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4章 呪われたウラボス
STORY75 ウラボスとゼルアル
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「よぉ、お疲れ!」
町に戻ってきたウラボスをゼルアルが出迎える。
「…気付いてたのか……」
「へへ、まぁな。ウラボスはこうやって陰ながらリアーナを守ってるわけか。ご苦労なこった」
ゼルアルの言葉にウラボスはフッと息を漏らす。
「俺は大したことはしちゃいないさ。それに勝手にやってるだけだ。……それより、あれから何か思い出せたのか?」
「ん? ああ、おまえを消すよう依頼してきたやつのことか……。前にも話したが、よく思い出せないんだが…たぶん、女だったような気がするんだよなぁ……」
「女だと?」
「何か思い当たる節でもあるのかよ?」
(その依頼者が、ゼルアルが俺に敗北した場合に備えて情報が漏洩することを防ぐために魔術をかけておいたとすると魔術を得意としている可能性が高い。俺が真なる支配者であるということを知り、魔術に長けた人物で心当たりがあるのは一人だけだ。しかし…)
「おい、どうした?」
地面に視線を落としたまま、何かを考え込んでいるウラボスにゼルアルが声を掛ける。
「なぁ、そいつは若かったか?」
ウラボスは真剣な目でゼルアルを見つめる。
「……そうだな…断言はできないが、たぶん若い女だったような気がするぜ」
(やはり、そうか……)
「心当たりがあるんだな?」
今度はゼルアルがウラボスを見つめる。
「ああ。俺が真なる支配者であることを知り、魔術に長けた若い女。この条件に当てはまる人物を一人だけ知ってはいるんだが……」
「だれだよ!?」
「俺が元々いた場所を離れて旅に出るきっかけとなった魔族の女で、名前はアリムル…だったか?」
ウラボスは記憶を探りながら呟く。
「魔族の女……。言われてみればたしかに人間の女とは少し違った雰囲気だった気もするな……。そいつがおまえを殺そうとする理由はあるのか?」
「いや、殺されるほど恨まれている覚えはないが…」
「だが、そのアリムルとかいう魔族の女がいちばんあやしいんだよな?」
「ああ。今のところはだがな……」
ウラボスはアリムルが裏で糸を引いている人物であると確信を持てないでいる。
「それに、気になるのはそれだけじゃない。先日、俺は元いた場所に戻ったんだが妙なじいさんに逢った」
「妙なじいさん?」
ゼルアルが復唱し、ウラボスは首肯する。
「ああ。ジャダーザと名乗っていた。あれも人間ではない。そして、かなりの手練れだった…」
「……そのじいさんもおまえにとって敵なのか?」
ゼルアルの言葉にウラボスは首を横に振る。
「いいや。今のところは敵意は感じられなかった。ジャダーザもまた俺を殺そうとしている人物について調べるとか言っていたが…」
「裏でなにやら動いてる連中がいるってことか。いったい何がどうなってんだよ!?」
「……今はこれ以上考えても答えは出そうにない。それに、いずれやつらのほうから何らかの動きを見せることになるだろ。さて、宿に戻るとしよう。遅くなるとリアーナが心配するだろうしな」
「だな!」
ウラボスとゼルアルは揃って宿に向かって歩きだした。
町に戻ってきたウラボスをゼルアルが出迎える。
「…気付いてたのか……」
「へへ、まぁな。ウラボスはこうやって陰ながらリアーナを守ってるわけか。ご苦労なこった」
ゼルアルの言葉にウラボスはフッと息を漏らす。
「俺は大したことはしちゃいないさ。それに勝手にやってるだけだ。……それより、あれから何か思い出せたのか?」
「ん? ああ、おまえを消すよう依頼してきたやつのことか……。前にも話したが、よく思い出せないんだが…たぶん、女だったような気がするんだよなぁ……」
「女だと?」
「何か思い当たる節でもあるのかよ?」
(その依頼者が、ゼルアルが俺に敗北した場合に備えて情報が漏洩することを防ぐために魔術をかけておいたとすると魔術を得意としている可能性が高い。俺が真なる支配者であるということを知り、魔術に長けた人物で心当たりがあるのは一人だけだ。しかし…)
「おい、どうした?」
地面に視線を落としたまま、何かを考え込んでいるウラボスにゼルアルが声を掛ける。
「なぁ、そいつは若かったか?」
ウラボスは真剣な目でゼルアルを見つめる。
「……そうだな…断言はできないが、たぶん若い女だったような気がするぜ」
(やはり、そうか……)
「心当たりがあるんだな?」
今度はゼルアルがウラボスを見つめる。
「ああ。俺が真なる支配者であることを知り、魔術に長けた若い女。この条件に当てはまる人物を一人だけ知ってはいるんだが……」
「だれだよ!?」
「俺が元々いた場所を離れて旅に出るきっかけとなった魔族の女で、名前はアリムル…だったか?」
ウラボスは記憶を探りながら呟く。
「魔族の女……。言われてみればたしかに人間の女とは少し違った雰囲気だった気もするな……。そいつがおまえを殺そうとする理由はあるのか?」
「いや、殺されるほど恨まれている覚えはないが…」
「だが、そのアリムルとかいう魔族の女がいちばんあやしいんだよな?」
「ああ。今のところはだがな……」
ウラボスはアリムルが裏で糸を引いている人物であると確信を持てないでいる。
「それに、気になるのはそれだけじゃない。先日、俺は元いた場所に戻ったんだが妙なじいさんに逢った」
「妙なじいさん?」
ゼルアルが復唱し、ウラボスは首肯する。
「ああ。ジャダーザと名乗っていた。あれも人間ではない。そして、かなりの手練れだった…」
「……そのじいさんもおまえにとって敵なのか?」
ゼルアルの言葉にウラボスは首を横に振る。
「いいや。今のところは敵意は感じられなかった。ジャダーザもまた俺を殺そうとしている人物について調べるとか言っていたが…」
「裏でなにやら動いてる連中がいるってことか。いったい何がどうなってんだよ!?」
「……今はこれ以上考えても答えは出そうにない。それに、いずれやつらのほうから何らかの動きを見せることになるだろ。さて、宿に戻るとしよう。遅くなるとリアーナが心配するだろうしな」
「だな!」
ウラボスとゼルアルは揃って宿に向かって歩きだした。
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