196 / 207
11章 タレク島の決戦!!
STORY189 リアーナのために……決死の戦い!
しおりを挟む
リアーナから完全に生気が失なわれる前にウラボスは行動を起こす。
「リャッカ! リア・ファルの杖を託す! リアーナに常に全力で治癒魔術をかけ続けてくれ! もう暫くは命を繋げられるはずだ!」
「なにを言ってるニャ!? 気持ちはわかるけど、これ以上はリアーナを苦しめるだけニャ!!!」
リャッカが反対する。
「できることはまだある!! 今は黙って言うとおりにしてくれ! 頼む!!!」
ウラボスは真剣な眼でリャッカを見る。
「……わかったニャ! ウラボスを信じるニャ!……その代わり、リアーナを絶対に助けるニャ!!」
「ああ! 当たり前だ!! みんなは異空間から出て、外で待っててくれ! 俺はジョアファルアを殺す!!!」
ウラボスは答えて、ジョアファルアを見据える。その眼は殺意と希望が込められている。
ウラボスはリアーナを諦めてはいない。ならば、今はウラボスを信じて指示に従うべきだ。一同はウラボスとジョアファルアを残して歪みから脱出した。
◎
「ふん、わらわを殺すなどバカバカしい! どうせ、もうすぐこの異空間とともにわらわも貴様もこの世から消え去るのだ! もはや戦いに意味などありませぬ!」
ジョアファルアは戦意も意味もないと主張する。だが、ウラボスはかまうことなく、ジョアファルアに攻撃を仕掛ける。
「愚かな! 他の者よりはマシであろうが、貴様もかなり消耗しておるはず! そんな状態でわらわに勝てるわけがなかろう!!」
ジョアファルアは火炎矢魔術を放つ。ウラボスは横っ跳びにかわすと右手に拳を握る。
(なに!?)
ウラボスの動きに警戒していたジョアファルアだったが、その姿を見失ってしまう。
(……後ろか!?)
ウラボスの気配に振り返る。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ウラボスの怒涛の攻撃が始まった。右フック、左フック、腹蹴り、アッパー、右回し蹴りと次々に繰り出していく。
(どこに……こんな体力が!?……)
ジョアファルアは信じられぬ思いであった。しかし、このままやられてばかりもいられない。手にした槍の穂先をウラボスに突き出す。
ウラボスはそれを受け流すと左拳をジョアファルアの鳩尾にめり込ませた。
「がはっ!!」
両膝を折って苦悶の表情となるジョアファルア。
(おのれ……この力はいったい……まさか!?)
ジョアファルアは後方に飛び退き、ウラボスを見据える。
「貴様、自分の生命力を燃焼させておるのか!? 愚か者め! そのようなことは自殺行為に等しきことじゃ!」
ジョアファルアの警告にもウラボスは一切躊躇わない。もはや、ジョアファルアと会話する時間などなかった。一瞬でも早くジョアファルアを殺し、リアーナの元に行かねばならないのだ。その強い思いだけがウラボスを突き動かしていた。
「ぬぐぅぅぅぅぅぅ!……」
ウラボスの左右の拳がマシンガンの如く繰り出される。
「なぜだ!? なぜ、そうまでしてわらわの命を狙う!? それほどまでにわらわが憎いのか!!?」
ウラボスと激しい攻防戦を繰り広げながらジョアファルアが問う。ウラボスはジョアファルアによって負わされた傷など気にする様子は全くない。
「おまえへの恨みなどどうでもいい! 今はただリアーナを救いたい!! それだけだ!!!」
攻撃の手を緩めることなくウラボスが答える。
「なにをバカな!! あの小娘はどのみち助からぬ! そのようなこともわからぬ貴様ではなかろう!?」
「……俺はリアーナを助ける!! 絶対にな!!!」
ウラボスの右ハイキックがジョアファルアの左頬をとらえた。ジョアファルアはよろめきながらもどうにか踏ん張る。
「貴様は解っておらぬのか!? わらわが死んだ瞬間、この異空間は消失するのだぞ!? 貴様が脱出する時間などないのだぞ!?」
「やれるさ! 俺は何も諦めない!!」
ウラボスは一切の迷いなくジョアファルアに接近戦を挑む。その鬼気迫る勢いにジョアファルアの動きが鈍る。
(……!?……わらわが、人間ごときに怯えているだと!?……いいや、そのようなことなどあり得ぬ!!! わらわは神ぞ! 神が人間ごときを恐れるなどあってはならぬ!!!!)
ジョアファルアは自らを鼓舞する。
「えぇい!! 離れぬか!!!」
ジョアファルアが槍を薙ぐ。ウラボスはそれを受け止めると腹に強烈な蹴りを撃ち込む。
「ぬぁ……あ……うぅ……」
ジョアファルアは苦し気にうめき声を漏らし、ヨロヨロと後退する。
一方、ウラボスはジョアファルアから槍を奪い取り構える。
「よせ! わらわを殺したところであの小娘が生き返るわけではないのだぞ!? それに、わらわも貴様もこの異空間とともに消滅するのだぞ! なぜ、そうまでしてわらわを殺すことにこだわる!?」
「……俺は何も諦めちゃいない。俺の命も、この戦いの勝利も、リアーナの命もな!!!」
ウラボスが突きだした槍の穂先がジョアファルアの頭部を貫通した。直後、限界を迎えたウラボスは吐血する。だが、それでもウラボスは動きを止めない。
絶命した直後のジョアファルアに両手を着けて、最後に残された全ての魔力を手のひらに集中する。
「魂捕食者蘇生超魔術!」
ウラボスは自らの超魔術を詠唱発動させた。
「リャッカ! リア・ファルの杖を託す! リアーナに常に全力で治癒魔術をかけ続けてくれ! もう暫くは命を繋げられるはずだ!」
「なにを言ってるニャ!? 気持ちはわかるけど、これ以上はリアーナを苦しめるだけニャ!!!」
リャッカが反対する。
「できることはまだある!! 今は黙って言うとおりにしてくれ! 頼む!!!」
ウラボスは真剣な眼でリャッカを見る。
「……わかったニャ! ウラボスを信じるニャ!……その代わり、リアーナを絶対に助けるニャ!!」
「ああ! 当たり前だ!! みんなは異空間から出て、外で待っててくれ! 俺はジョアファルアを殺す!!!」
ウラボスは答えて、ジョアファルアを見据える。その眼は殺意と希望が込められている。
ウラボスはリアーナを諦めてはいない。ならば、今はウラボスを信じて指示に従うべきだ。一同はウラボスとジョアファルアを残して歪みから脱出した。
◎
「ふん、わらわを殺すなどバカバカしい! どうせ、もうすぐこの異空間とともにわらわも貴様もこの世から消え去るのだ! もはや戦いに意味などありませぬ!」
ジョアファルアは戦意も意味もないと主張する。だが、ウラボスはかまうことなく、ジョアファルアに攻撃を仕掛ける。
「愚かな! 他の者よりはマシであろうが、貴様もかなり消耗しておるはず! そんな状態でわらわに勝てるわけがなかろう!!」
ジョアファルアは火炎矢魔術を放つ。ウラボスは横っ跳びにかわすと右手に拳を握る。
(なに!?)
ウラボスの動きに警戒していたジョアファルアだったが、その姿を見失ってしまう。
(……後ろか!?)
ウラボスの気配に振り返る。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ウラボスの怒涛の攻撃が始まった。右フック、左フック、腹蹴り、アッパー、右回し蹴りと次々に繰り出していく。
(どこに……こんな体力が!?……)
ジョアファルアは信じられぬ思いであった。しかし、このままやられてばかりもいられない。手にした槍の穂先をウラボスに突き出す。
ウラボスはそれを受け流すと左拳をジョアファルアの鳩尾にめり込ませた。
「がはっ!!」
両膝を折って苦悶の表情となるジョアファルア。
(おのれ……この力はいったい……まさか!?)
ジョアファルアは後方に飛び退き、ウラボスを見据える。
「貴様、自分の生命力を燃焼させておるのか!? 愚か者め! そのようなことは自殺行為に等しきことじゃ!」
ジョアファルアの警告にもウラボスは一切躊躇わない。もはや、ジョアファルアと会話する時間などなかった。一瞬でも早くジョアファルアを殺し、リアーナの元に行かねばならないのだ。その強い思いだけがウラボスを突き動かしていた。
「ぬぐぅぅぅぅぅぅ!……」
ウラボスの左右の拳がマシンガンの如く繰り出される。
「なぜだ!? なぜ、そうまでしてわらわの命を狙う!? それほどまでにわらわが憎いのか!!?」
ウラボスと激しい攻防戦を繰り広げながらジョアファルアが問う。ウラボスはジョアファルアによって負わされた傷など気にする様子は全くない。
「おまえへの恨みなどどうでもいい! 今はただリアーナを救いたい!! それだけだ!!!」
攻撃の手を緩めることなくウラボスが答える。
「なにをバカな!! あの小娘はどのみち助からぬ! そのようなこともわからぬ貴様ではなかろう!?」
「……俺はリアーナを助ける!! 絶対にな!!!」
ウラボスの右ハイキックがジョアファルアの左頬をとらえた。ジョアファルアはよろめきながらもどうにか踏ん張る。
「貴様は解っておらぬのか!? わらわが死んだ瞬間、この異空間は消失するのだぞ!? 貴様が脱出する時間などないのだぞ!?」
「やれるさ! 俺は何も諦めない!!」
ウラボスは一切の迷いなくジョアファルアに接近戦を挑む。その鬼気迫る勢いにジョアファルアの動きが鈍る。
(……!?……わらわが、人間ごときに怯えているだと!?……いいや、そのようなことなどあり得ぬ!!! わらわは神ぞ! 神が人間ごときを恐れるなどあってはならぬ!!!!)
ジョアファルアは自らを鼓舞する。
「えぇい!! 離れぬか!!!」
ジョアファルアが槍を薙ぐ。ウラボスはそれを受け止めると腹に強烈な蹴りを撃ち込む。
「ぬぁ……あ……うぅ……」
ジョアファルアは苦し気にうめき声を漏らし、ヨロヨロと後退する。
一方、ウラボスはジョアファルアから槍を奪い取り構える。
「よせ! わらわを殺したところであの小娘が生き返るわけではないのだぞ!? それに、わらわも貴様もこの異空間とともに消滅するのだぞ! なぜ、そうまでしてわらわを殺すことにこだわる!?」
「……俺は何も諦めちゃいない。俺の命も、この戦いの勝利も、リアーナの命もな!!!」
ウラボスが突きだした槍の穂先がジョアファルアの頭部を貫通した。直後、限界を迎えたウラボスは吐血する。だが、それでもウラボスは動きを止めない。
絶命した直後のジョアファルアに両手を着けて、最後に残された全ての魔力を手のひらに集中する。
「魂捕食者蘇生超魔術!」
ウラボスは自らの超魔術を詠唱発動させた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる