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8章 王都レビオルム
STORY141 出発
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フリーネ姫救出および魔女リリア討伐の依頼を受けた暁の渡り鳥は、王都レビオルムのホテル・パレスに一度戻って激戦に備えて万全の準備を整えていた。
「よぉ! やっぱり姫の救出に行くことにしたのか」
シークレット・パレスから戻ってきたウラボスが仲間たちに声をかける。
「あっ、おかえりなさい! あのね……」
リアーナがウラボスに駆け寄り、ラグーナから聞いた話をする。
「なるほどね。魔女リリアか……。しかし、国で最も優れた魔術師となると国内外問わず名は知れた存在だと思うんだが、だれか聞いたことは?」
仲間たちが首を横に振るのを見て、ウラボスは口元に手を当てる。
(……何か裏があるのか? まっ、今は考えてもしかたない。本人に聞けるなら聞けばいいか)
「そんなことよりも! ウラボス!」
リャッカがウラボスに詰め寄ってくる。
「なんだよ?」
「これニャ!!」
リャッカがウラボスが手にしている、翡翠色の宝石が取り付けられた木製の長い杖を指差す。
「おっ、さすがは賢者だな」
ウラボスがニッと笑む。
「や、やっぱりリア・ファルの杖なのかニャ!? ち…ちょっと触ってもいいかニャ!?」
「ああ」
ウラボスの許可を得て、リャッカはそっと触れてみる。特に変わった質感はない。が、杖からは強力な魔力が感じられる。
「この杖ってそんなにすごい物なの?」
グランザが訊く。
「すごいなんてもんじゃないニャ。実在したのが驚きニャ……。リア・ファルの杖は実在するかどうかすらわからなかった伝説の杖ニャ」
「ただの石の着いた木の杖にしか見えないんだけど、伝説の武器のなんだねぇ……」
グランザがしみじみと言う。
「木の部分は古霊樹、石がリア・ファルと呼ばれる魔石の一種だ」
ウラボスが簡単に説明する。
「それも魔石なの?」
「魔石といっても普通のとは全然違うニャ!! リア・ファル自体が自然エネルギーである魔力を吸収・放出を繰り返してるニャ! つまり、放出されている魔力を使えば少ない魔力で強力な魔術を使うことが可能ということなのニャ! もちろん、ただでさえ強力な魔術なら更に強力なものに昇華させることも可能ニャ!」
リャッカが興奮気味に説明する。
「へ、へぇ……」
グランザが気圧されつつ曖昧に相槌をうつ。
「ウラボス! ちょっとだけでいいから貸してほしいニャ!!」
リャッカはウラボスに懇願する。
「ああ」
快諾したウラボスがリア・ファルの杖を渡す。
(これだけ大きな杖なのに軽いニャ……)
リャッカはまずその軽量さに驚く。
(それにものすごい魔力の流れを感じるニャ……)
宝珠リア・ファルから流れ出る膨大な魔力を感じ、リャッカは深いため息をつき、すぐにウラボスに返す。
「どうしたの?」
リアーナが訊く。
「リア・ファルの杖を持ってみて確信したニャ。少なくとも、今のあたしに使いこなせる代物じゃないニャ」
「リャッカでも使いこなせないのかい!?」
グランザが頷く。
「あの膨大な魔力を制御するには魔力の扱いを極めている必要があるニャ。そうでない者が使えば膨大な魔力の流れが暴走して未曾有の被害をもたらしかねないニャ……」
リャッカの説明にグランザが息を呑む。
「そんな武器を扱えるなんて、やっぱりウラボスってすごいね!」
リアーナがウラボスの手を取って微笑みながら見つめる。
その様子にリャッカはため息をつく。
「二人の世界に行くのは帰ってからにして、そろそろ出発してもいいかニャ?」
「あっ! ごめんなさい。うん、行きましょ」
リアーナは頬を僅かに紅潮させていた。
~8章 王都レビオルム 完~
「よぉ! やっぱり姫の救出に行くことにしたのか」
シークレット・パレスから戻ってきたウラボスが仲間たちに声をかける。
「あっ、おかえりなさい! あのね……」
リアーナがウラボスに駆け寄り、ラグーナから聞いた話をする。
「なるほどね。魔女リリアか……。しかし、国で最も優れた魔術師となると国内外問わず名は知れた存在だと思うんだが、だれか聞いたことは?」
仲間たちが首を横に振るのを見て、ウラボスは口元に手を当てる。
(……何か裏があるのか? まっ、今は考えてもしかたない。本人に聞けるなら聞けばいいか)
「そんなことよりも! ウラボス!」
リャッカがウラボスに詰め寄ってくる。
「なんだよ?」
「これニャ!!」
リャッカがウラボスが手にしている、翡翠色の宝石が取り付けられた木製の長い杖を指差す。
「おっ、さすがは賢者だな」
ウラボスがニッと笑む。
「や、やっぱりリア・ファルの杖なのかニャ!? ち…ちょっと触ってもいいかニャ!?」
「ああ」
ウラボスの許可を得て、リャッカはそっと触れてみる。特に変わった質感はない。が、杖からは強力な魔力が感じられる。
「この杖ってそんなにすごい物なの?」
グランザが訊く。
「すごいなんてもんじゃないニャ。実在したのが驚きニャ……。リア・ファルの杖は実在するかどうかすらわからなかった伝説の杖ニャ」
「ただの石の着いた木の杖にしか見えないんだけど、伝説の武器のなんだねぇ……」
グランザがしみじみと言う。
「木の部分は古霊樹、石がリア・ファルと呼ばれる魔石の一種だ」
ウラボスが簡単に説明する。
「それも魔石なの?」
「魔石といっても普通のとは全然違うニャ!! リア・ファル自体が自然エネルギーである魔力を吸収・放出を繰り返してるニャ! つまり、放出されている魔力を使えば少ない魔力で強力な魔術を使うことが可能ということなのニャ! もちろん、ただでさえ強力な魔術なら更に強力なものに昇華させることも可能ニャ!」
リャッカが興奮気味に説明する。
「へ、へぇ……」
グランザが気圧されつつ曖昧に相槌をうつ。
「ウラボス! ちょっとだけでいいから貸してほしいニャ!!」
リャッカはウラボスに懇願する。
「ああ」
快諾したウラボスがリア・ファルの杖を渡す。
(これだけ大きな杖なのに軽いニャ……)
リャッカはまずその軽量さに驚く。
(それにものすごい魔力の流れを感じるニャ……)
宝珠リア・ファルから流れ出る膨大な魔力を感じ、リャッカは深いため息をつき、すぐにウラボスに返す。
「どうしたの?」
リアーナが訊く。
「リア・ファルの杖を持ってみて確信したニャ。少なくとも、今のあたしに使いこなせる代物じゃないニャ」
「リャッカでも使いこなせないのかい!?」
グランザが頷く。
「あの膨大な魔力を制御するには魔力の扱いを極めている必要があるニャ。そうでない者が使えば膨大な魔力の流れが暴走して未曾有の被害をもたらしかねないニャ……」
リャッカの説明にグランザが息を呑む。
「そんな武器を扱えるなんて、やっぱりウラボスってすごいね!」
リアーナがウラボスの手を取って微笑みながら見つめる。
その様子にリャッカはため息をつく。
「二人の世界に行くのは帰ってからにして、そろそろ出発してもいいかニャ?」
「あっ! ごめんなさい。うん、行きましょ」
リアーナは頬を僅かに紅潮させていた。
~8章 王都レビオルム 完~
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