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3章 淫魔に憑かれた村
STORY52 ルアン&獣型モンスター戦③
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戦斧と槍による連続攻撃は獣型モンスターの体力を徐々に奪っていた。しかし、それは同時に振るい続けるグランザの体力をも消耗させている。
「治癒魔術!」
リャッカによる治癒魔術のお陰で疲労と傷はかなり抑えられている。だが、獣型モンスターとの激しい攻防戦においてはそれも追いつかなくなっていた。
「でやぁぁぁぁぁぁっ!!」
グランザは体力を振り絞って攻撃を続ける。
バシィィッ
一瞬の隙をついて獣型モンスターは太く逞しい尻尾を鞭のように動かし、グランザの槍を弾き飛ばした。
「あっ!」
グランザは短く声をあげる。手から放れた槍は少し離れた位置に突き刺さった。それに気をとられた隙に獣型モンスターの鋭い爪攻撃がグランザの頬に炸裂する。
「ガァッ!」
獣型モンスターは追撃の手を一切緩めない。後ろ足で大地を蹴り、グランザの顔面に牙を突き立てようと飛びかかっていく。
「させないニャ! 真空刃魔術!!」
真空の刃が獣型モンスターの尻尾に深い切り傷を残していく。
「グォォォォォン!!」
獣型モンスターは吠え、地面を転げ回る。その間に突き刺さったままの槍を引き抜いたグランザは愛用の2つの武器を構える。
「ガルルルルルルルル!!……」
鼻の頭に皺を寄せ、眼光鋭く、全身の体毛を逆立てて威嚇し、前傾姿勢をとる獣型モンスターからは凄まじい殺気を感じずにはいられない。
グランザは頬の傷が疼くのをこらえ、目の前の敵に全神経を集中する。ウラボスがいない今、間違っても狂戦士化してしまうわけにはいかない。あくまでも戦士グランザとして勝利しなければ……。
「ふぅぅぅぅ……」
ゆっくりと深呼吸し、自らの精神を落ち着かせる。
「グガァァァァァァァッ!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
獣型モンスターとグランザは同時に雄叫びをあげ、相手に向かって駆け出した。
「剛力魔術! 武具強化魔術!」
リャッカは補助魔術を連続詠唱し、グランザをサポートする。
獣型モンスターの左前足の爪攻撃をかわす。直後に繰り出された右前足の爪攻撃はグランザの鎧の肩部の引き裂き、中の肉をえぐり、鮮血が噴き出した。
それにかまうことなく、グランザは両手にありったけの力を込めて反撃にでる。身体を回転させて遠心力をつけ、戦斧で獣型モンスターの首筋を斬りつけ、間髪入れずに横っ腹に槍を深々と突き刺した。さらに、戦斧を頭上に高々と掲げ、渾身の力をもって振り下ろした。
「グォォ…………」
獣型モンスターは最後に力なく声を発すると、透明の体液だけを残して跡形もなく消滅する。
「大丈夫かニャ!?」
勝利をおさめたグランザにリャッカが駆け寄り、治癒魔術を詠唱して治療しながら、リアーナのほうに視線を流す。
◎
「我が秘術、とくと味わいなさい!」
ルアンは右手に集めた魔力をリアーナへと一気に流し込んだ。
「あれは!?」
リャッカが声をあげる。
「リャッカ、あの術を知ってるの?」
グランザが訊く。
「あれは淫魔が使う精神支配の秘術ニャ!」
「それじゃ、早く助けないと!!」
グランザが重い身体を動かすが、リャッカはそれを制止する。
「ちょっと待つニャ!」
リャッカに止められ、グランザは黙って見守る。
「ククククク……」
リアーナの精神を支配し、全てを思いのままにできることを確信していたルアンは笑みを浮かべ、その時を待っている。だが……
「ここは!?」
気がついたリアーナは洗脳されてなどいなかった。
「バカな!? わたくしの秘術が効かなかったというのか!?」
ルアンは狼狽している。まさか、人間の娘に秘術を破られるなど予想だにしない展開であった。
「……今のは、あなたが作り出した幻覚なのね……。だったら、あなたを絶対に許すわけにはいかない!!」
リアーナからかつてないほどの闘志が溢れだす。
「治癒魔術!」
リャッカによる治癒魔術のお陰で疲労と傷はかなり抑えられている。だが、獣型モンスターとの激しい攻防戦においてはそれも追いつかなくなっていた。
「でやぁぁぁぁぁぁっ!!」
グランザは体力を振り絞って攻撃を続ける。
バシィィッ
一瞬の隙をついて獣型モンスターは太く逞しい尻尾を鞭のように動かし、グランザの槍を弾き飛ばした。
「あっ!」
グランザは短く声をあげる。手から放れた槍は少し離れた位置に突き刺さった。それに気をとられた隙に獣型モンスターの鋭い爪攻撃がグランザの頬に炸裂する。
「ガァッ!」
獣型モンスターは追撃の手を一切緩めない。後ろ足で大地を蹴り、グランザの顔面に牙を突き立てようと飛びかかっていく。
「させないニャ! 真空刃魔術!!」
真空の刃が獣型モンスターの尻尾に深い切り傷を残していく。
「グォォォォォン!!」
獣型モンスターは吠え、地面を転げ回る。その間に突き刺さったままの槍を引き抜いたグランザは愛用の2つの武器を構える。
「ガルルルルルルルル!!……」
鼻の頭に皺を寄せ、眼光鋭く、全身の体毛を逆立てて威嚇し、前傾姿勢をとる獣型モンスターからは凄まじい殺気を感じずにはいられない。
グランザは頬の傷が疼くのをこらえ、目の前の敵に全神経を集中する。ウラボスがいない今、間違っても狂戦士化してしまうわけにはいかない。あくまでも戦士グランザとして勝利しなければ……。
「ふぅぅぅぅ……」
ゆっくりと深呼吸し、自らの精神を落ち着かせる。
「グガァァァァァァァッ!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
獣型モンスターとグランザは同時に雄叫びをあげ、相手に向かって駆け出した。
「剛力魔術! 武具強化魔術!」
リャッカは補助魔術を連続詠唱し、グランザをサポートする。
獣型モンスターの左前足の爪攻撃をかわす。直後に繰り出された右前足の爪攻撃はグランザの鎧の肩部の引き裂き、中の肉をえぐり、鮮血が噴き出した。
それにかまうことなく、グランザは両手にありったけの力を込めて反撃にでる。身体を回転させて遠心力をつけ、戦斧で獣型モンスターの首筋を斬りつけ、間髪入れずに横っ腹に槍を深々と突き刺した。さらに、戦斧を頭上に高々と掲げ、渾身の力をもって振り下ろした。
「グォォ…………」
獣型モンスターは最後に力なく声を発すると、透明の体液だけを残して跡形もなく消滅する。
「大丈夫かニャ!?」
勝利をおさめたグランザにリャッカが駆け寄り、治癒魔術を詠唱して治療しながら、リアーナのほうに視線を流す。
◎
「我が秘術、とくと味わいなさい!」
ルアンは右手に集めた魔力をリアーナへと一気に流し込んだ。
「あれは!?」
リャッカが声をあげる。
「リャッカ、あの術を知ってるの?」
グランザが訊く。
「あれは淫魔が使う精神支配の秘術ニャ!」
「それじゃ、早く助けないと!!」
グランザが重い身体を動かすが、リャッカはそれを制止する。
「ちょっと待つニャ!」
リャッカに止められ、グランザは黙って見守る。
「ククククク……」
リアーナの精神を支配し、全てを思いのままにできることを確信していたルアンは笑みを浮かべ、その時を待っている。だが……
「ここは!?」
気がついたリアーナは洗脳されてなどいなかった。
「バカな!? わたくしの秘術が効かなかったというのか!?」
ルアンは狼狽している。まさか、人間の娘に秘術を破られるなど予想だにしない展開であった。
「……今のは、あなたが作り出した幻覚なのね……。だったら、あなたを絶対に許すわけにはいかない!!」
リアーナからかつてないほどの闘志が溢れだす。
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