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2章 ゴブリンの砦
STORY22 依頼内容
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リアーナが咳払いを一つする。
「えぇっと…。まず、こちらは今回の仕事の依頼主でカトムルさんよ」
「あの…カトムルだべ……よろしくお願いしますだ」
リアーナに紹介されてカトムルが一礼して名乗る。
「はじめまして。僕はサイクロプスの戦士グランザといいます。先ほどは驚かせてしまってすみませんでした」
グランザに頭を下げられたカトムルは逆に恐縮してしまったのか。ひきつった作り笑いをしている。
「俺は村人ウラボスだ。よろしく頼む」
「へ? 村人だべか!?」
続いてウラボスが名乗るとカトムルは意外そうな表情を見せてきた。
「ああ。俺は何らかのクラスのライセンスを所持してるわけじゃないからな」
「そ、そうなんだべか……。おら、冒険パーティーに入るなら何かのライセンスが絶対必要なのかと思ってただよ。あんたみたいな普通の村人もいるんだべな」
(ウラボスがいちばん普通じゃないニャ)
リャッカが心の中でツッコミを入れる。
「あの…これで暁の渡り鳥のメンバーは全員です。それでは、改めて今回の依頼内容を説明していただけますか?」
リアーナが話を先に進める。
「はい。おら、ラグト村を代表して冒険者ギルドに仕事を依頼しに来ただよ。実は、おらの娘がおかしくなっちまっただ!」
「詳しく話してください」
リアーナが掘り下げる。
「おらの娘は元々素直でおとなしい性格だっただよ。だども、暫く前から急におかしくなっただ。急に笑いだしたり、怒ったり、泣いたりするだよ!」
「ウラボスとグランザはどう思う?」
「えっと……なんて言えばいいのか……。それは冒険者がなんとかできる事なのでしょうか?」
リアーナに意見を求められてグランザが答える。
「どういう事だべか?」
「それは…その……」
グランザはカトムルに訊かれて言い淀む。
「つまり、例えばだけど、転んで頭をぶつけたりとか、何らかの原因で頭がおかしくなって情緒不安定なんじゃないかニャ? だとしたら、冒険者より医者の仕事ニャ」
「たしかにこの間転んで頭をぶつけたけど、それとは関係ないだよ! 変になっちまったのはおらの娘だけじゃねぇだ。村中の娘が変なんだべ!」
(あっ、ほんとにぶつけたんだ…)
リアーナは思わず苦笑してしまう。
「……ウラボスは何か意見はない?」
続いて、沈黙を保っているウラボスの意見を訊くリアーナ。
「……実際に見ていないからなんとも言えないな。だけど、様子がおかしくなったのが一人だけじゃないのなら調べてみる価値はあるかもな。それに、たとえ無駄足になったとしても行きたいんじゃないか?」
「うん」
リアーナが肯定する。
「そ、それじゃあ引き受けてくれるだべか!?」
カトムルは期待を込めてリアーナを見る。
「わたしたちに何ができるのかわかりませんが……。みんな、いいよね?」
ウラボス、リャッカ、グランザに訊く。
「はい。僕も賛成です」
「しょうがないニャ」
「仰せのままに……」
3人はそれぞれ賛成の意思を示す。
「ありがとうございますだ!」
カトムルは一同に深々と頭を下げる。
かくして、暁の渡り鳥はカトムルの案内でラグト村へと向かうのだった。
「えぇっと…。まず、こちらは今回の仕事の依頼主でカトムルさんよ」
「あの…カトムルだべ……よろしくお願いしますだ」
リアーナに紹介されてカトムルが一礼して名乗る。
「はじめまして。僕はサイクロプスの戦士グランザといいます。先ほどは驚かせてしまってすみませんでした」
グランザに頭を下げられたカトムルは逆に恐縮してしまったのか。ひきつった作り笑いをしている。
「俺は村人ウラボスだ。よろしく頼む」
「へ? 村人だべか!?」
続いてウラボスが名乗るとカトムルは意外そうな表情を見せてきた。
「ああ。俺は何らかのクラスのライセンスを所持してるわけじゃないからな」
「そ、そうなんだべか……。おら、冒険パーティーに入るなら何かのライセンスが絶対必要なのかと思ってただよ。あんたみたいな普通の村人もいるんだべな」
(ウラボスがいちばん普通じゃないニャ)
リャッカが心の中でツッコミを入れる。
「あの…これで暁の渡り鳥のメンバーは全員です。それでは、改めて今回の依頼内容を説明していただけますか?」
リアーナが話を先に進める。
「はい。おら、ラグト村を代表して冒険者ギルドに仕事を依頼しに来ただよ。実は、おらの娘がおかしくなっちまっただ!」
「詳しく話してください」
リアーナが掘り下げる。
「おらの娘は元々素直でおとなしい性格だっただよ。だども、暫く前から急におかしくなっただ。急に笑いだしたり、怒ったり、泣いたりするだよ!」
「ウラボスとグランザはどう思う?」
「えっと……なんて言えばいいのか……。それは冒険者がなんとかできる事なのでしょうか?」
リアーナに意見を求められてグランザが答える。
「どういう事だべか?」
「それは…その……」
グランザはカトムルに訊かれて言い淀む。
「つまり、例えばだけど、転んで頭をぶつけたりとか、何らかの原因で頭がおかしくなって情緒不安定なんじゃないかニャ? だとしたら、冒険者より医者の仕事ニャ」
「たしかにこの間転んで頭をぶつけたけど、それとは関係ないだよ! 変になっちまったのはおらの娘だけじゃねぇだ。村中の娘が変なんだべ!」
(あっ、ほんとにぶつけたんだ…)
リアーナは思わず苦笑してしまう。
「……ウラボスは何か意見はない?」
続いて、沈黙を保っているウラボスの意見を訊くリアーナ。
「……実際に見ていないからなんとも言えないな。だけど、様子がおかしくなったのが一人だけじゃないのなら調べてみる価値はあるかもな。それに、たとえ無駄足になったとしても行きたいんじゃないか?」
「うん」
リアーナが肯定する。
「そ、それじゃあ引き受けてくれるだべか!?」
カトムルは期待を込めてリアーナを見る。
「わたしたちに何ができるのかわかりませんが……。みんな、いいよね?」
ウラボス、リャッカ、グランザに訊く。
「はい。僕も賛成です」
「しょうがないニャ」
「仰せのままに……」
3人はそれぞれ賛成の意思を示す。
「ありがとうございますだ!」
カトムルは一同に深々と頭を下げる。
かくして、暁の渡り鳥はカトムルの案内でラグト村へと向かうのだった。
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