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7章 ウラボス&リアーナ、カップリング作戦

STORY130 告白

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 「まったく! なんなのよ、あのお婆さんは!?」

 ついさっきまでは幸せオーラ全開だったリアーナは憤慨していた。

 「まぁまぁ…。占い師の言葉じゃないか。そんなに気にすることないって」

 ウラボスはリアーナをなだめる。が、その効果はないに等しい。

 「気にするわよ! あんな事を言われて気にしないわけないじゃない!」

 「そうだけど、まぁ、婆さんは俺のことを言っていたわけで……」

 ウラボスは言葉を止める。リアーナに射抜くような鋭い眼差しを向けられたからだ。

 「だから余計に気にするんじゃない!! あんなの、ひどいよ!…」

 今にも泣き出しそうなリアーナをそっと抱き抱えてウラボスは瞬間移動魔術テレポーテーションを無詠唱で発動させた。



 「えっ?……なに!?……ここは……きゃあ!?」

 リアーナは、突然の出来事にわけがわからず、足下を見下ろして叫ぶ。そこに地面はなく、眼下には先刻まで立っていた広場が見えた。

 どうやらウラボスは瞬間移動魔術テレポーテーションで上空に移動し、直後に飛行魔術フライングを無詠唱発動させたようだと理解する。恋祭こいまつりのフィナーレを報せる演奏がBGMのように心地よく耳に届く。

 そんな状況下で、ウラボスに空中でお姫様抱っこされて間近で見つめられては怒りはどこへやら……。今度は胸が鼓動が高鳴り、頬が紅潮し、言葉など出てこない。

 「……あの……えっと……その……」

 リアーナは、どこに向けていいものか定まらずに視線を彷徨さまよわせる。

 「俺のことを心配してくれるのは嬉しいよ。俺はこれからもリアーナの側にいる。だから、俺と付き合ってくれないか?」

 「えっ!?」

 「うまく伝えられないが、俺はリアーナのことを愛してる。だから、これからも俺の側にいてほしい!」

 リアーナは愛するウラボスからのあまりにも唐突すぎる告白に溢れだす涙が止めることができない。

 「……ほんとに、わたしなんかで…いいの?」

 リアーナは嬉しさに震える声で確認する。

 「ああ、俺はリアーナがいいんだ」

 ウラボスはリアーナを真っ直ぐに見つめながらはっきりと答える。

 「嬉しい! 嬉しすぎるよ、ウラボス!」

 リアーナは抱き抱えられたままウラボスの首に両腕を回し、そっと唇を重ねる。

 「約束だからね? 絶対にわたしの側にいてね」

 「ああ。約束する」

 「エヘヘ……。すっごく嬉しい! わたし、ウラボスと出会えて本当によかった」

 リアーナは幸せそうに微笑み、再び唇を重ね合わせた。二人だけの静かな時間がゆっくりと流れていた……。
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