冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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3章 淫魔に憑かれた村

STORY46 ルアンとペテナ

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 「これはこれは、冒険者の皆さん。この村のことで動いてくださるそうで感謝いたします。わたくしはチャアム村の教会で神父をさせていただいておりますルアンと申します」

 「私はシスターのペテナといいます。今日は教会のほうにお泊まりください。大したもてなしはできませんが、食事とベッドくらいでしたらご用意できますわ」

 教会へとやってきた暁の渡り鳥を神父とシスターが笑顔で出迎える。

 「はじめまして。わたしたちは冒険パーティー暁の渡り鳥です。わたしはリアーナ、彼はウラボス。あと、サイクロプスのグランザ、ケットシーのリャッカです」

 リアーナがリーダーとして自らと仲間の紹介をする。

 「それより、俺たちに話があると聞いたが?」

 ウラボスは早速本題を切り出す。

 「ええ。しかし、とりあえずはお茶でも飲みながらお話しいたしましょう」

 ルアンは柔らかな笑みを浮かべた。



 教会の中へと招き入れられたリアーナ、ウラボス、リャッカは椅子に腰を落ち着かせていた。グランザはその体格ゆえに外で待機中である。

 「さて、村の様子はご覧になられたと思いますが、この事態をどのようにお考えですか?」

 「今のところ、わたしたちはサキュバスとインキュバスの仕業である可能性が高いとみています」

 ルアンに訊かれ、リアーナが答える。

 「ほぉ、やはり」

 「やはり、ということは薄々は気付いてたのかニャ?」

 ルアンが呟いた言葉にリャッカが反応した。

 「いえ、確信していたわけではありません。しかし、もしかしたら…とは考えておりました」

 「それに気付いていても、神様のご加護とやらでどうにかできなかったのか?」

 ウラボスは無遠慮な質問をぶつける。

 「残念ながら、わたくしの力では自分を守るだけで精一杯という有り様でしてね。無力なことでお恥ずかしい……」

 ルアンはうつむいて力無げに笑う。

 「ルアンさんに失礼だよ、ウラボス!」

 リアーナに注意され、ウラボスはフンと鼻を鳴らす。

 「お気になさらないでください。ウラボスさんの言われることはもっともです。わたくしにもっと力があれば村の住民の皆さんをお守りできたのですが……」

 「そんなにご自分を責めないでください」

 気遣ってくれるリアーナにルアンは柔らかな笑みを返す。

 「ありがとうございます。リアーナさんはお優しいのですね」

 「そんな……わたしなんて……」

 照れて赤面しつつ俯くリアーナ。

 「さあ、ペテナが淹れてくれたお茶をいただきましょうか。彼女が淹れてくれるお茶は香りがよく、リラックス効果もあるんですよ。我が教会のささやかな自慢です。特にリアーナさんのような素敵なレディーにはお薦めですよ」

 ルアンは片目を閉じて微笑む。

 「まぁ、ルアンったらお上手ですね」

 嬉しそうに照れ笑いするリアーナを尻目にウラボスは席を立つ。

 「どうしたの、ウラボス?」

 「村の中をもう少し見てくる」

 「あっ、それならわたしも……」

 「いや、必要ない」

 同行しようと席を立とうとするリアーナにウラボスはどこか素っ気ない。

 「なによ、それ。わたしだって少しは強くなってるよ! ……そりゃあ、ウラボスに比べればまだまだ半人前にもいかないとは思うけど……」

 「そういうことを言ってるんじゃない。とにかく、ここでおとなしくしてるんだ。リアーナのことは頼んだぞ」

 ウラボスはリャッカに目配せする。リャッカは無言で頷く。

 「それでは、私が村をご案内いたします」

 ペテナが村の案内役を買ってでる。

 「お願いするよ」

 「はい、お任せください」

 ウラボスはペテナを連れて教会を出ていく。

 (なによ! わたしじゃダメなのにペテナさんならいいっていうの!?)

 教会から離れていく二人の後ろ姿を見つめるリアーナの心中は苛立っていた。
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