冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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10章 レビオルムの惨劇

STORY156 ウラボスの思いとリアーナの思い

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 「さて、暁の渡り鳥よ。此度こたびのそなたらの働き、まことに見事であった。そなたらさえよければの話だが、冒険者を辞めてエンダイク城に留まり、我がアムキナト王国のために尽力してはもらえぬか? もちろん、それなりの待遇はさせてもらうぞ」

 「ありがとうございます。ですが、ご辞退させていただきます」

 リアーナは国王ラグーナからの誘いをきっぱりと断る。

 「他の者たちも同じか?」

 ラグーナはウラボス、グランザ、リャッカを見て訊く。

 「悪いな。俺にはそのつもりはない」

 「申し訳ありません。僕はリアーナさんたちと冒険を続けたいので…」

 「すみませんニャ。あたしも辞退させていただきますニャ」

 「ふぅむ……。残念じゃが、そなたらにその気がないのであれば諦めるしかあるまい……」

 ラグーナは心底残念そうに肩を落とす。

 「ならば、今宵は暁の渡り鳥そなたらの活躍を祝って食事会を開こうと思うのだが、それには参加してもらうぞ?」

 気を取り直し、ラグーナは暁の渡り鳥を見る。

 リアーナは仲間たちと視線を交わしたあと、ラグーナに向き直る。

 「わかりました。ご厚意に甘えさせていただきます」

 「おお、そうか! 主賓しゅひんがいなくては話にならぬからな! では、準備にとりかからせるのだ」

 リアーナからの返答にラグーナは安堵し、衛兵に指示をだす。

 「では、宴が始まるまでの間、城内を見て回ることを許可しよう。それと、レビオルムに滞在中は客間も好きに使ってもらってかまわぬぞ」

 「ありがとうございます」

 リアーナたちは素直にラグーナな厚意を受けとる。

 「それじゃ、あたしは城内を見学するニャ」

 「僕もお城を見学させてもらいます。人間の城に入る機会なんて滅多にないから見て回りたかったんだ!」

 リャッカとグランザは早速謁見の間を出ていく。

 「俺は客間で休ませてもらうよ」

 「わたしも休ませてもらおうかな」

 「うむ。では、リアーナとウラボスを客間に案内するのだ」

 「はっ。では、こちらへ……」

 ラグーナからの指示を受けた衛兵が二人の先頭に立って案内する。



 「どうかしたの?」

 エンダイク城の客間の窓から外の景色を眺めるウラボスにリアーナが声をかける。

 「なぁ、タレク島へは俺一人で行こうと思うんだけど…」

 ウラボスは窓の外を見つめたまま低い声で打ち明ける。

 「どうして?」

 「俺を狙っている女の正体がわかったんだ。相手は女神だ……。なぜ、俺を狙っているのかは知らんが、この戦いはあまりにも危険だ。みんなを巻き込みたくないん……うわっ」

 リアーナはウラボスの肩を掴んで強引に振り向かせた。その目は怒りの感情を宿している。

 「どうしてそんなこと言うの!? ウラボスが暁の渡り鳥わたしたちの中で誰よりも強いのは知ってる! だけど、思い上がらないで!! わたしたちだって成長してるんだよ!? きっとウラボスの力になってみせるから!!!」

 そこまで言ってうつむいたリアーナは消え入りそうな声で続ける。

 「……わたしはね…自分が死ぬことなんかより、ウラボスを失うことのほうがずっと…ずっと怖いよ……。そんなこと、想像もしたくない! たとえ、ウラボスが一人で行ったとしてもタレク島まで追っていくからね!!」

 再び顔を上げたリアーナの両目は涙で濡れていた。ウラボスはそんな彼女をそっと抱き寄せる。

 「すまない。俺が間違っていたみたいだな。みんなの力を当てにさせてもらうよ」

 「うん…もっとわたしたちを頼ってほしい……」

 リアーナはウラボスの胸の中でささやく。

 「ああ。頼りにしてるぜ」

 「うん!」

 二人は唇を重ね合わせる。
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