夢魔界転生

いち こ

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再び目覚め①

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目を覚ます。
カプセルの中でぼんやりしていると、はっと我に返る。

「すぐにAビルに走らなければならない。九郎を救わなければならない。システムの作る夢の中で、まだ死んでいなければ、間に合うはずだ」

俺は急ぎ起き上がり、隣のAビルに走る。
Bビルの外に出ると、ひんやりと秋の風が吹いていた。

「夢の中ではクリスマスだったが、現実の世界は夏が終わろうとしている」
 空を見上げると、満月が出ていた。

「この月が平和な時に見られればどんなに幸せだろうに」
 Aビルに入ると、一気に三階まで駆け上がった。

見わたすと、ちょうど広場の真ん中に置いてある、カプセルが光っていた。
俺は走る。電熱線が九郎の右目を貫いて、脳まで達する前にカプセルから九郎を引き出さねばならない。

カプセルまではおよそ150メートルほどだ。

カプセルのランプが、黄色い光でチカチカとしている。
「待ってくれ。九郎を殺さないでくれ」

しかし、50メートルほど近づいたところで、ランプが赤色に変わった。
ランプが赤色にかわることは、夢の中で九郎が死んだことを表している。

5秒ほど経って、俺はカプセルに飛びついて、カプセルをこじ開けようとした。
しかし、頑丈にできているカプセルは簡単にはこじ開けられない。

「くそ。開けろ。くそ」
両手でどんどんとカプセルを叩くも、カプセルは微動だにしない。

やがて、赤い点滅が消えて、カプセルの蓋が開いた。
中を覗くと、思った通りに、細い棒が真っ赤になって、九郎の右目から脳を焼いた後だった。

九郎は死んでいた。
「ちくしょう。なんで、こんなシステムを作ったのか! 全てが壊されて、夢の中でリアルを味わいたいと言っても生きていてこそ、意味がある」

叫べども、声だけが響き渡るだけで、後は何も起こらなかった。
管理員たちが、いつものように二人やってきて、九郎の遺体を起こした。

無言で何も言わない。
いつものように手際よく片付けていく。

「くそ。くそ。何でこんなことになるのだ」
俺は、地面を叩いて悔しがった。

 何でこんな状態に人間が追い込まれていくのか。
 多くの人が核爆弾で死んだ後、さらに人がしなければならないのか。
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