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4章 ラミーネル攻略戦
74話 平和な日常
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翌日。
かつてウォレンが修行の際に使っていた陋屋で目覚めたアルフォスはアルスフェルト城へとやってきた。
「アルフォスの旦那……」
「おはようございます、アルフォス様」
アルフォスを気遣うウィナーに対して、セラはいつもと変わらぬ様子で接してくる。
「おはよう、セラ、ウィナー。昨日はすまなかった」
アルフォスはセラとウィナーに頭を下げる。
「あら? なんのことでしょうか? わたくしはアルフォス様に忠誠を尽くしただけですわよ」
セラはニコリと笑む。つられてアルフォスも笑みを浮かべる。
「セラといいウィナーといい、俺は従者には恵まれているようだな」
アルフォスは心の底から思ったことを言葉に出す。
「此度の活躍、ご苦労だった」
玉座に腰かけたリュカリオンがアルフォスの労をねぎらう。
「昨日の件はセラより聞いておる。アルフォスよ、おまえも成長したようで嬉しく思うぞ」
リュカリオンは微笑みながら優しくアルフォスを見つめる。
「ところで、アルフォス様。この者たちの処分はやはりご自身が下されるのがよろしいかと……。今のアルフォス様でしたら冷静な判断ができるはず。その結果がどのようなものであれ、彼らも納得しますわ」
セラは謁見の間の外に待機させておいたジルバーナ、ルット、メルティナ、ピファを中に入れ、アルフォスの判断をあおぐ。
「……俺は立場上では七星大将軍の一人としてラミーネルを治めているが、外交だとかそういったものはどうにも苦手でな。ジルバーナとルットには俺の代理としてそれらを行ってもらうことにする。ピファはルットのサポートをしろ」
「あの、わたしは……」
メルティナが訊く。その場にいた全員がアルフォスの言葉を固唾を呑んで待つ。
「……メルティナは俺の従者として側に仕えてもらおう」
アルフォスの下した決断に皆の表情が柔らかくなる。しかし、セラは不満げな表情をみせる。
「まったく! アルフォス様は甘いですわね! あのような女など下働きでもさせればよろしいのに……。ですが、その寛大さこそ、さすがはわたくしのご主人様ですわね!」
言うなり、アルフォスに抱きつくセラ。それを見たメルティナも反対側からアルフォスに抱きつく。
「なにをなさっているのかしら?」
セラがメルティナを睨む。
「なにって……わたしはアルフォスの側に仕える従者として、わたしなりの気持ちを伝えてるんです!」
「あなた、アルフォス様にお情けで従者にしてもらったからといって馴れ馴れし過ぎますわよ!」
「あら? でも、セラさんよりもわたしのほうが古い付き合いですけど?」
「なんですってぇ!? わたくしは従者としてもあなたより先輩なんですのよ! 少しは遠慮をしてはいかがですの!?」
「恋愛に先輩も後輩も関係ありません!」
「あなた、可愛くありませんのね!」
「セラさんに可愛いと思っていただかなくてもけっこうです!」
「なんですって!?」
「なんですか!?」
アルフォスを挟んでセラとメルティナが火花を散らす。
「ハハハハハハ……。これは大変なことになりそうだな、アルフォス?」
愉快そうに笑うリュカリオン。
「はは…は……」
アルフォスは苦笑しつつ自身を挟んで繰り広げられる終わりなき論争を聞き続けていた。
これで『聖剣と魔剣の二刀流剣士物語』は終了です。
ご愛読ありがとうございました!
なお、続編も予定しております。
公開の詳細が決まれば《近況ボード》に掲載いたしますので、そちらをご覧いただければと思います。
よろしく、お願いいたします!
かつてウォレンが修行の際に使っていた陋屋で目覚めたアルフォスはアルスフェルト城へとやってきた。
「アルフォスの旦那……」
「おはようございます、アルフォス様」
アルフォスを気遣うウィナーに対して、セラはいつもと変わらぬ様子で接してくる。
「おはよう、セラ、ウィナー。昨日はすまなかった」
アルフォスはセラとウィナーに頭を下げる。
「あら? なんのことでしょうか? わたくしはアルフォス様に忠誠を尽くしただけですわよ」
セラはニコリと笑む。つられてアルフォスも笑みを浮かべる。
「セラといいウィナーといい、俺は従者には恵まれているようだな」
アルフォスは心の底から思ったことを言葉に出す。
「此度の活躍、ご苦労だった」
玉座に腰かけたリュカリオンがアルフォスの労をねぎらう。
「昨日の件はセラより聞いておる。アルフォスよ、おまえも成長したようで嬉しく思うぞ」
リュカリオンは微笑みながら優しくアルフォスを見つめる。
「ところで、アルフォス様。この者たちの処分はやはりご自身が下されるのがよろしいかと……。今のアルフォス様でしたら冷静な判断ができるはず。その結果がどのようなものであれ、彼らも納得しますわ」
セラは謁見の間の外に待機させておいたジルバーナ、ルット、メルティナ、ピファを中に入れ、アルフォスの判断をあおぐ。
「……俺は立場上では七星大将軍の一人としてラミーネルを治めているが、外交だとかそういったものはどうにも苦手でな。ジルバーナとルットには俺の代理としてそれらを行ってもらうことにする。ピファはルットのサポートをしろ」
「あの、わたしは……」
メルティナが訊く。その場にいた全員がアルフォスの言葉を固唾を呑んで待つ。
「……メルティナは俺の従者として側に仕えてもらおう」
アルフォスの下した決断に皆の表情が柔らかくなる。しかし、セラは不満げな表情をみせる。
「まったく! アルフォス様は甘いですわね! あのような女など下働きでもさせればよろしいのに……。ですが、その寛大さこそ、さすがはわたくしのご主人様ですわね!」
言うなり、アルフォスに抱きつくセラ。それを見たメルティナも反対側からアルフォスに抱きつく。
「なにをなさっているのかしら?」
セラがメルティナを睨む。
「なにって……わたしはアルフォスの側に仕える従者として、わたしなりの気持ちを伝えてるんです!」
「あなた、アルフォス様にお情けで従者にしてもらったからといって馴れ馴れし過ぎますわよ!」
「あら? でも、セラさんよりもわたしのほうが古い付き合いですけど?」
「なんですってぇ!? わたくしは従者としてもあなたより先輩なんですのよ! 少しは遠慮をしてはいかがですの!?」
「恋愛に先輩も後輩も関係ありません!」
「あなた、可愛くありませんのね!」
「セラさんに可愛いと思っていただかなくてもけっこうです!」
「なんですって!?」
「なんですか!?」
アルフォスを挟んでセラとメルティナが火花を散らす。
「ハハハハハハ……。これは大変なことになりそうだな、アルフォス?」
愉快そうに笑うリュカリオン。
「はは…は……」
アルフォスは苦笑しつつ自身を挟んで繰り広げられる終わりなき論争を聞き続けていた。
これで『聖剣と魔剣の二刀流剣士物語』は終了です。
ご愛読ありがとうございました!
なお、続編も予定しております。
公開の詳細が決まれば《近況ボード》に掲載いたしますので、そちらをご覧いただければと思います。
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