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6章 決戦! 正義の鉄槌
54話 VS銀色剣歯虎
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(くそっ、オレの失態だ! とんだバカ野郎だぜ!!)
冷静さを欠き、ルットの言葉にも耳を貸さなかった愚かな自分を叱責するウィナー。悔恨の念に噛み締めた唇に血が滲む。しかし、今は一刻も早く態勢を立て直さなければならない。
「……やってやらぁ!」
気合いを入れ直すと、ウィナーは周りの怪物をクレイモアで斬り捨てる。異形の怪物たちもやられっぱなしではない。一斉に反撃を繰り出す。
「なめんじゃねぇ!!」
怪物の牙や爪が鍛え上げられた肉体を傷つけていくのも意に介さず、防御を完全に放棄したウィナーは攻撃にのみ集中する。リュカリオンから授与されたラウンドシールドには防御膜魔術が付与されているため、致命傷は免れることができた。
攻撃に専念することで瞬く間に周囲の敵を全滅させたウィナーは一息つくこともなく移動する。
「ウィナー様! 私よりも早くメルティナ様やルット様をお願いします!!」
リーシャは応援に駆けつけたウィナーに叫ぶ。
「わかった! 戻ってくるまで持ち堪えてみせろよ!!」
一瞬の躊躇のあと、ウィナーはメルティナの元へも馳せる。
「死ね! ラミーネルの姫君よ!!」
銀色剣歯虎が地面に倒れたメルティナに爪を振り下ろす。
「ひっ!……」
恐怖に固くなる身体をどうにか動かして横に転がる。魔獣の爪が背中を引き裂く。防御膜魔術をかけているとはいえ、傷は深く、激痛がはしる。
「悪あがきはよせ。余計に苦しむだけであるぞ?」
銀色剣歯虎は言い、さらなる追撃をしようと前肢を振り上げる。
「諦める……もんですか!!」
ガッ!
振り下ろされた前肢を魔杖ヒヒイロカネスタッフで受け止める。が、長くは持ち堪えられない。
「愚かな姫君よ。その顔に我が爪跡を刻んでくれようぞ!!」
銀色剣歯虎の口元に獰猛な笑みがこぼれる。
「そうは、いかないわ! 照明魔術!」
突如現れた光の玉に魔獣の目が眩む。前肢の力が弱まった一瞬を見逃さず、素早く抜け出したメルティナは魔杖に魔力を流す。
「火属性中級魔術!」
放たれた火炎の矢が銀色剣歯虎の顔面を捉えた。
「おのれ!」
たまらず後方へと飛び退いた銀色剣歯虎が殺気に満たされた視線をメルティナに注ぐ。
「無駄な抵抗などするなと言っているだろう!!」
銀色剣歯虎は吼える。腰を落として身構えるメルティナの頭上を跳び越えて背後をとった。
メルティナは振り返り様にヒヒイロカネスタッフを構えて魔力を練る。
ギィィィンッ
銀色剣歯虎の逞しい前肢がメルティナから魔杖を弾き飛ばす。武器を失くしたメルティナは後方へ跳ぶ。
「今度こそ終わりだ!」
魔獣は牙を剥き出しにして飛び掛かる。だが、メルティナは諦めない。左手を前にかざす。
「氷属性中級魔術!」
「ガァァァァァッ!!」
予期せぬ反撃に反応が遅れた銀色剣歯虎は回避できない。メルティナが射った氷の矢が魔獣の右目に突き刺さる。
激痛に苦しみ、地面に伏せる銀色剣歯虎。メルティナは、その隙にヒヒイロカネスタッフを拾い上げて構える。
「き……貴様ぁぁぁぁ!!」
激怒した銀色剣歯虎が矢のように駆ける。その素早い動きについていけず、メルティナは敵の姿を見失ってしまう。
「うぁっ!」
右太ももに痛みがはしる。見ると鋭い爪によって切り裂かれた傷跡から真っ赤な血が流れていた。
「あぁぁぁぁ!!」
回復魔術を施す間もなく左肩にも同様の傷がつき、血が吹き出す。
「楽には死なせぬ! なぶり殺しにしてくれるわ!!」
憎悪に満ちた視線をぶつける魔獣。だが、メルティナは戦意を喪失することなく睨み返す。ここで心を折られてしまえば勝機は失くなる。息を乱しながらも恐怖を振り払い、闘志を奮い起たせる。
「ゆくぞ!」
銀色剣歯虎は間合いを一気に詰める。
「火属性上級魔術!!」
メルティナが魔術を発動させた瞬間、銀色剣歯虎は咄嗟に横っ跳びに移動する。
「グヌゥッ!」
放たれた火炎の弾丸が魔獣の左肩を掠める。痛みに顔をゆがめながらも地面を蹴ってメルティナに迫る魔獣。
「くっ!」
横に移動しつつ魔力を練り上げる。
「逃がさぬ!」
銀色剣歯虎はメルティナの右脇をすり抜け様に脇腹に爪による一撃を入れる。
「あぅぅぅ!!」
地面に両膝をつくメルティナ。
「治癒中級魔術!」
練り上げた魔力を使って回復魔術を施す。
「させぬ!」
跳躍した銀色剣歯虎が、メルティナの頭部に噛みつこうと大きく口を開ける。
(せめて、相討ちに!!)
追い詰められたメルティナは決死の覚悟で左手を頭上から迫る魔獣に向けて魔力を一気に練る。
(この姫君! まさか自らを犠牲に!?)
銀色剣歯虎は驚愕し、同時に戦慄を覚える。
ドスッ!!
突然の衝撃だった。飛来してきた大剣クレイモアが銀色剣歯虎の胴体を左右に貫いた。その勢いで軌道がそれた魔獣の体は少し離れた所に落ちる。既に息はない。クレイモアの一撃で心臓を貫かれたことによる即死だった。
「大丈夫か!?」
駆けつけたウィナーがメルティナを気遣う。
「わたしは、大丈夫……だからお願い、ルットやリーシャを!」
メルティナは自身に治癒中級魔術をかけながら言う。
「おぅ、任せとけ!」
銀色剣歯虎の遺体からクレイモアを引き抜いたウィナーは短く答え、再び駆けだした。
冷静さを欠き、ルットの言葉にも耳を貸さなかった愚かな自分を叱責するウィナー。悔恨の念に噛み締めた唇に血が滲む。しかし、今は一刻も早く態勢を立て直さなければならない。
「……やってやらぁ!」
気合いを入れ直すと、ウィナーは周りの怪物をクレイモアで斬り捨てる。異形の怪物たちもやられっぱなしではない。一斉に反撃を繰り出す。
「なめんじゃねぇ!!」
怪物の牙や爪が鍛え上げられた肉体を傷つけていくのも意に介さず、防御を完全に放棄したウィナーは攻撃にのみ集中する。リュカリオンから授与されたラウンドシールドには防御膜魔術が付与されているため、致命傷は免れることができた。
攻撃に専念することで瞬く間に周囲の敵を全滅させたウィナーは一息つくこともなく移動する。
「ウィナー様! 私よりも早くメルティナ様やルット様をお願いします!!」
リーシャは応援に駆けつけたウィナーに叫ぶ。
「わかった! 戻ってくるまで持ち堪えてみせろよ!!」
一瞬の躊躇のあと、ウィナーはメルティナの元へも馳せる。
「死ね! ラミーネルの姫君よ!!」
銀色剣歯虎が地面に倒れたメルティナに爪を振り下ろす。
「ひっ!……」
恐怖に固くなる身体をどうにか動かして横に転がる。魔獣の爪が背中を引き裂く。防御膜魔術をかけているとはいえ、傷は深く、激痛がはしる。
「悪あがきはよせ。余計に苦しむだけであるぞ?」
銀色剣歯虎は言い、さらなる追撃をしようと前肢を振り上げる。
「諦める……もんですか!!」
ガッ!
振り下ろされた前肢を魔杖ヒヒイロカネスタッフで受け止める。が、長くは持ち堪えられない。
「愚かな姫君よ。その顔に我が爪跡を刻んでくれようぞ!!」
銀色剣歯虎の口元に獰猛な笑みがこぼれる。
「そうは、いかないわ! 照明魔術!」
突如現れた光の玉に魔獣の目が眩む。前肢の力が弱まった一瞬を見逃さず、素早く抜け出したメルティナは魔杖に魔力を流す。
「火属性中級魔術!」
放たれた火炎の矢が銀色剣歯虎の顔面を捉えた。
「おのれ!」
たまらず後方へと飛び退いた銀色剣歯虎が殺気に満たされた視線をメルティナに注ぐ。
「無駄な抵抗などするなと言っているだろう!!」
銀色剣歯虎は吼える。腰を落として身構えるメルティナの頭上を跳び越えて背後をとった。
メルティナは振り返り様にヒヒイロカネスタッフを構えて魔力を練る。
ギィィィンッ
銀色剣歯虎の逞しい前肢がメルティナから魔杖を弾き飛ばす。武器を失くしたメルティナは後方へ跳ぶ。
「今度こそ終わりだ!」
魔獣は牙を剥き出しにして飛び掛かる。だが、メルティナは諦めない。左手を前にかざす。
「氷属性中級魔術!」
「ガァァァァァッ!!」
予期せぬ反撃に反応が遅れた銀色剣歯虎は回避できない。メルティナが射った氷の矢が魔獣の右目に突き刺さる。
激痛に苦しみ、地面に伏せる銀色剣歯虎。メルティナは、その隙にヒヒイロカネスタッフを拾い上げて構える。
「き……貴様ぁぁぁぁ!!」
激怒した銀色剣歯虎が矢のように駆ける。その素早い動きについていけず、メルティナは敵の姿を見失ってしまう。
「うぁっ!」
右太ももに痛みがはしる。見ると鋭い爪によって切り裂かれた傷跡から真っ赤な血が流れていた。
「あぁぁぁぁ!!」
回復魔術を施す間もなく左肩にも同様の傷がつき、血が吹き出す。
「楽には死なせぬ! なぶり殺しにしてくれるわ!!」
憎悪に満ちた視線をぶつける魔獣。だが、メルティナは戦意を喪失することなく睨み返す。ここで心を折られてしまえば勝機は失くなる。息を乱しながらも恐怖を振り払い、闘志を奮い起たせる。
「ゆくぞ!」
銀色剣歯虎は間合いを一気に詰める。
「火属性上級魔術!!」
メルティナが魔術を発動させた瞬間、銀色剣歯虎は咄嗟に横っ跳びに移動する。
「グヌゥッ!」
放たれた火炎の弾丸が魔獣の左肩を掠める。痛みに顔をゆがめながらも地面を蹴ってメルティナに迫る魔獣。
「くっ!」
横に移動しつつ魔力を練り上げる。
「逃がさぬ!」
銀色剣歯虎はメルティナの右脇をすり抜け様に脇腹に爪による一撃を入れる。
「あぅぅぅ!!」
地面に両膝をつくメルティナ。
「治癒中級魔術!」
練り上げた魔力を使って回復魔術を施す。
「させぬ!」
跳躍した銀色剣歯虎が、メルティナの頭部に噛みつこうと大きく口を開ける。
(せめて、相討ちに!!)
追い詰められたメルティナは決死の覚悟で左手を頭上から迫る魔獣に向けて魔力を一気に練る。
(この姫君! まさか自らを犠牲に!?)
銀色剣歯虎は驚愕し、同時に戦慄を覚える。
ドスッ!!
突然の衝撃だった。飛来してきた大剣クレイモアが銀色剣歯虎の胴体を左右に貫いた。その勢いで軌道がそれた魔獣の体は少し離れた所に落ちる。既に息はない。クレイモアの一撃で心臓を貫かれたことによる即死だった。
「大丈夫か!?」
駆けつけたウィナーがメルティナを気遣う。
「わたしは、大丈夫……だからお願い、ルットやリーシャを!」
メルティナは自身に治癒中級魔術をかけながら言う。
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