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5.真実

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 まさか…あの光…魔力か!?
 騎士の左胸の光は直視出来ないほど、明るさを増していく。

 まずい…本当に自爆しようとしているのなら、外で待っているリザも危ない。
 何か止める方法ないのか…
 
 『奴を奴隷にして、辞めさせればっ』

 「テレポート!!」

 直ぐ様、騎士の元へ移動し身体に触れる。
 
 ---奴隷 カードル・ネック リンク完了---
 ---スキル 『騙言』リンク完了---
 ---オールステータス リンク完了---
 
 よし…奴隷に出来た…
 命令して、命令魔法をやめさせればっ…

 「命魔法を止めろ!!命令だ!!」
 
 命令したが、騎士の左胸の光は収まる何処か光の明るさは増していく。
 
 「何で止まんないんだよ!?」

 「何をしたかは、知らないが。命魔法は一度発動したら、止める方法なんて無いだよ!!」

 なに!?
 
 「お前は!何の為に!この子達の命を奪う!?」

 「王様に命令で、ここの奴隷は質が悪いから、もう要らないって言われたんだよ。神の仔が誕生したら、殺してしまえと言われたのさっ。どうせ死ぬんだ。亜人諸共殺した方がいいじゃねぇか」

 ただそれだけで…あの子達の命を奪ったのか?
 ふざけんな… 一体、今まで何人の命をコイツらは奪ったんだ…
 
  「お前の命一つで足りると思うなよ」

 もう誰も死なせない…

 リョウガは騎士の腕を掴む。
 その腕は今まで見た事無いほどの血管が浮き出し、血が逆流しているのが自分でも分かった。

 「テレポート」

 その瞬間、とてつもない風圧と浮遊感が身体を襲う。高い所から落ちていく感覚。
 下を見ると教会は米粒の様に小さくなっている。

 リョウガは上空にテレポートにしたのだ。
 
 「なに!?何が起こった!?」
 
 「生きる意味やっと見つけたよ。俺はこの世界の王となる」

 「何言ってるんだ?キサマっ!」

 「クソみたいな世界を俺が変えてやる。お前らみたいな価値の無い命の、生きる意味を俺が作ってやるよ」

 「神の仔達が居るのにそんな事できるわけないだろうっ!」

 「俺も神の仔だ」

 騎士の左胸は今にも暴発しそうな程、パンパンに膨れ上がっている。

 「ただ…俺の国にお前はいらない。じゃぁな」

 リョウガは直ぐ様、下のリザの元にテレポートし、リザの身を庇った。

 その瞬間、上空で騎士の左胸が暴発し、騎士の身体諸共弾け飛び、爆発の衝撃が教会の上部半分を吹き飛ばした。
 暴発による風圧は凄まじく、下いるリョウガとリザの元まで届き、二人を後方に吹き飛ばした。

 --奴隷 カードル・ネック死亡奴隷解除--
 --奴隷の灯火獲得--

 「なんとか助かった…」

 「何が起きてるの…?お兄ちゃん…あれ何?」

 リザの目線の先には、先程の怪物が接粘着から脱出し、教会の崩れた瓦礫の中から身を現していた。

 「この匂い…カイムなの…?」

 亜人は鼻が良かった。匂いで人物を特定できる程に。
 幾度も嗅いできた。
 毎日一緒に生活し、いつも本当のお兄ちゃんの様に優しくしてくれる、大好きなカイムの匂いを解らないわけがなかった。
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