冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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10章 レビオルムの惨劇

STORY164 急襲!⑦

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 レビオルムの郊外に位置する墓地。そこにウラボスと魔術師風の男の姿があった。

 「よくこの場所がおわかりになりましたね」

 ウラボスと対峙する魔術師風の男が言う。

 「簡単な話だろ。これだけの数のアンデッドを街に放つなら墓地ここがいちばんだからな」

 「なるほど……。しかし、それを差し引いてもあなたは大したものですよ。ここにくるまでにはそれなりのアンデッドを配置したはずなのですがね……」

 「いたな。だが、あの程度じゃ俺の相手は務まらないさ」

 余裕の表情を見せるウラボスに魔術師風の男は困ったような顔をする。

 「そうですか……。ならば、わたくし自らお相手しなければなりませんね」

 魔術師風の男は魔杖を構える。

 「わたくしの名はバゼル。死霊使いネクロマンサーです。もっとも、そのへんの死霊使いネクロマンサーと一緒にされては心外ですがね!」

 言い終わると同時だった。バゼルは魔杖を水平に構えて魔力を高める。

 「氷刃魔術アイス・エッジ!」

 バゼルか氷の刃を飛ばす。

 「こんなものか?」

 ウラボスはリア・ファルの杖でその全てを打ち砕く。

 「今度はこっちの番だな。小爆発魔術ボム!」

 ウラボスの魔術により爆発が生じる。

 「防御魔術プロテクト!」

 バゼルはすかさず防御する。それと並行して後方へ移動し、ダメージをより軽減した。

 (なかなかいい判断じゃないか)

 ウラボスは敵の能力が予想以上であることに口角をあげる。

 「これはこれは……。なんと恐ろしい力をお持ちなんでしょうか」


 言いつつ、バゼルは魔力を練る。

 「光線渦魔術レイ・トルネード!」

 光の渦に呑み込まれたウラボスは、無詠唱で防御魔術プロテクトを発動させていた。

 (死霊使いネクロマンサーなのに光属性の魔術も使えるのか。しかも、まずまずの威力じゃない……か!)

 ウラボスは光の渦から飛び出す。

 「剛力魔術パワー

 攻撃力を強化し、リア・ファルの杖でバゼルを直接攻撃する。

 ガッ……ガガッ……ガガガッ……

 ウラボスとバゼルの杖が激しくぶつかり合う。

(接近戦というのもおもしろいですね)

 「加速魔術クイック!」

 バゼルは魔術により自らの動きを機敏にする。打ち合いは手数が増えたバゼルが若干ではあるが優勢だ。

 (へぇ……。接近されても戦えるとはね。しかも、けっこう頑張るじゃないか)

 ウラボスが感心する。

 (そこです!)

 バゼルはウラボスの隙を見つけて一撃を繰り出す。ウラボスは後方に避ける。

 ブンッ

 バゼルが攻撃に失敗し、空振りした。直後、ウラボスはリア・ファルの杖の石突でバゼルの腹部を突く。

 「くっ……」

 相好そうごうを崩すバゼル。しかし、それもほんの一瞬のことであった。すぐに飛行魔術フライングを無詠唱で発動し、上空へと移動する。

 (なに? いないなだと!?)

 眼下を見下ろしたバゼルはウラボスの姿がないことに気付く。

 「こっちだ!」

 頭上からの声に咄嗟に魔杖を構える。

 ドガッ

 振り下ろされたリア・ファルの杖の一撃を魔杖で受け止める。だが、剛力魔術パワーで強化された攻撃はあまりに強力であった。バゼルは凄まじい勢いで地面へと叩き落とされる。

 (聞いていた以上の化け物ですね、まったく!)

 内心で舌打ちするバゼル。

 「氷刃魔術アイス・エッジ!」

 バゼルは素早く魔力を練り上げて魔術名を詠唱する。

 迫ってくる無数の氷の刃をウラボスは苦もなく粉砕してみせる。が、これはバゼルとしても当然のごとく予測していた。僅かな時間を稼げれば、それで充分であった。

 「憑依魔術ポゼッション!」

 魔術を詠唱発動したバゼルは魔杖を剣のように持ち、下段に構えた。

 (あいつ……)

 先刻までとは雰囲気がまるで変わった敵にウラボスは警戒する。
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