夢魔界転生

いち こ

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戦いの再開②

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 まれに意志が強い者は、システムに心が負けないために、システムの作る夢と、自分の見る夢が混在することがあるという。

俺の場合はまさにそうだった。

どちらがシステムが作り出す本物の九郎で、どちらが俺が作り出す夢の人物であるのか?

右にいる九郎は、上段に刀を上げて、じりじりと迫ってきた。左側のもう一人の九郎は下段である。

どちらかの刀を受けることにはなるが、その刀が、偽(つまり、俺の作り出した夢の中の九郎)の刀であると、俺はシステムのつくり出した本物の九郎の刀に斬られることになる。

偽の九郎の刀であれば、手応えが感じられずに、そのまま俺の体を通り抜けていく。
システムの作り出した九郎であれば、その振り下ろす刀は、俺の刀に当たって手応えを感じるだろう。

その場合、俺はシステムの作り出した九郎に殺され、カプセルの中で電熱線に焼き切られて死ぬのだ。

二人のどちらと戦うか?
これで、生き死には決定する。

「どちらなのだ?」
「えい!!」

 なやんでいると、左右並んだ右の九郎が、こちらに駆け出し、同時に刀で斬りつけてきた。

 分からない。仕方がないので、当てずっぽうに決める。
 俺は、左から下段で攻めてくる九郎を本物と考えた。

 何の確証もない。ただ、そう感じただけである。

「えい。ままよ。どのみち死ぬのなら、何の怖れもない」
俺は声に出して、左の九郎に対して身構えた。

 が一瞬、左から下段で斬りかかってくる九郎の顔のやけどが治り、整っているのに気がつく。
 俺が夢の中で、九郎の顔を修正したのだ。

 システムは、このような修正をすることはない。悪まで、リアル現実を夢の中に作ろうとした。
 俺は、急ぎ右を向きなおしたが、すでに本物の九郎の刀はすでに俺の頭上にあった。

 俺は急ぎ、後ろに倒れた。それも、強く後方へ。

 左の九郎の剣が、俺の左太ももを下から斬りつけた。しかし、その偽の刀の幻影は、俺の左太ももを通過していく。俺は無傷だった。

 右上から来た、本物の九郎の刀は、後方に飛ぶ俺の顔の前を通過し、前髪の先をすっぱりと斬った。

「ええい!」
 気合いと同時に、俺は後方に倒れながら、ポケットから少し頭の出ていた手術用のナイフに触れ、親指と人差し指の力だけで、それを九郎の顔面に投げた。

 ナイフはゆっくりと弧を描きながら、一回転して、九郎に向かっていった。

「ぎやっ!!」
 手術用のナイフは、九郎のやけどをしていない、片方の目を貫いた。

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