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4章 呪われたウラボス
STORY71 リアーナの過去
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「よかった! 呪いが解けたのね!?」
リアーナが歓喜の声をあげる。
「ああ。心配かけてしまったな」
「ううん。ウラボスが無事なら……」
「さて……」
ウラボスはゼルアルへと視線を移す。
「ウラボス、気をつけるニャ!」
「今度は僕たちも加勢します!」
リャッカとグランザはゼルアルの動向を注視している。
「落ち着けよ。そいつに戦う意思はなさそうだぜ。そうだろ?」
ウラボスの言葉にゼルアルはフッと息を漏らす。
「なんだよ、つまらねぇな。少しは慌てるところでも見られるかと思ったのによ」
ゼルアルが残念そうに話す。
「どういうことですか?」
臨戦態勢を解きながらグランザが訊く。
「そいつがその気ならすでに戦闘は始まっていたはずだ」
「まぁな。俺だって裸にシーツ1枚だけのやつを相手に本気でむかっていくほど堕ちちゃいないさ」
「だそうだ。とりあえず食事でもしながら話すとしようか」
ウラボスの提案により一同は町の飲食店で食事することになった。
◎
《食事処ウラちゃん》という、今のウラボスにとっては入店を躊躇いたくなるような店名の店に、暁の渡り鳥とゼルアルはやってきた。
「ほぉ、呪いねぇ……」
ゼルアルはローストビーフを頬張りながら言う。
「しっかし、おまえに呪いが効くってのも意外な気がするぜ」
口の中のローストビーフを呑み込んだゼルアルが発した言葉にリャッカが反応する。
「そうニャ。ウラボスに呪いが効くなんておかしいニャ!」
まるで自分の無実を主張するかのような様子を見せるリャッカ。
「べつにおかしくはないだろ。…というか、リャッカ。あの呪いを受けたのが俺じゃなかったらどうするつもりだったんだ?」
「ニャ?」
「幼児化するだけならまだいい。もし、リアーナやリャッカが異空間に閉じ込められれば脱出は難しかったはずだ。そこを理解してるのかと訊いてるんだ」
「ウニャア……ごめんなさいニャ…」
リャッカはしょんぼりと肩を落とし項垂れる。
「これを教訓にして、今後は軽はずみな行動は慎むんだな」
「はいニャ」
ウラボスに説教され、落ち込むリャッカの頭をリアーナが撫でる。
「もう、しないよね? リャッカちゃん」
「しないニャ! やっぱりリアーナは優しいニャ!!」
リャッカは猫形態になってリアーナの胸に飛び込む。
「…まったく、本当に反省してるのか?……」
その様子にウラボスはため息をつく。
「なんだ、羨ましいのか?」
隣の席でゼルアルがニヤリと笑う。
「おまえまで……」
ウラボスはさらに深いため息を漏らす。
「ところで、リアーナ嬢ちゃん。ひとつ訊いてもいいか?」
「…はい、どうぞ……」
リアーナは膝に乗ったリャッカを撫でながら答える。
「あの草原での会話からすると、グロアとかいうゲス勇者とは元々知り合いだったんだよな?」
「……ええ……」
リアーナの表情が暗くなる。
「ニャッ!? ゼルアル、無神経ニャ!」
リアーナの膝の上からリャッカが睨む。
「いいのよ、リャッカちゃん」
リアーナはリャッカを制止すると、ひとつ大きく深呼吸する。そして、ゆっくりと自分の過去を話し始めた。
「わたしが孤児院で育ったって話はしたよね? みんな優しくしてくれて、わたしはすごく幸せだった…。でもね、運営はかなり厳しかったみたいなの。そのことを知ったら、どうしてもじっとしてられなくなって……。それで、ある夜に書き置きを残して、こっそり旅立つことにしたの」
「すごい行動力ですね」
グランザが素直な感想を漏らす。
「今になってみると、後先を考えてなかっただけなんだけどね……。それで、町に着くとすぐに雇ってくれるところを探したわ。でも、何も知らない世間知らずの少女を雇ってくれる所なんて見つからなかったの……」
「いかがわしいお店に行かなくてよかったニャ……」
リャッカはハラハラしながら話を聞いている。
「それで、最後に行き着いた冒険者ギルドでグロアも出会ってしまったの……。それまで不安でいっぱいだったわたしはグロアの偽りの優しさに惑わされて、あいつのパーティーに入っちゃったんだ……」
「ひどいです! 不安になってる気持ちにつけこむなんて!!」
グランザが憤りを感じている。
「でね、少しの間だけど一緒に旅するうちにグロアが本当は女性を自らの欲望を満たす道具としてしか見ていない最低なやつだって気づいて……。そしたら、怖くなって夜中に逃げ出して、あいつのパーティーからの脱退手続きを終えたんだ……。そのあと、キャルトの町へ行って冒険者として登録し直して、スライム退治の依頼を受けて……」
リアーナはそこまで話してウラボスに視線を移す。
「俺と出会ったと……」
「うん!」
ウラボスの言葉をリアーナは微笑みながら肯定する。
リアーナが歓喜の声をあげる。
「ああ。心配かけてしまったな」
「ううん。ウラボスが無事なら……」
「さて……」
ウラボスはゼルアルへと視線を移す。
「ウラボス、気をつけるニャ!」
「今度は僕たちも加勢します!」
リャッカとグランザはゼルアルの動向を注視している。
「落ち着けよ。そいつに戦う意思はなさそうだぜ。そうだろ?」
ウラボスの言葉にゼルアルはフッと息を漏らす。
「なんだよ、つまらねぇな。少しは慌てるところでも見られるかと思ったのによ」
ゼルアルが残念そうに話す。
「どういうことですか?」
臨戦態勢を解きながらグランザが訊く。
「そいつがその気ならすでに戦闘は始まっていたはずだ」
「まぁな。俺だって裸にシーツ1枚だけのやつを相手に本気でむかっていくほど堕ちちゃいないさ」
「だそうだ。とりあえず食事でもしながら話すとしようか」
ウラボスの提案により一同は町の飲食店で食事することになった。
◎
《食事処ウラちゃん》という、今のウラボスにとっては入店を躊躇いたくなるような店名の店に、暁の渡り鳥とゼルアルはやってきた。
「ほぉ、呪いねぇ……」
ゼルアルはローストビーフを頬張りながら言う。
「しっかし、おまえに呪いが効くってのも意外な気がするぜ」
口の中のローストビーフを呑み込んだゼルアルが発した言葉にリャッカが反応する。
「そうニャ。ウラボスに呪いが効くなんておかしいニャ!」
まるで自分の無実を主張するかのような様子を見せるリャッカ。
「べつにおかしくはないだろ。…というか、リャッカ。あの呪いを受けたのが俺じゃなかったらどうするつもりだったんだ?」
「ニャ?」
「幼児化するだけならまだいい。もし、リアーナやリャッカが異空間に閉じ込められれば脱出は難しかったはずだ。そこを理解してるのかと訊いてるんだ」
「ウニャア……ごめんなさいニャ…」
リャッカはしょんぼりと肩を落とし項垂れる。
「これを教訓にして、今後は軽はずみな行動は慎むんだな」
「はいニャ」
ウラボスに説教され、落ち込むリャッカの頭をリアーナが撫でる。
「もう、しないよね? リャッカちゃん」
「しないニャ! やっぱりリアーナは優しいニャ!!」
リャッカは猫形態になってリアーナの胸に飛び込む。
「…まったく、本当に反省してるのか?……」
その様子にウラボスはため息をつく。
「なんだ、羨ましいのか?」
隣の席でゼルアルがニヤリと笑う。
「おまえまで……」
ウラボスはさらに深いため息を漏らす。
「ところで、リアーナ嬢ちゃん。ひとつ訊いてもいいか?」
「…はい、どうぞ……」
リアーナは膝に乗ったリャッカを撫でながら答える。
「あの草原での会話からすると、グロアとかいうゲス勇者とは元々知り合いだったんだよな?」
「……ええ……」
リアーナの表情が暗くなる。
「ニャッ!? ゼルアル、無神経ニャ!」
リアーナの膝の上からリャッカが睨む。
「いいのよ、リャッカちゃん」
リアーナはリャッカを制止すると、ひとつ大きく深呼吸する。そして、ゆっくりと自分の過去を話し始めた。
「わたしが孤児院で育ったって話はしたよね? みんな優しくしてくれて、わたしはすごく幸せだった…。でもね、運営はかなり厳しかったみたいなの。そのことを知ったら、どうしてもじっとしてられなくなって……。それで、ある夜に書き置きを残して、こっそり旅立つことにしたの」
「すごい行動力ですね」
グランザが素直な感想を漏らす。
「今になってみると、後先を考えてなかっただけなんだけどね……。それで、町に着くとすぐに雇ってくれるところを探したわ。でも、何も知らない世間知らずの少女を雇ってくれる所なんて見つからなかったの……」
「いかがわしいお店に行かなくてよかったニャ……」
リャッカはハラハラしながら話を聞いている。
「それで、最後に行き着いた冒険者ギルドでグロアも出会ってしまったの……。それまで不安でいっぱいだったわたしはグロアの偽りの優しさに惑わされて、あいつのパーティーに入っちゃったんだ……」
「ひどいです! 不安になってる気持ちにつけこむなんて!!」
グランザが憤りを感じている。
「でね、少しの間だけど一緒に旅するうちにグロアが本当は女性を自らの欲望を満たす道具としてしか見ていない最低なやつだって気づいて……。そしたら、怖くなって夜中に逃げ出して、あいつのパーティーからの脱退手続きを終えたんだ……。そのあと、キャルトの町へ行って冒険者として登録し直して、スライム退治の依頼を受けて……」
リアーナはそこまで話してウラボスに視線を移す。
「俺と出会ったと……」
「うん!」
ウラボスの言葉をリアーナは微笑みながら肯定する。
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