聖剣と魔剣の二刀流剣士物語2【七星大将軍編】

美山 鳥

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6章 決戦! 正義の鉄槌

60話 VSジュベック②

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 (メルティナ、ルット、ウィナー、リーシャ……よく頑張ってくれた!)

 満身創痍まんしんそういになりながらも耐えてくれた仲間たちを心からねぎらう。

 「おいおい、どうして出てこれるんだよ!? 中にはこの俺ですら手を焼くやつらがいたはずだぜ? ガネヴァ、ファルマ、大猿はどうしたってんだ!?」
 「俺たちが無事に出てきたことが答えなんじゃないか?」

 ジュベックの余裕の表情が険しくなる。

 「……想定外だな。七世大将軍ってのがこれほどとはな」
 「だったら、投降するか?」

 答えのわかっている提案をする。ジュベックは両手の戦斧を眼前に構え、俺を見据える。つまり、その行動こそがそのまま返答だということだ。

 「愚かですわね。アルフォス様に勝てるとでも思ってますの?」

 隣でセラがジュベックに吐き捨てるように言う。

 「殺れると思ってるからやるんだよ!」

 言い終わると同時にジュベックが動く。疾風のごとく地を駆け間合いを詰めてきた。

 「ぜやぁぁぁぁぁぁっ!!」

 ジュベックの戦斧が空中を乱舞する。俺も魔剣と聖剣で応戦する。

 剣戟の音が渓谷に響く。俺とジュベックは一進一退の攻防を展開している。

 (くっ……ガネヴァやファルマとの戦いがひびいてるか!)

 聖剣エクスカリバーによる癒水ゆすいで治療しているとはいえ、激しく動けば痛みに襲われてしまう。

 魔眼で動きを止めるか? いやダメだ。やつの動きを止めておけるのは数秒程度だろう。常に防御膜魔術プロテクションで防御を固めているジュベックを、その間に倒すのは難しい。使うタイミングは今じゃない。

 「紅雷斬こうらいざん!!」

 紅い雷を纏った魔剣を振りかざす。

 「ぬっ……ぐぅ!」

 咄嗟に戦斧で魔剣を受け止めたジュベックが顔を歪める。カラドボルグが帯びていた雷が戦斧を伝ってジュベックへと流れたからだ。

 一度、後退して仕切り直そうとするジュベックに対し、今度は聖剣をふるう。

 「水刃すいじん・5連!!」

 圧縮した水の刃を次々に飛ばす。

 「こんなものなど!」

 ジュベックは後ろに移動しながら両手を戦斧を駆使して水刃すいじんを防ぎきる。だが、俺にとってはそれも想定済みだ。

 「セラ、しばらく頼めるか?」
 「もちろんですわ!」

 俺に代わってセラがジュベックと対峙する。それを見届け、メルティナの元へと駆け寄る。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 「……アルフォス……」
 「そのままでいい」

 痛みを押して立ち上がろうとするメルティナを制止する。それから彼女の頭上でエクスカリバーを一閃した。聖剣から癒しの水がメルティナに降り注ぐ。

 「ありがとう。これでわたしも戦える!」
 「いや、やつは俺とセラに任せて、メルティナはルットたちの治療に専念するんだ」

 魔杖ヒヒイロカネスタッフを構えたメルティナたったが、俺からの指示に頷く。

 「わかった! アルフォス、気をつけてね」

 メルティナが俺を見つめて言う。

 「心配するな。俺にはまだ切り札だってある」

 安心させるように微笑する俺にメルティナも笑みを返してくれる。

 そのまま無言で俺とメルティナはそれぞれのとるべき行動を開始した。
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