94 / 97
7章 最後の戦い
86話 VS女神フィアーゼ②
しおりを挟む
粉砕された玉座の破片が四方八方へと飛散する。フィアーゼが魔力をほとばしらせたことによって弾き飛ばされた。
「やってくれるじゃないのよ!」
唇を切ったのか、口に溜まった血を吐き捨てたフィアーゼが俺たち全員を睥睨する。
「散れ!!!!」
「八蛇集光!!!」
リュカリオンが俺たちに叫んだ直後、フィアーゼの髪が変化した八岐大蛇が放った光線が一筋に収束され巨大な光線となって発射された。
(おいおい、謁見の間の半分以上が一瞬で消し飛んだぞ!?)
床や壁がなくなり、崩壊した謁見の間が俺の視界に入る。リュカリオンが注意をしなれば、さっきの一撃で全滅もあり得た。女神フィアーゼを相手にするには、ほんの一瞬でも気を抜けないということを改めて痛感させられる。
「メルティナ嬢ちゃんたちは大丈夫なのかよ!?」
ウィナーが避難したメルティナたちのことを気に掛ける。たしかに、俺としてもできることなら今すぐに安否を確認したいところではある。しかし、現状ではそれもかなわない。
「くらえぇ! 魔雷旋刃!!……流動龍水撃!!」
あれだけ高出力の攻撃を放った直後ならば
、いかに女神フィアーゼといえどもすぐには行動を起こせないだろうとふんで攻撃を仕掛ける。
「くぬぅ!!」
はたして、俺の読みは正しかったようだ。フィアーゼの表情が引きつる。紅い雷をまとった魔剣と水の魔力をまとった聖剣の連続斬撃がフィアーゼの肉体を傷つけていく。
「余たちも一気にいくぞ!!」
右手と左手にそれぞれ魔力槍を持ったリュカリオンが俺に続いて女神に攻撃を仕掛ける。
「ちっ! 忌々しい!!」
八岐大蛇だけでは防御しきれなくなったフィアーゼが大鎌も併用してリュカリオンの双槍を弾き返していく。だが、それでもさすがに俺とリュカリオンの攻撃を防ぐことは不可能だ。事実、フィアーゼは全身が傷つき、赤い鮮血が足元に流れ落ちている。たまらず飛空魔術で空中へと移動する女神。
「よし、今だ! 剣旋!!」
そのタイミングを待っていたウィナーがクレイモアを振りかざす。巻き起こった旋風が刃となってフィアーゼを飲み込んだ。あいつ、いつの間にあんな技を……剣圧と基本的な風魔術を併せた攻撃か。ルットあたりが修行に付き合ったといったところか?
「うっし! 初めて成功したぜ!!」
ウィナーがガッツポーズをとる。初めてだって!?
「……呆れましたわ。こんな重要な局面で成功したことない技を試すなんて……」
俺の隣でセラがポツリと呟く。その気持ちはわからなくはない。
「くそっ!」
刃の旋風から抜けたフィアーゼは全身から血を流しつつも魔力を練り上げる。集まった魔力は巨大な黒い塊となる。
「光属性上級魔術!」
魔杖ロープワンドを掲げたルットが撃った光の刃は女神の頭上に集まった黒い塊に吸い込まれるように吸収されて消えていく。
「ふんっ、焦って狙いを外したのかしら? それとも反対属性の魔術なら相殺できると思ったの? だとしたら、あまいわね! あたしの魔術があなたごときに相殺されるわけないでしょ!!」
「これからだよ! 爆ぜろ! 光属性上級魔術!!」
ルットが叫んだ瞬間、フィアーゼの頭上の黒い塊の内部から閃光がほとばしる。
「なに!? なんなのよ!!?」
フィアーゼが表情を凍りつかせた刹那、女神の頭上に集まった膨大な魔力が大爆発を巻き起こす。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
黒い業火に身を包まれたフィアーゼの絶叫が空気を振動させた。
「やってくれるじゃないのよ!」
唇を切ったのか、口に溜まった血を吐き捨てたフィアーゼが俺たち全員を睥睨する。
「散れ!!!!」
「八蛇集光!!!」
リュカリオンが俺たちに叫んだ直後、フィアーゼの髪が変化した八岐大蛇が放った光線が一筋に収束され巨大な光線となって発射された。
(おいおい、謁見の間の半分以上が一瞬で消し飛んだぞ!?)
床や壁がなくなり、崩壊した謁見の間が俺の視界に入る。リュカリオンが注意をしなれば、さっきの一撃で全滅もあり得た。女神フィアーゼを相手にするには、ほんの一瞬でも気を抜けないということを改めて痛感させられる。
「メルティナ嬢ちゃんたちは大丈夫なのかよ!?」
ウィナーが避難したメルティナたちのことを気に掛ける。たしかに、俺としてもできることなら今すぐに安否を確認したいところではある。しかし、現状ではそれもかなわない。
「くらえぇ! 魔雷旋刃!!……流動龍水撃!!」
あれだけ高出力の攻撃を放った直後ならば
、いかに女神フィアーゼといえどもすぐには行動を起こせないだろうとふんで攻撃を仕掛ける。
「くぬぅ!!」
はたして、俺の読みは正しかったようだ。フィアーゼの表情が引きつる。紅い雷をまとった魔剣と水の魔力をまとった聖剣の連続斬撃がフィアーゼの肉体を傷つけていく。
「余たちも一気にいくぞ!!」
右手と左手にそれぞれ魔力槍を持ったリュカリオンが俺に続いて女神に攻撃を仕掛ける。
「ちっ! 忌々しい!!」
八岐大蛇だけでは防御しきれなくなったフィアーゼが大鎌も併用してリュカリオンの双槍を弾き返していく。だが、それでもさすがに俺とリュカリオンの攻撃を防ぐことは不可能だ。事実、フィアーゼは全身が傷つき、赤い鮮血が足元に流れ落ちている。たまらず飛空魔術で空中へと移動する女神。
「よし、今だ! 剣旋!!」
そのタイミングを待っていたウィナーがクレイモアを振りかざす。巻き起こった旋風が刃となってフィアーゼを飲み込んだ。あいつ、いつの間にあんな技を……剣圧と基本的な風魔術を併せた攻撃か。ルットあたりが修行に付き合ったといったところか?
「うっし! 初めて成功したぜ!!」
ウィナーがガッツポーズをとる。初めてだって!?
「……呆れましたわ。こんな重要な局面で成功したことない技を試すなんて……」
俺の隣でセラがポツリと呟く。その気持ちはわからなくはない。
「くそっ!」
刃の旋風から抜けたフィアーゼは全身から血を流しつつも魔力を練り上げる。集まった魔力は巨大な黒い塊となる。
「光属性上級魔術!」
魔杖ロープワンドを掲げたルットが撃った光の刃は女神の頭上に集まった黒い塊に吸い込まれるように吸収されて消えていく。
「ふんっ、焦って狙いを外したのかしら? それとも反対属性の魔術なら相殺できると思ったの? だとしたら、あまいわね! あたしの魔術があなたごときに相殺されるわけないでしょ!!」
「これからだよ! 爆ぜろ! 光属性上級魔術!!」
ルットが叫んだ瞬間、フィアーゼの頭上の黒い塊の内部から閃光がほとばしる。
「なに!? なんなのよ!!?」
フィアーゼが表情を凍りつかせた刹那、女神の頭上に集まった膨大な魔力が大爆発を巻き起こす。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
黒い業火に身を包まれたフィアーゼの絶叫が空気を振動させた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる