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5章 海賊討伐
42話 VSダス
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マリアンのダガーが何度も空を裂く。
(くそ! 攻撃が全て読まれているだと!?)
マリアンは、苦もなくダガーをかわすダスに唇を噛む。
「まだまだ未熟じゃのぉ」
ダスは腰を落として右手の肘を引く。
(くっ!)
マリアンは床を蹴って間合いをとろうとする。
「遅い!」
矢のような鋭い掌底がマリアンの腹に打ち込まれる。凄まじい衝撃を受けて勢いよく後方へと弾き飛ばされたマリアンは、全身を床に激しくぶつけた。
「……うぅ……」
マリアンは苦悶の表情を浮かべる。
「タハルジャの息子よ、お主はかかってこんのか?」
ダスは、魔杖を構えたまま動かないルットに言う。
「もしや怖じ気づいたのか? 意気地がないのぉ……」
やれやれといった様子でため息をつくダス。しかし、それでもルットは動かない。
(ふむ……あやつの目は怖じ気づいとるようには見えんな。おそらくはわしの動きを観察しておるのじゃろうな。さすがはタハルジャの息子といったところか。ならば……)
一計を講じたダスは周りの海賊たちに指示をとばす。
「ほれほれ、なにをやっとる。その女を捕らえるなり殺すなりせんか!」
「お、おぉ!」
ダスに言われて我に返った海賊たちが一斉にマリアンに襲い掛かる。
「くっ!」
こうなってはルットも動かざるを得ない。魔杖ロープワンドに雷を纏わせて振りかざす。
「ぎゃあぁ!!」
艦内に海賊の悲鳴が響く。
「隙あり!」
攻撃を終えた直後のルットにダスの蹴りが迫る。
素早くしゃがんだルットの頭上をダスの蹴りが空振りする。
「火属性中級魔術!」
ダスの攻撃を回避したルットは至近距離から魔術による反撃を放つ。
「ぬぅ……」
ダスは低くうめき声を漏らして後退する。
「はぁぁぁ!」
ルットはさらに踏み込み、魔杖を振りかざす。
「あまいわ!」
ダスは、ロープワンドによる打撃を容易くかわす。そこから連続蹴りをルットの右頬、胸、腹、腰へと叩き込む。
「ぐぅ……」
今度はルットがうめいた。魔杖を床につく。
ダスは再び腰を落として掌底をくり出す。
(む!?)
ダスは目を見開く。
ルットは両足を踏ん張り、防御膜魔術を全開にして真正面から受け止める。
(こやつ!)
ダスは、油断ならぬ敵と一度距離をとるために床を蹴る。
「なんじゃと!?」
ダスは驚愕する。ルットの魔杖が身体にまとわりついてきた。
ルットはダスを振り回す。アルフォス、ウィナー、リーシャほどではないが、ルットも魔力による身体能力の強化はできる。華奢や老人ひとりを振り回すくらいならば充分に可能だ。
「ぐぁっ!」
壁に叩きつけられたダスが短く声をあげる。
「拘束魔術!」
ルットはさらに魔術を詠唱発動させる。
(おのれ……)
体を魔力による鎖とロープワンドで拘束されながらもダスは、ヨロヨロと立ち上がり壁に体を預ける。
「降伏していただけませんか?」
魔力を集めた左手を向けながらダスに降伏を求めるルット。しかし、ダスは余裕の表情である。
「攻撃の好機を自ら逃すとはまだまだ青いのぉ。タハルジャならばそんな事はせんぞ?」
「僕は父とは違いますから」
ダスの挑発的な視線と言葉に僅かにも動じることなく返す。
「ほぉ。じゃが、わしにばかり気をとられておってもよいのかのぉ?」
ダスは海賊たちと相手に孤軍奮闘しているマリアンを見る。艦内の騎士や魔術師はほぼ全滅しており、マリアン自身も追い詰められていた。
(くっ……指揮を任されていた僕の失策だ!)
ルットは自身の不甲斐なさに奥歯を噛む。すぐにでもマリアンの応援に駆けつけたいところではあるが、ダスをこのままにするわけにはいかない。
「雷属性中級魔術!」
ルットは意を決して雷の矢を射つ。
「むぅ……」
ダスは防御膜魔術でダメージを抑える。しかし、声が漏れる。
(さすがはタハルジャの息子。魔術の才は父譲りか。じゃが、わしとてそう易々とはやられんぞ!)
「ぬぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ダスの大声が艦内のフロアに轟く。自身に治癒初級魔術を施し、自身の魔力を一気に放出して拘束魔術による鎖を断ち切る。それと同時にロープワンドを振りほどく。
突然の発声に一瞬動きが止まったルットの隙を見逃すことなく、ダスの連続攻撃が炸裂する。
腹に右拳をめり込ませ、前屈みになったルットの顎に膝をぶつける。その反動で宙に浮き上がったルットの胸に踵を落とす。
「ぐっ……」
背中から床に叩きつけられる形となり、ルットは苦悶の表情を見せる。
「光属性中級魔術!」
ダスの攻撃はまだ終わらなかった。飛び退くと同時に攻撃魔術を撃つ。生じた光の矢がルットの肩に突き刺さって消える。
「ぐぁぁっ!」
悲鳴をあげるルット。
(心臓を狙ったんじゃが、咄嗟に体をずらしたか。しかし、次はどうかのぉ……)
ダスは再び魔力を練り始める。
「貴様ぁ!!」
海賊たちを相手にしていたマリアンがルットの危機に駆けつけ、ダスに襲い掛かる。
「光属性中級魔術!」
ダスは、やむなくルットに撃つ予定だった光の矢をマリアンに向けて放つ。
「か……は……」
放たれた光の矢は無情にもマリアンの左胸を貫いた。
(くそ! 攻撃が全て読まれているだと!?)
マリアンは、苦もなくダガーをかわすダスに唇を噛む。
「まだまだ未熟じゃのぉ」
ダスは腰を落として右手の肘を引く。
(くっ!)
マリアンは床を蹴って間合いをとろうとする。
「遅い!」
矢のような鋭い掌底がマリアンの腹に打ち込まれる。凄まじい衝撃を受けて勢いよく後方へと弾き飛ばされたマリアンは、全身を床に激しくぶつけた。
「……うぅ……」
マリアンは苦悶の表情を浮かべる。
「タハルジャの息子よ、お主はかかってこんのか?」
ダスは、魔杖を構えたまま動かないルットに言う。
「もしや怖じ気づいたのか? 意気地がないのぉ……」
やれやれといった様子でため息をつくダス。しかし、それでもルットは動かない。
(ふむ……あやつの目は怖じ気づいとるようには見えんな。おそらくはわしの動きを観察しておるのじゃろうな。さすがはタハルジャの息子といったところか。ならば……)
一計を講じたダスは周りの海賊たちに指示をとばす。
「ほれほれ、なにをやっとる。その女を捕らえるなり殺すなりせんか!」
「お、おぉ!」
ダスに言われて我に返った海賊たちが一斉にマリアンに襲い掛かる。
「くっ!」
こうなってはルットも動かざるを得ない。魔杖ロープワンドに雷を纏わせて振りかざす。
「ぎゃあぁ!!」
艦内に海賊の悲鳴が響く。
「隙あり!」
攻撃を終えた直後のルットにダスの蹴りが迫る。
素早くしゃがんだルットの頭上をダスの蹴りが空振りする。
「火属性中級魔術!」
ダスの攻撃を回避したルットは至近距離から魔術による反撃を放つ。
「ぬぅ……」
ダスは低くうめき声を漏らして後退する。
「はぁぁぁ!」
ルットはさらに踏み込み、魔杖を振りかざす。
「あまいわ!」
ダスは、ロープワンドによる打撃を容易くかわす。そこから連続蹴りをルットの右頬、胸、腹、腰へと叩き込む。
「ぐぅ……」
今度はルットがうめいた。魔杖を床につく。
ダスは再び腰を落として掌底をくり出す。
(む!?)
ダスは目を見開く。
ルットは両足を踏ん張り、防御膜魔術を全開にして真正面から受け止める。
(こやつ!)
ダスは、油断ならぬ敵と一度距離をとるために床を蹴る。
「なんじゃと!?」
ダスは驚愕する。ルットの魔杖が身体にまとわりついてきた。
ルットはダスを振り回す。アルフォス、ウィナー、リーシャほどではないが、ルットも魔力による身体能力の強化はできる。華奢や老人ひとりを振り回すくらいならば充分に可能だ。
「ぐぁっ!」
壁に叩きつけられたダスが短く声をあげる。
「拘束魔術!」
ルットはさらに魔術を詠唱発動させる。
(おのれ……)
体を魔力による鎖とロープワンドで拘束されながらもダスは、ヨロヨロと立ち上がり壁に体を預ける。
「降伏していただけませんか?」
魔力を集めた左手を向けながらダスに降伏を求めるルット。しかし、ダスは余裕の表情である。
「攻撃の好機を自ら逃すとはまだまだ青いのぉ。タハルジャならばそんな事はせんぞ?」
「僕は父とは違いますから」
ダスの挑発的な視線と言葉に僅かにも動じることなく返す。
「ほぉ。じゃが、わしにばかり気をとられておってもよいのかのぉ?」
ダスは海賊たちと相手に孤軍奮闘しているマリアンを見る。艦内の騎士や魔術師はほぼ全滅しており、マリアン自身も追い詰められていた。
(くっ……指揮を任されていた僕の失策だ!)
ルットは自身の不甲斐なさに奥歯を噛む。すぐにでもマリアンの応援に駆けつけたいところではあるが、ダスをこのままにするわけにはいかない。
「雷属性中級魔術!」
ルットは意を決して雷の矢を射つ。
「むぅ……」
ダスは防御膜魔術でダメージを抑える。しかし、声が漏れる。
(さすがはタハルジャの息子。魔術の才は父譲りか。じゃが、わしとてそう易々とはやられんぞ!)
「ぬぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ダスの大声が艦内のフロアに轟く。自身に治癒初級魔術を施し、自身の魔力を一気に放出して拘束魔術による鎖を断ち切る。それと同時にロープワンドを振りほどく。
突然の発声に一瞬動きが止まったルットの隙を見逃すことなく、ダスの連続攻撃が炸裂する。
腹に右拳をめり込ませ、前屈みになったルットの顎に膝をぶつける。その反動で宙に浮き上がったルットの胸に踵を落とす。
「ぐっ……」
背中から床に叩きつけられる形となり、ルットは苦悶の表情を見せる。
「光属性中級魔術!」
ダスの攻撃はまだ終わらなかった。飛び退くと同時に攻撃魔術を撃つ。生じた光の矢がルットの肩に突き刺さって消える。
「ぐぁぁっ!」
悲鳴をあげるルット。
(心臓を狙ったんじゃが、咄嗟に体をずらしたか。しかし、次はどうかのぉ……)
ダスは再び魔力を練り始める。
「貴様ぁ!!」
海賊たちを相手にしていたマリアンがルットの危機に駆けつけ、ダスに襲い掛かる。
「光属性中級魔術!」
ダスは、やむなくルットに撃つ予定だった光の矢をマリアンに向けて放つ。
「か……は……」
放たれた光の矢は無情にもマリアンの左胸を貫いた。
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