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6章 オーク大戦
STORY114 もうひとつの事件①
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暁の渡り鳥たちがオーク掃討作戦に参戦しているころ、ルチヌムの街でも大事件が起きていた。
ルチヌムで最も大きい宿フラワー・ガーデン。その名のとおり建物の周囲が広大な花の庭園で囲まれている。その庭園を駆け抜ける人影がひとつ。猫又のクロである。
クロは真っ直ぐに建物を目指して進む。だが……
「侵入者だ!」
庭園を警戒していた警備員に発見されてしまった。さらにその声に他の警備員も集まってくる。
しかし、クロには焦りも動揺もなく、あるのは明確な殺意だけだ。
「ふん、雑魚どもが……。それほど死にたいのならば望みどおりにしてやろう」
黒い外套をはじめとした真っ黒コーディネートの黒髪の少年は、二又の尻尾を揺らしながら金色の瞳で取り囲んできた警備員たちを一瞥する。
「妖術・猫火!」
素早く印を結ぶ。クロの周りに蒼白い炎が出現した。
「な、なんだ!?」
初めて見る技に戸惑う警備員たち。
「こないのか? ならば、こちらから仕掛けさせてもらうぞ」
クロの腕の動きに合わせて縦横無尽に動き回る蒼白い炎は、警備員たちを次々に焼き払ってしまい、数秒後にはクロ以外にはだれも立っていなかった。
クロは、最後に腕を振って蒼白い炎を消すと建物の正面玄関口へと移動する。扉は施錠されていて、びくともしない。
「妖術・猫爪」
再び印を結んで巨大な黒鎌を出現させた。その柄部は槍状になっている。それを使っていとも容易く扉を切り裂いて破壊する。
「ほぉ…」
1階のロビーに侵入したクロを大勢の警備員が待ち構えていた。クロの存在は既に知れ渡っているようだ。しかし、クロにとってはどうということもはない。ただ、抹殺する相手が多くなるだけの話である。
「氷塊魔術!」
「氷柱豪雨魔術!」
警備員の魔術師が詠唱発動させたことで氷塊や氷柱が一斉にクロに向かって飛んでくる。
クロは素早い動きでそれらを全てかわし、まずは周りの警備員たちを黒鎌で切り裂いた。
鮮血を吹き出して崩れ落ちる警備員を尻目にターゲットを切り替える。
「ひぃ!」
睨まれた魔術師たちは顔を引き攣らせた。
「遅ぇ」
クロは魔術師たちの目では追いきれないほどの動きで移動し、一人残らず黒鎌の餌食とした。
「さぁて、今回の獲物は上だな」
クロは頭上を見上げて呟くと階段を駆け上がっていく。
途中で出会した警備員たちを問答無用で斬殺し、物凄い勢いで最上階までやってきた。
最上階は階段を上がりきるとすぐに頑丈な扉が行く手を遮っていた。が、黒鎌にかかれば紙切れ同然に切り裂かれた。
「よぉ、派手の暴れまわってきたみたいだな」
クロの前にウォー・ハンマーを持った大柄な男が立っている。
「だれだ、てめぇは?」
「俺は戦士デルガロック。冒険者としては少しは名が知れているんだがな?」
名乗ったデルガロックに対してクロは特に興味を示さない。
「知らねぇな。興味もねぇよ」
「興味もねぇって……。おまえさんが『だれだ、てめぇは?』って訊くから答えたんだろうが! まぁ、いい。とりあえず、今はこの宿のオーナーの護衛を引き受けてるんでな。悪ぃが、あんたの快進撃もここまでだ」
デルガロックはウォー・ハンマーを構えた。
ルチヌムで最も大きい宿フラワー・ガーデン。その名のとおり建物の周囲が広大な花の庭園で囲まれている。その庭園を駆け抜ける人影がひとつ。猫又のクロである。
クロは真っ直ぐに建物を目指して進む。だが……
「侵入者だ!」
庭園を警戒していた警備員に発見されてしまった。さらにその声に他の警備員も集まってくる。
しかし、クロには焦りも動揺もなく、あるのは明確な殺意だけだ。
「ふん、雑魚どもが……。それほど死にたいのならば望みどおりにしてやろう」
黒い外套をはじめとした真っ黒コーディネートの黒髪の少年は、二又の尻尾を揺らしながら金色の瞳で取り囲んできた警備員たちを一瞥する。
「妖術・猫火!」
素早く印を結ぶ。クロの周りに蒼白い炎が出現した。
「な、なんだ!?」
初めて見る技に戸惑う警備員たち。
「こないのか? ならば、こちらから仕掛けさせてもらうぞ」
クロの腕の動きに合わせて縦横無尽に動き回る蒼白い炎は、警備員たちを次々に焼き払ってしまい、数秒後にはクロ以外にはだれも立っていなかった。
クロは、最後に腕を振って蒼白い炎を消すと建物の正面玄関口へと移動する。扉は施錠されていて、びくともしない。
「妖術・猫爪」
再び印を結んで巨大な黒鎌を出現させた。その柄部は槍状になっている。それを使っていとも容易く扉を切り裂いて破壊する。
「ほぉ…」
1階のロビーに侵入したクロを大勢の警備員が待ち構えていた。クロの存在は既に知れ渡っているようだ。しかし、クロにとってはどうということもはない。ただ、抹殺する相手が多くなるだけの話である。
「氷塊魔術!」
「氷柱豪雨魔術!」
警備員の魔術師が詠唱発動させたことで氷塊や氷柱が一斉にクロに向かって飛んでくる。
クロは素早い動きでそれらを全てかわし、まずは周りの警備員たちを黒鎌で切り裂いた。
鮮血を吹き出して崩れ落ちる警備員を尻目にターゲットを切り替える。
「ひぃ!」
睨まれた魔術師たちは顔を引き攣らせた。
「遅ぇ」
クロは魔術師たちの目では追いきれないほどの動きで移動し、一人残らず黒鎌の餌食とした。
「さぁて、今回の獲物は上だな」
クロは頭上を見上げて呟くと階段を駆け上がっていく。
途中で出会した警備員たちを問答無用で斬殺し、物凄い勢いで最上階までやってきた。
最上階は階段を上がりきるとすぐに頑丈な扉が行く手を遮っていた。が、黒鎌にかかれば紙切れ同然に切り裂かれた。
「よぉ、派手の暴れまわってきたみたいだな」
クロの前にウォー・ハンマーを持った大柄な男が立っている。
「だれだ、てめぇは?」
「俺は戦士デルガロック。冒険者としては少しは名が知れているんだがな?」
名乗ったデルガロックに対してクロは特に興味を示さない。
「知らねぇな。興味もねぇよ」
「興味もねぇって……。おまえさんが『だれだ、てめぇは?』って訊くから答えたんだろうが! まぁ、いい。とりあえず、今はこの宿のオーナーの護衛を引き受けてるんでな。悪ぃが、あんたの快進撃もここまでだ」
デルガロックはウォー・ハンマーを構えた。
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