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8章 王都レビオルム
STORY137 襲撃②
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「ほぉ。まさかこれほどの者がいようとはな」
黒騎士の全滅を見て謁見の間に入ってきたのは漆黒の鎧をまとった一際大きな体躯の騎士だった。背中には巨大な矢筒を背負っており、右手には金属製の弓を持っている。
「あの矢はあんたが射ったものか」
「そうだ。殺すつもりで射ったのだが仕留め損なってしまったようだな。久しぶりに楽しめそうだ」
巨躯の騎士はどこか愉しげに言う。
「待ってください。あなたの相手は僕がします!」
グランザがウラボスと黒騎士の間に立つ。
「わたしたちも加勢するわ!」
「ウラボスは国王様の護衛を頼むニャ!」
リアーナとリャッカも騎士に立ちはだかる。
(丸腰でも勝てない相手でもなさそうなんだけどな……。まっ、あいつらに経験を積ませるいい機会ではあるか…)
ウラボスは仲間たちの成長を促すため、敢えてラグーナの警護につく。
◎
「ぬぁぁぁっ!」
グランザが愛用の槍を振りかざす。
キンッ
騎士は金属製の弓で槍を弾き、グランザの腹に蹴りを入れる。
「ぐっ…」
短く呻くグランザ。
「武具強化魔術!」
その隙にリャッカがリアーナのレイピアを強化するために魔術を詠唱発動する。
「やっ!」
リアーナは強化されたレイピアで突きを撃つ。もちろん狙いは騎士がまとっている鎧の間接部だ。
「あまい」
騎士はまたしても金属製の弓でレイピアを弾き、左手を翳す。
「火炎矢魔術」
騎士は火属性魔術を詠唱発動する。
同時に撃ち出された火炎の矢がリアーナとリャッカを襲う。
「防御魔術!!」
リャッカが自分とリアーナに防御魔術を詠唱発動し、体を防御膜で覆う。しかし、それでも相当なダメージを受ける。
騎士は、苦悶の表情を浮かべるリアーナから距離をとりつつ、背中の矢筒から矢を取り出して番えると、弦を力強く引き絞る。
「死ね!」
短く言い放って矢を射る。放たれた矢はリアーナに向かって飛ぶ。
ガンッ
矢はグランザの盾によって弾かれ床に落ちる。
(ほほぉ。なかなかいい動きができるじゃないか)
騎士はグランザの予想以上の動きに感心する。
リアーナを守ったグランザは愛用の槍を横凪ぎに払う。騎士は後方に飛び退く。その眼前をグランザの槍が横切る。
攻撃を終えた直後のグランザの反撃を叩き込もうと弓を構える騎士。だが、リアーナがそれをさせない。
「やぁ!」
リアーナのレイピアが無数の軌跡を描きながら巨躯の騎士の鎧の間接部を正確に攻撃する。
「む…」
騎士は巨躯を巧みに動かして避けていたが、連続攻撃の最後に放った突きが肘の内側を掠めていく。
(ほぉ! この小娘もなかなか…)
騎士は左手をかざして治癒魔術を無詠唱発動することで右手の傷を塞ぐ。
リアーナは無理にそれ以上レイピアによる攻撃を続けようとはせず、後方へと移動する。その際に腰のポシェットから魔石を一つ取り出し、騎士に向けて放り投げる。
「ぬ?」
騎士が身構える。その瞬間、魔石は爆発して強い衝撃が騎士をはね飛ばした。
(小爆発魔術の魔石か!)
全身を覆う漆黒の鎧のお陰で大したダメージではない。しかし、リアーナの行動は実に正しかった。あのままレイピアで攻撃し続ければ弓と魔術で反撃し、うまくすれば致命傷を与えることができたかもしれない。だが、あの少女はそれをしなかった。
それだけではない。後方に移動する際も小爆発魔術の魔石を投じて追撃を阻止してきたのだ。
(だが、あまい!)
騎士は空中で体勢を建て直して着地に成功すると、そのまま脚のバネを使って跳躍した。鎧をまとった者にこんな動きが可能なのかと目を疑う暁の渡り鳥。
「もらった!」
騎士は背中の矢筒から矢を取り出すと弓に番えて引き絞り、リアーナの頭部に狙いを定めて射ちだした。
「防御魔術!!」
リャッカが叫びともとれるような声で魔術を詠唱し、リアーナを守るように魔力の壁を出現させる。
矢を弾き落とした魔力の壁が消滅するのと同時にリアーナはかざしていた左手に集めた魔力を解放する。
「光線魔術!」
放たれた光線は空中にいる騎士に向かって一直線に飛ぶ。
「むん!」
騎士は持っていた弓で光線を弾いてやり過ごした。
リアーナはさらに後方へと移動し、グランザは盾と槍を構え、リャッカは魔力を練り上げて次の魔術に備えている。
「なかなか見事な連携だな。貴様らのような冒険者がいてはさすがにこちらが不利か。ここは退かせてもらうとしよう。さらばだ!」
騎士は踵を返すと謁見の間を飛び出す。
「待つニャ!」
「逃がしません!」
リャッカとグランザが叫び、それにリアーナを加えた3人で騎士の後を追いかけようと動く。
「待て。それ以上追うな」
ウラボスが仲間たちを呼び止めた。
黒騎士の全滅を見て謁見の間に入ってきたのは漆黒の鎧をまとった一際大きな体躯の騎士だった。背中には巨大な矢筒を背負っており、右手には金属製の弓を持っている。
「あの矢はあんたが射ったものか」
「そうだ。殺すつもりで射ったのだが仕留め損なってしまったようだな。久しぶりに楽しめそうだ」
巨躯の騎士はどこか愉しげに言う。
「待ってください。あなたの相手は僕がします!」
グランザがウラボスと黒騎士の間に立つ。
「わたしたちも加勢するわ!」
「ウラボスは国王様の護衛を頼むニャ!」
リアーナとリャッカも騎士に立ちはだかる。
(丸腰でも勝てない相手でもなさそうなんだけどな……。まっ、あいつらに経験を積ませるいい機会ではあるか…)
ウラボスは仲間たちの成長を促すため、敢えてラグーナの警護につく。
◎
「ぬぁぁぁっ!」
グランザが愛用の槍を振りかざす。
キンッ
騎士は金属製の弓で槍を弾き、グランザの腹に蹴りを入れる。
「ぐっ…」
短く呻くグランザ。
「武具強化魔術!」
その隙にリャッカがリアーナのレイピアを強化するために魔術を詠唱発動する。
「やっ!」
リアーナは強化されたレイピアで突きを撃つ。もちろん狙いは騎士がまとっている鎧の間接部だ。
「あまい」
騎士はまたしても金属製の弓でレイピアを弾き、左手を翳す。
「火炎矢魔術」
騎士は火属性魔術を詠唱発動する。
同時に撃ち出された火炎の矢がリアーナとリャッカを襲う。
「防御魔術!!」
リャッカが自分とリアーナに防御魔術を詠唱発動し、体を防御膜で覆う。しかし、それでも相当なダメージを受ける。
騎士は、苦悶の表情を浮かべるリアーナから距離をとりつつ、背中の矢筒から矢を取り出して番えると、弦を力強く引き絞る。
「死ね!」
短く言い放って矢を射る。放たれた矢はリアーナに向かって飛ぶ。
ガンッ
矢はグランザの盾によって弾かれ床に落ちる。
(ほほぉ。なかなかいい動きができるじゃないか)
騎士はグランザの予想以上の動きに感心する。
リアーナを守ったグランザは愛用の槍を横凪ぎに払う。騎士は後方に飛び退く。その眼前をグランザの槍が横切る。
攻撃を終えた直後のグランザの反撃を叩き込もうと弓を構える騎士。だが、リアーナがそれをさせない。
「やぁ!」
リアーナのレイピアが無数の軌跡を描きながら巨躯の騎士の鎧の間接部を正確に攻撃する。
「む…」
騎士は巨躯を巧みに動かして避けていたが、連続攻撃の最後に放った突きが肘の内側を掠めていく。
(ほぉ! この小娘もなかなか…)
騎士は左手をかざして治癒魔術を無詠唱発動することで右手の傷を塞ぐ。
リアーナは無理にそれ以上レイピアによる攻撃を続けようとはせず、後方へと移動する。その際に腰のポシェットから魔石を一つ取り出し、騎士に向けて放り投げる。
「ぬ?」
騎士が身構える。その瞬間、魔石は爆発して強い衝撃が騎士をはね飛ばした。
(小爆発魔術の魔石か!)
全身を覆う漆黒の鎧のお陰で大したダメージではない。しかし、リアーナの行動は実に正しかった。あのままレイピアで攻撃し続ければ弓と魔術で反撃し、うまくすれば致命傷を与えることができたかもしれない。だが、あの少女はそれをしなかった。
それだけではない。後方に移動する際も小爆発魔術の魔石を投じて追撃を阻止してきたのだ。
(だが、あまい!)
騎士は空中で体勢を建て直して着地に成功すると、そのまま脚のバネを使って跳躍した。鎧をまとった者にこんな動きが可能なのかと目を疑う暁の渡り鳥。
「もらった!」
騎士は背中の矢筒から矢を取り出すと弓に番えて引き絞り、リアーナの頭部に狙いを定めて射ちだした。
「防御魔術!!」
リャッカが叫びともとれるような声で魔術を詠唱し、リアーナを守るように魔力の壁を出現させる。
矢を弾き落とした魔力の壁が消滅するのと同時にリアーナはかざしていた左手に集めた魔力を解放する。
「光線魔術!」
放たれた光線は空中にいる騎士に向かって一直線に飛ぶ。
「むん!」
騎士は持っていた弓で光線を弾いてやり過ごした。
リアーナはさらに後方へと移動し、グランザは盾と槍を構え、リャッカは魔力を練り上げて次の魔術に備えている。
「なかなか見事な連携だな。貴様らのような冒険者がいてはさすがにこちらが不利か。ここは退かせてもらうとしよう。さらばだ!」
騎士は踵を返すと謁見の間を飛び出す。
「待つニャ!」
「逃がしません!」
リャッカとグランザが叫び、それにリアーナを加えた3人で騎士の後を追いかけようと動く。
「待て。それ以上追うな」
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