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四つ目の日記
ミノタウロス見つけた!
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★前回のあらすじ?
ミノタウロスから逃げ出した僕達は、最後の行き止まりの道を進む。
やはり何者かの手で通路が作られていて、先に進める道があるようだ。
その道を進むと、オークの住処が見えて来る。
しかしミノタウロスにより全滅させられてしまったらしく、生き残ったものはいない。
まず出口を探し、外に出て行く。
一安心した僕達は、お弁当を食べてまた内部へと戻る。
今度はちゃんと準備を済ませてミノタウロスを待つのだが、ちっとも現れなかった。
★
クー・ライズ・ライト (僕)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
★
ミノタウロスは結局全然来ないし、探しに行くにしてもあの通路内では、アーリアさんとグリアさんは役に立たない。
とはいえ、ミアさん一人に任せるのは少し心配だ。
行きたくはないが、僕も行くしかないらしい。
「じゃあ僕とミアさんがミノタウロスを連れて来ますから、二人共ここで待っていてください」
「ギ!」
僕はそう宣言し、ミアさんと地下通路へと歩き出すのだが。
「クーちゃん、二人で大丈夫!?」
「我が君、私も手伝いたいところなんですが!」
アーリアさんとグリアさんは、一緒に行きたそうな顔をしている。
でもどうせ答えは知っているけど、一応聞いてみよう。
「えっ? 二人共来ますか?」
「「行ってらっしゃい」」
ほら、二人からはやっぱり予想通りの答えが返ってきた。
「じゃあ待っててください」
と言って僕とミアさんは道を進んで行く。
僕は緊張して進み続け、地下通路の道へと出た。
今の所この場所にはミノタウロスは居ないようだ。
ミアさんと二人で分岐路にまで進むが、ここからは少し慎重に行かなければならない。
ミノタウロスが移動しているとなると、僕達が帰れなくなる可能性もある。
左は格子への道で、右はギルドへの道だ。
「ミアさん、僕が左の道に行ってみますから、右側の少し先で待っていてください。もしミノタウロスが来たら、皆の居る場所に戻るんですよ。僕のことは気にしなくてもいいんで」
僕はミアさんに対応を伝えた。
「ヨメ、ダイジョウブか?」
ミアさんは首をかしげて心配してくれている。
「はい僕は大丈夫です。もう一度言いますけど、僕の方ではなくて、アーリアさんとグリアさんが居るあの広いところに行くんですよ?」
「ワカッた!」
僕の言った言葉に、ミアさんは手を挙げてピョンと跳んでいる。
ってことで、僕は一人で左の道を進みだす。
ミノタウロスが居るような音は聞こえない。
一歩一歩確認しながら進み続け、出口であった行き止まりにまで到着した。
犠牲になったオークの姿も消え果てて、ここにはもう何もない。
食べられたのだろうか?
もし逃げられなかったらと考えると、少し震えがくる。
道を引き返しミアさんと合流しようとしたのだが。
「ヨメ、ツレテきた!」
「えっ?」
分岐路に着くと、ミアさんは広場への道を走って行く。
その後ろには、メイスを振り上げたミノタウロスが走って来ていた。
「どわあああああああああああああ!」
慌てた僕は、ミアさんと一緒に広場へと誘導して行く。
しかし、考えるまでもないが、ミアさんの方がとても足が速い。
置いて行かれた僕がどうなるかといえば。
「ブモオオオオオオオオオ!」
「ぬああああああああ!?」
完全に僕がターゲットにされている。
通路が狭いから攻撃パターンは限られるけど、僕が一発当たれば死ねる攻撃だ。
「ぎゃああああああ、ミアさん待ってえええええええ!」
ミアさんの姿はもう見えない。
確かに気にしなくても良いと言ったけど……もうこのまま逃げ切るしかないだろう。
「ンモオオオオオオ!」
「うはああああ!?」
僕の頭上すれすれに、ミノタウロスの巨大なメイスが薙ぎ払われた。
ドカーンと地下通路の壁に命中し、瓦礫がバラバラと落ちて来る。
命の危機を感じた僕は、火事場の力で人の領域を突破した。
「にゃああああああああああああああ!」
ただし、後衛の僕が限界突破しても、そんに足が速くなるわけではない。
ギリギリなやり取りが長く続き、オークの巣へ続く横道。
逆にスピードが出過ぎて行きすぎてしまったが、指を洞窟の角にひっかけ速度を殺す。
その横道へ大振りに振られたメイスの一撃が。
あのまま行ってたら頭が吹き飛んでいたようだ。
冷や汗が垂れるけど、止まったら死ぬ。
戻されるメイスの下を滑り込み、僕は通路の先へと進む。
「うおおおおおおおお!」
「モオオオオオオオオオ!」
もうあとは、この道を進むだけだ。
しかし、この道はそこそこ長い。
全力で走っても後六分。
僕の体力が持つのだろうか?
でもやるしかない!
絶対やるしかない!
ミノタウロスの攻撃を、壁に張り付きやり過ごし、跳んでしゃがんで逃げ躱す。
「で、出口だ!」
もう広場への道は見えている。
あそこに行けば安心安全だ。
そう思った僕は、ホッと一息ついたのだが、安心してしまったが故に限界を超えた力が抜けて行く。
「どあああああああああああ?」
足が絡まってしまった僕は、もうこのまま行ってしまおうと体を丸める。
ゴロゴロ回転してもう少しという所で、ミノタウロスのメイスが地面から突き上げられた。
「いったあああああああい!?」
それは僕のお尻に直撃し、ボールのように打ち上げられた。
広場の中央付近にポテっと落ち、限界を迎えて力尽きてしまう。
でも僕の代わりに、元気な三人がミノタウロスの前に立ちはだかる。
「来たわねミノタウロス、お姉さんが相手してあげるわ」
待ちに待って体力も充分にあるアーリアさんは、ミノタウロスに向かって防御の体勢をとった。
「我が君、ここまでこればもう安心だ。後は私達に任せてくれ!」
グリアさんは巨大な剣を肩に担ぎ、準備万端なのだろう。
「ウシ、ニク! ニクー!」
ミアさんは肉が食べたいらしい。
さあ、ここは僕が作った結界の内側だ。
ミノタウロスがここに足を踏み入れた時、もう数値は現れている。
予想より少し多い数字の百二十が地に落ちていた。
だからあの数値を使い、僕の能力を強化するだけである。
では始めよう。
この息が整って、体力が回復したなら。
「うひぃ、はひぃ、ぶはぁ、ふぅ、はふぅ、うげ、ゴホ、ゴホ……」
すでに虫の息の僕は、邪魔にならないように転がって壁際に行くので精いっぱいなのだ。
しかし転がるのも中々に大変で、底をついた体力が零に近くにまで減っている。
とりあえず五分ぐらいは動けないだろう。
心の中で三人を応援しておくとしよう。
「クッ、あのメイス、両手で受け止めないと無理そうだわ!」
「だが止めてしまえば私が強烈な一撃を入れてやれる。アーリア、一瞬でも隙を作ってくれ!」
「ウシ、タオす!」
といっても、壁際に顔を向けているから状況が分からない。
なんとかして向うを向きたくても、僕の体が動かないしどうしよう。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
いっそ数字の力を使って体力全開にしようかとも考えたが、時間が来たら元通りだ。
それだとあんまり意味がない。
「くうううう、今よ、グリアちゃん!」
「ああ、ここだあああ!」
「ウシイイイイイイイイ!」
「ブモオオオオオオオ!」
見えないからサッパリ分からないが、たぶん善戦しているのだろう。
「ンンモオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「きゃあああああ……」
「アーリア!? だったら、体勢を立て直すまで私が!」
「ワタシ、ヤル! ウィーアー・グリーアー!」
ん?
確かこれは速度を上げる魔法だったかな?
見えないけど、激しい戦いが続いている気がする。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
大分楽になってきた。
いや、まだ動けないけど。
「ブオオオオオオオオオ!」
「今度は止めて見せるわ!」
「おおおおおお、私の一撃をくらええええええええええ!」
「ギギギギギ!」
振り向けるぐらいは回復で来ただろうか。
試してみよう。
「うぐぐぐぐ、ぷはぁ!」
必至で振り向くと、アーリアさんとミノタウロスは傷だらけになっている。
治癒能力もなくなっているし、僕が居なくてもたぶん勝てるだろう。
しかし、何もしてないというのは罪悪感がわいて来る。
「ブモオオオオオ!」
ミノタウロスが振り上げたメイスを、アーリアさんに向けて振り下ろす。
「ふううううう!」
それはアーリアさんの両手で受け止められ、体をゆっくり沈めながら勢いを殺している。
押し負けそうになると、攻撃を受け流してやり過ごしていた。
そのやり取りはたったの五秒ほどではあるが、他の二人の攻撃タイミングとしては充分だろう。
「うおおおおおおおおおおお!」
グリアさんの巨大な剣が、ミノタウロスの太腿を切り裂く。
「ウシニクウウウウウ!」
ミアさんは風のように移動し続け、ミノタウロスの全身を斬りつけていた。
もうそろそろ倒せそうだし、無理をしてでも行くべきかもしれない。
「フゥゥゥゥ…ああ、落ち着いた。じゃあ行こっかな」
僕に使える武器はない。
アーリアさんが攻撃を引き受けてくれるから、攻撃にだけ集中すればいいだろう。
だから、力の値は百で、秒数は二十ということで!
「くうううううう、早く決めちゃって! お姉さんそんなにもたないわ!」
アーリアさんは、ミノタウロスから横に薙ぎ払われた攻撃を、足を滑らせながら受け止め続けている。
「これで終わらせる。たあああああああああ!」
それを見て、グリアさんが最後の攻撃をしかけようと走り出す。
「ギギギギギギギギギ!」
ミアさんは後方に下がり、勢いをつけて走り出した。
そして僕も。
「うおおおおおおおおお!」
拳を握って突っ込んで行く。
アーリアさんに武器を押さえつけられたミノタウロスに、三方向からの攻撃が叩きこまれた。
「ブオオオオオオオオオォォォォォォォ……」
そしてミノタウロスは、地に膝をつけ、ドオオオンと体を倒した。
ふう、最後に間に合ったから良しとしよう。
で、戦ったのを元に作った資料がこれだ。
名前 :ミノタウロス
レベル:40
HP :670
MP :70
力 :268(測ってないので予想値)
速 :70
大 :300(そういえば姿をボードに写してない)
危険度:7
技 :メイスの一撃。メイス薙ぎ払い。
自動治癒。
考察 :顔が牛の巨人で、手には体に見合ったメイスを持っている。
大きなメイスをブンブン振り回す力は、相当に強い。
強烈な一撃を受け止めるのは、それなりの実力がいるだろう。
自動治癒がある為、小さな傷はものともしない。
倒すには相当な攻撃力が必要だ。
迷宮や地下に良く出現するという噂がある。
牛なのに肉食。
★
「ふう、やっと終わった」
僕は汗を拭う動作をした。
この戦いではあまり活躍していないのだけど、それでも勝ちは勝ちなのである。
だからこそ今レベル三十に到達したのだ。
そして三十では、新たな術の習得が行われたはずである。
「クーちゃんやったわね。これで帰れるわ!」
アーリアさんは満面の笑みを浮かべている。
「我が君、怪我はないな?」
グリアさんは武器を背負い、帰る準備を始めていた。
「はい、大丈夫です」
僕は返事をしてミアさんを見た。
「……ジュル」
倒れたミノタウロスを見て涎を垂らしている。
流石に魔物とはいえ人型を食べるのは不味いだろう。
止めなければ。
「帰ったらアーリアさんがご馳走してくれるらしいですから、それまで我慢してください」
「ウゥ、ヨメ、ワカッタ。アーリア、ニクホシイ!」
「もちろんよ。お姉さんのお肉をたっぷり食べさせてあげるわ! クーちゃんも食べるわよね」
アーリアさんの言い回しに疑問を感じる。
ちゃんと答えた方がいいだろう。
「お金が無いので牛の肉は食べたいです」
「クーちゃんの意地悪」
アーリアさんは色っぽい顔をしている。
やはり何かしらの罠だったようだ。
「我が君、では町に戻ろうか」
グリアさんは出口へ手を向けている。
「ああ、まだ鉄棒の回収が終わってないんでちょっと待ってください」
僕は鉄棒の回収を申し出た。
この場所にある結界は残されたままなのだ。
ただの棒だとはいえ、買い替える出費は痛い。
「そうか、では私も手を貸そう」
グリアさんは手伝ってくれるらしいけど。
「その前に一つ試していいでしょうか? 新しい魔法を覚えたみたいなんで」
実戦で使えるかどうかは、試してみなければわからない。
だからこそ僕はここで試してみたいのだ。
「そうか、では我が君、魔物でも連れて来よう」
グリアさんは魔物を連れて来ようとしているが。
「いや、敵は居なくても大丈夫みたいなんで。他の二人も大丈夫でしょうか?」
今回の魔法は敵が居なくても平気なのだ。
僕は他の二人にも聞いてみた。
「お姉さんは平気よ。安全な今試した方がいいものね。何でも来ていいわよ」
「ワタシ、ダイジョぶ!」
アーリアさんとミアさんも大丈夫らしいので、僕は早速使ってみることにした。
「……え~っと、結界の内にいる仲間の値を集めよ。アディション・フィールド」
結界内に居る仲間の三人から、赤い光が伸びている。
この魔法の効果は、仲間の力を借り受け、自分の力にするというものだ。
力といっても単純に筋力ということでもない。
速度であったり、体力であったり、様々なものを一つ借りられる。
「ああ、お姉さんの力が抜けちゃうわ。クーちゃんに吸われちゃう」
アーリアさん、なんかエロいので発言には気を付けてください。
「私が我が君の中へ……うっ、はぁはぁ」
いやまあ実際そうなんですけど、もう少し言い方を考えてくださいグリアさん。
「ワタシ、クラクラ」
ミアさんは普通に頭をフラフラさせている。
その三人の体から放たれた光が一つに合体すると、数字として上空から石が現れた。
空から落ちたのは六十という数字だが、高いと言えば高いが、低いと言えば低いものだ。
たぶん三人で六十だから二十ずつだろう。
この数値は、時間制限なく使える物だ。
他の魔法を使っても数字は残り続ける様で、味方の弱体化は結界を出るまで治らない。
仲間の力を減らして僕にプラスするのだけど、二十も減ってしまうとなると戦闘に支障が出そうである。
他の値を吸収すれば百二十、百八十と増やすことも出来る。
ただし、味方はその分弱体したままなので、最悪は僕しか戦えなくなってしまう。
魔物によって使いどころには注意しなければならないだろう。
注意点としては、魔物の能力を変換する今までのものと同時には使うことは出来ないことだ。
この魔法を使えば、能力のない相手とも対等に戦うことが出来るだろう。
今まで無かったのが不思議なぐらい、測量士としては念願の魔法である。
「それじゃあ確認も済みましたし帰りましょうか」
僕はそう提案したのだけど。
「お姉さんちょっと怠いんだけど。クーちゃんお姫様抱っこして」
「我が君、出来れば私も……」
「ワタシも!」
何度か魔法を作動させたから、三人共相当疲れているらしい。
でも。
「どう考えても僕には無理ですし、結界から出れば治りますよ」
と僕は断った。
「「「えええええええええ!」」」
何故僕に運べると……まあ強化したらできそうな気もしないでも?
でもそれをした後にどうなるか分からないし止めておこう。
「じゃあ僕は鉄棒を回収して帰りますから、来ないなら置いて行きますね」
僕は三人に背中を向けて歩き始めたのだが。
「うをぉッ!」
突如背中に何かが飛び乗って来た。
「ヨメ、ワタシのル!」
ミアさんが乗り掛かってきたらしい。
一人が乗ったらどうなるか。
「お姉さんも乗るわ!」
「二人が乗るのなら私も!」
と言って、残りの二人も飛び掛かって来た。
僕は自分の体重よりも二倍以上の重さに圧し掛かられ。
「ぐえっ」
と潰れてしまったのだ。
このままでは動けないし、力を使ってみるとしよう。
作っていた数字を力の値へと変換する。
「ぐおおおおおおおお!」
それでも重いのは変わらないが、三人の体が持ち上がり始めた。
「クーちゃん凄いわ。ちゃんと持ち上がるなんて」
アーリアさん、重いのが分かっているなら退いてください。
「我が君、流石だな」
グリアさんも便乗しないでください。
「ウウウ、フタり、オモイぞ」
ミアさんは二人に乗っかられて苦しそうだ。
まあ元凶になったんだし多少我慢してもらおう。
「じゃあここまでで~す」
僕は結界を作っていた鉄棒前に行くと、そこで三人を投げ捨てた。
「ヨメ、ワタシマンゾく!」
「我が君、今度は個人的に……」
「お姉さんはいつでもいいのよ」
「はいはい、そういうのはもういいんで、早く帰りましょうね」
僕は三人を適当にあしらい、結界を作っていた鉄棒を回収して町に戻って行った。
そしてローザリアのギルド。
作った地図とミノタウロスの資料を渡し、スラーさんへ報告している。
「ということでカギは壊れてしまいました。経年劣化なので僕の給料から引くのは無しですからね!」
僕はあらん限りの力を込めて、ちゃんとスラーさんに説明した。
「まあそれは仕方がないでしょう。それに新な出口があるのは幸いでしたね。危うく閉じ込めてしまうところでした。後はその出口にも丈夫な扉を取り付けないとならないでしょうね。簡単に魔物が侵入しても困りますから」
スラーさんは、顎に手を当て、今後の展開を考えているようだ。
やはりそのまま出口として使うのかもしれない。
「まあそうですね」
僕は何も請求されなくてホッとしているのだが。
「それはいいけど、同時に黒鉄虫の駆除をお願いするわ!」
「そうだ! あんな所は人が入るものじゃない! スラー、管理清掃を週に一度でいいからやってくれないか!」
アーリアさんとグリアさんは、顔を近づけながらスラーさんに詰め寄っている。
「……まあ構いませんけど、自分達でやってくださいね。清掃にもお金が掛かりますので」
スラーさんも困っている。
まさか黒鉄虫を退治しろと言われるとは思わなかったようだ。
「私はやらないぞ! でも一回分ぐらいなら金を出そう!」
「お姉さんも出すわよグリアちゃん! その一回で全部駆除して頂戴!」
二人共お金を支払うらしい。
高額であるなら僕が受けたい所だが。
「……支払っていただけるのであれば構いませんよ」
お金を支払うと言われて、スラーさんも折れたらしい。
「ライズ・ライト君、本来ならこのまま別の仕事をお願いしたかったのですが、その入り口を放置する訳には行きません。魔物がまた進入するとも知れませんし、君、その入り口の警備に回ってくれませんか?」
「あ、はい。でも入り口を塞いでももう一度中を確認しないといけませんよね?」
「ふむ、確かに。ではそこに居る二人に……」
スラーさんはアーリアさんとグリアさんに顔を向けるが。
「お姉さん入り口の警備がしたいわ! 調査はクーちゃんに任せるわね!」
「我が君、安心してくれ。絶対に魔物を通したりはしない。だから安心して調査をして来てくれ!」
二人が嫌がったということで、二度目の内部探索は僕とミアさんで行うことになる。
流石に、こんな短時間で、二体目のミノタウロスが入り込むとかはないだろう。
「じゃあ任せたわよクーちゃん!」
「頑張ってくれ我が君、ではまた」
アーリアさんとグリアさんは、馬を使って急ぎあの入り口の場所へ向かって行く。
でも何か忘れているような?
「ミアさん、ではこちらも行くとしましょうか」
僕はまたミアさんと地下通路の入り口に向かおうとするのだけど。
「ワタシ、ウシニク、タベタい!」
ミアさんは牛肉を食べたいらしい。
そういえばそうだった。
「え~っと、それはアーリアさんが……」
「タベタい!」
僕はミアさんのキラキラとする瞳に負け、牛肉をおごる羽目になってしまった。
なけなしの食費に壮絶なダメージを受けた僕は、ギルド内部の扉から地下通路へとおりて行った。
★
地下通路の中。
僕とミアさんは、道の上下左右を見ながら、魔物が居ないかを調べている。
そのまま進み続けるが、一本目と二本目の行き止まりにも何も無いようだ。
今はあの二人が嫌だった虫が徘徊しているだけだろう。
油断はするべきじゃないが、僕は少し気が抜けている。
「じゃあミアさん、このまま真っ直ぐ行って突き当りにまで行ってみましょう」
「ヨメ、ワカッた!」
僕の軍資金で牛肉をお腹いっぱい食べたミアさん。
その元気と引き換えに、僕の未来は失われてしまった。
また草でも取って来なければ。
足を進ませて、カギのかかった格子状の扉の前。
壊れたカギ穴はそのままで、何か入って来た気配はない。
一応外の景色を見てみると、ここは朽ちた馬小屋の中なのか?
少し前にはワラと打ち付けられた板があり、その間から少しだけ光が入り込んでいる。
その先に何があるのかは知らないけれど、カギは回せないから外には出れない。
とりあえずこの詰まったカギでも引き抜いてみようかな?
僕は、数ミリだけカギ穴から跳び出しているカギを、爪の先でグッと掴む。
「うぬぬぬぬぬぬぬぬ!」
しかし、力を入れ過ぎたのか、爪の先がツルっとすべった。
「~~~~おふ」
そして爪同士がバチっとぶつかり何とも言えない痛みが走る。
「ヨメ、ダイジョウブか?」
「……大丈夫です」
心配してくれたミアさんに、僕は強がって答えた。
道具もないし無理そうだ。
ここは諦めるしかないだろう。
「ここは出れないですし、他の場所に行ってみましょうか」
僕はそう言ったんだけど。
「ワタシ、ヤる!」
ミアさんはこのカギに興味をもったようだ。
まあ特に急いでいる訳でもないし、やらせてもいいだろう。
僕が場所をゆずると、ミアさんはカチャカチャとカギを玩具にしている。
爪でカリカリしたり、格子の方をガシガシ叩いたりするが、変化はない。
「ワカッた!」
時間が経ち諦めるかと思ったら、ミアさんは何故か武器を取り出している。
二つの剣を装着すると、鋭い先端で壊れたカギを挟み込む。
ミアさん器用にカギを引き上げ、カギはカギ穴からポロっと落ちた。
「ワタシ、ヤッた!」
ミアさんは、ピョンピョン跳びはねて喜んでいる。
僕は落ちたカギの破片を拾い上げた。
これを元にすれば、新しいカギも出来るはずだ。
「おお、やりましたねミアさん。すごく偉いです! じゃあこのカギは持ち変えるとして、他の場所へ行ってみましょう}
「ギギ!」
ミアさんは、ほめられて嬉しかったのか、またその場でピョンッと跳ねた。
そして移動するのはオークの巣がある道である。
一匹のスライムが這い出て来たぐらいで他にもなにもなく、無事にミノタウロスが倒れていた広場の入り口に到着した。
とうぜんだが、ミノタウロスは少したりとも動いていない。
もう完全に成仏しているらしい。
しかし何もないはずのこの場所で、おかしな光景が見えている。
オークの住処の一つから、モクモクと煙が上がっているのだ。
「まさかオークの生き残りが!?」
僕達はミノタウロスを倒したけど、住居の全てを調べたわけでもない。
どこかに隠れる場所があったのかも?
それとも、狩りにでも出て戻ってきたのかもしれない。
「ブタニク?」
ミアさんはオークを豚と認識しているらしい。
「豚肉じゃなくてオークですよ。どこかに生き残りが居たのかな? とにかく、まずは戦闘準備からです。僕は結界を作っておきますから、ミアさんはここで待機……は止めて僕について来てください」
僕はミアさんとの行動を決めた。
ミアさんにはまだまだ臨機応変さが欠けるからだ。
「ヨメ、ワカッタ!」
ミアさんが返事をすると、僕達はこっそりと準備を始めた。
敵に気付かれないように僕が戦える結界を作っていく。
「よし完成」
ということで、僕は鉄棒の最後の一本を地面に突き刺し、結界を完成させた。
「ヨメ、ヤルか?」
ミアさんのやる気は充分だ。
しかし。
「いえ、少し待ってください」
僕はそれを制止した。
オークの一体なら別に問題はないけど、大勢いた場合は厄介だ。
僕が狙われると少し危うい。
まずは敵戦力の確認かな?
「じゃあちょっと行って来ますから、あそこで待っててください」
僕は出口へ向かうの道の前に、ミアさんに待機をお願いした。
「ヨメ、ガンバれ!」
ミアさんに応援され。
「あ、はい」
僕は一人で煙が上がっている住居へ向かって行く。
まさか罠じゃないよなとか、ドキドキしながら住居の中をのぞいてみた。
「ええ!?」
オークが居ると思った住居の中には、僕の知っている人物が眠っていたのだ。
それは数日前にファラさんに護衛されて行ったはずの、フェイさんだった。
一体なぜここに?
というかどうやって逃げて来たんだろう。
まあでも、脱走者を見つけてしまったからには捕まえなければならない。
リュックにはロープもあるし、今の内に縛ってしまおう。
直ぐに縛れるようにロープで輪を作り、フェイさんをサッと縛りあげるのだけど。
「き、貴様、一体何をしている!? なっ、お前はああああああ、クー・ライズ・ライトオオオオオオオオ!」
その途中で目を覚まして、気付かれてしまったようだ。
「大人しくしてください。直ぐ終わりますから」
だからと言って、もう上半身はガッチリ縛ってある。
あとは下半身を動けなくするだけだ。
僕はバタバタと暴れる足を押さえつけようと、太腿の辺りに手を伸ばした。
「ま、まさか、ファラだけでなく私までも毒牙にかけようというのか!? させん、させんぞおおおおおおおおお!」
フェイさんに物凄い勘違いをされている。
「何言ってるんですか、全然違いますからね!」
僕はキッパリ否定するが。
「私のケツは、私のものだあああああああ!」
フェイさんは足をバタつかせ。
「あ痛ッ!」
縛りあげようとする僕の顎に、つま先が直撃した。
僕は後ろに倒れ、その間にフェイさんが壁を使って立ち上がっている。
「……あの、もう魔法も使えないんですよね? その状態じゃ勝ち目なんてないですし、抵抗しない方がいいですよ」
僕も頭を振って立ち上がり、一応説得してみるのだが。
「抵抗せずに、ケツの穴が護れるかああああああああ!」
フェイさんは、どうにも話を聞いてくれない。
「だから違いますよ!? そんな気は未来永劫ありませんからね!」
僕は何度も否定する。
元から話を聞いてくれない人だったけど、やっぱり全然聞いてくれない人だ。
それに、腕が使えなくなっているというのに、その表情には余裕がある。
電撃以外に何かあるのだろうか?
「例え縛られようとも、貴様一人ぐらいどうとでもなるわ! 倒れし魔物よ、我が命に従うがいい! 立ち上がれええええええ、ミノタウロスゾンビイイイイイ!」
フェイさんの呼びかけに、ミノタウロスが倒れていた地点からドオオオンという音が聞こえた。
「うええええ!?」
僕は音に振り向くと、そこには死んでいたはずのミノタウロスが起き上がっていた。
目はこちらを向いてもいないし、息をしている様にも見えない。
やはりゾンビなのだろう。
これは屋敷で見た、魔物を操っていた力か?
いやいや落ち着いている場合じゃない。
助けを呼ばなければ!
「ぎゃああああああ、ミアさん来てええええ、来てえええええええ!」
僕はミアさんに助けを求めると、こちらを見ながらずっと待ってたミアさんが動き出した。
ミノタウロスから逃げ出した僕達は、最後の行き止まりの道を進む。
やはり何者かの手で通路が作られていて、先に進める道があるようだ。
その道を進むと、オークの住処が見えて来る。
しかしミノタウロスにより全滅させられてしまったらしく、生き残ったものはいない。
まず出口を探し、外に出て行く。
一安心した僕達は、お弁当を食べてまた内部へと戻る。
今度はちゃんと準備を済ませてミノタウロスを待つのだが、ちっとも現れなかった。
★
クー・ライズ・ライト (僕)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
★
ミノタウロスは結局全然来ないし、探しに行くにしてもあの通路内では、アーリアさんとグリアさんは役に立たない。
とはいえ、ミアさん一人に任せるのは少し心配だ。
行きたくはないが、僕も行くしかないらしい。
「じゃあ僕とミアさんがミノタウロスを連れて来ますから、二人共ここで待っていてください」
「ギ!」
僕はそう宣言し、ミアさんと地下通路へと歩き出すのだが。
「クーちゃん、二人で大丈夫!?」
「我が君、私も手伝いたいところなんですが!」
アーリアさんとグリアさんは、一緒に行きたそうな顔をしている。
でもどうせ答えは知っているけど、一応聞いてみよう。
「えっ? 二人共来ますか?」
「「行ってらっしゃい」」
ほら、二人からはやっぱり予想通りの答えが返ってきた。
「じゃあ待っててください」
と言って僕とミアさんは道を進んで行く。
僕は緊張して進み続け、地下通路の道へと出た。
今の所この場所にはミノタウロスは居ないようだ。
ミアさんと二人で分岐路にまで進むが、ここからは少し慎重に行かなければならない。
ミノタウロスが移動しているとなると、僕達が帰れなくなる可能性もある。
左は格子への道で、右はギルドへの道だ。
「ミアさん、僕が左の道に行ってみますから、右側の少し先で待っていてください。もしミノタウロスが来たら、皆の居る場所に戻るんですよ。僕のことは気にしなくてもいいんで」
僕はミアさんに対応を伝えた。
「ヨメ、ダイジョウブか?」
ミアさんは首をかしげて心配してくれている。
「はい僕は大丈夫です。もう一度言いますけど、僕の方ではなくて、アーリアさんとグリアさんが居るあの広いところに行くんですよ?」
「ワカッた!」
僕の言った言葉に、ミアさんは手を挙げてピョンと跳んでいる。
ってことで、僕は一人で左の道を進みだす。
ミノタウロスが居るような音は聞こえない。
一歩一歩確認しながら進み続け、出口であった行き止まりにまで到着した。
犠牲になったオークの姿も消え果てて、ここにはもう何もない。
食べられたのだろうか?
もし逃げられなかったらと考えると、少し震えがくる。
道を引き返しミアさんと合流しようとしたのだが。
「ヨメ、ツレテきた!」
「えっ?」
分岐路に着くと、ミアさんは広場への道を走って行く。
その後ろには、メイスを振り上げたミノタウロスが走って来ていた。
「どわあああああああああああああ!」
慌てた僕は、ミアさんと一緒に広場へと誘導して行く。
しかし、考えるまでもないが、ミアさんの方がとても足が速い。
置いて行かれた僕がどうなるかといえば。
「ブモオオオオオオオオオ!」
「ぬああああああああ!?」
完全に僕がターゲットにされている。
通路が狭いから攻撃パターンは限られるけど、僕が一発当たれば死ねる攻撃だ。
「ぎゃああああああ、ミアさん待ってえええええええ!」
ミアさんの姿はもう見えない。
確かに気にしなくても良いと言ったけど……もうこのまま逃げ切るしかないだろう。
「ンモオオオオオオ!」
「うはああああ!?」
僕の頭上すれすれに、ミノタウロスの巨大なメイスが薙ぎ払われた。
ドカーンと地下通路の壁に命中し、瓦礫がバラバラと落ちて来る。
命の危機を感じた僕は、火事場の力で人の領域を突破した。
「にゃああああああああああああああ!」
ただし、後衛の僕が限界突破しても、そんに足が速くなるわけではない。
ギリギリなやり取りが長く続き、オークの巣へ続く横道。
逆にスピードが出過ぎて行きすぎてしまったが、指を洞窟の角にひっかけ速度を殺す。
その横道へ大振りに振られたメイスの一撃が。
あのまま行ってたら頭が吹き飛んでいたようだ。
冷や汗が垂れるけど、止まったら死ぬ。
戻されるメイスの下を滑り込み、僕は通路の先へと進む。
「うおおおおおおおお!」
「モオオオオオオオオオ!」
もうあとは、この道を進むだけだ。
しかし、この道はそこそこ長い。
全力で走っても後六分。
僕の体力が持つのだろうか?
でもやるしかない!
絶対やるしかない!
ミノタウロスの攻撃を、壁に張り付きやり過ごし、跳んでしゃがんで逃げ躱す。
「で、出口だ!」
もう広場への道は見えている。
あそこに行けば安心安全だ。
そう思った僕は、ホッと一息ついたのだが、安心してしまったが故に限界を超えた力が抜けて行く。
「どあああああああああああ?」
足が絡まってしまった僕は、もうこのまま行ってしまおうと体を丸める。
ゴロゴロ回転してもう少しという所で、ミノタウロスのメイスが地面から突き上げられた。
「いったあああああああい!?」
それは僕のお尻に直撃し、ボールのように打ち上げられた。
広場の中央付近にポテっと落ち、限界を迎えて力尽きてしまう。
でも僕の代わりに、元気な三人がミノタウロスの前に立ちはだかる。
「来たわねミノタウロス、お姉さんが相手してあげるわ」
待ちに待って体力も充分にあるアーリアさんは、ミノタウロスに向かって防御の体勢をとった。
「我が君、ここまでこればもう安心だ。後は私達に任せてくれ!」
グリアさんは巨大な剣を肩に担ぎ、準備万端なのだろう。
「ウシ、ニク! ニクー!」
ミアさんは肉が食べたいらしい。
さあ、ここは僕が作った結界の内側だ。
ミノタウロスがここに足を踏み入れた時、もう数値は現れている。
予想より少し多い数字の百二十が地に落ちていた。
だからあの数値を使い、僕の能力を強化するだけである。
では始めよう。
この息が整って、体力が回復したなら。
「うひぃ、はひぃ、ぶはぁ、ふぅ、はふぅ、うげ、ゴホ、ゴホ……」
すでに虫の息の僕は、邪魔にならないように転がって壁際に行くので精いっぱいなのだ。
しかし転がるのも中々に大変で、底をついた体力が零に近くにまで減っている。
とりあえず五分ぐらいは動けないだろう。
心の中で三人を応援しておくとしよう。
「クッ、あのメイス、両手で受け止めないと無理そうだわ!」
「だが止めてしまえば私が強烈な一撃を入れてやれる。アーリア、一瞬でも隙を作ってくれ!」
「ウシ、タオす!」
といっても、壁際に顔を向けているから状況が分からない。
なんとかして向うを向きたくても、僕の体が動かないしどうしよう。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
いっそ数字の力を使って体力全開にしようかとも考えたが、時間が来たら元通りだ。
それだとあんまり意味がない。
「くうううう、今よ、グリアちゃん!」
「ああ、ここだあああ!」
「ウシイイイイイイイイ!」
「ブモオオオオオオオ!」
見えないからサッパリ分からないが、たぶん善戦しているのだろう。
「ンンモオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「きゃあああああ……」
「アーリア!? だったら、体勢を立て直すまで私が!」
「ワタシ、ヤル! ウィーアー・グリーアー!」
ん?
確かこれは速度を上げる魔法だったかな?
見えないけど、激しい戦いが続いている気がする。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
大分楽になってきた。
いや、まだ動けないけど。
「ブオオオオオオオオオ!」
「今度は止めて見せるわ!」
「おおおおおお、私の一撃をくらええええええええええ!」
「ギギギギギ!」
振り向けるぐらいは回復で来ただろうか。
試してみよう。
「うぐぐぐぐ、ぷはぁ!」
必至で振り向くと、アーリアさんとミノタウロスは傷だらけになっている。
治癒能力もなくなっているし、僕が居なくてもたぶん勝てるだろう。
しかし、何もしてないというのは罪悪感がわいて来る。
「ブモオオオオオ!」
ミノタウロスが振り上げたメイスを、アーリアさんに向けて振り下ろす。
「ふううううう!」
それはアーリアさんの両手で受け止められ、体をゆっくり沈めながら勢いを殺している。
押し負けそうになると、攻撃を受け流してやり過ごしていた。
そのやり取りはたったの五秒ほどではあるが、他の二人の攻撃タイミングとしては充分だろう。
「うおおおおおおおおおおお!」
グリアさんの巨大な剣が、ミノタウロスの太腿を切り裂く。
「ウシニクウウウウウ!」
ミアさんは風のように移動し続け、ミノタウロスの全身を斬りつけていた。
もうそろそろ倒せそうだし、無理をしてでも行くべきかもしれない。
「フゥゥゥゥ…ああ、落ち着いた。じゃあ行こっかな」
僕に使える武器はない。
アーリアさんが攻撃を引き受けてくれるから、攻撃にだけ集中すればいいだろう。
だから、力の値は百で、秒数は二十ということで!
「くうううううう、早く決めちゃって! お姉さんそんなにもたないわ!」
アーリアさんは、ミノタウロスから横に薙ぎ払われた攻撃を、足を滑らせながら受け止め続けている。
「これで終わらせる。たあああああああああ!」
それを見て、グリアさんが最後の攻撃をしかけようと走り出す。
「ギギギギギギギギギ!」
ミアさんは後方に下がり、勢いをつけて走り出した。
そして僕も。
「うおおおおおおおおお!」
拳を握って突っ込んで行く。
アーリアさんに武器を押さえつけられたミノタウロスに、三方向からの攻撃が叩きこまれた。
「ブオオオオオオオオオォォォォォォォ……」
そしてミノタウロスは、地に膝をつけ、ドオオオンと体を倒した。
ふう、最後に間に合ったから良しとしよう。
で、戦ったのを元に作った資料がこれだ。
名前 :ミノタウロス
レベル:40
HP :670
MP :70
力 :268(測ってないので予想値)
速 :70
大 :300(そういえば姿をボードに写してない)
危険度:7
技 :メイスの一撃。メイス薙ぎ払い。
自動治癒。
考察 :顔が牛の巨人で、手には体に見合ったメイスを持っている。
大きなメイスをブンブン振り回す力は、相当に強い。
強烈な一撃を受け止めるのは、それなりの実力がいるだろう。
自動治癒がある為、小さな傷はものともしない。
倒すには相当な攻撃力が必要だ。
迷宮や地下に良く出現するという噂がある。
牛なのに肉食。
★
「ふう、やっと終わった」
僕は汗を拭う動作をした。
この戦いではあまり活躍していないのだけど、それでも勝ちは勝ちなのである。
だからこそ今レベル三十に到達したのだ。
そして三十では、新たな術の習得が行われたはずである。
「クーちゃんやったわね。これで帰れるわ!」
アーリアさんは満面の笑みを浮かべている。
「我が君、怪我はないな?」
グリアさんは武器を背負い、帰る準備を始めていた。
「はい、大丈夫です」
僕は返事をしてミアさんを見た。
「……ジュル」
倒れたミノタウロスを見て涎を垂らしている。
流石に魔物とはいえ人型を食べるのは不味いだろう。
止めなければ。
「帰ったらアーリアさんがご馳走してくれるらしいですから、それまで我慢してください」
「ウゥ、ヨメ、ワカッタ。アーリア、ニクホシイ!」
「もちろんよ。お姉さんのお肉をたっぷり食べさせてあげるわ! クーちゃんも食べるわよね」
アーリアさんの言い回しに疑問を感じる。
ちゃんと答えた方がいいだろう。
「お金が無いので牛の肉は食べたいです」
「クーちゃんの意地悪」
アーリアさんは色っぽい顔をしている。
やはり何かしらの罠だったようだ。
「我が君、では町に戻ろうか」
グリアさんは出口へ手を向けている。
「ああ、まだ鉄棒の回収が終わってないんでちょっと待ってください」
僕は鉄棒の回収を申し出た。
この場所にある結界は残されたままなのだ。
ただの棒だとはいえ、買い替える出費は痛い。
「そうか、では私も手を貸そう」
グリアさんは手伝ってくれるらしいけど。
「その前に一つ試していいでしょうか? 新しい魔法を覚えたみたいなんで」
実戦で使えるかどうかは、試してみなければわからない。
だからこそ僕はここで試してみたいのだ。
「そうか、では我が君、魔物でも連れて来よう」
グリアさんは魔物を連れて来ようとしているが。
「いや、敵は居なくても大丈夫みたいなんで。他の二人も大丈夫でしょうか?」
今回の魔法は敵が居なくても平気なのだ。
僕は他の二人にも聞いてみた。
「お姉さんは平気よ。安全な今試した方がいいものね。何でも来ていいわよ」
「ワタシ、ダイジョぶ!」
アーリアさんとミアさんも大丈夫らしいので、僕は早速使ってみることにした。
「……え~っと、結界の内にいる仲間の値を集めよ。アディション・フィールド」
結界内に居る仲間の三人から、赤い光が伸びている。
この魔法の効果は、仲間の力を借り受け、自分の力にするというものだ。
力といっても単純に筋力ということでもない。
速度であったり、体力であったり、様々なものを一つ借りられる。
「ああ、お姉さんの力が抜けちゃうわ。クーちゃんに吸われちゃう」
アーリアさん、なんかエロいので発言には気を付けてください。
「私が我が君の中へ……うっ、はぁはぁ」
いやまあ実際そうなんですけど、もう少し言い方を考えてくださいグリアさん。
「ワタシ、クラクラ」
ミアさんは普通に頭をフラフラさせている。
その三人の体から放たれた光が一つに合体すると、数字として上空から石が現れた。
空から落ちたのは六十という数字だが、高いと言えば高いが、低いと言えば低いものだ。
たぶん三人で六十だから二十ずつだろう。
この数値は、時間制限なく使える物だ。
他の魔法を使っても数字は残り続ける様で、味方の弱体化は結界を出るまで治らない。
仲間の力を減らして僕にプラスするのだけど、二十も減ってしまうとなると戦闘に支障が出そうである。
他の値を吸収すれば百二十、百八十と増やすことも出来る。
ただし、味方はその分弱体したままなので、最悪は僕しか戦えなくなってしまう。
魔物によって使いどころには注意しなければならないだろう。
注意点としては、魔物の能力を変換する今までのものと同時には使うことは出来ないことだ。
この魔法を使えば、能力のない相手とも対等に戦うことが出来るだろう。
今まで無かったのが不思議なぐらい、測量士としては念願の魔法である。
「それじゃあ確認も済みましたし帰りましょうか」
僕はそう提案したのだけど。
「お姉さんちょっと怠いんだけど。クーちゃんお姫様抱っこして」
「我が君、出来れば私も……」
「ワタシも!」
何度か魔法を作動させたから、三人共相当疲れているらしい。
でも。
「どう考えても僕には無理ですし、結界から出れば治りますよ」
と僕は断った。
「「「えええええええええ!」」」
何故僕に運べると……まあ強化したらできそうな気もしないでも?
でもそれをした後にどうなるか分からないし止めておこう。
「じゃあ僕は鉄棒を回収して帰りますから、来ないなら置いて行きますね」
僕は三人に背中を向けて歩き始めたのだが。
「うをぉッ!」
突如背中に何かが飛び乗って来た。
「ヨメ、ワタシのル!」
ミアさんが乗り掛かってきたらしい。
一人が乗ったらどうなるか。
「お姉さんも乗るわ!」
「二人が乗るのなら私も!」
と言って、残りの二人も飛び掛かって来た。
僕は自分の体重よりも二倍以上の重さに圧し掛かられ。
「ぐえっ」
と潰れてしまったのだ。
このままでは動けないし、力を使ってみるとしよう。
作っていた数字を力の値へと変換する。
「ぐおおおおおおおお!」
それでも重いのは変わらないが、三人の体が持ち上がり始めた。
「クーちゃん凄いわ。ちゃんと持ち上がるなんて」
アーリアさん、重いのが分かっているなら退いてください。
「我が君、流石だな」
グリアさんも便乗しないでください。
「ウウウ、フタり、オモイぞ」
ミアさんは二人に乗っかられて苦しそうだ。
まあ元凶になったんだし多少我慢してもらおう。
「じゃあここまでで~す」
僕は結界を作っていた鉄棒前に行くと、そこで三人を投げ捨てた。
「ヨメ、ワタシマンゾく!」
「我が君、今度は個人的に……」
「お姉さんはいつでもいいのよ」
「はいはい、そういうのはもういいんで、早く帰りましょうね」
僕は三人を適当にあしらい、結界を作っていた鉄棒を回収して町に戻って行った。
そしてローザリアのギルド。
作った地図とミノタウロスの資料を渡し、スラーさんへ報告している。
「ということでカギは壊れてしまいました。経年劣化なので僕の給料から引くのは無しですからね!」
僕はあらん限りの力を込めて、ちゃんとスラーさんに説明した。
「まあそれは仕方がないでしょう。それに新な出口があるのは幸いでしたね。危うく閉じ込めてしまうところでした。後はその出口にも丈夫な扉を取り付けないとならないでしょうね。簡単に魔物が侵入しても困りますから」
スラーさんは、顎に手を当て、今後の展開を考えているようだ。
やはりそのまま出口として使うのかもしれない。
「まあそうですね」
僕は何も請求されなくてホッとしているのだが。
「それはいいけど、同時に黒鉄虫の駆除をお願いするわ!」
「そうだ! あんな所は人が入るものじゃない! スラー、管理清掃を週に一度でいいからやってくれないか!」
アーリアさんとグリアさんは、顔を近づけながらスラーさんに詰め寄っている。
「……まあ構いませんけど、自分達でやってくださいね。清掃にもお金が掛かりますので」
スラーさんも困っている。
まさか黒鉄虫を退治しろと言われるとは思わなかったようだ。
「私はやらないぞ! でも一回分ぐらいなら金を出そう!」
「お姉さんも出すわよグリアちゃん! その一回で全部駆除して頂戴!」
二人共お金を支払うらしい。
高額であるなら僕が受けたい所だが。
「……支払っていただけるのであれば構いませんよ」
お金を支払うと言われて、スラーさんも折れたらしい。
「ライズ・ライト君、本来ならこのまま別の仕事をお願いしたかったのですが、その入り口を放置する訳には行きません。魔物がまた進入するとも知れませんし、君、その入り口の警備に回ってくれませんか?」
「あ、はい。でも入り口を塞いでももう一度中を確認しないといけませんよね?」
「ふむ、確かに。ではそこに居る二人に……」
スラーさんはアーリアさんとグリアさんに顔を向けるが。
「お姉さん入り口の警備がしたいわ! 調査はクーちゃんに任せるわね!」
「我が君、安心してくれ。絶対に魔物を通したりはしない。だから安心して調査をして来てくれ!」
二人が嫌がったということで、二度目の内部探索は僕とミアさんで行うことになる。
流石に、こんな短時間で、二体目のミノタウロスが入り込むとかはないだろう。
「じゃあ任せたわよクーちゃん!」
「頑張ってくれ我が君、ではまた」
アーリアさんとグリアさんは、馬を使って急ぎあの入り口の場所へ向かって行く。
でも何か忘れているような?
「ミアさん、ではこちらも行くとしましょうか」
僕はまたミアさんと地下通路の入り口に向かおうとするのだけど。
「ワタシ、ウシニク、タベタい!」
ミアさんは牛肉を食べたいらしい。
そういえばそうだった。
「え~っと、それはアーリアさんが……」
「タベタい!」
僕はミアさんのキラキラとする瞳に負け、牛肉をおごる羽目になってしまった。
なけなしの食費に壮絶なダメージを受けた僕は、ギルド内部の扉から地下通路へとおりて行った。
★
地下通路の中。
僕とミアさんは、道の上下左右を見ながら、魔物が居ないかを調べている。
そのまま進み続けるが、一本目と二本目の行き止まりにも何も無いようだ。
今はあの二人が嫌だった虫が徘徊しているだけだろう。
油断はするべきじゃないが、僕は少し気が抜けている。
「じゃあミアさん、このまま真っ直ぐ行って突き当りにまで行ってみましょう」
「ヨメ、ワカッた!」
僕の軍資金で牛肉をお腹いっぱい食べたミアさん。
その元気と引き換えに、僕の未来は失われてしまった。
また草でも取って来なければ。
足を進ませて、カギのかかった格子状の扉の前。
壊れたカギ穴はそのままで、何か入って来た気配はない。
一応外の景色を見てみると、ここは朽ちた馬小屋の中なのか?
少し前にはワラと打ち付けられた板があり、その間から少しだけ光が入り込んでいる。
その先に何があるのかは知らないけれど、カギは回せないから外には出れない。
とりあえずこの詰まったカギでも引き抜いてみようかな?
僕は、数ミリだけカギ穴から跳び出しているカギを、爪の先でグッと掴む。
「うぬぬぬぬぬぬぬぬ!」
しかし、力を入れ過ぎたのか、爪の先がツルっとすべった。
「~~~~おふ」
そして爪同士がバチっとぶつかり何とも言えない痛みが走る。
「ヨメ、ダイジョウブか?」
「……大丈夫です」
心配してくれたミアさんに、僕は強がって答えた。
道具もないし無理そうだ。
ここは諦めるしかないだろう。
「ここは出れないですし、他の場所に行ってみましょうか」
僕はそう言ったんだけど。
「ワタシ、ヤる!」
ミアさんはこのカギに興味をもったようだ。
まあ特に急いでいる訳でもないし、やらせてもいいだろう。
僕が場所をゆずると、ミアさんはカチャカチャとカギを玩具にしている。
爪でカリカリしたり、格子の方をガシガシ叩いたりするが、変化はない。
「ワカッた!」
時間が経ち諦めるかと思ったら、ミアさんは何故か武器を取り出している。
二つの剣を装着すると、鋭い先端で壊れたカギを挟み込む。
ミアさん器用にカギを引き上げ、カギはカギ穴からポロっと落ちた。
「ワタシ、ヤッた!」
ミアさんは、ピョンピョン跳びはねて喜んでいる。
僕は落ちたカギの破片を拾い上げた。
これを元にすれば、新しいカギも出来るはずだ。
「おお、やりましたねミアさん。すごく偉いです! じゃあこのカギは持ち変えるとして、他の場所へ行ってみましょう}
「ギギ!」
ミアさんは、ほめられて嬉しかったのか、またその場でピョンッと跳ねた。
そして移動するのはオークの巣がある道である。
一匹のスライムが這い出て来たぐらいで他にもなにもなく、無事にミノタウロスが倒れていた広場の入り口に到着した。
とうぜんだが、ミノタウロスは少したりとも動いていない。
もう完全に成仏しているらしい。
しかし何もないはずのこの場所で、おかしな光景が見えている。
オークの住処の一つから、モクモクと煙が上がっているのだ。
「まさかオークの生き残りが!?」
僕達はミノタウロスを倒したけど、住居の全てを調べたわけでもない。
どこかに隠れる場所があったのかも?
それとも、狩りにでも出て戻ってきたのかもしれない。
「ブタニク?」
ミアさんはオークを豚と認識しているらしい。
「豚肉じゃなくてオークですよ。どこかに生き残りが居たのかな? とにかく、まずは戦闘準備からです。僕は結界を作っておきますから、ミアさんはここで待機……は止めて僕について来てください」
僕はミアさんとの行動を決めた。
ミアさんにはまだまだ臨機応変さが欠けるからだ。
「ヨメ、ワカッタ!」
ミアさんが返事をすると、僕達はこっそりと準備を始めた。
敵に気付かれないように僕が戦える結界を作っていく。
「よし完成」
ということで、僕は鉄棒の最後の一本を地面に突き刺し、結界を完成させた。
「ヨメ、ヤルか?」
ミアさんのやる気は充分だ。
しかし。
「いえ、少し待ってください」
僕はそれを制止した。
オークの一体なら別に問題はないけど、大勢いた場合は厄介だ。
僕が狙われると少し危うい。
まずは敵戦力の確認かな?
「じゃあちょっと行って来ますから、あそこで待っててください」
僕は出口へ向かうの道の前に、ミアさんに待機をお願いした。
「ヨメ、ガンバれ!」
ミアさんに応援され。
「あ、はい」
僕は一人で煙が上がっている住居へ向かって行く。
まさか罠じゃないよなとか、ドキドキしながら住居の中をのぞいてみた。
「ええ!?」
オークが居ると思った住居の中には、僕の知っている人物が眠っていたのだ。
それは数日前にファラさんに護衛されて行ったはずの、フェイさんだった。
一体なぜここに?
というかどうやって逃げて来たんだろう。
まあでも、脱走者を見つけてしまったからには捕まえなければならない。
リュックにはロープもあるし、今の内に縛ってしまおう。
直ぐに縛れるようにロープで輪を作り、フェイさんをサッと縛りあげるのだけど。
「き、貴様、一体何をしている!? なっ、お前はああああああ、クー・ライズ・ライトオオオオオオオオ!」
その途中で目を覚まして、気付かれてしまったようだ。
「大人しくしてください。直ぐ終わりますから」
だからと言って、もう上半身はガッチリ縛ってある。
あとは下半身を動けなくするだけだ。
僕はバタバタと暴れる足を押さえつけようと、太腿の辺りに手を伸ばした。
「ま、まさか、ファラだけでなく私までも毒牙にかけようというのか!? させん、させんぞおおおおおおおおお!」
フェイさんに物凄い勘違いをされている。
「何言ってるんですか、全然違いますからね!」
僕はキッパリ否定するが。
「私のケツは、私のものだあああああああ!」
フェイさんは足をバタつかせ。
「あ痛ッ!」
縛りあげようとする僕の顎に、つま先が直撃した。
僕は後ろに倒れ、その間にフェイさんが壁を使って立ち上がっている。
「……あの、もう魔法も使えないんですよね? その状態じゃ勝ち目なんてないですし、抵抗しない方がいいですよ」
僕も頭を振って立ち上がり、一応説得してみるのだが。
「抵抗せずに、ケツの穴が護れるかああああああああ!」
フェイさんは、どうにも話を聞いてくれない。
「だから違いますよ!? そんな気は未来永劫ありませんからね!」
僕は何度も否定する。
元から話を聞いてくれない人だったけど、やっぱり全然聞いてくれない人だ。
それに、腕が使えなくなっているというのに、その表情には余裕がある。
電撃以外に何かあるのだろうか?
「例え縛られようとも、貴様一人ぐらいどうとでもなるわ! 倒れし魔物よ、我が命に従うがいい! 立ち上がれええええええ、ミノタウロスゾンビイイイイイ!」
フェイさんの呼びかけに、ミノタウロスが倒れていた地点からドオオオンという音が聞こえた。
「うええええ!?」
僕は音に振り向くと、そこには死んでいたはずのミノタウロスが起き上がっていた。
目はこちらを向いてもいないし、息をしている様にも見えない。
やはりゾンビなのだろう。
これは屋敷で見た、魔物を操っていた力か?
いやいや落ち着いている場合じゃない。
助けを呼ばなければ!
「ぎゃああああああ、ミアさん来てええええ、来てえええええええ!」
僕はミアさんに助けを求めると、こちらを見ながらずっと待ってたミアさんが動き出した。
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右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
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