器用な少年、異世界へ行く

沢煮椀

文字の大きさ
46 / 65
本編

試験の説明 後半

しおりを挟む

「そんで、その試験ってどんな事を試すんだ?」

質問の答えを聞いた自分は、グレンさんに続きを促す。観客はもうほとんど帰ってるけど、そんなの知ったこっちゃない。
あ、子供達がうつらうつらしてる…まぁ、ほっといたらいつか寝るだろうから、普通にしとこう。

「うーん…確か、子供が貴族になれるか確かめる試練の内容は…
[いついかなる時も動揺せず、自身の力で危機を乗り越える]的な感じだったと思うよ。多分。」

「多分って…ちゃんと覚えとけよ。」

「いや、それを聞いたのが何年か前だったからねぇ。確か、その時に試練を受けるのを勧められたんだけど、断ったんだよね。」 

「ん?なんで?…って、ああ、その時から人見知りだったからか。」

「それもあるけど、まだ充分に成長していなかったのも大きいね。」

「確かに、数年前ならまだ五歳位だっただろうからな。…って、聞くの忘れてたけど、何で子供達はあんなに強いんだ?まぁ大体予想はつくけどさ。」

「多分その予想であってるよ。理由は、スキルとかステータスはちょびっとだけ子供に受け継がれるんだよ。まぁ、普通の人は低すぎて受継がれる事が少ないんだけど、僕達みたいにスキルのグレードとレベルが高かったら大体は受け継がれるんだよね。」

「ちなみに、教えてはくれない…よね?」

「あはは、べつに親愛の証に教えても良いんだけどね…僕のスキル、ちょっと多いんだよ。」

「え、幾つ持ってんの?」

「うーん、ざっと50個位?」

「いや、多すぎぃ!」

「はは、まぁこの中には生活が便利になる様なスキルもあるからね。こんな数にもなるよ。」

「へぇ、そんなのもあるのか。どんなのがあるんだ?」

「例えば〔空間魔法〕だとか、暗くてもまあまあ明るく見える〔夜目〕スキルとか。更には〔詠唱短縮〕とかもあるね。」

ん?魔法って詠唱とか言わなくても使えるんじゃなかったっけ?

「え、魔法って詠唱をするのか?」

するとグレンさんはガタッと椅子を立ち、自分をびっくりした様な顔で見つめたまま固まった。
…やっぱり、詠唱しないで魔法を使うのっておかしいの?っていうか、ハクさんの説明には詠唱なんて聞かなかったんだけど?

〈マスターなら詠唱などなくても魔法が使えると思考したため、説明を致しませんでした。又、他のパッシブ系の魔法行使系スキル名を聞いた場合は説明するつもりでしたが…要らぬ提案だったでしょうか…〉

いやいや、詠唱なんて無くたって大丈夫だから!寧ろ教えてくれるだけで有難いから!だからそんなしょぼんとした声しないでいいよ!

〈了解致しました。……………………………(ほっ…)〉

…やばい、なんかハクさんが可愛く見えて…いや、きた。ハクさんってこんな感じだったっけ…

ガタッ!

あ、グレンさんが再起動した。…と、同時に質問を投げ掛けてきた。

「…はっ、トキ君!君は無詠唱が使えるのかい!?」

「え、まぁ、はい。」

「…まさかその歳で無詠唱が使える子が居たとは…ちょっと信じられないよ。」

「?無詠唱ってそんなに難しいの?」

「難しいってもんじゃないよ!まずは放出した魔力を保つ集中力が必要だし、それを持続したままはっきりと明確にイメージしないと行けないんだ。これは一朝一夕で出来る事じゃない。」

え、自分が使う時はイメージするだけで良いんだけど…?

〈無詠唱を行使する際に必要なプロセスを満たしていなくてもマスターが無詠唱を行使できる理由は、私が不足しているプロセスを補っているからです。〉

…ええっと、よく分からないけど、つまりはハクさんがサポートしてくれてたって事?

〈そうなります。〉

そうなんだ。よく分からないけど、ありがとね!

〈いえ、私はトキ様をサポートする存在なので、謝礼は必要ありません。〉

…さっきのが嘘だったみたいに冷静だな。まぁ、自分としてはどちらでも良いんだけどね。
あ、グレンさんの話が終わりそう。そろそろ聞いてた風にしないとな。

「だから、この無詠唱が使えるのは君を抜いて二十人しか居ないんだよ。」

「へぇー。あ、もうすぐお昼だね!ご飯を食べに行かないと!」

「…トキ君、話を聞いて(ry

「今日はお昼も作っちゃおうかなー!」

「よし、トキ君すぐに帰ろうか!…はっ、嵌められた!」

「ふっ、言質は取りましたよ!さあ、子供達も寝そうな事だし…ってめっちゃこっち見てるし!?」

「お兄ちゃん!」
「お昼も作るって」

「本当なの!?」

ああ、こいつらもちゃんと聞いてたみたいだな…グレンさんと自分だけに作る予定だったけど、しょうがない、こいつらの分も作ってやるか。

「ああ、本当だぞ!」

「わーいわーい!」
「やったー!」

「はは、それじゃあ帰ろうか。」

「「うん!」」

そして自分たちは、昼ご飯の事について話ながら帰路に着いた。


…家に戻って料理を作ったら、従者軍団にもねだられた事は言うまでもない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~

投稿遅くなったお詫びに、内容を少し厚くしました。許してヒヤシ(ry

あ、今日はamazonで頼んでた転ス○が届きました。ん?なんて書いてあるか分からない?読むんじゃない、感じ取るんだ!

そんで、その本のシリーズ全巻読んでたらこうなりました。まぁ、他にも色々あったんですけどね。
本当に色々と…

まぁ、そんな事はどうでもいいんです。
今回は遅れて申し訳ありません。明日は休みなので…書けたら書きます!書けたらね!
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた

黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。 そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。 「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」 前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。 二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。 辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティで「外れスキル」と蔑まれ、雑用係としてこき使われていた錬金術師のアルト。ある日、リーダーの身勝手な失敗の責任を全て押し付けられ、無一文でパーティから追放されてしまう。 絶望の中、流れ着いた辺境の町で、彼は偶然にも伝説の素材【神の涙】を発見。これまで役立たずと言われたスキル【アイテム錬成】が、実は神の素材を扱える唯一無二のチート能力だと知る。 辺境で小さな工房を開いたアルトの元には、彼の作る規格外のアイテムを求めて、なぜか聖女や竜王(美少女の姿)まで訪れるようになり、賑やかで幸せな日々が始まる。 一方、アルトを失った元パーティは没落の一途を辿り、今更になって彼に復帰を懇願してくるが――。「もう、遅いんです」 これは、不遇だった青年が本当の居場所を見つける、ほのぼの工房ライフ&ときどき追放ざまぁファンタジー!

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...