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第4章 狙われた親子
4―17 救世主か殺人鬼か
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「いやぁぁぁぁ!! 死にたくない!! だれか、助けて!!!!」
湧き起こる恐怖心に耐えかねたアルナが泣き叫ぶ。
「けっ……普段は勝ち気なくせに情けねぇんじゃねぇか?」
不意に聞こえてきた声にアルナは希望を抱いて顔を上げる。それと時を同じくして、傍に立っていた女が背後に気配を感じ、振り返ろうと体を動かす。
「遅ぇよ」
女が振り返る間すらなく、その左腕が斬り飛ばされる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」
女が絶叫して地面を転げ回る。それを見下ろしたエルフェリオンが鼻で笑う。
「先に言っとくが、俺はこいつやデルマみてぇにあまくねぇぞ? てめぇらを皆殺しにするのに躊躇しねぇ」
邪龍剣を正眼に構えたエルフェリオンが鋭い視線をガージンに向ける。
「なぜ、君が生きているのかね? おい、こいつの死は確認したのだろう?」
「はい!……たしかにガージン様が放った矢が左胸に!……それ…に……血液も流れ出ていた、はずです!」
ガージンに訊かれ、地面でのたうち回っていた女は苦悶の表情を浮かべながらも答える。
「はんっ! 俺が着ているこの龍衣をなめんじゃねぇぞ。防具としの機能はそこらの鎧なんかより数段上なんだぜ。しかもだ、着用者に自自己回復能力を付与する代物ときている」
『ふん、小童が。わしの宝を我が物のようにぬかしおって』
胸を張るエルフェリオンに対してレヴィジアルは不満を漏らす。
「まぁ、いいでしょう。ならば、この場で確実に始末すれば何も問題ないのですからね!」
「できるのかよ? てめぇらごときに」
エルフェリオンとガージンの視線が激しく交わる。
「……このぉ!」
地面に伏せていた女が隠し持っていたダガーを鞘から引き抜き、青髪の青年エルフェリオンに飛びかかる。
「邪魔だ」
エルフェリオンは宣言どおりに躊躇いなく女を斬り捨てる。
「そ……んな……」
女は自らの短い生涯を哀れむように瞳から涙を流し、その姿は跡形もなく消失した。
『ふむ。やはり若い女の魂が最も美味い』
女の魂を喰らったレヴィジアルは満悦する。
「ガージンさん、ここはお任せを」
陋屋の入り口で佇んで様子を見ていた大男がガージンの傍らに移動する。筋骨隆々とした黒い肌の大男は、金属製のハンマーを肩に乗せてエルフェリオンを睨む。
「いいでしょう。あの小僧を始末すれば、それなりの褒美をとらせますよ」
「ありがとうございます……てわけだ。オレの名はリュガン。悪ぃが、ガージンさんに褒美をもらうために死んでくれや」
リュガンと名乗った黒肌の大男は赤い魔力を帯びて臨戦態勢をとった。
湧き起こる恐怖心に耐えかねたアルナが泣き叫ぶ。
「けっ……普段は勝ち気なくせに情けねぇんじゃねぇか?」
不意に聞こえてきた声にアルナは希望を抱いて顔を上げる。それと時を同じくして、傍に立っていた女が背後に気配を感じ、振り返ろうと体を動かす。
「遅ぇよ」
女が振り返る間すらなく、その左腕が斬り飛ばされる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」
女が絶叫して地面を転げ回る。それを見下ろしたエルフェリオンが鼻で笑う。
「先に言っとくが、俺はこいつやデルマみてぇにあまくねぇぞ? てめぇらを皆殺しにするのに躊躇しねぇ」
邪龍剣を正眼に構えたエルフェリオンが鋭い視線をガージンに向ける。
「なぜ、君が生きているのかね? おい、こいつの死は確認したのだろう?」
「はい!……たしかにガージン様が放った矢が左胸に!……それ…に……血液も流れ出ていた、はずです!」
ガージンに訊かれ、地面でのたうち回っていた女は苦悶の表情を浮かべながらも答える。
「はんっ! 俺が着ているこの龍衣をなめんじゃねぇぞ。防具としの機能はそこらの鎧なんかより数段上なんだぜ。しかもだ、着用者に自自己回復能力を付与する代物ときている」
『ふん、小童が。わしの宝を我が物のようにぬかしおって』
胸を張るエルフェリオンに対してレヴィジアルは不満を漏らす。
「まぁ、いいでしょう。ならば、この場で確実に始末すれば何も問題ないのですからね!」
「できるのかよ? てめぇらごときに」
エルフェリオンとガージンの視線が激しく交わる。
「……このぉ!」
地面に伏せていた女が隠し持っていたダガーを鞘から引き抜き、青髪の青年エルフェリオンに飛びかかる。
「邪魔だ」
エルフェリオンは宣言どおりに躊躇いなく女を斬り捨てる。
「そ……んな……」
女は自らの短い生涯を哀れむように瞳から涙を流し、その姿は跡形もなく消失した。
『ふむ。やはり若い女の魂が最も美味い』
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「いいでしょう。あの小僧を始末すれば、それなりの褒美をとらせますよ」
「ありがとうございます……てわけだ。オレの名はリュガン。悪ぃが、ガージンさんに褒美をもらうために死んでくれや」
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