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6章 オーク大戦
STORY111 欲望①
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「はぁ……今回はさすがに疲れたわ。全身が痛いし……」
洞窟を引き返す途中で、ぐったりとした様子のニーネが漏らす。
「まぁまぁ、命があっただけでもよかったじゃない。……あっ、洞窟を抜けるよ!」
隣を歩くサナが言い、前方の明かりを指差す。
「ホントだ! 私たち助かったんだね!!」
ニーネが明かりに向かって駆け出し、後ろを振り返って大きく手を振る。
「早く早く! 街に戻ったら暫くはゆっく……」
ドスッ
突然だった。ニーネが前のめりに倒れる。
「ニーネ!!」
サナが慌てて駆け寄る。
「行くな! 戻れ!!」
ウラボスが呼び戻すが遅かった。駆け寄ったサナの頭部に矢が突き刺さる。
「オークどもか!?」
ベイズが長剣と大剣を構える。
「待て。まずは俺とリャッカが行く。防御は任せてもらおう。リャッカは二人を頼む」
「わかったニャ!」
ウラボスとリャッカは互いに目配せして同時に駆ける。
「防御魔術」
ウラボスが詠唱発動することでバリアを生じさせた直後、大量の矢が飛んできた。
「どうだ?」
ウラボスはリャッカに訊く。が、リャッカは眼を閉じて首を横に振る。
「ダメだニャ。二人とももう息はないニャ……」
リャッカは沈んだ声で告げる。
「そうか。とにかく二人の遺体を奥へ……。これ以上傷つけたくはない」
リャッカはグランザとベイズに視線を向ける。瞬時に理解した二人はすぐさまニーネとサナの遺体をリアーナがいる所まで連れてくる。それを確認してウラボスとリャッカも一度後退する。
「どうしてこんな酷いことを!」
リアーナが怒りに震える。
「もう、戦いは終わったんじゃねぇのかよ!?」
ベイズは洞窟の壁を殴り、悔しさを滲ませる。
「相手はオークじゃないニャ…」
リャッカが沈痛な面持ちで言う。
「なんだと!? じゃあ、いったい……」
「ルチヌムの冒険者たちだ」
「まさか!? 信じられん!!」
ウラボスの言葉にベイズの表情が硬くなる。
「だったら、自分の目で確かめるんだな。まずは俺一人で先陣をきって飛び出す。入り口周辺の奴らを一掃したら声をかける。そのあとはリャッカを先頭に順次出てくるんだ」
ウラボスの提案した作戦に全員が頷く。
「ウラボス、気をつけてね! 無茶しちゃダメなんだからね!?」
リアーナが心配そうにウラボスを見つめる。
「そんな顔をするなよ。俺なら大丈夫だって!」
ウラボスはリアーナの頭を軽く撫でたあと、洞窟の入り口へと駆け出す。その背中をリアーナは見守っていた。
洞窟を引き返す途中で、ぐったりとした様子のニーネが漏らす。
「まぁまぁ、命があっただけでもよかったじゃない。……あっ、洞窟を抜けるよ!」
隣を歩くサナが言い、前方の明かりを指差す。
「ホントだ! 私たち助かったんだね!!」
ニーネが明かりに向かって駆け出し、後ろを振り返って大きく手を振る。
「早く早く! 街に戻ったら暫くはゆっく……」
ドスッ
突然だった。ニーネが前のめりに倒れる。
「ニーネ!!」
サナが慌てて駆け寄る。
「行くな! 戻れ!!」
ウラボスが呼び戻すが遅かった。駆け寄ったサナの頭部に矢が突き刺さる。
「オークどもか!?」
ベイズが長剣と大剣を構える。
「待て。まずは俺とリャッカが行く。防御は任せてもらおう。リャッカは二人を頼む」
「わかったニャ!」
ウラボスとリャッカは互いに目配せして同時に駆ける。
「防御魔術」
ウラボスが詠唱発動することでバリアを生じさせた直後、大量の矢が飛んできた。
「どうだ?」
ウラボスはリャッカに訊く。が、リャッカは眼を閉じて首を横に振る。
「ダメだニャ。二人とももう息はないニャ……」
リャッカは沈んだ声で告げる。
「そうか。とにかく二人の遺体を奥へ……。これ以上傷つけたくはない」
リャッカはグランザとベイズに視線を向ける。瞬時に理解した二人はすぐさまニーネとサナの遺体をリアーナがいる所まで連れてくる。それを確認してウラボスとリャッカも一度後退する。
「どうしてこんな酷いことを!」
リアーナが怒りに震える。
「もう、戦いは終わったんじゃねぇのかよ!?」
ベイズは洞窟の壁を殴り、悔しさを滲ませる。
「相手はオークじゃないニャ…」
リャッカが沈痛な面持ちで言う。
「なんだと!? じゃあ、いったい……」
「ルチヌムの冒険者たちだ」
「まさか!? 信じられん!!」
ウラボスの言葉にベイズの表情が硬くなる。
「だったら、自分の目で確かめるんだな。まずは俺一人で先陣をきって飛び出す。入り口周辺の奴らを一掃したら声をかける。そのあとはリャッカを先頭に順次出てくるんだ」
ウラボスの提案した作戦に全員が頷く。
「ウラボス、気をつけてね! 無茶しちゃダメなんだからね!?」
リアーナが心配そうにウラボスを見つめる。
「そんな顔をするなよ。俺なら大丈夫だって!」
ウラボスはリアーナの頭を軽く撫でたあと、洞窟の入り口へと駆け出す。その背中をリアーナは見守っていた。
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