冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

９章 魔女リリア討伐戦

STORY147 ＶＳ巨大ガーゴイル①

　「へへへ……やっぱり来たか！」

　ウラボスは飛来する巨大ガーゴイルとの戦闘を前にして笑みをこぼしていた。

　「ギュァァァァァ！」

　巨大ガーゴイルは右手をかざして奇声を発する。集められた魔力は無数の炎の矢となってウラボスに撃ちだされる。

　ウラボスは軽やかな身のこなしでそれらを回避し、リア・ファルの杖をかざす。

　「いきなりいかせてもらうぜ！　大爆発魔術エクスプロージョン！」

　ウラボスが詠唱発動したことによって生じた大爆発は巨大ガーゴイルを爆炎で包み込む。

　巨大ガーゴイルはウラボスの強烈な一撃に対して防御魔術プロテクトを発動する。しかし、巨大ガーゴイルは相当なダメージを受けていた。

　（リア・ファルの杖があると魔術の威力が桁違いに跳ね上がるな！）

　久しぶりに使うリア・ファルの杖の効果に満足するウラボス。

　「ゴォアァァァァ！」

　巨大ガーゴイルが吼ほえる。自らに加速魔術クイックを施し、ウラボスの元へと一直線に突っ込んでくる。

　ドゴォォォォォンッ

　巨大ガーゴイルの右腕が地面に大きな窪くぼみをつくる。だが、そこにウラボスの姿はない。

　「あまい！」

　ウラボスは飛行魔術フライングにより空中へと逃れていた。

　「今度はこっちの番だ。真空刃魔術ウインド・カッター！」

　魔力を真空の刃へと変換して撃ちだす。

　「グガ…」

　巨大ガーゴイルは、頭をすくめ、両腕を頭部を守るように曲げ、両翼をたたんで防御に徹する。ダメージを最小限に抑えることに成功し、すぐさま反撃にでる。

　両手を頭上にかかげて開き、翼を広げ、魔力を高める。

　（ん！？）

　ウラボスの目の前に急速に集まった魔力が大爆発は起こす。大爆発魔術エクスプロージョンだ。今度はウラボスが大爆炎に呑み込まれてしまう。

　「やってくれる！」

　ウラボスは爆炎から飛び出す。

　「お返しだ！　氷塊魔術アイス・ブロック！！」

　魔術を詠唱する声が聞こえた。巨大ガーゴイルは身構え、攻撃に警戒する。魔力によって作られた巨大な氷塊が巨大ガーゴイルの頭上に現れた。

　「ゴガァァァッ」

　勢いよく落下した氷塊は巨大ガーゴイルを圧おし潰そうとする。

　それに耐え抜いた巨大ガーゴイルだったが大ダメージは避けられず、巨体が後方によろめく。

　（防御魔術プロテクトで防御しても、それなりのダメージはある、か……）

　ウラボスはダメージを最小限に抑えていた。

　「グルガァァァッ」

　怒りを顕あらわにした巨大ガーゴイルは飛翔し、ウラボスに向かってくる。

　「今度は空中戦か？　いいさ、受けてたつぜ」

　ウラボスは不敵な笑みを浮かべる。