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善意天逆 果て無く黒
魔王様、調教される(三章終了)
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★あらすじ。
僕達は町に帰ってスラーさんに報告をしていた。
手早く報告を終えると、ツキコさんがスラーさんに頼みごとをする。
どうやらフデを彼氏にすることを決めたらしい。
スラーさんもそれを許すが、フデは乗り気では無いようだ。
しかし、自由意志などないとキッパリ否定され、ツキコさんに連れて行かれた。
僕はコーディ君を送って家に帰ったのだけど、布団の中にモゴモゴ動く物体があった。
★
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)
★
僕は即座に布団から跳び出し、フデから距離をとった。
「ま、まさかもう僕の体をもてあそんで!?」
僕は自分の体を見回し、特に問題がないことに気が付いた。
「違うわ馬鹿野郎、俺はツキコから隠れていただけだ! 俺の体が斬れないからって、遠慮なくカタナで刺して来るんだぞ!? 斬れなくたって痛いもんは痛いんじゃあ!」
まあ言われなくたって、フデが逃げていた理由は知っている。
「だからといって、何で僕の布団の中に!? どうやって僕の家を知ったんですか!?」
僕は疑問を聞いてみるのだが。
「俺のサーチならライバルの居る場所ぐらい簡単に判明するぞ! 布団に隠れていたのはお前の恋人に見せかけるためだ!」
フデは気持ち悪いことを言っている。
「いや、そんな恋人居ませんから。もし今度やるようだったら、金を払ってでも抹殺しますからね。本当に……」
僕は更に距離をとって、近くに置いてあった鉄棒を握りしめた。
「分かった、二度としない。……だから今日だけ匿ってください!」
フデが懇願してくるので、僕はおもむろに窓を開いた。
「ツキコさああああああああああん、ここにフデが居ますよおおおおおおおおおおお! 早く来てえええええええええ!」
そして、まだ近くに居るかもしれないツキコさんに呼びかけた。
「やめろおおおおおおおおおお!」
すると、一瞬のうちに黒い影が家の中に飛び込んで来る。
「……フフ、見つけた」
これは間違いなくツキコさんだ。
本当に来るとは思わなかったけど、まあ手間が省けただろう。
「嫌あああああああ、ツキコが来たああああああああ! 助けてええええ、助けてえええええ!」
「……大丈夫、優しくしてあげるから……」
嫌がるフデに、ツキコさんはカタナを抜いている。
しかし、僕の家の中で変な運動をされたら困ってしまう。
ここは外に誘導してやらないと。
「ツキコさん、ここは僕の家なので外でお願いします」
「チィッ、分かったわよ。さあ早く立ってダーリン、外に行きましょう。じっくり突き入れてあげるから」
「し、尻はやめてええええええええ!」
フデの方が強いのに、反撃はしないようだ。
やっぱり相手が女性だからだろうか?
それとも意外と彼女が欲しかったり?
「じゃあお幸せにー」
っと、僕は手を振って二人を見送り、いつも通りに仕事に出掛けて行く。
だが、いつまで経ってもフデとツキコさんはギルドに現われることはなかった。
スラーさんが何も言わない所を見ると、一応許可は取ってあるのだろう。
そのまま何事もなく流れる日々は三日と続き、その日ついに二人の姿が現れた。
「ああ、ツキコは何て可愛いんだ。俺はツキコの虜だ。もう他のことなんてどうでもいい!」
「……フフ、嬉しいわダーリン」
でも、あれだけ嫌がっていたフデは、ツキコさんと仲睦まじく腕を組んでいる。
あまりにも変わり過ぎているし、特殊な調教でもされたのだろうか?
僕には計り知れないことだし、気にしないでおこう。
まあそれ以外は普通の日常になると思っていた。
「……じゃあ今日の夜また会いましょう」
「もちろんだよツキコ、部屋で待っていてくれ!」
二人は別れて別々の仕事をするようだ。
ツキコさんがデッドロックさんと出掛けた瞬間、フデは僕の下へとやって来た。
僕の腕を両手で掴み、周りを見渡してから。
「助けてくれえええええええええええ、ライバルよおおおおおおお!」
と泣きついて来た。
まだ完全な洗脳には至っていないようだ。
「クー、早くしなさいよ」
「ヨメ、ハヤくシろ!」
外回りに行こうと、二人が呼んでいる。
「あ、は~い、今行きまーす」
僕は気にせず仲間達と出掛けようとするのだけど、フデは僕の腕を離さない。
「手を離してくれませんか?」
「助けてくれたら離してやろう」
スラーさんに頼まないのは無駄だと分かっているからか?
「「…………」」
僕とフデの妙な沈黙が続く。
しかし。
「あんた邪魔よ! 仕事ができないでしょうが!」
「ジャマまー!」
「ぐはあああああああああ!」
ファラさんからギャラクシー・クラッシャー・パンチ(謎)を食らい、フデは天井にぶつかって落ちて来た。
僕はこの隙に逃げようと移動したのだけど、黒鉄虫のように這いずり回り、僕の足首を掴んでしまう。
「ライバルよ頼む! 俺にはお前しか頼む奴が居ないんだ!」
泣きながら必死で頼んで来るフデの本気度が垣間見える。
「あんたちょっとしつこいのよ」
そんな状況のフデを見て、ファラさんは止めを刺そうと前に出るが、なんか可哀想になってきた。
だから僕は。
「ファラさん待ってください。フデさんの話だけは聞いてあげたいので、スラーさんに同行の許可を貰って来ます」
「おおおおおお、ありがとうライバルよおおおおお!」
僕の中の魔王という概念が揺らぎそうである。
もちろんフデだけが特別なんだろうけど。
スラーさんからは、『まあいいんじゃないですか』と軽く言われてしまう。
もしかしたら、フデがどうなろうと興味がないのかもしれない。
という訳で一緒に出発した僕達は、フデの話を聞きながら移動している。
「……ライバルよ、という訳なんだ! 俺とツキコを別れさせないで暴力だけをやめさせてくれ!」
で、聞き終えた結果、暴力は嫌だけどツキコさんには恋人になって欲しいということらしい。
「なんというか、思った以上にどうでもいいですね……いいじゃないですか、暴力さえ我慢すれば全部上手くいきますよ」
「無理無理無理無理無理! お前は知らないから言えるんだ。反り返ったカタナで何度もケツを刺されるんだぞ! おかしなものに目覚めそうになるじゃないか! 気持ちよくなったらどうしてくれるんだ!?」
僕はそんなものを知りたいとは思わない。
やっぱり丁重に断るのが吉だと僕は思ったのだけど。
「いいわ、手伝ってあげる。恋愛相談なら私に任せなさい」
「マカセろー!」
どうやら話を聞いていたファラさんが、やる気を出してしまったようだ。
ファラさんが恋愛事に詳しいとは思えないのだけど、嫌な予感しかしてこない。
否定したら怖いからやめておこう。
★
とりあえず仕事をチャチャッと終わらせた僕達は、喫茶店に集まって作戦会議をしている。
「そんなの簡単よ、ツキコさんに尻以外の魅力を教えれば良いのよ」
まあ確かにファラさんの言わんとしていることは分かる。
「ヨよー!」
そしてミアさんはマネをしているだけだろう。
今の所フデはお気に入りの道具ぐらいにしか思われていないし、ちゃんとした男として見られればチャンスはあるかもしれない。
まあ見られればの話だけど。
「なるほど、俺の格好良さをみせればいいのだな? 能力を封じられているとはいえ、戦闘は得意分野だ。分かった。ツキコに俺の格好良さを見せつけてやろう!」
フデは何かを思いついたようだ。
でもツキコさんは強いから、並の相手が出てきたとしても自分で倒すだろう。
それに例え強敵が出て来たとしても……。
「いや無理ですよそれ。戦闘中に仲間の格好良さなんて見ませんし、ツキコさんは敵にしか目がいきませんから」
僕は無駄な作戦だと指摘した。
「じゃあどうすればいいのだああああ!? 早くしないとツキコが帰って来るじゃないかあああああ!」
フデは頭を抱えて絶叫している。
「言っとくけど、格好の良さなんて見せても無駄よ。前の相手がデッドロックさんだったし。それ以外の所で戦うしかないわ」
「なるほど、確かに。フデさんが相手になるはずがないですね」
僕はファラさんの言うことに納得した。
「待てええええい! デッドロックっていうのはツキコの相棒のことだろう? だったら俺の方がカッコいいじゃないか!」
フデは反論してくるのだが。
「「ないない」」
「ナイなー!」
僕達三人は軽く否定した。
どう頑張ったとしても、スラっと背が高くてお洒落なデッドロックさんには敵わないのだ。
「ああああ、俺の自信が崩れ落ちるうううううううう!」
フデはガックリと崩れ落ちたが、ファラさんから助けの手が伸びる。
「別に気にする必要はないわ。顔がダメなら別の攻め方をしてみればいいだけよ。例えば……そうね……料理とかはどうかしら? 胃袋を倒せば勝てるって聞くし」
「胃袋は倒すんじゃなくて掴むじゃ……?」
僕はちょっとしたことを指摘したのだけど。
「どうでも良いからやりなさい!」
「あ、はい……」
ファラさんに睨み付けられ、フデは素直に返事をした。
ツキコさんと同じ臭いを感じたのかもしれない。
僕達はツキコさんの部屋にまでお邪魔して、フデが料理を作り始めている。
手際よく作っているように見えるが、何か香ばしいを越えて焦げ臭い香りがして来る。
鍋から黒い煙が出てきているけど、これは気のせいじゃないだろう。
「ちょっと、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ、もう完成している! さあ、皆の分も作ってあるから存分に食らえ!」
完成した物体は……たぶんシチュウかなにかだろう。
しかしこれは味見をするまでもない。
肉や野菜は炭化して、水分が全く無くなっている。
スプーンを強引にねじ入れると、皿がゴトッと持ち上がった。
「ゴリゴリー、マズイぞ!」
ミアさんはスプーンで採掘するように掘り返し、じゃりじゃり固まった物体を口に入れている。
それでも飲み込むのは流石だと思う。
お腹が空いていたのだろうか?
「よく食べられますねミアさん」
「マズイはクエる! シビシビはクエナい!」
シビシビ?
痺れる物がダメってことだろうか?
それは良いとして、野暮らしをしていたフデに料理は難しいようだ。
今も弁当を貰っているから、料理をする機会もないだろうし。
「……無理ね、諦めましょう。じゃあ、頑張って」
ファラさんはそう言って僕の肩に手を置いた。
「ええ!?」
何故か僕が作る羽目になったらしい。
一人暮らしの長い僕は料理ぐらい作れるのだけど。
「……あの、それ意味無いんじゃ?」
僕は疑問を口に出した。
「別に何時も作る訳じゃないでしょう? この男には次作る時までに料理を覚えさせればいいのよ」
「フデさんもそれでいいんですか?」
ファラさんの言う言葉に僕はフデに聞いてみたのだけど。
「俺はツキコが優しく成ってくれるならなんでもいい!」
「あ~、そうですか」
何にも気にしていないようだ。
仕方ないから僕は料理を作り始め、真面な料理を完成させた。
といっても肉と野菜をいためたものや、色どりを変えたサラダぐらいだ。
作り置きのパンも添えて二人分を完成した。
自慢の、というほどでもないけど、フデの物と比べればそこそこ食べられるものだろう。
「ふん、まあまあね。私はもう少し味が濃い方が好みだわ」
ファラさんはフォークで肉を突き刺し、口に運んでいく。
「ヨメ、ウマイぞ!」
続きミアさんが二口三口と食べ始め。
「たしかに、これは美味いな。ハシが止まらん!」
フデも味見とばかりに口に入れるが、全員の手が止まらない。
「って、全部食べようとしないでください! 折角作ったのにもう無いじゃないですか!」
皿には小指の先ぐらいの物体しか残されていない。
これはもう一回作り直さなければ。
「何してるの、ツキコさんが帰って来るじゃない。早く作り直しなさい」
「ヨメ、ワタシモットクう!」
「安心しろ、俺が残さず食べてやる!」
三人共何しに来たのか忘れてるのだろうか?
「ツキコさんの為に作るんでしょう。もう食べちゃダメですからね!」
僕は三人を説得しようと言葉を投げかけたのだけど。
「「「えー!」」」
ファラさんとミアさんは兎も角、フデまでも不服らしい。
「……じゃあ分かりました。今回は食事を楽しんで解散しましょう。フデさん、末永くお幸せに」
本人がどうでもいいというのなら僕が頑張る必要はない。
言い合いを諦めて適当に料理を作ることにした。
「ハッ!? 久しぶりの栄養に理性が吹き飛んでいた。そうだ、ツキコの為に作っているんだった」
フデもやっと思い出したらしい。
「材料も少ないですし、フデさんは二人の防衛をお願いします。食べられたらお終いですからね」
「ああ、任せておけ。元魔王の力を見せてやろう!」
フデはファラさんとミアさんに向き直り、ナイフとフォークを構える。
「私はもう満足したからいいんだけど。やると言うなら叩きのめしてやるわ」
「ワタシ、ハラヘリ!」
二人共同じ様にナイフとフォークを構え、作られている料理を待ちわびている。
そして。
「ふう、出来ました」
僕がテーブルに料理を置くと。
「ニャアアアア!」
「その肉は私が頂くわ!」
「させるかあああああああ!」
三人の争いが始まり、食器での打ち合いが続く。
しかし決着がつく前に。
「……ただいま……? 私の家で何してるの?」
部屋の主人が帰宅したのだった。
★
「何してるのって聞いてるんだけど?」
ツキコさんは、勝手に部屋に入られて怒っているようだ。
変な答えを言ったら襲われそうである。
「ツキコさんに手料理を食べさせたいから味見をしてくれって言われまして、充分美味しかったから今本番の料理を作り終えたんです!」
僕は適当な作り話でお茶を濁した。
「そ、そうだ! これは俺が作った料理だぞ! 存分に召し上がってください!」
フデはツキコさんに恐怖しながら僕の料理を勧めている。
「へ~……毒とか入って無いわよね?」
だがツキコさんに疑われてしまったようだ。
「「ないないないないないないない!」」
「ナイぞー!」
僕とフデは首をふり、ついでにミアさんも同じようにしている。
「ツキコさん今晩は、味見したけどお料理は美味しかったわよ」
ファラさんもフォローを入れてくれている。
「……ファラが言うなら安心かしら? でも今から甘い時間が始まるから、帰って貰えると嬉しいわ」
ツキコさんは顔を赤らめてカタナをチャキっとさせている。
あまり長居すると巻き込まれてしまいそうだ。
「分かりました、僕帰ります!」
「おいいいいいいいい!?」
僕は即座に決めたのだけど、フデは引き止めようと僕の腕を掴んだ。
「ちょっと、離してください!」
フデを引き離そうとしてみるけど、力の差は歴然だった。
全く全然動かない。
「そうね、二人の邪魔をしたら悪いし、帰らせてもらうわ。ミアも帰りましょう」
僕が困っているのにもかかわらず、ファラさんも帰宅することを決めたようだ。
ミアさんを連れて帰ろうとしている。
「ワタシ、オナかヘリヘリ!」
しかし置いてある食事に、ミアさんのお腹が鳴った。
「あんた今食べたでしょうが。食べるなら家で食べなさい! ほら、行くわよ」
ファラさんはミアさんに手を引かれ、外に出て行ってしまう。
僕の腕はフデに掴まれたままで、置き去りにされたようだ。
「あの、帰れませんから離してくれませんか?」
もう一度腕を強引に引きはがそうとしても、フデは全然離してくれない。
「嫌だ! 俺はお前と一緒に居たいんだ!」
しかもツキコさんの前で危うい発言をしてしまう。
「……へぇ、まさかそんな関係だったなんて、全然気付かなかったわ……」
シュラッとカタナが抜かれる音がした。
「フデさん、誤解を生むような発言はやめてください! ツキコさんが怒ってるじゃないですか!?」
僕は必死に言い訳をする。
「ち、違うんだツキコ、俺とこいつとは友人なんだ! そんなあやしい関係じゃない!」
フデも言い訳をしているが。
「……もういいわ。ダーリンには二度とそんな気が起きないように教育してあげる。そしてクー・ライズ・ライトお前には地獄を見せる!」
「「えええええええ!?」」
「……二人共、覚悟しなさい!」
「「いやあああああああああああ!」」
僕とフデはツキコさんに教育という暴力を受け、思う存分に叩きのめされた。
何が起きたのかは言いたくないが、解放されたのは真夜中を過ぎた頃である。
僕は落ちていた木の枝を杖にしながら、家路に着く前にパッタリと力尽きた。
やっぱり魔王なんかと関わっても良い事なんてない。
「グフッ……」
もう二度と相談なんて受けないと誓い、闇夜の中で意識を失った。
「クー、何でこんな所で寝てるのよ。もう仕事の時間よ、起きなさい」
「ヨメ、オキロ!」
ファラさんとミアさんの声が聞こえる。
僕が目を開けると、太陽を背にした二人の顔が見えていた。
まだ朝ご飯も食べていないというのに、仕事の時間が来てしまったようだ。
とりあえず近くにあった野草をむしり、口の中に放り込む。
「もはみょうごじゃいまふ、じゃあいきまひょうか」
僕は口の中の物を咀嚼しながらあいさつした。
「せめて飲み込んでから喋りなさいよ。はぁ、お握り作って来たんだけど、食べるわよねぇ?」
ファラさんは、大きな葉っぱで包んでいたお握りを取り出した。
「たべま~す!」
僕は立ち上がって手を挙げる。
「タベる―!」
ミアさんも手を挙げて喜んでいる。
「ミアはさっき食べたでしょ? 我慢しなさいよ」
「タベる―!」
ミアさんはファラさんからお握りを奪い取ろうとしている。
僕も動き出し、お握りの争奪戦が始まった。
しかし。
「「ああああああ!?」」
包んであった葉っぱがバリっと破れ、入っていた二つのお握りは、地面に転がり砂まみれになってしまう。
だからといって諦める訳にはいかない。
僕とミアさんはお握りの一つを掴み上げ、何事もなかったように口の中へ運んでいった。
「そんな物まで食うんじゃないわよ。私が恥ずかしいじゃないの」
ファラさんは冷たい目をしている。
「ふぁいひょうふへふ、んはいへふよ!」
(大丈夫です、うまいですよ!)
僕は気にせず味の感想を言った。
「ンマイなー!」
野生児のミアさんもおなじようなものである。
こうして僕の何時も通りの日常が始まった。
魔王なんてどうでもいいし、ご飯さえ食べられれば満足なのだ。
★
★職業3 魔戦士 ライトニングガード バスターメイジ
★
魔戦士とは僕の父さんが選んだ戦闘職業である。
一応前衛職ということになっているが、あえて言うなら中間に位置するだろう。
剣しか扱えないが、軽い魔法なら攻撃魔法から回復魔法、状態変化まで扱えてしまう。
近づけば剣を、離れれば魔法を、怪我すれば回復して仲間達を支援する。
器用貧乏と言う人もいるが、バランスがいいため、成長次第ではどんな場面でも活躍できる職業だ。
能力値は全部が平均的に上がり、レベルが上がれば剣に魔法を乗せて振るう魔剣というスキルを覚え、前衛に負けないぐらいの攻撃力を得る。
更にもう一つ、剣魔一対というスキルは、全魔力を敵の体内に叩き込むという大技だ。
ただし、放った後には剣も持てないほどに衰弱し、戦線を離脱するしかなくなる自爆技でもある。
使うには注意が必要だ。
後衛の能力としては、常時発動するダブルマジックというスキルを覚える。
右手と左手で違う魔法を放つことが出来るようになる便利なものだ。
単純に攻撃力が二倍だけど、しかし元が弱い魔法しかないので、他の後衛と比べると見劣りする。
片手で回復しつつ攻撃するという器用なこともやれるようになるから、便利といえばすごく便利だ。
まあその分魔力値は減るから、無駄なことをやり続ければすぐに魔法は使えなくなるだろう。
この職業が作られた理由といえば、どんなパーティ編成にも組み合わせられるようにという理由だ。
傷ついた前衛の代わりに前に、逆に後衛が足りなければ後衛にと、立ち位置を変えて活躍できる。
何でも出来るために一人で活躍する者も多く、調子に乗って強い魔物に返り討ちにされて、仲間の大事さを知る者も多い。
真なる実力を引き出す為には、パーティのバランスを見極め、自分の我を殺すことが必要だ。
目立ちたいと思うなら、この職業を選ばない方がいいだろう。
①
アーリアさんが就いてるライトニングガードは、前衛に位置する防御専門の職業だ。
その防具は、動きやすい胸当てと籠手、それと攻撃を受け止めるグローブを手にはめている。
防御職は重装備という常識を打ち破り、スピードのある動きを要求される職業だ。
攻撃を受け止め相手の武器を奪ったならば、相手に勝ち目はなくなるだろう。
だが相手の動きを予測し、速度のある動きで攻撃を受け止める為には相当の訓練が必要だ。
それに多数を相手にするのは難しく、精々二体を相手にするので手一杯である。
装備が薄い部分を攻撃されれば重傷は必死なので注意してほしい。
能力値として、防御と力と続き、力と知能も結構高い。
代わりに魔力と魔力値は一切なく、体力値は普通だ。
全く関係ないが、この職業を選ぶ人は自分の思う通りに人を動かしたいと思う人が多い気がする。
職業病なのかもしれないけど、アーリアさんとかは、それが色濃くでているようだ。
この職業が作られた理由は、重い鎧で駆けつけるまでに、仲間がやられてしまうという他の防御職の声をギルドが聴いたからだ。
助けを求められれば即座に駆けつけられるように、速度を重視して作られた職業なのだ。
ただし、相手の動きを見極められなければ、ただ死にに行くようなものである。
真価を発揮するには、並々ならぬセンスと、相手の動きを読む頭脳が必要だ。
②
ディザリアさんが就いたバスターメイジは、後衛に位置する職業である。
広範囲の攻撃魔法は圧倒的で、様々な属性を扱う。
その威力も、攻撃魔法においては頂点に位置するものだ。
もちろん使う魔力値は大きく減るが、その為の回復能力も備えている。
魔力値が空になっても、たった一時間程度で全快になってしまうほどなのだ。
広域魔法を使い、多数を相手に活躍する姿は、見る者にとっても使う者にとっても快感的だといえるだろう。
とある昔、どこかの魔王が国を攻めた時に、広範囲魔法が圧倒的に活躍したとの記述もあったりする。
しかし広範囲魔法しか持っていない為、仲間や関係ない者を巻き込むこともしばしばで、相当な迷惑をかけるはずだ。
それでも、それでもである。
どれ程町にダメージを与えようと、仲間達を吹き飛ばそうと、非難の声が上がっても廃止されたりはしない。
なぜなら、国もこの職業の有用性を認めてしまっているからだ。
他にも熱狂的な信者に支えられ、廃止したくてもできないのである。
ああ、何故こんな職業を作ってしまったのか、その魔王とギルドの罪を問いたい。
能力値としては、魔力と魔力値以外は何一つ伸びない。
一切なんにも一ミリたりとも成長しない。
その代わり、魔力値の自然回復能力が成長し続け、攻撃の鬼と化す。
弱点は、普通のお姉さん程度にしかない力と速度と打たれ弱さだろう。
ある程度レベルが高い魔物だと、全てが致命傷になりえる所だ。
他にも高飛車なとことか、後先考えない所とか、仲間を大事にしてくれとか思うけど、それはディザリアさん個人だけだと思いたい。
この職業が作られた理由は、遥か昔から存在した破壊教、破壊魔とでも言われる魔法ぶっぱする人物を、もうちょっと使えるように出来ないかとギルドが考えだしたものである。
でもやっちゃった結果、更に酷い状態になったのがこの職業なのだ。
結果を出してしまったから潰すことも出来ないし、もうお手上げ状態になってしまっている。
この職業を使いこなすには、周囲の迷惑を考えない胆力と、仲間の怪我とか別に構わないというはた迷惑な考えを持つ人物でなければ無理だろう。
つまり、普通の良識ある人間では使いこなせないのである。
僕達は町に帰ってスラーさんに報告をしていた。
手早く報告を終えると、ツキコさんがスラーさんに頼みごとをする。
どうやらフデを彼氏にすることを決めたらしい。
スラーさんもそれを許すが、フデは乗り気では無いようだ。
しかし、自由意志などないとキッパリ否定され、ツキコさんに連れて行かれた。
僕はコーディ君を送って家に帰ったのだけど、布団の中にモゴモゴ動く物体があった。
★
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)
★
僕は即座に布団から跳び出し、フデから距離をとった。
「ま、まさかもう僕の体をもてあそんで!?」
僕は自分の体を見回し、特に問題がないことに気が付いた。
「違うわ馬鹿野郎、俺はツキコから隠れていただけだ! 俺の体が斬れないからって、遠慮なくカタナで刺して来るんだぞ!? 斬れなくたって痛いもんは痛いんじゃあ!」
まあ言われなくたって、フデが逃げていた理由は知っている。
「だからといって、何で僕の布団の中に!? どうやって僕の家を知ったんですか!?」
僕は疑問を聞いてみるのだが。
「俺のサーチならライバルの居る場所ぐらい簡単に判明するぞ! 布団に隠れていたのはお前の恋人に見せかけるためだ!」
フデは気持ち悪いことを言っている。
「いや、そんな恋人居ませんから。もし今度やるようだったら、金を払ってでも抹殺しますからね。本当に……」
僕は更に距離をとって、近くに置いてあった鉄棒を握りしめた。
「分かった、二度としない。……だから今日だけ匿ってください!」
フデが懇願してくるので、僕はおもむろに窓を開いた。
「ツキコさああああああああああん、ここにフデが居ますよおおおおおおおおおおお! 早く来てえええええええええ!」
そして、まだ近くに居るかもしれないツキコさんに呼びかけた。
「やめろおおおおおおおおおお!」
すると、一瞬のうちに黒い影が家の中に飛び込んで来る。
「……フフ、見つけた」
これは間違いなくツキコさんだ。
本当に来るとは思わなかったけど、まあ手間が省けただろう。
「嫌あああああああ、ツキコが来たああああああああ! 助けてええええ、助けてえええええ!」
「……大丈夫、優しくしてあげるから……」
嫌がるフデに、ツキコさんはカタナを抜いている。
しかし、僕の家の中で変な運動をされたら困ってしまう。
ここは外に誘導してやらないと。
「ツキコさん、ここは僕の家なので外でお願いします」
「チィッ、分かったわよ。さあ早く立ってダーリン、外に行きましょう。じっくり突き入れてあげるから」
「し、尻はやめてええええええええ!」
フデの方が強いのに、反撃はしないようだ。
やっぱり相手が女性だからだろうか?
それとも意外と彼女が欲しかったり?
「じゃあお幸せにー」
っと、僕は手を振って二人を見送り、いつも通りに仕事に出掛けて行く。
だが、いつまで経ってもフデとツキコさんはギルドに現われることはなかった。
スラーさんが何も言わない所を見ると、一応許可は取ってあるのだろう。
そのまま何事もなく流れる日々は三日と続き、その日ついに二人の姿が現れた。
「ああ、ツキコは何て可愛いんだ。俺はツキコの虜だ。もう他のことなんてどうでもいい!」
「……フフ、嬉しいわダーリン」
でも、あれだけ嫌がっていたフデは、ツキコさんと仲睦まじく腕を組んでいる。
あまりにも変わり過ぎているし、特殊な調教でもされたのだろうか?
僕には計り知れないことだし、気にしないでおこう。
まあそれ以外は普通の日常になると思っていた。
「……じゃあ今日の夜また会いましょう」
「もちろんだよツキコ、部屋で待っていてくれ!」
二人は別れて別々の仕事をするようだ。
ツキコさんがデッドロックさんと出掛けた瞬間、フデは僕の下へとやって来た。
僕の腕を両手で掴み、周りを見渡してから。
「助けてくれえええええええええええ、ライバルよおおおおおおお!」
と泣きついて来た。
まだ完全な洗脳には至っていないようだ。
「クー、早くしなさいよ」
「ヨメ、ハヤくシろ!」
外回りに行こうと、二人が呼んでいる。
「あ、は~い、今行きまーす」
僕は気にせず仲間達と出掛けようとするのだけど、フデは僕の腕を離さない。
「手を離してくれませんか?」
「助けてくれたら離してやろう」
スラーさんに頼まないのは無駄だと分かっているからか?
「「…………」」
僕とフデの妙な沈黙が続く。
しかし。
「あんた邪魔よ! 仕事ができないでしょうが!」
「ジャマまー!」
「ぐはあああああああああ!」
ファラさんからギャラクシー・クラッシャー・パンチ(謎)を食らい、フデは天井にぶつかって落ちて来た。
僕はこの隙に逃げようと移動したのだけど、黒鉄虫のように這いずり回り、僕の足首を掴んでしまう。
「ライバルよ頼む! 俺にはお前しか頼む奴が居ないんだ!」
泣きながら必死で頼んで来るフデの本気度が垣間見える。
「あんたちょっとしつこいのよ」
そんな状況のフデを見て、ファラさんは止めを刺そうと前に出るが、なんか可哀想になってきた。
だから僕は。
「ファラさん待ってください。フデさんの話だけは聞いてあげたいので、スラーさんに同行の許可を貰って来ます」
「おおおおおお、ありがとうライバルよおおおおお!」
僕の中の魔王という概念が揺らぎそうである。
もちろんフデだけが特別なんだろうけど。
スラーさんからは、『まあいいんじゃないですか』と軽く言われてしまう。
もしかしたら、フデがどうなろうと興味がないのかもしれない。
という訳で一緒に出発した僕達は、フデの話を聞きながら移動している。
「……ライバルよ、という訳なんだ! 俺とツキコを別れさせないで暴力だけをやめさせてくれ!」
で、聞き終えた結果、暴力は嫌だけどツキコさんには恋人になって欲しいということらしい。
「なんというか、思った以上にどうでもいいですね……いいじゃないですか、暴力さえ我慢すれば全部上手くいきますよ」
「無理無理無理無理無理! お前は知らないから言えるんだ。反り返ったカタナで何度もケツを刺されるんだぞ! おかしなものに目覚めそうになるじゃないか! 気持ちよくなったらどうしてくれるんだ!?」
僕はそんなものを知りたいとは思わない。
やっぱり丁重に断るのが吉だと僕は思ったのだけど。
「いいわ、手伝ってあげる。恋愛相談なら私に任せなさい」
「マカセろー!」
どうやら話を聞いていたファラさんが、やる気を出してしまったようだ。
ファラさんが恋愛事に詳しいとは思えないのだけど、嫌な予感しかしてこない。
否定したら怖いからやめておこう。
★
とりあえず仕事をチャチャッと終わらせた僕達は、喫茶店に集まって作戦会議をしている。
「そんなの簡単よ、ツキコさんに尻以外の魅力を教えれば良いのよ」
まあ確かにファラさんの言わんとしていることは分かる。
「ヨよー!」
そしてミアさんはマネをしているだけだろう。
今の所フデはお気に入りの道具ぐらいにしか思われていないし、ちゃんとした男として見られればチャンスはあるかもしれない。
まあ見られればの話だけど。
「なるほど、俺の格好良さをみせればいいのだな? 能力を封じられているとはいえ、戦闘は得意分野だ。分かった。ツキコに俺の格好良さを見せつけてやろう!」
フデは何かを思いついたようだ。
でもツキコさんは強いから、並の相手が出てきたとしても自分で倒すだろう。
それに例え強敵が出て来たとしても……。
「いや無理ですよそれ。戦闘中に仲間の格好良さなんて見ませんし、ツキコさんは敵にしか目がいきませんから」
僕は無駄な作戦だと指摘した。
「じゃあどうすればいいのだああああ!? 早くしないとツキコが帰って来るじゃないかあああああ!」
フデは頭を抱えて絶叫している。
「言っとくけど、格好の良さなんて見せても無駄よ。前の相手がデッドロックさんだったし。それ以外の所で戦うしかないわ」
「なるほど、確かに。フデさんが相手になるはずがないですね」
僕はファラさんの言うことに納得した。
「待てええええい! デッドロックっていうのはツキコの相棒のことだろう? だったら俺の方がカッコいいじゃないか!」
フデは反論してくるのだが。
「「ないない」」
「ナイなー!」
僕達三人は軽く否定した。
どう頑張ったとしても、スラっと背が高くてお洒落なデッドロックさんには敵わないのだ。
「ああああ、俺の自信が崩れ落ちるうううううううう!」
フデはガックリと崩れ落ちたが、ファラさんから助けの手が伸びる。
「別に気にする必要はないわ。顔がダメなら別の攻め方をしてみればいいだけよ。例えば……そうね……料理とかはどうかしら? 胃袋を倒せば勝てるって聞くし」
「胃袋は倒すんじゃなくて掴むじゃ……?」
僕はちょっとしたことを指摘したのだけど。
「どうでも良いからやりなさい!」
「あ、はい……」
ファラさんに睨み付けられ、フデは素直に返事をした。
ツキコさんと同じ臭いを感じたのかもしれない。
僕達はツキコさんの部屋にまでお邪魔して、フデが料理を作り始めている。
手際よく作っているように見えるが、何か香ばしいを越えて焦げ臭い香りがして来る。
鍋から黒い煙が出てきているけど、これは気のせいじゃないだろう。
「ちょっと、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ、もう完成している! さあ、皆の分も作ってあるから存分に食らえ!」
完成した物体は……たぶんシチュウかなにかだろう。
しかしこれは味見をするまでもない。
肉や野菜は炭化して、水分が全く無くなっている。
スプーンを強引にねじ入れると、皿がゴトッと持ち上がった。
「ゴリゴリー、マズイぞ!」
ミアさんはスプーンで採掘するように掘り返し、じゃりじゃり固まった物体を口に入れている。
それでも飲み込むのは流石だと思う。
お腹が空いていたのだろうか?
「よく食べられますねミアさん」
「マズイはクエる! シビシビはクエナい!」
シビシビ?
痺れる物がダメってことだろうか?
それは良いとして、野暮らしをしていたフデに料理は難しいようだ。
今も弁当を貰っているから、料理をする機会もないだろうし。
「……無理ね、諦めましょう。じゃあ、頑張って」
ファラさんはそう言って僕の肩に手を置いた。
「ええ!?」
何故か僕が作る羽目になったらしい。
一人暮らしの長い僕は料理ぐらい作れるのだけど。
「……あの、それ意味無いんじゃ?」
僕は疑問を口に出した。
「別に何時も作る訳じゃないでしょう? この男には次作る時までに料理を覚えさせればいいのよ」
「フデさんもそれでいいんですか?」
ファラさんの言う言葉に僕はフデに聞いてみたのだけど。
「俺はツキコが優しく成ってくれるならなんでもいい!」
「あ~、そうですか」
何にも気にしていないようだ。
仕方ないから僕は料理を作り始め、真面な料理を完成させた。
といっても肉と野菜をいためたものや、色どりを変えたサラダぐらいだ。
作り置きのパンも添えて二人分を完成した。
自慢の、というほどでもないけど、フデの物と比べればそこそこ食べられるものだろう。
「ふん、まあまあね。私はもう少し味が濃い方が好みだわ」
ファラさんはフォークで肉を突き刺し、口に運んでいく。
「ヨメ、ウマイぞ!」
続きミアさんが二口三口と食べ始め。
「たしかに、これは美味いな。ハシが止まらん!」
フデも味見とばかりに口に入れるが、全員の手が止まらない。
「って、全部食べようとしないでください! 折角作ったのにもう無いじゃないですか!」
皿には小指の先ぐらいの物体しか残されていない。
これはもう一回作り直さなければ。
「何してるの、ツキコさんが帰って来るじゃない。早く作り直しなさい」
「ヨメ、ワタシモットクう!」
「安心しろ、俺が残さず食べてやる!」
三人共何しに来たのか忘れてるのだろうか?
「ツキコさんの為に作るんでしょう。もう食べちゃダメですからね!」
僕は三人を説得しようと言葉を投げかけたのだけど。
「「「えー!」」」
ファラさんとミアさんは兎も角、フデまでも不服らしい。
「……じゃあ分かりました。今回は食事を楽しんで解散しましょう。フデさん、末永くお幸せに」
本人がどうでもいいというのなら僕が頑張る必要はない。
言い合いを諦めて適当に料理を作ることにした。
「ハッ!? 久しぶりの栄養に理性が吹き飛んでいた。そうだ、ツキコの為に作っているんだった」
フデもやっと思い出したらしい。
「材料も少ないですし、フデさんは二人の防衛をお願いします。食べられたらお終いですからね」
「ああ、任せておけ。元魔王の力を見せてやろう!」
フデはファラさんとミアさんに向き直り、ナイフとフォークを構える。
「私はもう満足したからいいんだけど。やると言うなら叩きのめしてやるわ」
「ワタシ、ハラヘリ!」
二人共同じ様にナイフとフォークを構え、作られている料理を待ちわびている。
そして。
「ふう、出来ました」
僕がテーブルに料理を置くと。
「ニャアアアア!」
「その肉は私が頂くわ!」
「させるかあああああああ!」
三人の争いが始まり、食器での打ち合いが続く。
しかし決着がつく前に。
「……ただいま……? 私の家で何してるの?」
部屋の主人が帰宅したのだった。
★
「何してるのって聞いてるんだけど?」
ツキコさんは、勝手に部屋に入られて怒っているようだ。
変な答えを言ったら襲われそうである。
「ツキコさんに手料理を食べさせたいから味見をしてくれって言われまして、充分美味しかったから今本番の料理を作り終えたんです!」
僕は適当な作り話でお茶を濁した。
「そ、そうだ! これは俺が作った料理だぞ! 存分に召し上がってください!」
フデはツキコさんに恐怖しながら僕の料理を勧めている。
「へ~……毒とか入って無いわよね?」
だがツキコさんに疑われてしまったようだ。
「「ないないないないないないない!」」
「ナイぞー!」
僕とフデは首をふり、ついでにミアさんも同じようにしている。
「ツキコさん今晩は、味見したけどお料理は美味しかったわよ」
ファラさんもフォローを入れてくれている。
「……ファラが言うなら安心かしら? でも今から甘い時間が始まるから、帰って貰えると嬉しいわ」
ツキコさんは顔を赤らめてカタナをチャキっとさせている。
あまり長居すると巻き込まれてしまいそうだ。
「分かりました、僕帰ります!」
「おいいいいいいいい!?」
僕は即座に決めたのだけど、フデは引き止めようと僕の腕を掴んだ。
「ちょっと、離してください!」
フデを引き離そうとしてみるけど、力の差は歴然だった。
全く全然動かない。
「そうね、二人の邪魔をしたら悪いし、帰らせてもらうわ。ミアも帰りましょう」
僕が困っているのにもかかわらず、ファラさんも帰宅することを決めたようだ。
ミアさんを連れて帰ろうとしている。
「ワタシ、オナかヘリヘリ!」
しかし置いてある食事に、ミアさんのお腹が鳴った。
「あんた今食べたでしょうが。食べるなら家で食べなさい! ほら、行くわよ」
ファラさんはミアさんに手を引かれ、外に出て行ってしまう。
僕の腕はフデに掴まれたままで、置き去りにされたようだ。
「あの、帰れませんから離してくれませんか?」
もう一度腕を強引に引きはがそうとしても、フデは全然離してくれない。
「嫌だ! 俺はお前と一緒に居たいんだ!」
しかもツキコさんの前で危うい発言をしてしまう。
「……へぇ、まさかそんな関係だったなんて、全然気付かなかったわ……」
シュラッとカタナが抜かれる音がした。
「フデさん、誤解を生むような発言はやめてください! ツキコさんが怒ってるじゃないですか!?」
僕は必死に言い訳をする。
「ち、違うんだツキコ、俺とこいつとは友人なんだ! そんなあやしい関係じゃない!」
フデも言い訳をしているが。
「……もういいわ。ダーリンには二度とそんな気が起きないように教育してあげる。そしてクー・ライズ・ライトお前には地獄を見せる!」
「「えええええええ!?」」
「……二人共、覚悟しなさい!」
「「いやあああああああああああ!」」
僕とフデはツキコさんに教育という暴力を受け、思う存分に叩きのめされた。
何が起きたのかは言いたくないが、解放されたのは真夜中を過ぎた頃である。
僕は落ちていた木の枝を杖にしながら、家路に着く前にパッタリと力尽きた。
やっぱり魔王なんかと関わっても良い事なんてない。
「グフッ……」
もう二度と相談なんて受けないと誓い、闇夜の中で意識を失った。
「クー、何でこんな所で寝てるのよ。もう仕事の時間よ、起きなさい」
「ヨメ、オキロ!」
ファラさんとミアさんの声が聞こえる。
僕が目を開けると、太陽を背にした二人の顔が見えていた。
まだ朝ご飯も食べていないというのに、仕事の時間が来てしまったようだ。
とりあえず近くにあった野草をむしり、口の中に放り込む。
「もはみょうごじゃいまふ、じゃあいきまひょうか」
僕は口の中の物を咀嚼しながらあいさつした。
「せめて飲み込んでから喋りなさいよ。はぁ、お握り作って来たんだけど、食べるわよねぇ?」
ファラさんは、大きな葉っぱで包んでいたお握りを取り出した。
「たべま~す!」
僕は立ち上がって手を挙げる。
「タベる―!」
ミアさんも手を挙げて喜んでいる。
「ミアはさっき食べたでしょ? 我慢しなさいよ」
「タベる―!」
ミアさんはファラさんからお握りを奪い取ろうとしている。
僕も動き出し、お握りの争奪戦が始まった。
しかし。
「「ああああああ!?」」
包んであった葉っぱがバリっと破れ、入っていた二つのお握りは、地面に転がり砂まみれになってしまう。
だからといって諦める訳にはいかない。
僕とミアさんはお握りの一つを掴み上げ、何事もなかったように口の中へ運んでいった。
「そんな物まで食うんじゃないわよ。私が恥ずかしいじゃないの」
ファラさんは冷たい目をしている。
「ふぁいひょうふへふ、んはいへふよ!」
(大丈夫です、うまいですよ!)
僕は気にせず味の感想を言った。
「ンマイなー!」
野生児のミアさんもおなじようなものである。
こうして僕の何時も通りの日常が始まった。
魔王なんてどうでもいいし、ご飯さえ食べられれば満足なのだ。
★
★職業3 魔戦士 ライトニングガード バスターメイジ
★
魔戦士とは僕の父さんが選んだ戦闘職業である。
一応前衛職ということになっているが、あえて言うなら中間に位置するだろう。
剣しか扱えないが、軽い魔法なら攻撃魔法から回復魔法、状態変化まで扱えてしまう。
近づけば剣を、離れれば魔法を、怪我すれば回復して仲間達を支援する。
器用貧乏と言う人もいるが、バランスがいいため、成長次第ではどんな場面でも活躍できる職業だ。
能力値は全部が平均的に上がり、レベルが上がれば剣に魔法を乗せて振るう魔剣というスキルを覚え、前衛に負けないぐらいの攻撃力を得る。
更にもう一つ、剣魔一対というスキルは、全魔力を敵の体内に叩き込むという大技だ。
ただし、放った後には剣も持てないほどに衰弱し、戦線を離脱するしかなくなる自爆技でもある。
使うには注意が必要だ。
後衛の能力としては、常時発動するダブルマジックというスキルを覚える。
右手と左手で違う魔法を放つことが出来るようになる便利なものだ。
単純に攻撃力が二倍だけど、しかし元が弱い魔法しかないので、他の後衛と比べると見劣りする。
片手で回復しつつ攻撃するという器用なこともやれるようになるから、便利といえばすごく便利だ。
まあその分魔力値は減るから、無駄なことをやり続ければすぐに魔法は使えなくなるだろう。
この職業が作られた理由といえば、どんなパーティ編成にも組み合わせられるようにという理由だ。
傷ついた前衛の代わりに前に、逆に後衛が足りなければ後衛にと、立ち位置を変えて活躍できる。
何でも出来るために一人で活躍する者も多く、調子に乗って強い魔物に返り討ちにされて、仲間の大事さを知る者も多い。
真なる実力を引き出す為には、パーティのバランスを見極め、自分の我を殺すことが必要だ。
目立ちたいと思うなら、この職業を選ばない方がいいだろう。
①
アーリアさんが就いてるライトニングガードは、前衛に位置する防御専門の職業だ。
その防具は、動きやすい胸当てと籠手、それと攻撃を受け止めるグローブを手にはめている。
防御職は重装備という常識を打ち破り、スピードのある動きを要求される職業だ。
攻撃を受け止め相手の武器を奪ったならば、相手に勝ち目はなくなるだろう。
だが相手の動きを予測し、速度のある動きで攻撃を受け止める為には相当の訓練が必要だ。
それに多数を相手にするのは難しく、精々二体を相手にするので手一杯である。
装備が薄い部分を攻撃されれば重傷は必死なので注意してほしい。
能力値として、防御と力と続き、力と知能も結構高い。
代わりに魔力と魔力値は一切なく、体力値は普通だ。
全く関係ないが、この職業を選ぶ人は自分の思う通りに人を動かしたいと思う人が多い気がする。
職業病なのかもしれないけど、アーリアさんとかは、それが色濃くでているようだ。
この職業が作られた理由は、重い鎧で駆けつけるまでに、仲間がやられてしまうという他の防御職の声をギルドが聴いたからだ。
助けを求められれば即座に駆けつけられるように、速度を重視して作られた職業なのだ。
ただし、相手の動きを見極められなければ、ただ死にに行くようなものである。
真価を発揮するには、並々ならぬセンスと、相手の動きを読む頭脳が必要だ。
②
ディザリアさんが就いたバスターメイジは、後衛に位置する職業である。
広範囲の攻撃魔法は圧倒的で、様々な属性を扱う。
その威力も、攻撃魔法においては頂点に位置するものだ。
もちろん使う魔力値は大きく減るが、その為の回復能力も備えている。
魔力値が空になっても、たった一時間程度で全快になってしまうほどなのだ。
広域魔法を使い、多数を相手に活躍する姿は、見る者にとっても使う者にとっても快感的だといえるだろう。
とある昔、どこかの魔王が国を攻めた時に、広範囲魔法が圧倒的に活躍したとの記述もあったりする。
しかし広範囲魔法しか持っていない為、仲間や関係ない者を巻き込むこともしばしばで、相当な迷惑をかけるはずだ。
それでも、それでもである。
どれ程町にダメージを与えようと、仲間達を吹き飛ばそうと、非難の声が上がっても廃止されたりはしない。
なぜなら、国もこの職業の有用性を認めてしまっているからだ。
他にも熱狂的な信者に支えられ、廃止したくてもできないのである。
ああ、何故こんな職業を作ってしまったのか、その魔王とギルドの罪を問いたい。
能力値としては、魔力と魔力値以外は何一つ伸びない。
一切なんにも一ミリたりとも成長しない。
その代わり、魔力値の自然回復能力が成長し続け、攻撃の鬼と化す。
弱点は、普通のお姉さん程度にしかない力と速度と打たれ弱さだろう。
ある程度レベルが高い魔物だと、全てが致命傷になりえる所だ。
他にも高飛車なとことか、後先考えない所とか、仲間を大事にしてくれとか思うけど、それはディザリアさん個人だけだと思いたい。
この職業が作られた理由は、遥か昔から存在した破壊教、破壊魔とでも言われる魔法ぶっぱする人物を、もうちょっと使えるように出来ないかとギルドが考えだしたものである。
でもやっちゃった結果、更に酷い状態になったのがこの職業なのだ。
結果を出してしまったから潰すことも出来ないし、もうお手上げ状態になってしまっている。
この職業を使いこなすには、周囲の迷惑を考えない胆力と、仲間の怪我とか別に構わないというはた迷惑な考えを持つ人物でなければ無理だろう。
つまり、普通の良識ある人間では使いこなせないのである。
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