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第5章 老翁との出会い
5―1 次の目的地は?
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レバルフから東へと街道を歩くエルフェリオンとアルナ。
「ねぇ、お兄ちゃんの仇の男たち……ギゼムとルドアってどこにいるのよ?」
「さぁな?」
「……へ?……ちょっと待って。それじゃ、あたしたちはどこへ向かってるわけ?」
「この街道を進めばティクって町があるはずだ。まずはそこに行って情報を集める」
「それなら、レバルフで情報収集したほうがよかったんじゃないの? あそこのほうが人も多いわけだし」
エルフェリオンは、アルナから投げかけられた質問にフンッと鼻を鳴らす。
「あそこの連中はスラム街の住人をゴミクズとして見ているやつらが多い。そんなやつらからの情報なんて要らねぇよ」
その言葉からは過去に差別的な扱いを受けてきたであろうことが窺い知れた。
「わかった、それじゃあ……ねぇ、あれ!?」
何かに気付いたアルナが街道から大きく外れた茂みを指差す。そこには数体のゴブリンに取り囲まれている老翁の姿があった。
「ほっとけ。俺たちには関係ないことだ」
エルフェリオンは振り向きもしないで素っ気なく答える。
「なに言ってるの! 人が襲われてるのよ!?」
聖杖を構えるアルナに対して、エルフェリオンは全く動こうとしない。
「まさか、見捨てるつもりじゃないでしょうね!?」
「周りをみてみろよ。あれに気付いてるのは俺たちだけじゃねぇ。だが、ほかのやつらも見て見ぬ振りをしてやり過ごしてる。だれだって好き好んで面倒に巻き込まれたくないからな」
詰め寄るアルナに対してエルフェリオンの反応は冷ややかなものだった。しかし、アルナも引き下がらない。
「だからって、あたしたちまで見捨てていいってことにはならないでしょ!?」
青い瞳でキッと睨みつけてくる少女にエルフェリオンはため息を吐く。
「あのなぁ、ゴブリンってのはかなり執念深いやつらなんだぜ? 1体でも逃がせば仲間を引き連れて復讐に……って、おい!」
エルフェリオンとの口論の時間を惜しんだアルナはひとり駆け出した。
「ちっ、聞いちゃいねぇってか」
アルナの後ろ姿を見送り、エルフェリオンは呟いた。
「ねぇ、お兄ちゃんの仇の男たち……ギゼムとルドアってどこにいるのよ?」
「さぁな?」
「……へ?……ちょっと待って。それじゃ、あたしたちはどこへ向かってるわけ?」
「この街道を進めばティクって町があるはずだ。まずはそこに行って情報を集める」
「それなら、レバルフで情報収集したほうがよかったんじゃないの? あそこのほうが人も多いわけだし」
エルフェリオンは、アルナから投げかけられた質問にフンッと鼻を鳴らす。
「あそこの連中はスラム街の住人をゴミクズとして見ているやつらが多い。そんなやつらからの情報なんて要らねぇよ」
その言葉からは過去に差別的な扱いを受けてきたであろうことが窺い知れた。
「わかった、それじゃあ……ねぇ、あれ!?」
何かに気付いたアルナが街道から大きく外れた茂みを指差す。そこには数体のゴブリンに取り囲まれている老翁の姿があった。
「ほっとけ。俺たちには関係ないことだ」
エルフェリオンは振り向きもしないで素っ気なく答える。
「なに言ってるの! 人が襲われてるのよ!?」
聖杖を構えるアルナに対して、エルフェリオンは全く動こうとしない。
「まさか、見捨てるつもりじゃないでしょうね!?」
「周りをみてみろよ。あれに気付いてるのは俺たちだけじゃねぇ。だが、ほかのやつらも見て見ぬ振りをしてやり過ごしてる。だれだって好き好んで面倒に巻き込まれたくないからな」
詰め寄るアルナに対してエルフェリオンの反応は冷ややかなものだった。しかし、アルナも引き下がらない。
「だからって、あたしたちまで見捨てていいってことにはならないでしょ!?」
青い瞳でキッと睨みつけてくる少女にエルフェリオンはため息を吐く。
「あのなぁ、ゴブリンってのはかなり執念深いやつらなんだぜ? 1体でも逃がせば仲間を引き連れて復讐に……って、おい!」
エルフェリオンとの口論の時間を惜しんだアルナはひとり駆け出した。
「ちっ、聞いちゃいねぇってか」
アルナの後ろ姿を見送り、エルフェリオンは呟いた。
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