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第11章 レッドレオとブルータイガー
11―15 VSギラン③
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「うぉぉぉぉっ! ここからは本気でいかせてもらうぜ!!」
咆哮したギランがアルナのグラビティなどものともしないスピードでエルフェリオンに飛びかかる。
(速い!)
絶え間なく繰り出される連続突きを邪龍剣で受け流すエルフェリオン。だが、すぐに捌ききれなくなる。
「ぐぅっ!」
エルフェリオンは全身にかすり傷を負っていく。
(ひとまず離れる!)
エルフェリオンは、間合いをとろうとバックステップで移動する。
「本気になったオレの槍からは簡単には逃れられねぇぞ!」
ギランがグイッと肘を引く。
「闘気戦術・突穿!」
穂先に闘気を帯びた槍が一筋の光の軌跡を空中に描き、エルフェリオンの右脇腹を捉えた。
「あがっ!」
「エルフェリオン!?」
苦悶の表情を浮かべるエルフェリオンを気遣って、アルナが叫ぶ。
「咄嗟に急所を外したのはさすがだが、そいつは苦しむ時間を延ばすだけにすぎねぇ。次は確実に仕留めてやる。プロの殺し屋をなめるなよ」
再び肘を引いたギランは狙いを定める。
「バインド・チェーン!」
アルナの魔力によって作り出された鎖が地面から飛び出す。
「くっ!」
ギランは素早く飛び跳ねる。
(躱された!?)
「ライトニング・ショット!」
ギランは驚嘆するアルナに雷撃球を放つ。
「あぅ!」
全身に電撃が走ったアルナは声を漏らして片膝をつく。
「闘気戦術……」
着地したギランは、背後からの殺気にゾクリと悪寒を覚え、その場から離脱する。
「飛閃!!」
闘気を帯びた邪龍剣から斬撃波が飛び出す。
「ぐっ!」
槍の柄で防いだギランは、強い衝撃を受けてヨタヨタと2、3歩後退する。
(こいつ、攻撃の威力が上がってやがるのか!?)
ギランの表情が僅かに強張る。
エルフェリオンは攻勢を緩めない。前に大きく踏み込んで邪龍剣の切先をギランに向ける。
「ぐっ、この……」
「バインド・チェーン!」
迎撃態勢をとるギランを拘束しようとアルナが魔力の鎖を地面から延ばす。
「闘気戦術・連突!」
闘気を纏った邪龍剣が幾筋もの光となってギランに攻める。
(おいおい! こいつ、技のキレまで増してねぇか!?)
ギランは不測の事態に焦燥感を覚える。
『クハハハハハハハ! 貴様はやはり強敵との戦闘において能力を発揮していくようじゃのぉ』
レヴィジアルは愉快げに声を弾ませる。
「ぬぐぅぅっ」
バインド・チェーンによって動きを封じられていたギランは、連突をまともに受けてグラリと態勢を崩す。
『ほぉ。魔力の扱いはそこそこの熟練度のようじゃの。使い手が未熟者なのも大きいが、邪龍武具の攻撃にも耐えるか』
感心するレヴィジアルを無視して、エルフェリオンは再び邪龍剣に魔力を流し込む。
「闘気戦術・斬閃!!」
エルフェリオンは、闘気を纏うことで斬れ味が増した邪龍剣を揮う。
「はぁ!!」
ギランは自らの魔力を爆発的に放出する。それは衝撃波となって全方向へと放たれ、魔力の鎖は千切れ飛び、エルフェリオンとアルナは弾き飛ばされた。
「調子づいてんなよ。オレは殺し屋だ。常に殺る側の人間なんだよ! 闘気戦術・連突!!」
ギランはターゲットをアルナに定めて連突を撃つ。
「あぅぐ!」
アルナの鮮血が宙を舞う。
「オレの闘気戦術をまともにくらって死なねぇか。相当上手く練り上げられた魔力を纏っているってことだな。ならば!」
ギランが肘を引き、槍の穂先に闘気を集める。
「闘気……」
突穿を放とうとしたギランは頭上からの殺気に飛び退く。
ダァァンッ
直後、邪龍鎚が地面を叩いた。
(……あと少しでも遅れていたら……)
ギランは冷や汗が止まらなくなってきた。
「なんなんだよ、おまえは!? 剣に槍に戦鎚……次々に変形する武器なんざ聞いたことねぇぞ!? んなもん、卑怯だろうが!」
狼狽したギランが怒鳴る。
「あん? 俺がどんな得物を使おうが勝手だろうがよ」
邪龍鎚を中段後方に構えてギランを睨んだエルフェリオンが反論する。
(ちっ、判断をミスったか! まさか、この二人がここまでやるとはな……)
劣勢に立たされたギランはジリジリと後退していく。可能ならばすぐにでも逃げ出したいところではある。だが、闇ギルドほ掟として、依頼の失敗は自らの死をもって償わなければならない。
(落ち着け!……まだだ、まだ決着がついたわけじゃねぇ。オレがこんなところで終わるはずがないんだ!!)
ギランは、確実に生き残る道を模索して周辺に視線を素早く走らせる。
(あれだ!)
ある一点を凝視したギランの口角がニヤリと吊り上がる。刹那、ギランは全速力で駆け出していた。
「ちぃ!!」
「バーニング・ガトリング!」
ギランの企みに気付いたエルフェリオンとアルナが同時に動く。
ドドドドドドドッ
アルナが放った無数の火炎弾は、標的であるギランに躱されたことで、地面に焼け跡を残す。
「なにっ、オレを追い抜きやがったのか!?」
追いかけてきていたはずのエルフェリオンが、進路上に現れたことに両眼を大きく見開くギラン。
「闘気戦術・連舞!」
エルフェリオンは、邪龍鎚を邪龍剣に変形させて連舞を繰り出す。
「退けぇぇぇぇぇぃ!」
頭部を守り、防御態勢をとったギランはそのまま強引にエルフェリオンに突進していく。
ドンッ
「うぉっ!」
ギランは、連舞を真正面から受けて身体中に傷を負いつつもエルフェリオンを体当たりで弾き飛ばす。
「くそ!」
体勢を立て直したエルフェリオンがギランを追跡する。しかし……
「うわぁ!」
ギランは物陰に隠れていた少年を地面に押し倒し、その喉元に槍の穂先を突きつけた。
咆哮したギランがアルナのグラビティなどものともしないスピードでエルフェリオンに飛びかかる。
(速い!)
絶え間なく繰り出される連続突きを邪龍剣で受け流すエルフェリオン。だが、すぐに捌ききれなくなる。
「ぐぅっ!」
エルフェリオンは全身にかすり傷を負っていく。
(ひとまず離れる!)
エルフェリオンは、間合いをとろうとバックステップで移動する。
「本気になったオレの槍からは簡単には逃れられねぇぞ!」
ギランがグイッと肘を引く。
「闘気戦術・突穿!」
穂先に闘気を帯びた槍が一筋の光の軌跡を空中に描き、エルフェリオンの右脇腹を捉えた。
「あがっ!」
「エルフェリオン!?」
苦悶の表情を浮かべるエルフェリオンを気遣って、アルナが叫ぶ。
「咄嗟に急所を外したのはさすがだが、そいつは苦しむ時間を延ばすだけにすぎねぇ。次は確実に仕留めてやる。プロの殺し屋をなめるなよ」
再び肘を引いたギランは狙いを定める。
「バインド・チェーン!」
アルナの魔力によって作り出された鎖が地面から飛び出す。
「くっ!」
ギランは素早く飛び跳ねる。
(躱された!?)
「ライトニング・ショット!」
ギランは驚嘆するアルナに雷撃球を放つ。
「あぅ!」
全身に電撃が走ったアルナは声を漏らして片膝をつく。
「闘気戦術……」
着地したギランは、背後からの殺気にゾクリと悪寒を覚え、その場から離脱する。
「飛閃!!」
闘気を帯びた邪龍剣から斬撃波が飛び出す。
「ぐっ!」
槍の柄で防いだギランは、強い衝撃を受けてヨタヨタと2、3歩後退する。
(こいつ、攻撃の威力が上がってやがるのか!?)
ギランの表情が僅かに強張る。
エルフェリオンは攻勢を緩めない。前に大きく踏み込んで邪龍剣の切先をギランに向ける。
「ぐっ、この……」
「バインド・チェーン!」
迎撃態勢をとるギランを拘束しようとアルナが魔力の鎖を地面から延ばす。
「闘気戦術・連突!」
闘気を纏った邪龍剣が幾筋もの光となってギランに攻める。
(おいおい! こいつ、技のキレまで増してねぇか!?)
ギランは不測の事態に焦燥感を覚える。
『クハハハハハハハ! 貴様はやはり強敵との戦闘において能力を発揮していくようじゃのぉ』
レヴィジアルは愉快げに声を弾ませる。
「ぬぐぅぅっ」
バインド・チェーンによって動きを封じられていたギランは、連突をまともに受けてグラリと態勢を崩す。
『ほぉ。魔力の扱いはそこそこの熟練度のようじゃの。使い手が未熟者なのも大きいが、邪龍武具の攻撃にも耐えるか』
感心するレヴィジアルを無視して、エルフェリオンは再び邪龍剣に魔力を流し込む。
「闘気戦術・斬閃!!」
エルフェリオンは、闘気を纏うことで斬れ味が増した邪龍剣を揮う。
「はぁ!!」
ギランは自らの魔力を爆発的に放出する。それは衝撃波となって全方向へと放たれ、魔力の鎖は千切れ飛び、エルフェリオンとアルナは弾き飛ばされた。
「調子づいてんなよ。オレは殺し屋だ。常に殺る側の人間なんだよ! 闘気戦術・連突!!」
ギランはターゲットをアルナに定めて連突を撃つ。
「あぅぐ!」
アルナの鮮血が宙を舞う。
「オレの闘気戦術をまともにくらって死なねぇか。相当上手く練り上げられた魔力を纏っているってことだな。ならば!」
ギランが肘を引き、槍の穂先に闘気を集める。
「闘気……」
突穿を放とうとしたギランは頭上からの殺気に飛び退く。
ダァァンッ
直後、邪龍鎚が地面を叩いた。
(……あと少しでも遅れていたら……)
ギランは冷や汗が止まらなくなってきた。
「なんなんだよ、おまえは!? 剣に槍に戦鎚……次々に変形する武器なんざ聞いたことねぇぞ!? んなもん、卑怯だろうが!」
狼狽したギランが怒鳴る。
「あん? 俺がどんな得物を使おうが勝手だろうがよ」
邪龍鎚を中段後方に構えてギランを睨んだエルフェリオンが反論する。
(ちっ、判断をミスったか! まさか、この二人がここまでやるとはな……)
劣勢に立たされたギランはジリジリと後退していく。可能ならばすぐにでも逃げ出したいところではある。だが、闇ギルドほ掟として、依頼の失敗は自らの死をもって償わなければならない。
(落ち着け!……まだだ、まだ決着がついたわけじゃねぇ。オレがこんなところで終わるはずがないんだ!!)
ギランは、確実に生き残る道を模索して周辺に視線を素早く走らせる。
(あれだ!)
ある一点を凝視したギランの口角がニヤリと吊り上がる。刹那、ギランは全速力で駆け出していた。
「ちぃ!!」
「バーニング・ガトリング!」
ギランの企みに気付いたエルフェリオンとアルナが同時に動く。
ドドドドドドドッ
アルナが放った無数の火炎弾は、標的であるギランに躱されたことで、地面に焼け跡を残す。
「なにっ、オレを追い抜きやがったのか!?」
追いかけてきていたはずのエルフェリオンが、進路上に現れたことに両眼を大きく見開くギラン。
「闘気戦術・連舞!」
エルフェリオンは、邪龍鎚を邪龍剣に変形させて連舞を繰り出す。
「退けぇぇぇぇぇぃ!」
頭部を守り、防御態勢をとったギランはそのまま強引にエルフェリオンに突進していく。
ドンッ
「うぉっ!」
ギランは、連舞を真正面から受けて身体中に傷を負いつつもエルフェリオンを体当たりで弾き飛ばす。
「くそ!」
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