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4章 ラミーネル攻略戦
73話 復讐の刻
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アルフォスによる死刑執行の当日。クラッツェルンの城門前広場に設置された処刑台の上にはジルバーナたち4人の姿があった。
「せっかくの脱出のチャンスをふいにするなんてね……」
セラがアルフォスの手による死刑を待つ身の4人に吐き捨てる。
「どうやっても償えるような罪じゃないんだ。それなら、おとなしく死刑を受け入れたほうがいい」
ルットが答える。
「そう……」
セラもまた短く返す。
「あの、セラさん……」
メルティナがセラに声をかける。セラは黙って視線だけを移す。
「ありがとうございます」
突然に礼を言われて怪訝な表情を見せるセラ。
「セラさんのような人がアルフォスの側にいてくれて本当によかったと思います。そうじゃなきゃ、アルフォスがあまりにも…」
「ふん……。そんな言葉をよくも言えたものですわね! はっきり言っておきますわ。わたくしはあなたのことがいちばん憎く思っておりますの。アルフォス様の愛を受けておきながら、アルフォス様のことを信用しようももせず、話に耳を傾けようとさえしなかったあなたが!!」
メルティナはただ黙って聞いている。
「それくらいにしておいたらどうだ? どうせ、もうすぐ死ぬ身だ」
処刑台にやってきたアルフォスがセラをたしなめる。
「アルフォス様……」
「アルフォス…」
セラとメルティナが同時に声を発する。
アルフォスは無言で魔剣カラドボルグを背中の鞘から抜剣する。
「お待ちください! アルフォス様!!」
緊迫した空気が流れる中、一人の老婆が処刑台の下までやってきて叫ぶ。
「おい、婆さん!」
ウィナーが老婆の腕を掴む。しかし、老婆は声をあげ続ける。
「わたしはメルティナ様のお側に仕えていた者です! 覚えておられませんか!?」
アルフォスは記憶を探る。たしかに、あのような人物がいたようにも思う。
「待て、ウィナー。その婆さんの話とやらを聞いておく」
アルフォスに言われ、ウィナーは老婆の腕を放す。
「メルティナ様は決してあなたの思うようなお方ではありません! あの夜だって……」
「カーヤ、待って! それ以上の発言はやめて!」
メルティナが老婆を制止する。だが、老婆はやめない。
「あの夜だって、メルティナ様はアルフォス様が処刑されたあと、すぐに自害されるおつもりだったのです!!」
カーヤの口から飛び出した証言に全員が目を見開く。
「ほんとなのか? メルティナ?」
ジルバーナが問うがメルティナは何も話さない。
「でなければ、王女様がお城の中で短剣を持ち歩かれているわけないじゃありませんか!?」
カーヤは必死でアルフォスに訴えかける。
「あんたの言いたいことはわかった」
「それじゃあ!?」
カーヤの表情が明るくなる。
「しかし、それが事実だとしてメルティナがしたことに変わりはない。よって死刑執行を覆す要因にはなり得ない」
アルフォスは冷たく言い捨てる。
「そんな!?」
カーヤの表情は一変し、絶望に染まった。
「さて……」
アルフォスはメルティナにゆっくりとした足取りで近付く。
「覚悟はできているだろうな?」
「はい」
メルティナが瞼を閉じて人生最後の瞬間を待つ。
アルフォスが魔剣カラドボルグを構える。
「メルティナお姉さま!」
「メルティナ!」
「メルティナ様!」
ピファ、ジルバーナ、ルットが叫ぶなか、アルフォスが魔剣カラドボルグを振りかざそうとした瞬間だった。
「これはどういうつもりだ、セラ?」
アルフォスは右腕に巻き付いた鞭を振りほどき、セラを鋭く睨む。
「……」
セラは何も答えない。
「まさか、おまえまで俺を裏切るのか?」
「いいえ。わたくしはアルフォス様に忠誠を誓っております」
「だったら、なぜ俺の邪魔をする?」
「わたくしは、予てよりリュカリオン様と約束しておりましたの。もし、アルフォス様が心の底で彼らの死刑を望んでいないと感じた時はお止めしようと……。たとえ、アルフォス様から裏切り者と謗られようとも!」
「つまり、俺を倒してでも止めると?」
アルフォスは聖剣エクスカリバーも鞘から抜き放つ。が、セラは微笑し、鞭から手を放す。
「わたくしはアルフォス様と戦うつもりなど全くありませんわ。ですので、遠慮なくわたくしを斬り捨ててくださいまし」
セラは無防備な状態でアルフォスを見つめる。一方、アルフォスへ聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグを構える。
「…おまえまでどういうつもりだ?」
クレイモアを構えてアルフォスと対峙するウィナーにアルフォスは訊く。
「わからねぇよ。だがな、なんとなくだけど感じるだ。クレイモアに宿っている旦那の親父さんの魂がアルフォスの旦那を止めてくれって言っているのがよ!」
重苦しく緊迫した空気のなか、アルフォスは聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグを鞘に納める。
「おまえたちの気持ちはわかった。こいつらの処分はセラに一任する」
それだけ言い置き、アルフォスは立ち去った。
「せっかくの脱出のチャンスをふいにするなんてね……」
セラがアルフォスの手による死刑を待つ身の4人に吐き捨てる。
「どうやっても償えるような罪じゃないんだ。それなら、おとなしく死刑を受け入れたほうがいい」
ルットが答える。
「そう……」
セラもまた短く返す。
「あの、セラさん……」
メルティナがセラに声をかける。セラは黙って視線だけを移す。
「ありがとうございます」
突然に礼を言われて怪訝な表情を見せるセラ。
「セラさんのような人がアルフォスの側にいてくれて本当によかったと思います。そうじゃなきゃ、アルフォスがあまりにも…」
「ふん……。そんな言葉をよくも言えたものですわね! はっきり言っておきますわ。わたくしはあなたのことがいちばん憎く思っておりますの。アルフォス様の愛を受けておきながら、アルフォス様のことを信用しようももせず、話に耳を傾けようとさえしなかったあなたが!!」
メルティナはただ黙って聞いている。
「それくらいにしておいたらどうだ? どうせ、もうすぐ死ぬ身だ」
処刑台にやってきたアルフォスがセラをたしなめる。
「アルフォス様……」
「アルフォス…」
セラとメルティナが同時に声を発する。
アルフォスは無言で魔剣カラドボルグを背中の鞘から抜剣する。
「お待ちください! アルフォス様!!」
緊迫した空気が流れる中、一人の老婆が処刑台の下までやってきて叫ぶ。
「おい、婆さん!」
ウィナーが老婆の腕を掴む。しかし、老婆は声をあげ続ける。
「わたしはメルティナ様のお側に仕えていた者です! 覚えておられませんか!?」
アルフォスは記憶を探る。たしかに、あのような人物がいたようにも思う。
「待て、ウィナー。その婆さんの話とやらを聞いておく」
アルフォスに言われ、ウィナーは老婆の腕を放す。
「メルティナ様は決してあなたの思うようなお方ではありません! あの夜だって……」
「カーヤ、待って! それ以上の発言はやめて!」
メルティナが老婆を制止する。だが、老婆はやめない。
「あの夜だって、メルティナ様はアルフォス様が処刑されたあと、すぐに自害されるおつもりだったのです!!」
カーヤの口から飛び出した証言に全員が目を見開く。
「ほんとなのか? メルティナ?」
ジルバーナが問うがメルティナは何も話さない。
「でなければ、王女様がお城の中で短剣を持ち歩かれているわけないじゃありませんか!?」
カーヤは必死でアルフォスに訴えかける。
「あんたの言いたいことはわかった」
「それじゃあ!?」
カーヤの表情が明るくなる。
「しかし、それが事実だとしてメルティナがしたことに変わりはない。よって死刑執行を覆す要因にはなり得ない」
アルフォスは冷たく言い捨てる。
「そんな!?」
カーヤの表情は一変し、絶望に染まった。
「さて……」
アルフォスはメルティナにゆっくりとした足取りで近付く。
「覚悟はできているだろうな?」
「はい」
メルティナが瞼を閉じて人生最後の瞬間を待つ。
アルフォスが魔剣カラドボルグを構える。
「メルティナお姉さま!」
「メルティナ!」
「メルティナ様!」
ピファ、ジルバーナ、ルットが叫ぶなか、アルフォスが魔剣カラドボルグを振りかざそうとした瞬間だった。
「これはどういうつもりだ、セラ?」
アルフォスは右腕に巻き付いた鞭を振りほどき、セラを鋭く睨む。
「……」
セラは何も答えない。
「まさか、おまえまで俺を裏切るのか?」
「いいえ。わたくしはアルフォス様に忠誠を誓っております」
「だったら、なぜ俺の邪魔をする?」
「わたくしは、予てよりリュカリオン様と約束しておりましたの。もし、アルフォス様が心の底で彼らの死刑を望んでいないと感じた時はお止めしようと……。たとえ、アルフォス様から裏切り者と謗られようとも!」
「つまり、俺を倒してでも止めると?」
アルフォスは聖剣エクスカリバーも鞘から抜き放つ。が、セラは微笑し、鞭から手を放す。
「わたくしはアルフォス様と戦うつもりなど全くありませんわ。ですので、遠慮なくわたくしを斬り捨ててくださいまし」
セラは無防備な状態でアルフォスを見つめる。一方、アルフォスへ聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグを構える。
「…おまえまでどういうつもりだ?」
クレイモアを構えてアルフォスと対峙するウィナーにアルフォスは訊く。
「わからねぇよ。だがな、なんとなくだけど感じるだ。クレイモアに宿っている旦那の親父さんの魂がアルフォスの旦那を止めてくれって言っているのがよ!」
重苦しく緊迫した空気のなか、アルフォスは聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグを鞘に納める。
「おまえたちの気持ちはわかった。こいつらの処分はセラに一任する」
それだけ言い置き、アルフォスは立ち去った。
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