冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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4章 呪われたウラボス

STORY65 ウラちゃんのミルクタイム

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 リアーナがウラボスの添い寝から目覚めた時には町は夕日に紅く染まっていた。

 「もうこんな時間!? ウラちゃんにミルクをあげなきゃ!」

 「ミルク? 大丈夫ニャ。赤ちゃんとはいえウラボスなら少しくらい食べなくても死なないニャ!」

 リャッカが冗談めかして言う。

 「リャッカちゃん!!」

 「そうだよ、リャッカ。元はといえばリャッカが軽はずみなことをするからウラボスさんがひどい目に遭ってるんだよ!?」

 「だっ!…うっ!」

 リアーナとグランザから即座に非難され、ウラちゃんからもバッシングされているように思われる。

 「ごめんなさいニャ……。すぐにミルクを買ってくるから許してくださいニャ……」

 リャッカはしょんぼりしつつ部屋を出ていく。



 「ただいまニャ!」

 リャッカはすぐに粉ミルクや哺乳瓶を手に戻ってきた。

 「ご苦労様。あとはわたしがやるからリャッカちゃんは休んでてね」

 リャッカから荷物を受け取ったリアーナは早速ミルク作りを開始する。

 粉ミルクを適量計って哺乳瓶に入れる。予め沸かしたあと冷ましておいた湯を哺乳瓶に流し入れ、円を描くように哺乳瓶を揺らして粉ミルクを溶かす。さらに湯を追加して軽く振り、水に浸けて体温くらいまで冷ます。

 一連の作業を流れるようにこなしていくリアーナ。グランザもリャッカもただただ見とれていた。

 「さぁ、ウラちゃん。ミルクの時間よ」

 完成したミルクが人肌程度であることを確認し、リアーナはウラちゃんを横抱きにする。それから哺乳瓶の乳首部分をウラちゃんの口に含ませ、ミルクがたまる程度に傾けて飲ませる。

 「す…すごいニャ……」

 「完全に手慣れてるよね……」

 リャッカとグランザはリアーナに頼もしさすら感じていた。



 ミルクを飲み終えると、リアーナはウラちゃんを肩にもたれ掛けさせるように縦に抱き、膝の上に座らせる。それから背中を軽くトントンとたたいてげっぷをさせ、ミルクと一緒に飲んだ空気を吐き出させた。

 「ん? 2人とも、どうかしたの?」

 自分を見つめる視線に気づいたリアーナが訊く。

 「なんていうか…ベテランのママみたいニャ……」

 「すごすぎて頼もしいです」

 リャッカとグランザから尊敬にも似た眼差しを向けられて照れ笑いするリアーナ。

 「もう……。大げさすぎよ。これくらい慣れればできるようになるわよ」

 「リアーナはどこで身につけたのかニャ?」

 リャッカから出された質問にリアーナの表情が僅かに陰る。

 「わたしね、孤児院で育ったんだ……。本当のお父さんもお母さんも知らないの。そこには弟や妹みたいな子もたくさんいてね、ウラちゃんくらいの子もいたの。だから……」

 「…そう、だったんですね……」

 「リアーナにそんな過去があったなんて知らなかったニャ……」

 グランザとリャッカはそこから先の言葉を見つけられず黙ってしまう。

 「えっ……そんなに暗くならないでよ! わたしは、リャッカちゃんやグランザ、それにウラボスと一緒に冒険できて毎日がすごく楽しいし、幸せだからね! 本当よ?」

 「うん、あたしもみんなと冒険できて楽しいニャ!」

 「もちろん、僕だってそうですよ!」

 3人は顔を見合わせ、やがて、なんとなくおかしくなって笑い合った。
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