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第10章 元処刑場の戦い
10―4 ゾンビ、襲撃
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飛び出したのは腕だけではない。地面が盛り上がり、腐敗した遺体が全身を現す。
「うっ!」
アルナが口元に手を当ててうずくまった。辺りにすさまじい腐敗臭が立ち込める。元処刑場の敷地内のあちらこちらからも同様にゾンビが次々に出現し、その数はおびただしいものとなっていた。
「骸骨の次はゾンビかよ。だが、こっちもまだ暴れ足りねぇくらいだ。これくらい盛り上げてもらわねぇとおもしろくないってもんだ!」
アルナとは対照的にエルフェリオンは邪龍槍を構えてゾンビを蹴散らしていく。
「うぷ……あいつ、どうしてあんな平然としてられるのよ……」
立ち込める悪臭にアルナの顔色は悪く、気分もすぐれないようだ。しかし、そんな彼女にもゾンビは容赦なく襲いかかる。
「ああもぅ! バーニング・トルネード!!!」
ヤケクソ気味に立ち上がったアルナは、聖杖を掲げて魔術名を詠唱する。それによって足下に浮かび上がった魔法陣から火炎の竜巻が発生し、近付いてくるゾンビを片っ端から焼き払う。
「うっ……」
腐敗したゾンビが火炎で焼かれたことで、さらなる悪臭と熱気がアルナを襲う。
「大丈夫かよ、あいつ」
エルフェリオンはアルナを気にしつつも邪龍槍でゾンビを切り払う。
「ん?」
エルフェリオンは、監獄として使われていた建物の脇の断頭台に目を向ける。そこにはボロマントをまとったスケルトンが立っていて、エルフェリオンとアルナをじっと見ている。手には両手持ち用の大斧が握られていた。
(あいつがターゲットのウォリアー級スケルトンか?)
周囲のゾンビを掃討したエルフェリオンは邪龍槍に闘気をまとわせる。
「闘気戦術・飛閃!」
振り抜かれた邪龍槍から闘気を帯びた斬撃波が放たれ、断頭台に立つスケルトンへと一直線に飛んでいく。
ギンッ
スケルトンは両手持ち用大斧を斬り上げて斬撃波をいとも容易く消滅させる。
『ほほぉ。あのスケルトン、なかなか骨がありそうじゃのぉ。スケルトンだけに、な』
どこまで本気で言っているのかわからないような冗談を吐く邪龍に、エルフェリオンは呆れたようにフッと息を漏らす。
「バーニング・ショット!」
スケルトンの存在に気付いたアルナが火炎弾を撃つ。だが、スケルトンは跳躍して断頭台から飛び降りて躱し、建物の裏口から中へと入る。
「へっ、どうやら俺たちを中に誘ってるみてぇだな。上等じゃねぇか」
エルフェリオンは邪龍槍を肩にかけて建物の玄関口へと向かう。
「あのスケルトンが入っていった裏口へ回らないの?」
「あからさまに誘ってる感じだからな。それに乗ってやるのもおもしろいかもしれねぇが、あいつの手のひらの上で踊らされてるみてぇな気がして癪だ」
エルフェリオンは、訊いてくるアルナに答えて建物の扉を開けた。
「うっ!」
アルナが口元に手を当ててうずくまった。辺りにすさまじい腐敗臭が立ち込める。元処刑場の敷地内のあちらこちらからも同様にゾンビが次々に出現し、その数はおびただしいものとなっていた。
「骸骨の次はゾンビかよ。だが、こっちもまだ暴れ足りねぇくらいだ。これくらい盛り上げてもらわねぇとおもしろくないってもんだ!」
アルナとは対照的にエルフェリオンは邪龍槍を構えてゾンビを蹴散らしていく。
「うぷ……あいつ、どうしてあんな平然としてられるのよ……」
立ち込める悪臭にアルナの顔色は悪く、気分もすぐれないようだ。しかし、そんな彼女にもゾンビは容赦なく襲いかかる。
「ああもぅ! バーニング・トルネード!!!」
ヤケクソ気味に立ち上がったアルナは、聖杖を掲げて魔術名を詠唱する。それによって足下に浮かび上がった魔法陣から火炎の竜巻が発生し、近付いてくるゾンビを片っ端から焼き払う。
「うっ……」
腐敗したゾンビが火炎で焼かれたことで、さらなる悪臭と熱気がアルナを襲う。
「大丈夫かよ、あいつ」
エルフェリオンはアルナを気にしつつも邪龍槍でゾンビを切り払う。
「ん?」
エルフェリオンは、監獄として使われていた建物の脇の断頭台に目を向ける。そこにはボロマントをまとったスケルトンが立っていて、エルフェリオンとアルナをじっと見ている。手には両手持ち用の大斧が握られていた。
(あいつがターゲットのウォリアー級スケルトンか?)
周囲のゾンビを掃討したエルフェリオンは邪龍槍に闘気をまとわせる。
「闘気戦術・飛閃!」
振り抜かれた邪龍槍から闘気を帯びた斬撃波が放たれ、断頭台に立つスケルトンへと一直線に飛んでいく。
ギンッ
スケルトンは両手持ち用大斧を斬り上げて斬撃波をいとも容易く消滅させる。
『ほほぉ。あのスケルトン、なかなか骨がありそうじゃのぉ。スケルトンだけに、な』
どこまで本気で言っているのかわからないような冗談を吐く邪龍に、エルフェリオンは呆れたようにフッと息を漏らす。
「バーニング・ショット!」
スケルトンの存在に気付いたアルナが火炎弾を撃つ。だが、スケルトンは跳躍して断頭台から飛び降りて躱し、建物の裏口から中へと入る。
「へっ、どうやら俺たちを中に誘ってるみてぇだな。上等じゃねぇか」
エルフェリオンは邪龍槍を肩にかけて建物の玄関口へと向かう。
「あのスケルトンが入っていった裏口へ回らないの?」
「あからさまに誘ってる感じだからな。それに乗ってやるのもおもしろいかもしれねぇが、あいつの手のひらの上で踊らされてるみてぇな気がして癪だ」
エルフェリオンは、訊いてくるアルナに答えて建物の扉を開けた。
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