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6章 決戦! 正義の鉄槌
62話 VSジュベック④
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「セラ、退がれ!」
セラに指示を飛ばし、ジュベックの戦斧を真正面から受け止める。
「要するに、てめぇさえ殺せば俺の勝ちだ!」
ジュベックは叫び、戦斧を力任せに振り下ろしてくる。対して、無理に受け止めようとはせずに受け流す。
「うぉっ!」
バランスを崩したジュベックが前のめりになる。脇腹に魔剣による一撃を入れ、背中に回り込む。
「くらえ!」
上段に構えた聖剣をがら空きとなった背中に向けて振り下ろす。
「ぐぅぅ!!」
ジュベックは、背中を斬りつけられ痛みに表情をゆがめながらも、振り返り様に戦斧を振りかざす。が、その刃はわずかに届かない。
「飛雷・3連!」
飛び退き、ジュベックから距離をとりつつ、魔剣に纏わせた雷を金獅子の戦士に連続で放つ。
「ぬぅ!!」
ジュベックが片膝を折る。セラとの戦いで相当に消耗したようだ。
「野郎……好き放題やりやがって!」
ジュベックが憎悪に満ちた視線を投げ掛けてくる。
「死ね、アルフォス!!!」
ジュベックの咆哮が渓谷に響く。その刹那、俺の左肩に激痛がはしる。
「くぅぅ!」
瞬時に間合いを詰めたジュベックの戦斧が俺の左肩を深く斬りつけていた。肩口から血が流れ出て、腕と服を赤く染めていく。
「アルフォス様!?」
「大丈夫だ」
駆け寄ろうとするセラを制止する。
「うらぁぁぁぁぁぁ!!」
ジュベックの猛攻はさらに激しく早くなっていく。
「これで終わりだぁ!!!」
ジュベックは、とどめを刺そう両手の戦斧を俺の首目掛けて揮う。が、その動きがピタリと静止する。
「な、なんだ!?」
その事態に最も驚いたのはほかでもない、ジュベック本人だった。魔眼の力によりほんの数秒間だけ動きを停めたのだ。
「おまえこそ、終わりだ!」
聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグが無数の軌跡を描き、ジュベックを切り刻む。
「ぐぅ!……あぁぁぁ!……ぬあぁぁぁぁ!!!」
全身の傷口から血が噴き出し、たちまち血まみれになる金獅子の戦士。
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
裂帛の気合いを入れて振り抜いたエクスカリバーがジュベックの胴に致命的な傷をつける。まだだ。このチャンスを無駄にはできない。魔剣カラドボルグを頭上に掲げ、雷を纏わせる。
「ぬがぁぁぁぁぁっ!!!!」
ジュベックは身体をどうにか動かそうと、ありったけの力を絞り出しているようだ。だが、それを待つほどお人好しではない。
「紅雷斬!」
カラドボルグを垂直に斬り下ろす。確かな手応えが伝わってくる。
「くそっ……たれ……め……」
ジュベックは無念を滲ませたような眼で俺を睨む。だが、そこまでだった。金獅子の戦士は遂に力尽き、倒れた。
「ちく……しょう。……なぜ、この俺が……敗れる!?」
自分の敗北を認められないのか、ジュベックは牙をむき出しにしている。しかし、重傷を負った身体を動かすことができないようだ。これほどの傷を負いながら、まだ息があるとは驚かされる。
「あなたはたしかに強い。しかし、その実力を過信するあまりに仲間との連携しなかったのが敗因でしょう」
魔杖ロープワンドで身体を支えながらやってきたルットが答えた。
「まだ無理に動かないほうがいいぞ」
言いながら、ルットに肩を貸そうする。
「アルフォスだって傷だらけじゃないか」
「ルットほどじゃないさ」
遠慮しているルットの脇に体を滑り込ませる。
「連携……だと?……」
ジュベックが聞き直し、ルットが首肯する。
「アルフォスやセラさんが出てくる前に、あなたが仲間たちと協力していれば、少なくともアルフォスとセラさん以外は生きていなかったはず」
ルットの指摘は正しかったようだ。ジュベックは反論できず、仰向けになったまま空を睨んでいる。
「ジュベックさん!」
洞窟から出てきた黒装束の少女が金獅子の戦士に駆け寄る。
「アシャ、か……」
ジュベックの表情がごく僅かに和らいだように思う。
「お願い! ジュベックさんを助けて!!」
瀕死の重傷を負っているジュベックに悲しげな表情を向けていたアシャだったが、俺に視線を合わせてジュベックの命乞いを始める。が、俺は首を横に振る。
「正義の鉄槌を速やかに解散し、タハルジャが遺した合成獣の研究を二度と使わない誓うなら聖剣の力で治癒してやる。ただし、それでも助かるとは限らない。そもそも、本人がそれを望まないんじゃないか?」
俺の言葉にジュベックは微かに顔をゆがめる。
「お見……通し……かよ。ただ、アシャ……だけ、は……助け……」
ジュベックが言葉を発したのはそこまでだった。金獅子の戦士の最後にアシャは肩を落とし、すすり泣く。
メルティナがそっと側に寄り添った。
俺は聖剣と魔剣を鞘に収める。
「今後、どうするかは自由にすればいい。ただ、暫くはアルスフェルト城にいてもらう。おとなしくしていれば危害を加えるつもりはないし、個室も用意しよう」
これで正義の鉄槌は壊滅した。俺にとってひとつの大きな問題が解決したわけだ。むろん、残党を警戒しなければならないだろうが……
「引き上げるぞ」
辛くも勝利した俺たちは、アルスフェルト城へと帰還するため、アシャを連れて移動を開始した。
セラに指示を飛ばし、ジュベックの戦斧を真正面から受け止める。
「要するに、てめぇさえ殺せば俺の勝ちだ!」
ジュベックは叫び、戦斧を力任せに振り下ろしてくる。対して、無理に受け止めようとはせずに受け流す。
「うぉっ!」
バランスを崩したジュベックが前のめりになる。脇腹に魔剣による一撃を入れ、背中に回り込む。
「くらえ!」
上段に構えた聖剣をがら空きとなった背中に向けて振り下ろす。
「ぐぅぅ!!」
ジュベックは、背中を斬りつけられ痛みに表情をゆがめながらも、振り返り様に戦斧を振りかざす。が、その刃はわずかに届かない。
「飛雷・3連!」
飛び退き、ジュベックから距離をとりつつ、魔剣に纏わせた雷を金獅子の戦士に連続で放つ。
「ぬぅ!!」
ジュベックが片膝を折る。セラとの戦いで相当に消耗したようだ。
「野郎……好き放題やりやがって!」
ジュベックが憎悪に満ちた視線を投げ掛けてくる。
「死ね、アルフォス!!!」
ジュベックの咆哮が渓谷に響く。その刹那、俺の左肩に激痛がはしる。
「くぅぅ!」
瞬時に間合いを詰めたジュベックの戦斧が俺の左肩を深く斬りつけていた。肩口から血が流れ出て、腕と服を赤く染めていく。
「アルフォス様!?」
「大丈夫だ」
駆け寄ろうとするセラを制止する。
「うらぁぁぁぁぁぁ!!」
ジュベックの猛攻はさらに激しく早くなっていく。
「これで終わりだぁ!!!」
ジュベックは、とどめを刺そう両手の戦斧を俺の首目掛けて揮う。が、その動きがピタリと静止する。
「な、なんだ!?」
その事態に最も驚いたのはほかでもない、ジュベック本人だった。魔眼の力によりほんの数秒間だけ動きを停めたのだ。
「おまえこそ、終わりだ!」
聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグが無数の軌跡を描き、ジュベックを切り刻む。
「ぐぅ!……あぁぁぁ!……ぬあぁぁぁぁ!!!」
全身の傷口から血が噴き出し、たちまち血まみれになる金獅子の戦士。
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
裂帛の気合いを入れて振り抜いたエクスカリバーがジュベックの胴に致命的な傷をつける。まだだ。このチャンスを無駄にはできない。魔剣カラドボルグを頭上に掲げ、雷を纏わせる。
「ぬがぁぁぁぁぁっ!!!!」
ジュベックは身体をどうにか動かそうと、ありったけの力を絞り出しているようだ。だが、それを待つほどお人好しではない。
「紅雷斬!」
カラドボルグを垂直に斬り下ろす。確かな手応えが伝わってくる。
「くそっ……たれ……め……」
ジュベックは無念を滲ませたような眼で俺を睨む。だが、そこまでだった。金獅子の戦士は遂に力尽き、倒れた。
「ちく……しょう。……なぜ、この俺が……敗れる!?」
自分の敗北を認められないのか、ジュベックは牙をむき出しにしている。しかし、重傷を負った身体を動かすことができないようだ。これほどの傷を負いながら、まだ息があるとは驚かされる。
「あなたはたしかに強い。しかし、その実力を過信するあまりに仲間との連携しなかったのが敗因でしょう」
魔杖ロープワンドで身体を支えながらやってきたルットが答えた。
「まだ無理に動かないほうがいいぞ」
言いながら、ルットに肩を貸そうする。
「アルフォスだって傷だらけじゃないか」
「ルットほどじゃないさ」
遠慮しているルットの脇に体を滑り込ませる。
「連携……だと?……」
ジュベックが聞き直し、ルットが首肯する。
「アルフォスやセラさんが出てくる前に、あなたが仲間たちと協力していれば、少なくともアルフォスとセラさん以外は生きていなかったはず」
ルットの指摘は正しかったようだ。ジュベックは反論できず、仰向けになったまま空を睨んでいる。
「ジュベックさん!」
洞窟から出てきた黒装束の少女が金獅子の戦士に駆け寄る。
「アシャ、か……」
ジュベックの表情がごく僅かに和らいだように思う。
「お願い! ジュベックさんを助けて!!」
瀕死の重傷を負っているジュベックに悲しげな表情を向けていたアシャだったが、俺に視線を合わせてジュベックの命乞いを始める。が、俺は首を横に振る。
「正義の鉄槌を速やかに解散し、タハルジャが遺した合成獣の研究を二度と使わない誓うなら聖剣の力で治癒してやる。ただし、それでも助かるとは限らない。そもそも、本人がそれを望まないんじゃないか?」
俺の言葉にジュベックは微かに顔をゆがめる。
「お見……通し……かよ。ただ、アシャ……だけ、は……助け……」
ジュベックが言葉を発したのはそこまでだった。金獅子の戦士の最後にアシャは肩を落とし、すすり泣く。
メルティナがそっと側に寄り添った。
俺は聖剣と魔剣を鞘に収める。
「今後、どうするかは自由にすればいい。ただ、暫くはアルスフェルト城にいてもらう。おとなしくしていれば危害を加えるつもりはないし、個室も用意しよう」
これで正義の鉄槌は壊滅した。俺にとってひとつの大きな問題が解決したわけだ。むろん、残党を警戒しなければならないだろうが……
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