日が落ちたこの森に、大きく光が広がっている。
というか先にやっとけと言われそうだが、帰りたかったから仕方ないのだ。
僕の所為じゃなくて来なかった敵が悪いだけなのである。
「お二人共、これで見えますよね」
「もうちょっと早くやりなさいよ!」
ファラさんは怒ってるけど僕の所為ではないんです。
「お姉さんは怒ってないわよ。クーちゃんは大体こんなものだもの」
アーリアさんには僕の評価を考えて欲しい。
「だから僕の所為じゃないんです。あんなタイミングで来た敵に言ってください」
とりあえず僕は否定してみるのだけど。
「だからって何よ、サッサと他の事を進めなさい!」
「あ、はい」
敵と必死に戦っているファラさんに怒られてしまった。
僕は素直に言うことを聞き、測量士の魔法の準備をする。
相手の扱う力であれば、測量士が測れないことはない。
「……結界の内なる炎よ……じゃなくて、え~っとえ~っと?」
相手の力は何だろうか?
明度……じゃなくて、暗さ……でもないし?
深度、でもなさそうかな?
だったら彩度かなぁ?
「……結界の内なる彩度よ。数値となって強さを示せ。ナンバーズ・フィールド!」
測量士の魔法が発動し、魔物の色彩の数値が現れた。
だけど。
「二?!」
ボンと上から落ちて来たのは二という数字だ。
この二という数字では、僕の強化には繋がらない。
……そう言えば、黒に近いほど数値が低いんだった気がする。
だがもう一つの効果は、相手の姿を影から引きずり出した。
アギアの色彩が影の中に現れ、泳ぐように相手の姿が見て取れる。
「このぐらい見えていれば、私は攻撃を外さないわよ!」
ファラさんは影の中を泳ぐアギアに、持っている剣を振り下ろす。
強烈なダメージを与えてはいるようだけど、まだまだ相手は元気に動き続けている。
まあ流石にドラゴンのような硬さは持っていないようだ。
しかしアギアは形勢が不利とみると、二人から離れて僕の方へ向かって来ていた。
最初に僕を攻撃したし、子供というよりは一番弱そうな人物を狙うのかもしれない。
いや、そんなことを冷静に考えている場合じゃない。
影の中から跳び出て、僕に剣を振り上げている。
「ぎゃあああああああ!?」
「てええい!」
僕は悲鳴をあげて狼狽えるのだけど、アーリアさんが落ちていたキューブを拾い、アギアの背中へ投げ当てた。
相手がギャッと怯んでいる間に、僕はガサガサと四肢を使って二人の下へ逃げて行く。
というかもうそろそろ能力値は分かったのだけど、簡単には逃がしてはくれなさそうだ。
「逃げないというのなら、私達が退治するしかないんじゃない? ほら、掛かって来なさいよ」
普通にヤル気のファラさんは、指をクイクイして挑発している。
「お姉さんはどちらでもいいのだけど、頑張って倒しても賞金とか出ないのよね」
僕達はギルドから来たけど依頼を受けていないのだ。
倒したとしても、懸けられた賞金はもらえないのである。
「え~っと、どうしよう。僕がやれそうな事はなさそうなんですよね。二人の応援でもしてあげましょうか?」
「ウザいからやめて!」
「クーちゃんは馬車の上にでも座ってたらいいわよ」
「じゃあそうしときます」
役に立たない僕は、言われた通りに馬車の上に登り、二人の戦いを見物する。
隠れる力がなくなった魔物では、ファラさんとアーリアさんの相手にはなっていない。
二つの剣はアーリアさんに受け止められ、ファラさんにより剣の攻撃が当てられる。
「ギャウ!」
ダメージを受け続けた魔物は、少し怯んでいる。
逃げ足が速いと書かれていたし、もうそろそろ逃げ出すかもしれない。
「止めを刺してやるわ!」
ファラさんが迫って行くが、相手の動きの方が速い。
魔物は攻撃の手を止めて、二人から距離をとった。
ファラさんも一人だけで突っ込むようなマネはせず、少しの間睨み合いが続く。
「……ウギギギギ!」
変な鳴き声をするアギアは、二つの剣を空に向けて妙な踊りを舞い始めた。
大地を何度も踏みしめて、その場でグルグルと回っている。
何かを狙っているのだろうか?
そういえば、MPの値に数字が入っていた。
何かしらの攻撃をするのかも知れない。
属性さえ分かれば対処もできるのだが、資料に書かれた情報はない。
「ウィーアー・グリーアー!」
アギアのよく分からない言葉は呪文なのだろうか。
ボゥと一瞬風が吹く。
しかしそれは僕の髪をなびかせる程度のもので、それだけで効果は無くなったように見える。
だが、それで終わるはずがない。
武器に変化はないし、これはたぶん身体強化だ。
力か、速度か、たぶん二者択一。
僕は相手が動く前に、一つの魔法を選択した。
「……結界の内なる速度よ。数値となって強さを示せ。ナンバーズ・フィールド!」
その瞬間、二という数字が消え去り、五十という数字が上から降って来た。
賭けには勝てたらしいけど、魔法を使っている間に二人の隙間を抜け、僕に向かって来ている。
既に効果は消失しているのだが、加速した動きは勢いを失わない。
「クー!」
「クーちゃん!」
心配する声が聞こえて来る。
二人の為にも、ここで倒される訳にはいかないのだ。
だから僕は四十五という数値を速度へ、五秒間を時間としてプラスする。
アギアから二つの剣が振り下ろされるも、僕の速度は相手を凌駕しているのだ。
攻撃をヒラリと躱し、横からドーンと突き飛ばす。
「てえええい!」
アギアは馬車の上から転がり落ち、受け身も取れずに地面に落ちた。
しかしそれでも立ち上がると、二つの剣の構えを解く。
「クルルルルルルル!」
最後はよく分からない声を発して、森の中へ消えて行った。
兎に角、これで情報は集まった。
忘れない内に軽く資料を作るとしよう。
名前 :絶望のアギア・ナンバー9
レベル:28
HP :300以上?
MP :40
力 :100
速 :115
大 :165
危険度:6
技 :鋭い斬撃。
暗闇と同化し、影に入り込む。
備考 :フードを被った様な人型で雌の魔物。
腕は青暗くボコボコしていて、両手の先が剣となっている。
魔法で気配発見出来ず。
木々を駆け上ったりと逃げ足が速い。
主に旅人が襲われ、弱い人間を積極的に狙う。
被害多数。
ウィーアー・グリーアーと叫ぶと、速度数値が五十アップ。
出現地帯はローザリアの南の森の街道。
性格は臆病で、自分の優位な時間に出現する。
番いとなって繁殖すると厄介なので、早めに討伐を。
手早く資料を書き終えた僕は、もうここから帰ろうと思ったのだけど、辺りは随分暗くなっている。
「ふぃ、終わったぁ。今日は南にある町に向かってみましょうか。今から森の道を抜けるのは大変そうだし」
「まっ、そうね。じゃあそうしましょうか」
ファラさんは同意してくれたけど。
「そうだわ。クーちゃんはお姉さんと一緒の部屋に泊まりましょう」
アーリアさんはそんなことを言って来る。
しかしそんな言葉を聞いても、僕の心は動かない。
「僕は一人でいいので、お二人でどうぞ。お姉さんはファラさんと遊んでいてください」
「私に変な物を押し付けるんじゃないわよ! ナンバーズ相手したからボーナス確定だし、自分のお金で一部屋取るわ! あんたも一人で寝てなさい!」
ファラさんはアーリアさんにビシっと指を突きつけていた。
アーリアお姉さんを仲間に誘った僕は、何故か恋人にさせられようとしていた。
お姉さんは美人ではあるが、色々と問題がある為軽く断るのだけど、仕事にはのってくれなそうだ。
僕はデッドロックを生贄にしてお姉さんを仕事に誘うことに成功し、町の南にある森に進みだす。
逆側の出口近くで馬車が倒れているのを発見してそこで魔物が出るのを待っている。
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クー・ライズ・ライト (僕)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
アリーア・クロフォード・ストラバス(ギルドで寝ている人)
★
「ギュッギョ、ギャギャッギャ!」
影から出現した魔物こそ絶望のアギアと呼ばれる奴なのだろう。
僕はお姉さんが攻撃を防いでいる間に退避し、リュックから白いボードを取り出し撮影する。
「映し鏡よ、彼の姿を写したまえ」
僕は慌てず何時も通りにボードを確認し、相手の姿を見定める。
資料に書かれた通り、フードを被ったような頭をしていた。
その真っ黒のフードの中には、白い二つの光が輝いている。
全体を見れば人型のようではあるが、一目で人ではないと分かるぐらいな姿をしていた。
少しだけ胸が膨らんで見えるし、雌なのだろうか?
見えている腕は、青暗いような皮膚がボコボコと波打っている。
例えれば爬虫類の背骨の形というのだろうか?
まあそんな形だと思う。
魔物の両腕の先は剣となっており、それがアイツの武器なのだろう。
闇に潜む能力もそのままである。
出来る限り色々調べたい所だけれど、まずは。
「アーリアさん、キューブを使ってください!」
僕はアーリアさんに意外と軽い木製のキューブを放り投げと、相手の攻撃を防御しながら、背後を振り向かずに片手でキューブを受け取ってくれた。
「じゃあお姉さんが使わせてもらうわね」
「ギャララララ!」
しかしほんの一瞬のその隙を、アギアが狙って攻撃を放った。
「おっと!」
アーリアさんはキューブを掴んだ手を相手の剣に合わせ、攻撃をガッチリと防御している。
しかしキューブは相手の攻撃で半分も斬り裂かれてしまった。
相手の力はナンバーが上がって随分強化されている気がする。
「チッ、思ったより速いわね。中々当たらないわ」
ファラさんも攻撃を当てるのに苦戦している。
どうも速度にしても増えている気がする。
僕の目には相手の動きが少しずつ見えずらくなっている。
速さは一定値で止まっているようにみえるけど、景色と同化が進んでいると言った風だろう。
アギアが影の中に入り飛び出しまたは入り、二人を攪乱しながら攻撃をしている。
闇に入る能力を持つ魔物にとって、夜の時間が本番なのだ。
アーリアさんはアギアの攻撃を受け止めるが。
「クッ、動きが面倒だわね!」
ファラさんはやはり苦戦をしいられている。
「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」
僕はこの戦いに入ることは出来ないが、二人を手助けすることはできる。
背中にしょったリュックから道具を取り出し、道の中央へランタンを灯す。
既に日が落ちたこの森に、大きく光が広がっている。
というか先にやっとけと言われそうだが、帰りたかったから仕方ないのだ。
僕の所為じゃなくて来なかった敵が悪いだけなのである。
「お二人共、これで見えますよね」
「もうちょっと早くやりなさいよ!」
ファラさんは怒ってるけど僕の所為ではないんです。
「お姉さんは怒ってないわよ。クーちゃんは大体こんなものだもの」
アーリアさんには僕の評価を考えて欲しい。
「だから僕の所為じゃないんです。あんなタイミングで来た敵に言ってください」
とりあえず僕は否定してみるのだけど。
「だからって何よ、サッサと他の事を進めなさい!」
「あ、はい」
敵と必死に戦っているファラさんに怒られてしまった。
僕は素直に言うことを聞き、測量士の魔法の準備をする。
相手の扱う力であれば、測量士が測れないことはない。
「……結界の内なる炎よ……じゃなくて、え~っとえ~っと?」
相手の力は何だろうか?
明度……じゃなくて、暗さ……でもないし?
深度、でもなさそうかな?
だったら彩度かなぁ?
「……結界の内なる彩度よ。数値となって強さを示せ。ナンバーズ・フィールド!」
測量士の魔法が発動し、魔物の色彩の数値が現れた。
だけど。
「二?!」
ボンと上から落ちて来たのは二という数字だ。
この二という数字では、僕の強化には繋がらない。
……そう言えば、黒に近いほど数値が低いんだった気がする。
だがもう一つの効果は、相手の姿を影から引きずり出した。
アギアの色彩が影の中に現れ、泳ぐように相手の姿が見て取れる。
「このぐらい見えていれば、私は攻撃を外さないわよ!」
ファラさんは影の中を泳ぐアギアに、持っている剣を振り下ろす。
強烈なダメージを与えてはいるようだけど、まだまだ相手は元気に動き続けている。
まあ流石にドラゴンのような硬さは持っていないようだ。
しかしアギアは形勢が不利とみると、二人から離れて僕の方へ向かって来ていた。
最初に僕を攻撃したし、子供というよりは一番弱そうな人物を狙うのかもしれない。
いや、そんなことを冷静に考えている場合じゃない。
影の中から跳び出て、僕に剣を振り上げている。
「ぎゃあああああああ!?」
「てええい!」
僕は悲鳴をあげて狼狽えるのだけど、アーリアさんが落ちていたキューブを拾い、アギアの背中へ投げ当てた。
相手がギャッと怯んでいる間に、僕はガサガサと四肢を使って二人の下へ逃げて行く。
というかもうそろそろ能力値は分かったのだけど、簡単には逃がしてはくれなさそうだ。
「逃げないというのなら、私達が退治するしかないんじゃない? ほら、掛かって来なさいよ」
普通にヤル気のファラさんは、指をクイクイして挑発している。
「お姉さんはどちらでもいいのだけど、頑張って倒しても賞金とか出ないのよね」
僕達はギルドから来たけど依頼を受けていないのだ。
倒したとしても、懸けられた賞金はもらえないのである。
「え~っと、どうしよう。僕がやれそうな事はなさそうなんですよね。二人の応援でもしてあげましょうか?」
「ウザいからやめて!」
「クーちゃんは馬車の上にでも座ってたらいいわよ」
「じゃあそうしときます」
役に立たない僕は、言われた通りに馬車の上に登り、二人の戦いを見物する。
隠れる力がなくなった魔物では、ファラさんとアーリアさんの相手にはなっていない。
二つの剣はアーリアさんに受け止められ、ファラさんにより剣の攻撃が当てられる。
「ギャウ!」
ダメージを受け続けた魔物は、少し怯んでいる。
逃げ足が速いと書かれていたし、もうそろそろ逃げ出すかもしれない。
「止めを刺してやるわ!」
ファラさんが迫って行くが、相手の動きの方が速い。
魔物は攻撃の手を止めて、二人から距離をとった。
ファラさんも一人だけで突っ込むようなマネはせず、少しの間睨み合いが続く。
「……ウギギギギ!」
変な鳴き声をするアギアは、二つの剣を空に向けて妙な踊りを舞い始めた。
大地を何度も踏みしめて、その場でグルグルと回っている。
何かを狙っているのだろうか?
そういえば、MPの値に数字が入っていた。
何かしらの攻撃をするのかも知れない。
属性さえ分かれば対処もできるのだが、資料に書かれた情報はない。
「ウィーアー・グリーアー!」
アギアのよく分からない言葉は呪文なのだろうか。
ボゥと一瞬風が吹く。
しかしそれは僕の髪をなびかせる程度のもので、それだけで効果は無くなったように見える。
だが、それで終わるはずがない。
武器に変化はないし、これはたぶん身体強化だ。
力か、速度か、たぶん二者択一。
僕は相手が動く前に、一つの魔法を選択した。
「……結界の内なる速度よ。数値となって強さを示せ。ナンバーズ・フィールド!」
その瞬間、二という数字が消え去り、五十という数字が上から降って来た。
賭けには勝てたらしいけど、魔法を使っている間に二人の隙間を抜け、僕に向かって来ている。
既に効果は消失しているのだが、加速した動きは勢いを失わない。
「クー!」
「クーちゃん!」
心配する声が聞こえて来る。
二人の為にも、ここで倒される訳にはいかないのだ。
だから僕は四十五という数値を速度へ、五秒間を時間としてプラスする。
アギアから二つの剣が振り下ろされるも、僕の速度は相手を凌駕しているのだ。
攻撃をヒラリと躱し、横からドーンと突き飛ばす。
「てえええい!」
アギアは馬車の上から転がり落ち、受け身も取れずに地面に落ちた。
しかしそれでも立ち上がると、二つの剣の構えを解く。
「クルルルルルルル!」
最後はよく分からない声を発して、森の中へ消えて行った。
兎に角、これで情報は集まった。
忘れない内に軽く資料を作るとしよう。
名前 :絶望のアギア・ナンバー9
レベル:28
HP :300以上?
MP :40
力 :100
速 :115
大 :165
危険度:6
技 :鋭い斬撃。
暗闇と同化し、影に入り込む。
備考 :フードを被った様な人型で雌の魔物。
腕は青暗くボコボコしていて、両手の先が剣となっている。
魔法で気配発見出来ず。
木々を駆け上ったりと逃げ足が速い。
主に旅人が襲われ、弱い人間を積極的に狙う。
被害多数。
ウィーアー・グリーアーと叫ぶと、速度数値が五十アップ。
出現地帯はローザリアの南の森の街道。
性格は臆病で、自分の優位な時間に出現する。
番いとなって繁殖すると厄介なので、早めに討伐を。
手早く資料を書き終えた僕は、もうここから帰ろうと思ったのだけど、辺りは随分暗くなっている。
「ふぃ、終わったぁ。今日は南にある町に向かってみましょうか。今から森の道を抜けるのは大変そうだし」
「まっ、そうね。じゃあそうしましょうか」
ファラさんは同意してくれたけど。
「そうだわ。クーちゃんはお姉さんと一緒の部屋に泊まりましょう」
アーリアさんはそんなことを言って来る。
しかしそんな言葉を聞いても、僕の心は動かない。
「僕は一人でいいので、お二人でどうぞ。お姉さんはファラさんと遊んでいてください」
「私に変な物を押し付けるんじゃないわよ! ナンバーズ相手したからボーナス確定だし、自分のお金で一部屋取るわ! あんたも一人で寝てなさい!」
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