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3章 淫魔に憑かれた村
STORY51 ルアン&獣型モンスター戦②
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リアーナのレイピアが何度も空を裂く。
「どうしました、リアーナさん? その程度ではわたくしを倒すことはできませんよ? お仲間も、わたくしの眷族に苦戦しておられるようですから手助けも期待できませんねぇ。ククククク……」
リャッカとグランザのペアが獣型モンスターと戦っている様子を横目で見ながらルアンは余裕だった。
(落ち着いて!……ルアンはたしかに強いけど勝てない相手じゃないはず……。わたしたちを信用してくれたウラボスを失望させたくない! だから、絶対に敗けられない!!)
リアーナは自らに言い聞かせる。
「どうしたのです? こないのですか? ならば、こちらからいかせてもらいますよ! 水圧矢魔術!」
「くっ…」
リアーナは圧縮された水の矢を避け、レイピアによる連続突きを繰り出す。
(もっと! もっも早く、正確に狙うの! ウラボスとの特訓や今までの経験を無駄になんてできない!!)
ルアンに攻撃を繰り返す間にもリアーナは自らを鼓舞し、高めていく。
「むっ……」
リアーナのレイピアが遂にルアンの左肩を掠める。
(この娘、まさか強くなってきてるのか? ならば!)
ルアンは練り上げた魔力を右手に集中させる。
「我が秘術、とくと味わいなさい!」
ルアンは魔力をリアーナへと一気に流し込んだ。
◎
「なっ!?」
リアーナは困惑した。今までルアンと戦闘していたはずが、秘術とやらを受けてしまった瞬間、異空間へと転送されてしまったらしい。
「ルアン! 出てきなさい!!」
リアーナは姿を見せない敵に向かって叫ぶ。だが、返事はない。
(どうしよう……。こんな所でぐずぐずしてるわけにはいかないのに!)
募る焦燥感に唇を噛む。
パキンッ!!
どこかで何かが割れるような音が聞こえ、リアーナは周囲を見回す。
「あっ!」
空間に小さな亀裂を見つけ、声をあげる。
パキンッ…パキパキパキッ……パキィンッ!
亀裂はみるみるうちに広がり、遂には穴が開く。
「リアーナ、無事か!?」
穴の向こう側から現れた人物に、それまで不安を抱いていたリアーナの表情が明るくなる。
「ウラボス!」
リアーナはその人物の名を呼ぶ。ウラボスはその声に反応して振り向くと安堵したような笑顔を見せて近づいてくる。
「よかった! 無事だったんだな!!」
ウラボスはリアーナを抱き寄せる。
「ちょ…ちょっと、ウラボス!?」
突然の予期せぬ行動に固まるリアーナ。
「ああ、悪い。リアーナが無事だったのが嬉しかったから、つい……」
ウラボスはリアーナを解放しニコリと微笑む。
「それより、ここはどこなの?」
「おそらくはルアンが作り出した異空間だ」
「そんな! 脱出法はあるの!?」
リアーナは不安と期待を込めた視線をウラボスに向ける。しかし、ウラボスは首を横に振る。
「残念だが、ここに入ったからには二度と出ることは不可能だ。俺が入ってきた穴も既に塞がってるだろ?」
言われて視線を移す。たしかにウラボスが入ってきた穴は完全に塞がっていた。
「でも…でも、何か方法があるはずよ! だって、ウラボスがここに入ってこれたんだから逆の事だって……」
「無理なんだ。外側からなら空間の壁を穿つことは可能だ。しかし、内側からだと……。諦めるしかないんだ……」
「…………でも、リャッカちゃんやグランザたちも頑張ってるのよ!?」
「ここから出られないのに、あいつらを心配したところで意味ないじゃないか。俺たちにはなんの関係もない」
「そんな…………」
ウラボスは押し黙って俯くリアーナを抱き寄せようとそっと手を伸ばす。
ドンッ!
リアーナは無防備なウラボスを突き飛ばす。
「なにをするんだ、リアーナ?」
ウラボスは困惑したように訊く。
「あなた、何者なの!?」
「なにを言ってるんだ? 俺は……」
「嘘はやめて! あなたなんかウラボスじゃない!! 本物のウラボスなら何もしないまま簡単に諦めたりしない! 命懸けで戦ってるリャッカちゃんやグランザのことを気にしてもしかたないとか……関係ないとか……、そんなこと、絶対に言ったりしない!!! ウラボスを…ウラボスを侮辱するようなことは絶対に許さない!!!」
リアーナは言い放ち、レイピアを構える。
パリィィィィィィンッ!!!
ガラスが砕けるような音が響き渡り、周囲の壁が一斉に消滅した。
「どうしました、リアーナさん? その程度ではわたくしを倒すことはできませんよ? お仲間も、わたくしの眷族に苦戦しておられるようですから手助けも期待できませんねぇ。ククククク……」
リャッカとグランザのペアが獣型モンスターと戦っている様子を横目で見ながらルアンは余裕だった。
(落ち着いて!……ルアンはたしかに強いけど勝てない相手じゃないはず……。わたしたちを信用してくれたウラボスを失望させたくない! だから、絶対に敗けられない!!)
リアーナは自らに言い聞かせる。
「どうしたのです? こないのですか? ならば、こちらからいかせてもらいますよ! 水圧矢魔術!」
「くっ…」
リアーナは圧縮された水の矢を避け、レイピアによる連続突きを繰り出す。
(もっと! もっも早く、正確に狙うの! ウラボスとの特訓や今までの経験を無駄になんてできない!!)
ルアンに攻撃を繰り返す間にもリアーナは自らを鼓舞し、高めていく。
「むっ……」
リアーナのレイピアが遂にルアンの左肩を掠める。
(この娘、まさか強くなってきてるのか? ならば!)
ルアンは練り上げた魔力を右手に集中させる。
「我が秘術、とくと味わいなさい!」
ルアンは魔力をリアーナへと一気に流し込んだ。
◎
「なっ!?」
リアーナは困惑した。今までルアンと戦闘していたはずが、秘術とやらを受けてしまった瞬間、異空間へと転送されてしまったらしい。
「ルアン! 出てきなさい!!」
リアーナは姿を見せない敵に向かって叫ぶ。だが、返事はない。
(どうしよう……。こんな所でぐずぐずしてるわけにはいかないのに!)
募る焦燥感に唇を噛む。
パキンッ!!
どこかで何かが割れるような音が聞こえ、リアーナは周囲を見回す。
「あっ!」
空間に小さな亀裂を見つけ、声をあげる。
パキンッ…パキパキパキッ……パキィンッ!
亀裂はみるみるうちに広がり、遂には穴が開く。
「リアーナ、無事か!?」
穴の向こう側から現れた人物に、それまで不安を抱いていたリアーナの表情が明るくなる。
「ウラボス!」
リアーナはその人物の名を呼ぶ。ウラボスはその声に反応して振り向くと安堵したような笑顔を見せて近づいてくる。
「よかった! 無事だったんだな!!」
ウラボスはリアーナを抱き寄せる。
「ちょ…ちょっと、ウラボス!?」
突然の予期せぬ行動に固まるリアーナ。
「ああ、悪い。リアーナが無事だったのが嬉しかったから、つい……」
ウラボスはリアーナを解放しニコリと微笑む。
「それより、ここはどこなの?」
「おそらくはルアンが作り出した異空間だ」
「そんな! 脱出法はあるの!?」
リアーナは不安と期待を込めた視線をウラボスに向ける。しかし、ウラボスは首を横に振る。
「残念だが、ここに入ったからには二度と出ることは不可能だ。俺が入ってきた穴も既に塞がってるだろ?」
言われて視線を移す。たしかにウラボスが入ってきた穴は完全に塞がっていた。
「でも…でも、何か方法があるはずよ! だって、ウラボスがここに入ってこれたんだから逆の事だって……」
「無理なんだ。外側からなら空間の壁を穿つことは可能だ。しかし、内側からだと……。諦めるしかないんだ……」
「…………でも、リャッカちゃんやグランザたちも頑張ってるのよ!?」
「ここから出られないのに、あいつらを心配したところで意味ないじゃないか。俺たちにはなんの関係もない」
「そんな…………」
ウラボスは押し黙って俯くリアーナを抱き寄せようとそっと手を伸ばす。
ドンッ!
リアーナは無防備なウラボスを突き飛ばす。
「なにをするんだ、リアーナ?」
ウラボスは困惑したように訊く。
「あなた、何者なの!?」
「なにを言ってるんだ? 俺は……」
「嘘はやめて! あなたなんかウラボスじゃない!! 本物のウラボスなら何もしないまま簡単に諦めたりしない! 命懸けで戦ってるリャッカちゃんやグランザのことを気にしてもしかたないとか……関係ないとか……、そんなこと、絶対に言ったりしない!!! ウラボスを…ウラボスを侮辱するようなことは絶対に許さない!!!」
リアーナは言い放ち、レイピアを構える。
パリィィィィィィンッ!!!
ガラスが砕けるような音が響き渡り、周囲の壁が一斉に消滅した。
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