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5章 幸運の獣
STORY88 ゼヴァノンの拠点への潜入②
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「ニャニャニャッ」
リャッカは軽やかな身のこなしで飛んでくる針をかわす。
「あっぶないニャア…。廃屋とはいえ、中をトラップだらけにするのはどうかと思うニャ! もしも、だれかが入ってきたらたどうするつもりなのかニャ!?」
相手もいないというのに正論をぶちまけて文句をつけるリャッカ。だが、部屋から出た直後にすぐ近くに人の気配を感じ、全身の毛を逆立てて飛び退く。
「あっ、ごめん。驚かせちゃったね…」
リアーナが声をかける。その声と姿に安堵して、ようやく警戒を解く。
「いいニャ。それよりゼヴァノンはどこに行ったのかニャ?」
リャッカが腕を組んで考える。
「それにこの家ってトラップだらけだよね…」
「そうニャ。侵入してきたやつを殺す気が満々だニャ……」
「ねぇ、もしかして一足違いでどっかに行っちゃったのかな?」
リアーナが不安げに意見を求めてくる。
「どうかニャ……」
(たしかに、ジョーは時間的に余裕がないようなことを言ってたニャ。でも、夕暮れとはいえまだ人通りはけっこうあるニャ。この中をカーバンクルを連れて移動するのはリスクが高すぎるニャ。だとすれば、この廃屋のどこかに隠し部屋が存在するとか?)
リャッカが思考を巡らせる。
「ねぇ、リャッカちゃん。気になってるんだけど、あれって何かな?」
リアーナが廊下の突き当たりの壁に掛けられた絵画を指差す。
「あれがどうかしたのかニャ?」
リャッカが怪訝な表情で訊く。
「あの絵の額縁の角のところにね、細い紐があるの。さっき気付いたんだけど、やっぱりトラップなのかな?」
リアーナが緊張した面持ちで訊く。
「……とにかく調べてみるニャ」
リャッカは近寄って見る。
(たしかに怪しいニャ。でも、引っ張ってトラップに引っかかるのは嫌ニャ)
リャッカはグジン族の遺跡での一件を思い出し、慎重になっている。しかし、現時点ではこれ以外に怪しい箇所は発見できておらず、また残された時間も限られている。
リャッカはリアーナと協力して周りにトラップになりそうな箇所がないか念入りに探るが見つからない。
「リアーナ、あたしにしっかり掴まってるニャ」
「うん!」
リアーナはリャッカの指示に従う。
「いくニャ!」
意を決して紐を引く。
ガコンッ
何かの音がする。
バンッ
「きゃっ!」
突然、足元の床が開く。リアーナは思わず声をあげる。しかし、落下しない。リャッカが前もって飛行魔術を施しておいたのが奏功した。
リャッカはそのまま安全なところまで移動して着地する。
「もしかして、この下に?」
「可能性が高いニャ。でも、進む前にここをウラボスに見張っててもらうニャ」
「そうね。もし、閉まっちゃったら閉じ込められる可能性があるもんね!」
リアーナの言葉に頷くリャッカ。
◎
「なるほどね。…わかった。ここは引き受けよう」
事情を聞いたウラボスが快諾する。
「これで安心ニャ」
「うん、行こう!」
リアーナとリャッカは互いに顔を見合い、地下への階段を下りていった。
リャッカは軽やかな身のこなしで飛んでくる針をかわす。
「あっぶないニャア…。廃屋とはいえ、中をトラップだらけにするのはどうかと思うニャ! もしも、だれかが入ってきたらたどうするつもりなのかニャ!?」
相手もいないというのに正論をぶちまけて文句をつけるリャッカ。だが、部屋から出た直後にすぐ近くに人の気配を感じ、全身の毛を逆立てて飛び退く。
「あっ、ごめん。驚かせちゃったね…」
リアーナが声をかける。その声と姿に安堵して、ようやく警戒を解く。
「いいニャ。それよりゼヴァノンはどこに行ったのかニャ?」
リャッカが腕を組んで考える。
「それにこの家ってトラップだらけだよね…」
「そうニャ。侵入してきたやつを殺す気が満々だニャ……」
「ねぇ、もしかして一足違いでどっかに行っちゃったのかな?」
リアーナが不安げに意見を求めてくる。
「どうかニャ……」
(たしかに、ジョーは時間的に余裕がないようなことを言ってたニャ。でも、夕暮れとはいえまだ人通りはけっこうあるニャ。この中をカーバンクルを連れて移動するのはリスクが高すぎるニャ。だとすれば、この廃屋のどこかに隠し部屋が存在するとか?)
リャッカが思考を巡らせる。
「ねぇ、リャッカちゃん。気になってるんだけど、あれって何かな?」
リアーナが廊下の突き当たりの壁に掛けられた絵画を指差す。
「あれがどうかしたのかニャ?」
リャッカが怪訝な表情で訊く。
「あの絵の額縁の角のところにね、細い紐があるの。さっき気付いたんだけど、やっぱりトラップなのかな?」
リアーナが緊張した面持ちで訊く。
「……とにかく調べてみるニャ」
リャッカは近寄って見る。
(たしかに怪しいニャ。でも、引っ張ってトラップに引っかかるのは嫌ニャ)
リャッカはグジン族の遺跡での一件を思い出し、慎重になっている。しかし、現時点ではこれ以外に怪しい箇所は発見できておらず、また残された時間も限られている。
リャッカはリアーナと協力して周りにトラップになりそうな箇所がないか念入りに探るが見つからない。
「リアーナ、あたしにしっかり掴まってるニャ」
「うん!」
リアーナはリャッカの指示に従う。
「いくニャ!」
意を決して紐を引く。
ガコンッ
何かの音がする。
バンッ
「きゃっ!」
突然、足元の床が開く。リアーナは思わず声をあげる。しかし、落下しない。リャッカが前もって飛行魔術を施しておいたのが奏功した。
リャッカはそのまま安全なところまで移動して着地する。
「もしかして、この下に?」
「可能性が高いニャ。でも、進む前にここをウラボスに見張っててもらうニャ」
「そうね。もし、閉まっちゃったら閉じ込められる可能性があるもんね!」
リアーナの言葉に頷くリャッカ。
◎
「なるほどね。…わかった。ここは引き受けよう」
事情を聞いたウラボスが快諾する。
「これで安心ニャ」
「うん、行こう!」
リアーナとリャッカは互いに顔を見合い、地下への階段を下りていった。
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