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同居ヒート-1
買い物から数日後、恵は予定日よりも二週間も早いヒートを迎えた。朝から熱っぽい顔をしていたため大事を取って休ませたが、案の定、昼休みには恵からヒートが来たと連絡が入っていた。
こんな状態で引越しをして、ヒートをやり過ごそうとしていたなんて、考えただけでもゾッとする。
仕事を終えた多都希は、帰り道の道中で弁当を購入した。恵のヒートがどれほどフェロモンが漏れるのか分からないため疑似ベータ薬もしっかり服用している。
玄関を開けた瞬間から自宅内の空気が違うと肌で感じた。オメガフェロモンを感じ取っているからではない。いつもなら共に帰宅する恵の声がしない上に、廊下もシンと静まり返っていたからだ。
おそらくヒート時の恵はどうなっているのだろう、という緊張感もあるのだろう。
多都希は胸ポケットに手をあてて、残りの疑似ベータ薬の存在を確かめる。
疑似ベータ薬は、運命の番を見つけたと言い残して夫と子どもを捨てて出て行った妻を否定するために、多都希の父親が十五年の歳月をかけて作り上げた強力な抑制剤だ。
国内では五件、疑似ベータ薬が効かないほど相性の良い運命の番の例が報告されている。多都希はその一組の成立を目の当たりにしたことがある。
朔と有平が運命の番と呼ばれる希少な一組だ。
皮肉にも、疑似ベータ薬は運命を否定したかった父の意志には反し、運命の番レベルの二人では薬で完全にフェロモンを遮断することはできなかった上に、今では本当の運命の番を立証する薬にもなってしまっている。
普通の抑制剤でも効果が出やすい多都希は、相手がヒート中でもない限りどんなオメガフェロモンでも感じることはできない。疑似ベータ薬を飲めば、ヒート中でも問題ないくらいだ。
恵とは匂いが貫通するほどの運命の番かもしれない――とわずかに期待しなかったわけではないが、理性を保ったまま恵の世話をしてやれるならそれでいいし、それがいい。
疑似ベータ薬でオメガフェロモンの誘惑に打ち勝てるなら、世界中でオメガへの偏見はなくなるのだが、長期的な服用は怠さや頭痛といった副作用を誘発する上、保険適用外のため莫大な費用が掛かる。基本的に生活水準の低いオメガ本人が服用できる環境ではなく、高給取りのアルファの自衛アイテムの一つとして流通しているのが現状だった。
今朝、恵にも疑似ベータ薬を渡したがそれも保険のようなものだ。ヒート時は病院で処方された抑制剤を飲んで、性欲を発散させた方が早く治まる。
疑似ベータ薬を飲んで周期が狂ったという副反応も報告されているため、オメガによる服用は推奨されていない。
多都希はキッチンで購入してきた弁当を温めると、恵の部屋まで持って行く。
「恵、帰ったぞ」
「んん、あっ……ぁあ……」
多都希はトレーごと弁当を落してしまった。
ドク、ドク、と沸騰したような血液が全身を巡り、心臓が跳ねる。
ヒートなのだから自己処理しているのは当たり前。そんなこと事前に分かっていたことなのに、多都希は動揺していた。
「はぅ、ん……ぁんっ……」
大きな音を立ててしまったが、扉の向こうの声は艶やかなまま。
多都希は目線を自身の下半身に向ける。スラックスの膨らみは多都希の興奮を嫌というほど表していた。
好きな人の嬌声を初めて聞いたのだから無理もない。これはフェロモンではなく、多都希の心が恵を求めて反応している証明でもあった。
「ああ~~クッソ……思春期のガキでもあるまいし……」
頭の隅では、こうなることも予測できていたはずだ。
現在進行形で恵は自身の第二性と向き合い苦しんでいるというのに、自分はなんて浅ましいのだろう。変化を求めるならば、まずは己の内面からではないか。
多都希は仕切り直すために落としたトレーと弁当を回収して、キッチンへ戻る。両頬をバチンと強めに叩くと、回らない頭で自分がすべき行動をメモ用紙に書き出した。
先週の土曜日に話した通り、多都希は明日から四日間ほど台湾に海外出張が入っているので、恵が一人でも暮らせるように、準備を整えてから出発しなければならない。
ヒート中でも理性には波があり、正気に戻るタイミングはある。そしてその貴重な時間は、食事や排泄に充てなければならない。大体のオメガは力尽きて食事の時間を睡眠に振り切ってしまうが、家族や恋人といった第三者のサポートがあれば話は別だ。如何に手軽に食事できる環境を整えておくかが重要なのである。
多都希は、温め不要のレトルトパウチと栄養補給ゼリー、紙皿、プラスチックのスプーンとフォークを袋に詰めて小分けにし、袋の表面にマジックで日付を記入した。密封できる袋に入っているため、ごみを小まめに捨てに行かずとも、元の袋に戻すだけで衛生環境は保てる。
これが恵リクエストのヒート期間の食事だ。
さらに食事と同じ数だけ大判のタオルも用意した。吸水シーツなどは、恵自身が用意すると言っていたので、自分でどうにかしてもらうしかない。
仕事に行く前にウォーターサーバーをリビングから恵の部屋に移したのは正解だった。ヒート中はペットボトルの蓋を開け閉めするのが面倒になると聞いていたので、もっと簡単な装置があるといい。これで水分だけでも、なんとかなる。
必要最低限のことしかできない自分が歯がゆいが、それ以上の領域はまだ許されていない。
あれもこれもと手を出しては、居候という感覚からやっと同居という認識に変わったばかりなのに恵が再び遠慮がちになってしまう。
とにかく、あの様子では普通の食事は難しい。
食事セットを恵の部屋の前にそっと置くと、多都希は自身の食事も手早く済ませて、寝支度を整えるために風呂場へと向かった。
甘く艶やかなあの声をもっと近くで聞きたい。アーモンド型の蕩けた瞳を見つめて、赤く色づいた頬を撫でて、薄っすら開いた唇の隙間から舌をねじ込んで、恵の心も体もすべて欲しい――。
「はぁ、くっ……恵……ッ」
格好つけたつもりだが、多都希は結局風呂場で恵の嬌声を思い出しながら何度も抜いた。恵、恵と何度も名前を呼び、謝罪を口にしながら射精した後の自己嫌悪は、それはもう凄まじく、しばらく浴槽に腰掛けて動けなかった。
髪を乾かし、キッチンで水を飲む。
恐る恐る自室に向かうと、ふわっとしゃぼんの香りがした気がした。風呂に入ったばかりなので、鼻に香りが残っていただけかもしれない。こんなに近くにいるのに、恵の香りが恋しくなる。
自室の前に着くと、真向かいにある恵の部屋の前に置いておいた夕食セットが回収されていた。食事を摂ってくれたようで、ほっとする。
「おやすみ、恵」
囁くように恵に呼びかけると、恵の部屋からカタンと音がした。
出発する前に恵の声を聞きたかったが、恵は布団に包まってぐっすり寝ていたので、恵の部屋のドアに手紙を挟んできた。
飛行機に乗る直前に「玄関でいってらっしゃいって、言えなくてごめんね……」と昨夜の嬌声を彷彿とさせる声色の電話がかかって来て、危うく空港でお縄になるところだった。
台湾と日本の時差と気候はほとんど変わらず、生活リズムが崩れることはない。おはようとおやすみの連絡以外にも、多都希はこまめにメッセージを送った。
恵の起きるタイミングはまちまちで、すぐに返信が来る時もあれば、半日来ない時もあったが、たった一行の『ちゃんと食べてるよ』という言葉は、多都希を安心させた。
それでも早く帰って恵の無事を確認したい、労わってやりたい、と誰とどこにいても恵のことばかりを考えていた。
出張が終わり、二時間も早い飛行機に乗れそうであったため、多都希は実費で航空券を購入した。
日本に着いても予定より早く帰るというメッセージは既読になっていなかった。ヒートも五日目で治まったので、もう帰って来ても大丈夫だ、と早朝に連絡が来てから音沙汰がない。
嫌な予感がした多都希は、急いで自宅へ戻った。
こんな状態で引越しをして、ヒートをやり過ごそうとしていたなんて、考えただけでもゾッとする。
仕事を終えた多都希は、帰り道の道中で弁当を購入した。恵のヒートがどれほどフェロモンが漏れるのか分からないため疑似ベータ薬もしっかり服用している。
玄関を開けた瞬間から自宅内の空気が違うと肌で感じた。オメガフェロモンを感じ取っているからではない。いつもなら共に帰宅する恵の声がしない上に、廊下もシンと静まり返っていたからだ。
おそらくヒート時の恵はどうなっているのだろう、という緊張感もあるのだろう。
多都希は胸ポケットに手をあてて、残りの疑似ベータ薬の存在を確かめる。
疑似ベータ薬は、運命の番を見つけたと言い残して夫と子どもを捨てて出て行った妻を否定するために、多都希の父親が十五年の歳月をかけて作り上げた強力な抑制剤だ。
国内では五件、疑似ベータ薬が効かないほど相性の良い運命の番の例が報告されている。多都希はその一組の成立を目の当たりにしたことがある。
朔と有平が運命の番と呼ばれる希少な一組だ。
皮肉にも、疑似ベータ薬は運命を否定したかった父の意志には反し、運命の番レベルの二人では薬で完全にフェロモンを遮断することはできなかった上に、今では本当の運命の番を立証する薬にもなってしまっている。
普通の抑制剤でも効果が出やすい多都希は、相手がヒート中でもない限りどんなオメガフェロモンでも感じることはできない。疑似ベータ薬を飲めば、ヒート中でも問題ないくらいだ。
恵とは匂いが貫通するほどの運命の番かもしれない――とわずかに期待しなかったわけではないが、理性を保ったまま恵の世話をしてやれるならそれでいいし、それがいい。
疑似ベータ薬でオメガフェロモンの誘惑に打ち勝てるなら、世界中でオメガへの偏見はなくなるのだが、長期的な服用は怠さや頭痛といった副作用を誘発する上、保険適用外のため莫大な費用が掛かる。基本的に生活水準の低いオメガ本人が服用できる環境ではなく、高給取りのアルファの自衛アイテムの一つとして流通しているのが現状だった。
今朝、恵にも疑似ベータ薬を渡したがそれも保険のようなものだ。ヒート時は病院で処方された抑制剤を飲んで、性欲を発散させた方が早く治まる。
疑似ベータ薬を飲んで周期が狂ったという副反応も報告されているため、オメガによる服用は推奨されていない。
多都希はキッチンで購入してきた弁当を温めると、恵の部屋まで持って行く。
「恵、帰ったぞ」
「んん、あっ……ぁあ……」
多都希はトレーごと弁当を落してしまった。
ドク、ドク、と沸騰したような血液が全身を巡り、心臓が跳ねる。
ヒートなのだから自己処理しているのは当たり前。そんなこと事前に分かっていたことなのに、多都希は動揺していた。
「はぅ、ん……ぁんっ……」
大きな音を立ててしまったが、扉の向こうの声は艶やかなまま。
多都希は目線を自身の下半身に向ける。スラックスの膨らみは多都希の興奮を嫌というほど表していた。
好きな人の嬌声を初めて聞いたのだから無理もない。これはフェロモンではなく、多都希の心が恵を求めて反応している証明でもあった。
「ああ~~クッソ……思春期のガキでもあるまいし……」
頭の隅では、こうなることも予測できていたはずだ。
現在進行形で恵は自身の第二性と向き合い苦しんでいるというのに、自分はなんて浅ましいのだろう。変化を求めるならば、まずは己の内面からではないか。
多都希は仕切り直すために落としたトレーと弁当を回収して、キッチンへ戻る。両頬をバチンと強めに叩くと、回らない頭で自分がすべき行動をメモ用紙に書き出した。
先週の土曜日に話した通り、多都希は明日から四日間ほど台湾に海外出張が入っているので、恵が一人でも暮らせるように、準備を整えてから出発しなければならない。
ヒート中でも理性には波があり、正気に戻るタイミングはある。そしてその貴重な時間は、食事や排泄に充てなければならない。大体のオメガは力尽きて食事の時間を睡眠に振り切ってしまうが、家族や恋人といった第三者のサポートがあれば話は別だ。如何に手軽に食事できる環境を整えておくかが重要なのである。
多都希は、温め不要のレトルトパウチと栄養補給ゼリー、紙皿、プラスチックのスプーンとフォークを袋に詰めて小分けにし、袋の表面にマジックで日付を記入した。密封できる袋に入っているため、ごみを小まめに捨てに行かずとも、元の袋に戻すだけで衛生環境は保てる。
これが恵リクエストのヒート期間の食事だ。
さらに食事と同じ数だけ大判のタオルも用意した。吸水シーツなどは、恵自身が用意すると言っていたので、自分でどうにかしてもらうしかない。
仕事に行く前にウォーターサーバーをリビングから恵の部屋に移したのは正解だった。ヒート中はペットボトルの蓋を開け閉めするのが面倒になると聞いていたので、もっと簡単な装置があるといい。これで水分だけでも、なんとかなる。
必要最低限のことしかできない自分が歯がゆいが、それ以上の領域はまだ許されていない。
あれもこれもと手を出しては、居候という感覚からやっと同居という認識に変わったばかりなのに恵が再び遠慮がちになってしまう。
とにかく、あの様子では普通の食事は難しい。
食事セットを恵の部屋の前にそっと置くと、多都希は自身の食事も手早く済ませて、寝支度を整えるために風呂場へと向かった。
甘く艶やかなあの声をもっと近くで聞きたい。アーモンド型の蕩けた瞳を見つめて、赤く色づいた頬を撫でて、薄っすら開いた唇の隙間から舌をねじ込んで、恵の心も体もすべて欲しい――。
「はぁ、くっ……恵……ッ」
格好つけたつもりだが、多都希は結局風呂場で恵の嬌声を思い出しながら何度も抜いた。恵、恵と何度も名前を呼び、謝罪を口にしながら射精した後の自己嫌悪は、それはもう凄まじく、しばらく浴槽に腰掛けて動けなかった。
髪を乾かし、キッチンで水を飲む。
恐る恐る自室に向かうと、ふわっとしゃぼんの香りがした気がした。風呂に入ったばかりなので、鼻に香りが残っていただけかもしれない。こんなに近くにいるのに、恵の香りが恋しくなる。
自室の前に着くと、真向かいにある恵の部屋の前に置いておいた夕食セットが回収されていた。食事を摂ってくれたようで、ほっとする。
「おやすみ、恵」
囁くように恵に呼びかけると、恵の部屋からカタンと音がした。
出発する前に恵の声を聞きたかったが、恵は布団に包まってぐっすり寝ていたので、恵の部屋のドアに手紙を挟んできた。
飛行機に乗る直前に「玄関でいってらっしゃいって、言えなくてごめんね……」と昨夜の嬌声を彷彿とさせる声色の電話がかかって来て、危うく空港でお縄になるところだった。
台湾と日本の時差と気候はほとんど変わらず、生活リズムが崩れることはない。おはようとおやすみの連絡以外にも、多都希はこまめにメッセージを送った。
恵の起きるタイミングはまちまちで、すぐに返信が来る時もあれば、半日来ない時もあったが、たった一行の『ちゃんと食べてるよ』という言葉は、多都希を安心させた。
それでも早く帰って恵の無事を確認したい、労わってやりたい、と誰とどこにいても恵のことばかりを考えていた。
出張が終わり、二時間も早い飛行機に乗れそうであったため、多都希は実費で航空券を購入した。
日本に着いても予定より早く帰るというメッセージは既読になっていなかった。ヒートも五日目で治まったので、もう帰って来ても大丈夫だ、と早朝に連絡が来てから音沙汰がない。
嫌な予感がした多都希は、急いで自宅へ戻った。
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★『小説家になろう』さんでも掲載しています。