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嫉妬-1
塩谷家の本宅敷地内にある離れで暮らし始めて四ヶ月。
恵と二人きりで過ごすはずだったクリスマスに年越し、正月、バレンタイン、ホワイトデー。その思い出すべてに兄か祖父がいた。多都希は、塩谷の本宅に引っ越したことを少しばかり後悔している。
聖夜は酒を飲んで終わったし、正月は挨拶周りに付き合わされた。バレンタインデーは祖父と同じ大きさのチョコレートだったし、ホワイトデーのお返しは祖父が贈ったエプロンの方が喜んでいた気がする。
初めこそ人見知りを発揮していた恵だが、今では素直で快活、愛想も良い。塩谷家の人間としても積極的に行事に取り組み、祖父の健康を気遣った手料理を振舞うなど献身的に支えていた。
祖父も愛想のない実孫よりもよほど可愛がり甲斐があるのだろう。
気立ての良い婿を大変気に入り、多都希を差し置いて恵と二人で縁側でお茶をしていることもある。
恵が多都希のことを一番に考えてくれていることも分かるし、兄や祖父に引き合わせたのは自分だし、面倒事の多い家に合わせてくれてありがたいと思っている。
だが、番になってから二人きりの時間が減ったのもまた事実。
恵は高校時代の友人と気兼ねなく会えるようになったし、朔や森にも気に入られて、近所に住む持田姉妹ともお茶をするまでになった。
特に朔とは同じ男性オメガ同士、何かと相談に乗ってもらっているようで、頻繁に有平宅へ遊びに行っている。
帰国してからずっと恵と二人きりだったのに、気づけば誰かに手を引かれていなくなる。
恵と出会う前の一人の時間をどう過ごしていたのかなんて覚えていないのに、多都希は置いて行かれたような気分になった。
下心がないとしても恵を自分から奪っていく対象に対して、敵であると本能が認定してしまうのか、相手を威嚇するようなアルファフェロモンが度々溢れているらしい。
祖父にそう指摘されてからは気を付けるようになったが、とにかく恵に触れていないと不安だった。
溜まりに溜まった鬱憤が性欲に変わり、毎回恵が失神するまで抱き潰してしまう。あの体力はあると言っていた恵が目も開けられないほど疲弊している。目を覚ますと、必ずこちらを心配させないように大丈夫だよと力なく笑う。罪悪感で心臓が圧し潰されそうなのに、薄っすらと喜びが渦巻いているのが分る。
しかし、こんなことを繰り返していては、いつか恵の心身が壊れてしまう。
恵の世界が広がったのは喜ばしいことだし、自由でいてほしいと思うのも本心だ。
矛盾するちぐはぐな心と身体をどうにかしなくては、と多都希は策を講じた。
現在は第二性に特化した診療所でカウンセリングを受けたり運動量を増やしてみたりと、試行錯誤している最中だ。
桜が散り、若々しい緑が生い茂る春。
二人が同居を始めた日を記念日とし、入籍予定日に定めた。
多都希は、あと九日――あと八日――と指折り数えて過ごして来た。
同じベッドに入り、自分が贈った桜色のパジャマを着た恵に抱きしめられている。
アルファの威厳はどこへやら。大きな猫よろしく抱かれる多都希は、すっかり恵に骨抜きだ。
たった一年で腑抜けてしまうなんて誰も思いもしなかっただろう。
「多都希さん、今週もお疲れ様。新人さんたちもそろそろ慣れてきた?」
「めぐも。新人はまあ、もう少し研修が必要だな」
「そっか。オレは何度か研修に立ち会っただけで、新入社員とは現場が違うからさ。もういつも通りだよ」
恵が笑うと耳に吐息がかかる。
柔らかい肌に指を沈ませて腰を引き寄せると、足と足が絡む。
「栄餅屋の本社には新入社員が入っただろ。言い寄られたりしていないだろうな」
「あははっ、まさか! 汗だくになった作業着の清掃員に声をかけてくるような人、多都希さんしかいないよ」
「それはお前が視線に気付いていないだけだ。更衣室も一人の時に使っているんだろうな? できれば会社で肌を露出するようなことはしてほしくない。作業着のまま車に乗っていいのに、お前はいつも頑なに着替えて来る……」
「何度も言ってるけど、嫌なもんはいーやーだー。多都希さんのいう匂いもフェロモンじゃなくて汗だから、恥ずかしいし……」
「その顔、外でもしてないだろうな。いいや、こんなたんぽぽみたいなふわふわな生き物、真顔だって目に留まる。見逃すはずがない」
グリグリと頭を胸に擦りつけると、ぐえっと色気のない声が降ってきた。
こんな姿を知り合いに見られたら、間違いなくお前は誰だと問われるだろう。
「その絶妙に褒めてるのかわからない感じ、未だに慣れないんだけど……。というか、オレより多都希さんの方がモテるじゃん。この前なんか鞄の外ポケットに電話番号書いた手紙が入ってたし」
「あれは誤解だと何度も――」
上半身を起こした多都希は、恵の顔の横に手をつく。
こちらを見上げる恵は「わかってるよ」と微笑む。
電気を消した寝室は、カーテン越しに気配を感じる月灯りによって薄っすらと象られている。
伸びて来た手は、多都希のパジャマの第一ボタン、第二ボタンをプツリ、プツリ、と器用に外していく。
頭の中でカンカンカンと警告音が鳴り始めた。
先週の金曜日も抱き潰してしまったため、今夜は寝かせてやろうと思っていたのに、恵はいとも簡単に多都希の理性を籠絡させる。
「だ、駄目だ、疲れてんだろ……」
期待が混ざった言葉では、本気で止めようとしていないことなんて丸わかりだ。
多都希も乗り気だと分かった安堵からか、恵は、ほうっと熱い息を吐いた。
「何を我慢してるのか知らないけど、オレは金曜になるのを楽しみにしてたよ」
「我慢してるように見えるか?」
「……うーん、これは俺のわがまま? 多都希さんはオレだけの番だって安心したいんだ。だって、多都希さんの周りは綺麗な人やカッコいい人ばっかで不安なんだもん。オレのアピールポイントなんて料理くらいしかないし、アルファは何人でも番を持てるから、素敵な人が現れたら、いつかオレなんか飽きられちゃうんじゃないかって――」
「馬鹿言うな! 俺がどれだけ恵を愛しているか、全然分かっていない!」
「あ、愛してるって……」
「実家に囲って、出会って一年もしない内に番にして、遊びたい盛りの若いお前の将来も縛っている! 年甲斐もなく毎晩お前を抱きたい衝動を抑え込んで、頭の中で泣いて喘いでよがるお前を夜な夜な抱いている男だぞ!」
逃げ場のない腕の中に閉じ込めながら、本人を前にしてあなたを毎晩頭の中で犯していますなんて、デリカシーがないとかいう問題ではない。
やってしまったと青ざめた多都希だが、震える恵は目をキラキラとさせながら多都希の名を呼んだ。
その瞬間、部屋中にヒートの時のような濃厚なオメガフェロモンが広がった。
アルコールが体中にまわって血が燃えるような感覚でクラクラしてくる。
「これじゃまた抑えが効かない……抱き潰しちまうだろうが!」
獣が呻る声に似た叫びを受けても尚、恵はうっとりとしている。
「オレばかり好きなんだと思ってた……。多都希さんの知り合いと仲良くなればなるほど、みんな素敵な人で、オレってまだまだ子どもなんだなって思い知らされて、自信がなくなっていったんだ。でも、こんなに求めてくれてるなんて嬉しくて……」
恵も塩谷家に馴染もうと必死だった。
常日頃から年上ばかりに囲まれている上に、その年上はほとんどアルファ。経験も相まって、一朝一夕では追いつけるものではない。
誰よりも恵の良さを知っている多都希にとって、恵の価値は何にも代えがたいものだが、当の本人は自信を喪失していたのだ。
もっと気遣ってやるべきだったと反省する多都希だが、逆に労わるようにそっと頬を包まれてふわふわの唇へと引き寄せられる。
食べてと言わんばかりの食むようなキスを飲み込むと、体の芯が一段と熱くなった。
恵と二人きりで過ごすはずだったクリスマスに年越し、正月、バレンタイン、ホワイトデー。その思い出すべてに兄か祖父がいた。多都希は、塩谷の本宅に引っ越したことを少しばかり後悔している。
聖夜は酒を飲んで終わったし、正月は挨拶周りに付き合わされた。バレンタインデーは祖父と同じ大きさのチョコレートだったし、ホワイトデーのお返しは祖父が贈ったエプロンの方が喜んでいた気がする。
初めこそ人見知りを発揮していた恵だが、今では素直で快活、愛想も良い。塩谷家の人間としても積極的に行事に取り組み、祖父の健康を気遣った手料理を振舞うなど献身的に支えていた。
祖父も愛想のない実孫よりもよほど可愛がり甲斐があるのだろう。
気立ての良い婿を大変気に入り、多都希を差し置いて恵と二人で縁側でお茶をしていることもある。
恵が多都希のことを一番に考えてくれていることも分かるし、兄や祖父に引き合わせたのは自分だし、面倒事の多い家に合わせてくれてありがたいと思っている。
だが、番になってから二人きりの時間が減ったのもまた事実。
恵は高校時代の友人と気兼ねなく会えるようになったし、朔や森にも気に入られて、近所に住む持田姉妹ともお茶をするまでになった。
特に朔とは同じ男性オメガ同士、何かと相談に乗ってもらっているようで、頻繁に有平宅へ遊びに行っている。
帰国してからずっと恵と二人きりだったのに、気づけば誰かに手を引かれていなくなる。
恵と出会う前の一人の時間をどう過ごしていたのかなんて覚えていないのに、多都希は置いて行かれたような気分になった。
下心がないとしても恵を自分から奪っていく対象に対して、敵であると本能が認定してしまうのか、相手を威嚇するようなアルファフェロモンが度々溢れているらしい。
祖父にそう指摘されてからは気を付けるようになったが、とにかく恵に触れていないと不安だった。
溜まりに溜まった鬱憤が性欲に変わり、毎回恵が失神するまで抱き潰してしまう。あの体力はあると言っていた恵が目も開けられないほど疲弊している。目を覚ますと、必ずこちらを心配させないように大丈夫だよと力なく笑う。罪悪感で心臓が圧し潰されそうなのに、薄っすらと喜びが渦巻いているのが分る。
しかし、こんなことを繰り返していては、いつか恵の心身が壊れてしまう。
恵の世界が広がったのは喜ばしいことだし、自由でいてほしいと思うのも本心だ。
矛盾するちぐはぐな心と身体をどうにかしなくては、と多都希は策を講じた。
現在は第二性に特化した診療所でカウンセリングを受けたり運動量を増やしてみたりと、試行錯誤している最中だ。
桜が散り、若々しい緑が生い茂る春。
二人が同居を始めた日を記念日とし、入籍予定日に定めた。
多都希は、あと九日――あと八日――と指折り数えて過ごして来た。
同じベッドに入り、自分が贈った桜色のパジャマを着た恵に抱きしめられている。
アルファの威厳はどこへやら。大きな猫よろしく抱かれる多都希は、すっかり恵に骨抜きだ。
たった一年で腑抜けてしまうなんて誰も思いもしなかっただろう。
「多都希さん、今週もお疲れ様。新人さんたちもそろそろ慣れてきた?」
「めぐも。新人はまあ、もう少し研修が必要だな」
「そっか。オレは何度か研修に立ち会っただけで、新入社員とは現場が違うからさ。もういつも通りだよ」
恵が笑うと耳に吐息がかかる。
柔らかい肌に指を沈ませて腰を引き寄せると、足と足が絡む。
「栄餅屋の本社には新入社員が入っただろ。言い寄られたりしていないだろうな」
「あははっ、まさか! 汗だくになった作業着の清掃員に声をかけてくるような人、多都希さんしかいないよ」
「それはお前が視線に気付いていないだけだ。更衣室も一人の時に使っているんだろうな? できれば会社で肌を露出するようなことはしてほしくない。作業着のまま車に乗っていいのに、お前はいつも頑なに着替えて来る……」
「何度も言ってるけど、嫌なもんはいーやーだー。多都希さんのいう匂いもフェロモンじゃなくて汗だから、恥ずかしいし……」
「その顔、外でもしてないだろうな。いいや、こんなたんぽぽみたいなふわふわな生き物、真顔だって目に留まる。見逃すはずがない」
グリグリと頭を胸に擦りつけると、ぐえっと色気のない声が降ってきた。
こんな姿を知り合いに見られたら、間違いなくお前は誰だと問われるだろう。
「その絶妙に褒めてるのかわからない感じ、未だに慣れないんだけど……。というか、オレより多都希さんの方がモテるじゃん。この前なんか鞄の外ポケットに電話番号書いた手紙が入ってたし」
「あれは誤解だと何度も――」
上半身を起こした多都希は、恵の顔の横に手をつく。
こちらを見上げる恵は「わかってるよ」と微笑む。
電気を消した寝室は、カーテン越しに気配を感じる月灯りによって薄っすらと象られている。
伸びて来た手は、多都希のパジャマの第一ボタン、第二ボタンをプツリ、プツリ、と器用に外していく。
頭の中でカンカンカンと警告音が鳴り始めた。
先週の金曜日も抱き潰してしまったため、今夜は寝かせてやろうと思っていたのに、恵はいとも簡単に多都希の理性を籠絡させる。
「だ、駄目だ、疲れてんだろ……」
期待が混ざった言葉では、本気で止めようとしていないことなんて丸わかりだ。
多都希も乗り気だと分かった安堵からか、恵は、ほうっと熱い息を吐いた。
「何を我慢してるのか知らないけど、オレは金曜になるのを楽しみにしてたよ」
「我慢してるように見えるか?」
「……うーん、これは俺のわがまま? 多都希さんはオレだけの番だって安心したいんだ。だって、多都希さんの周りは綺麗な人やカッコいい人ばっかで不安なんだもん。オレのアピールポイントなんて料理くらいしかないし、アルファは何人でも番を持てるから、素敵な人が現れたら、いつかオレなんか飽きられちゃうんじゃないかって――」
「馬鹿言うな! 俺がどれだけ恵を愛しているか、全然分かっていない!」
「あ、愛してるって……」
「実家に囲って、出会って一年もしない内に番にして、遊びたい盛りの若いお前の将来も縛っている! 年甲斐もなく毎晩お前を抱きたい衝動を抑え込んで、頭の中で泣いて喘いでよがるお前を夜な夜な抱いている男だぞ!」
逃げ場のない腕の中に閉じ込めながら、本人を前にしてあなたを毎晩頭の中で犯していますなんて、デリカシーがないとかいう問題ではない。
やってしまったと青ざめた多都希だが、震える恵は目をキラキラとさせながら多都希の名を呼んだ。
その瞬間、部屋中にヒートの時のような濃厚なオメガフェロモンが広がった。
アルコールが体中にまわって血が燃えるような感覚でクラクラしてくる。
「これじゃまた抑えが効かない……抱き潰しちまうだろうが!」
獣が呻る声に似た叫びを受けても尚、恵はうっとりとしている。
「オレばかり好きなんだと思ってた……。多都希さんの知り合いと仲良くなればなるほど、みんな素敵な人で、オレってまだまだ子どもなんだなって思い知らされて、自信がなくなっていったんだ。でも、こんなに求めてくれてるなんて嬉しくて……」
恵も塩谷家に馴染もうと必死だった。
常日頃から年上ばかりに囲まれている上に、その年上はほとんどアルファ。経験も相まって、一朝一夕では追いつけるものではない。
誰よりも恵の良さを知っている多都希にとって、恵の価値は何にも代えがたいものだが、当の本人は自信を喪失していたのだ。
もっと気遣ってやるべきだったと反省する多都希だが、逆に労わるようにそっと頬を包まれてふわふわの唇へと引き寄せられる。
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★『小説家になろう』さんでも掲載しています。