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「ギャラガーは、ドラーガのせいで……ッ!!」
アンセさんは、苦々しい表情でドラーガさんの方を睨みながらそう言った。当のドラーガさんは通帳を見つめて恍惚の表情だ。
まさかそんなことが。
以前に聞いて、昔のメッツァトルメンバーが一人亡くなっていることは知っていたけど、まさかそれがドラーガさんのせいだなんて。もしや、ダンジョンでドラーガさんを守るために危険な目にあって……?
最近は戦闘で活躍できなくてもドラーガさんの事を少しは見直していたんだけど、人一人の未来を奪っておいてあんな平気な態度を取っていたなんて、最低だ。
「おいおい、ギャラガーの事は俺のせいじゃねえぜ? あいつが弱かっただけだ。そんなもんまで俺の責任にされたんじゃたまんねえぜ」
何て言い草。アルグスさんは彼の残された家族の事を思ってお金を寄付までしているっていうのに! こんな最低な人だったなんて! 元々評価低かったけど見損なった!
「アルグスさん……一体このパーティーに何があったんですか……? 以前は聞くのをためらいましたが、私もメッツァトルのメンバーの一人です。全てを……教えてください」
私が尋ねると、アルグスさんは目を逸らし、しばらく迷っていたが、さっきのテーブルに移動してから、ゆっくりと話し出した。……このパーティーに起きた事件、その全貌を。
「ギャラガーは、このパーティーで元々斥候をしていたんだ。非常に優秀な男だった。斥候職の最高峰、兵種はニンジャだったんだが……」
今はアーチャーのクオスさんが斥候をしているけれど、元々は別の人がやっていたのか。たしかにアーチャーと斥候じゃクオスさんの負担が大きすぎるなあ、とは思っていたけど。
「ドラーガがパーティーに入って、彼の負担が大きくなっていったんだ……僕達はそのことに気が付かずに……」
確かにドラーガさん平気でダンジョンの罠を起動させるからなあ。罠からドラーガさんを守って命を落としたんだろうか。
「今となっては判断ミスだが、僕は彼にドラーガの教育係を任せた。ダンジョンでの振舞い方とかも彼なら教えられると思ったから」
――――――――――――――――
『ドラーガ! その辺の物を勝手に触るなと言ってるだろう!』
『細かい事言うんじゃねえよ』
『ドラーガ、野営の準備を……ん? お前保存食はどうした?』
『腐りそうだから全部食っといてやったぜ』
『ドラーガ、お願いだからギルドの人間と揉め事を起こさないでくれ!』
『セゴーの頭がハゲてんのが悪ぃんだよ。あれ絶対笑わせようとしてわざとハゲてんだろ』
『ドラーガ、もういい加減に……』
『何もしてないのに壊れた』
――――――――――――――――
「ギャラガーは、うつ病になって冒険者を引退した」
最後のはアルグスさんなんじゃ……
しかしまあ、話を要約すると、ドラーガの教育係に指名されたギャラガーさんはその持ち前の責任感から頑張ったんだけど、まあ、あの調子で一向に改善する余地はなく、それどころか新人のくせにやたらデカい態度で上から目線で文句を言ってくる始末。
何をどうやってもドラーガさんが成長しないことへのプレッシャーと己の無力感、そして教育係を仰せつかったのに結果を出せないことへの申し訳なさから、ギャラガーさんはうつ病になってしまった、ということらしい。
ううん……なんなんだろうな、これ。
こう……なんだろう? がっかりした、というと語弊があるんだけど。
いや、もちろんギャラガーさんが今もご存命というのは大変いい情報なんですけどね。
「あの、ギャラガーさんの口座、じゃなくて、なんでギャラガーさんの家族の口座、なんですか?」
「ああ、ギャラガーの家はカカア天下で財布の紐は奥さんが握ってるから」
紛らわしい言い方しやがって。
なんだろうなあ……
知っても知らなくてもどうでもいい情報だった。わりと。
まあでも、メッツァトルは仕事を辞めた後のアフターケアまでしっかりしてるアットホームな職場ですよ、っと。
はぁ……
と、ため息をついたところに私達のテーブルに二人の人が来た。
一人は大柄なスキンヘッドの男性、セゴーさん。
そしてもう一人は小柄な黒髪の女性、魔導士フービエさん。
うわ、もう……前回のダンジョン探索の黒幕と言ってもいい人達じゃん。まだなんかあるの? ……まあ、そりゃ山ほどあるか。もはや心当たりが多すぎて何の話をしたいのかもわからない。
「お前らに指名依頼がある」
そう来ましたか。お仕事の話ですか。セゴーさんとフービエさんは椅子に座った。セゴーさんはさっきの不機嫌な表情のままだけど、フービエさんは随分と焦燥しきった顔だ。
まあそれも当然と言えば当然か。随分と昔のような気もするけれど、アルグスさんとアンセさんが闇の幻影を蹴散らして、その後経緯は分からないけど、フービエさんがあの部屋から逃げて行ったのはほんの昨日の出来事だ。あの部屋の中でいったい何があったんだろう。
「受けるかどうかはお前ら次第だ。あとは好きにしな」
そう言ってセゴーさんは席を立って二階への階段を登っていった。あとにはフービエさん一人が残される。ほんの一日と少し前に殺し合いした相手に仕事の依頼? いったいどういう事だろう?
「実は、テューマ達の救出を依頼したいの……ムカフ島ダンジョンからの救出を」
「!?」
私だけじゃない。事情を知らないイリスウーフさんと、何事にも動じないドラーガさん以外の全員が目を丸くして驚いた。ほんの一日前に殺し合いを演じた相手に、その殺し合いがあったダンジョンからの救出を依頼!? 意味が分からない!!
アンセさんは、苦々しい表情でドラーガさんの方を睨みながらそう言った。当のドラーガさんは通帳を見つめて恍惚の表情だ。
まさかそんなことが。
以前に聞いて、昔のメッツァトルメンバーが一人亡くなっていることは知っていたけど、まさかそれがドラーガさんのせいだなんて。もしや、ダンジョンでドラーガさんを守るために危険な目にあって……?
最近は戦闘で活躍できなくてもドラーガさんの事を少しは見直していたんだけど、人一人の未来を奪っておいてあんな平気な態度を取っていたなんて、最低だ。
「おいおい、ギャラガーの事は俺のせいじゃねえぜ? あいつが弱かっただけだ。そんなもんまで俺の責任にされたんじゃたまんねえぜ」
何て言い草。アルグスさんは彼の残された家族の事を思ってお金を寄付までしているっていうのに! こんな最低な人だったなんて! 元々評価低かったけど見損なった!
「アルグスさん……一体このパーティーに何があったんですか……? 以前は聞くのをためらいましたが、私もメッツァトルのメンバーの一人です。全てを……教えてください」
私が尋ねると、アルグスさんは目を逸らし、しばらく迷っていたが、さっきのテーブルに移動してから、ゆっくりと話し出した。……このパーティーに起きた事件、その全貌を。
「ギャラガーは、このパーティーで元々斥候をしていたんだ。非常に優秀な男だった。斥候職の最高峰、兵種はニンジャだったんだが……」
今はアーチャーのクオスさんが斥候をしているけれど、元々は別の人がやっていたのか。たしかにアーチャーと斥候じゃクオスさんの負担が大きすぎるなあ、とは思っていたけど。
「ドラーガがパーティーに入って、彼の負担が大きくなっていったんだ……僕達はそのことに気が付かずに……」
確かにドラーガさん平気でダンジョンの罠を起動させるからなあ。罠からドラーガさんを守って命を落としたんだろうか。
「今となっては判断ミスだが、僕は彼にドラーガの教育係を任せた。ダンジョンでの振舞い方とかも彼なら教えられると思ったから」
――――――――――――――――
『ドラーガ! その辺の物を勝手に触るなと言ってるだろう!』
『細かい事言うんじゃねえよ』
『ドラーガ、野営の準備を……ん? お前保存食はどうした?』
『腐りそうだから全部食っといてやったぜ』
『ドラーガ、お願いだからギルドの人間と揉め事を起こさないでくれ!』
『セゴーの頭がハゲてんのが悪ぃんだよ。あれ絶対笑わせようとしてわざとハゲてんだろ』
『ドラーガ、もういい加減に……』
『何もしてないのに壊れた』
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「ギャラガーは、うつ病になって冒険者を引退した」
最後のはアルグスさんなんじゃ……
しかしまあ、話を要約すると、ドラーガの教育係に指名されたギャラガーさんはその持ち前の責任感から頑張ったんだけど、まあ、あの調子で一向に改善する余地はなく、それどころか新人のくせにやたらデカい態度で上から目線で文句を言ってくる始末。
何をどうやってもドラーガさんが成長しないことへのプレッシャーと己の無力感、そして教育係を仰せつかったのに結果を出せないことへの申し訳なさから、ギャラガーさんはうつ病になってしまった、ということらしい。
ううん……なんなんだろうな、これ。
こう……なんだろう? がっかりした、というと語弊があるんだけど。
いや、もちろんギャラガーさんが今もご存命というのは大変いい情報なんですけどね。
「あの、ギャラガーさんの口座、じゃなくて、なんでギャラガーさんの家族の口座、なんですか?」
「ああ、ギャラガーの家はカカア天下で財布の紐は奥さんが握ってるから」
紛らわしい言い方しやがって。
なんだろうなあ……
知っても知らなくてもどうでもいい情報だった。わりと。
まあでも、メッツァトルは仕事を辞めた後のアフターケアまでしっかりしてるアットホームな職場ですよ、っと。
はぁ……
と、ため息をついたところに私達のテーブルに二人の人が来た。
一人は大柄なスキンヘッドの男性、セゴーさん。
そしてもう一人は小柄な黒髪の女性、魔導士フービエさん。
うわ、もう……前回のダンジョン探索の黒幕と言ってもいい人達じゃん。まだなんかあるの? ……まあ、そりゃ山ほどあるか。もはや心当たりが多すぎて何の話をしたいのかもわからない。
「お前らに指名依頼がある」
そう来ましたか。お仕事の話ですか。セゴーさんとフービエさんは椅子に座った。セゴーさんはさっきの不機嫌な表情のままだけど、フービエさんは随分と焦燥しきった顔だ。
まあそれも当然と言えば当然か。随分と昔のような気もするけれど、アルグスさんとアンセさんが闇の幻影を蹴散らして、その後経緯は分からないけど、フービエさんがあの部屋から逃げて行ったのはほんの昨日の出来事だ。あの部屋の中でいったい何があったんだろう。
「受けるかどうかはお前ら次第だ。あとは好きにしな」
そう言ってセゴーさんは席を立って二階への階段を登っていった。あとにはフービエさん一人が残される。ほんの一日と少し前に殺し合いした相手に仕事の依頼? いったいどういう事だろう?
「実は、テューマ達の救出を依頼したいの……ムカフ島ダンジョンからの救出を」
「!?」
私だけじゃない。事情を知らないイリスウーフさんと、何事にも動じないドラーガさん以外の全員が目を丸くして驚いた。ほんの一日前に殺し合いを演じた相手に、その殺し合いがあったダンジョンからの救出を依頼!? 意味が分からない!!
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