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3章 淫魔に憑かれた村
STORY45 サキュバスとインキュバス
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チャアム村はシャルタ荒野の宿泊施設から徒歩で1日程度でたどり着いた。
「みんな、みんなぁ!!」
チャアム村が見えた途端にユナが駆け出した。よほど村のことが心配なのだろう。
「今は1人で行動させるのは危険ニャ。すぐ追いかけるニャ!」
一行はユナの後を追ってチャアム村へと急いだ。
◎
「…ああ、ユナか……。今までどこに行ってたんだ……」
自宅に戻ったユナに父親らしき人物が声をかける。顔は青白く、声はかすれ、頬は痩せこけて、今にも倒れそうだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
驚いたリアーナが声をかけると、男は虚ろな目でリアーナを見つめる。
「だれですか? あなたがたは……」
無気力に、気怠そうに問いかける男にリアーナは言葉が出てこなかった。それほど男は異様な雰囲気を醸し出していたのだ。
「……あたしたちは冒険者ニャ。ユナちゃんの依頼で来たニャ」
「…ユナの依頼って……なんなんです?……」
「あの、村の大人の人たちの様子がおかしいから助けてほしいと……」
リャッカに代わり、リアーナが答える。
「……そうだっんですか。……しかし、我々は何もおかしくなんかありません。……きっとユナの思い過ごしでしょう…。もう……お引き取りいただいて…けっこうです……」
「しかし!……」
引き下がろうとしないリアーナをウラボスが制止する。
「ここは一度引くぞ。何を言ったところで今は無駄だ」
「そんな…」
何もできない悔しさを噛みしめながらもリアーナはウラボスの言葉に従うしかなかった。
◎
チャアムの村外れの小高い丘の上に暁の渡り鳥の姿があった。
「これからどうしましょうか……」
グランザは、チャアム村に来てはみたものの帰れと言われてしまい、どうすればいいかわからずにいた。
「でも、あの様子は普通じゃなかった。やっぱりこのままにはしておけないよ」
「そうですよね! 僕たちがなんとかしないと」
「ウラボス、リャッカちゃん。淫魔の仕業かもしれないって言ってたよね? 詳しく教えて」
「村の様子を見て回った感じだと、大人たちは性別に関係なく衰弱していてニャ」
「ああ。ということは、この事態をひきおこしている犯人は2体いることになるな」
「2体?」
リアーナが聞き返す。
「サキュバスとインキュバスだ」
「問題はどうやってサキュバスとインキュバスを見つけるかニャ。そう簡単には姿を見せないニャ」
「お姉ちゃ~ん!」
ユナがリアーナに駆け寄ってくる。その後ろからは何人かの子供たちの姿があった。
「ユナちゃん、どうかしたの?」
「あのね、まだ帰らないで! お父さんやお母さんを助けて!」
ユナはリアーナにしがみつく。そこに一緒に来た少年の一人が小さな袋を差し出す。
「なぁに?」
「これ、俺たちが集めたお金……。みんな、自分で貯めたお小遣いとか全部持ってきた。だから、村を救ってください!」
子供たちは一様に涙を流している。
「そうかニャ。それじゃ遠慮なく……」
「リャッカちゃん!」
少年から袋を受け取ろうとしたリャッカをリアーナがいさめる。リャッカはビクッと飛び上がると手を引っ込める。
「いやだニャア……ほんの冗談ニャ……」
リアーナは苦笑いするリャッカにため息をつく。それから、子供たちのほうを見て微笑む。
「わたしたちは帰らないから安心して。みんなの気持ちだけで充分だから、そのお金は要らないわ」
「本当に?」
「うん、もちろん!」
「お姉ちゃん、大好き!」
抱きついてきたユナの頭を優しく撫でるリアーナ。
「あの、それで、神父様が皆さんに来てほしいって言ってました」
少年が告げた。
「神父様は話ができる状態かのかニャ?」
「うん! 神父様とシスターのお姉ちゃんだけはなんともないんだ。神様のご加護があるこら平気なんだって!」
リャッカの質問に少年が答える。
「神様のご加護、ねぇ……。いずれにしても会ってみるしかないだろ」
「そうね。行ってみましょう」
暁の渡り鳥は子供たちの案内で教会へと向かった。
「みんな、みんなぁ!!」
チャアム村が見えた途端にユナが駆け出した。よほど村のことが心配なのだろう。
「今は1人で行動させるのは危険ニャ。すぐ追いかけるニャ!」
一行はユナの後を追ってチャアム村へと急いだ。
◎
「…ああ、ユナか……。今までどこに行ってたんだ……」
自宅に戻ったユナに父親らしき人物が声をかける。顔は青白く、声はかすれ、頬は痩せこけて、今にも倒れそうだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
驚いたリアーナが声をかけると、男は虚ろな目でリアーナを見つめる。
「だれですか? あなたがたは……」
無気力に、気怠そうに問いかける男にリアーナは言葉が出てこなかった。それほど男は異様な雰囲気を醸し出していたのだ。
「……あたしたちは冒険者ニャ。ユナちゃんの依頼で来たニャ」
「…ユナの依頼って……なんなんです?……」
「あの、村の大人の人たちの様子がおかしいから助けてほしいと……」
リャッカに代わり、リアーナが答える。
「……そうだっんですか。……しかし、我々は何もおかしくなんかありません。……きっとユナの思い過ごしでしょう…。もう……お引き取りいただいて…けっこうです……」
「しかし!……」
引き下がろうとしないリアーナをウラボスが制止する。
「ここは一度引くぞ。何を言ったところで今は無駄だ」
「そんな…」
何もできない悔しさを噛みしめながらもリアーナはウラボスの言葉に従うしかなかった。
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チャアムの村外れの小高い丘の上に暁の渡り鳥の姿があった。
「これからどうしましょうか……」
グランザは、チャアム村に来てはみたものの帰れと言われてしまい、どうすればいいかわからずにいた。
「でも、あの様子は普通じゃなかった。やっぱりこのままにはしておけないよ」
「そうですよね! 僕たちがなんとかしないと」
「ウラボス、リャッカちゃん。淫魔の仕業かもしれないって言ってたよね? 詳しく教えて」
「村の様子を見て回った感じだと、大人たちは性別に関係なく衰弱していてニャ」
「ああ。ということは、この事態をひきおこしている犯人は2体いることになるな」
「2体?」
リアーナが聞き返す。
「サキュバスとインキュバスだ」
「問題はどうやってサキュバスとインキュバスを見つけるかニャ。そう簡単には姿を見せないニャ」
「お姉ちゃ~ん!」
ユナがリアーナに駆け寄ってくる。その後ろからは何人かの子供たちの姿があった。
「ユナちゃん、どうかしたの?」
「あのね、まだ帰らないで! お父さんやお母さんを助けて!」
ユナはリアーナにしがみつく。そこに一緒に来た少年の一人が小さな袋を差し出す。
「なぁに?」
「これ、俺たちが集めたお金……。みんな、自分で貯めたお小遣いとか全部持ってきた。だから、村を救ってください!」
子供たちは一様に涙を流している。
「そうかニャ。それじゃ遠慮なく……」
「リャッカちゃん!」
少年から袋を受け取ろうとしたリャッカをリアーナがいさめる。リャッカはビクッと飛び上がると手を引っ込める。
「いやだニャア……ほんの冗談ニャ……」
リアーナは苦笑いするリャッカにため息をつく。それから、子供たちのほうを見て微笑む。
「わたしたちは帰らないから安心して。みんなの気持ちだけで充分だから、そのお金は要らないわ」
「本当に?」
「うん、もちろん!」
「お姉ちゃん、大好き!」
抱きついてきたユナの頭を優しく撫でるリアーナ。
「あの、それで、神父様が皆さんに来てほしいって言ってました」
少年が告げた。
「神父様は話ができる状態かのかニャ?」
「うん! 神父様とシスターのお姉ちゃんだけはなんともないんだ。神様のご加護があるこら平気なんだって!」
リャッカの質問に少年が答える。
「神様のご加護、ねぇ……。いずれにしても会ってみるしかないだろ」
「そうね。行ってみましょう」
暁の渡り鳥は子供たちの案内で教会へと向かった。
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