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未来
誘拐事件から一ヶ月。
藤江安祐美はナインパークを辞職した。現在は藤江家の別荘で療養中らしい。
友梨は知らなかったとはいえ藤江と不倫をしていた上、岳久に至っては不倫している自覚があり、会社宛てに不貞の証拠を送りつけたことは脅迫にもなる。双方が告訴すれば泥沼の裁判になることは目に見えていた。
それはナインパークにとっても、塩谷製薬にとっても都合の悪いことだった。
そのため誘拐事件の真実は有耶無耶になったが、不幸の元凶となった中心人物の罪は明るみに出た。なんと藤江は会社の金を横領していたのだ。身の丈に合わない生活の資金はすべて不正を働いて得た金だった。
さらに性風俗の利用に飽き足らず、売春にまで手を出していた。その中に未成年者も含まれていたため、藤江は逮捕された。
藤江を解雇したとはいえナインパークもそれなりにダメージを負ったようだが、元妻である安祐美には同情の声も集まっている。
調査報告書に目を通した多都希は、呆れて物が言えなかった。藤江は叩けば埃が山ほど出てくる男だ。当分刑務所暮らしだろう。おそらくこの先、藤江と顔を合わせることは二度とない。
報告書をテーブルに投げると、多都希は冷めたルイボスティーを飲み干す。
サイレントモードにしていた端末の画面が光った。
ロックを解除してメッセージを開くと、岳久から最後の連絡が届いていた。
内容は、藤江の被害に遭った者たちと来年の夏頃に飲食店をオープンすることになったという報告だった。いつか偶然来店してくれたら飲食代をサービスしてくれるという。
これが最後のメッセージとなる理由は、あの男の呪縛から解放されてほしいと多都希が願ったからだった。岳久にとっても、この一年半は思い出したくもない記憶ばかりなはずだ。藤江の記憶に紐づく自分の顔を見れば、嫌でも思い出してしまう。ようやく過去に囚われず、前を向けるのだ。その邪魔はしたくない。
多都希は隣でうたた寝をしていた恵にブランケットを掛け直してこめかみにキスを落すと、マグカップを二つ回収してキッチンへ向かった。
最近の恵の体調は良好で、何かしていないと落ち着かないと今まで以上にキッチンに立っていることが多い。つわりが落ち着き、料理ができるようになったのが嬉しいのだと腕を振るっている。
同居中は家事炊事のほとんどを恵に任せていた多都希だが、友梨や家政婦に教えを請いながら必死に恵のサポートに徹していた。
マグカップを洗ってソファーに戻ると、恵は眠い目を擦っていた。
「ベッドに行くか?」
「ううん、起きる。あー、また寝ちゃったか……。カップ洗ってくれてありがとう」
「寝不足続きだったんだ。寝られる時期に寝た方がいい。ほら、またブランケットがずり落ちてるぞ、ちゃんと腰にかけろ。靴下も脱げかかってる」
跪いてモコモコの靴下を上げてやると、恵はくすくすと笑い始めた。
「なんだ?」
「んふふっ、献身的だなーと思って?」
「当たり前だろ。屈んで転んだらどうするんだ」
「過保護だなぁ。少しは運動しないとってお医者さんに言われてるんだけど……。まったく、困ったパパだねぇ」
腹を撫でて囁く恵だが、頬は緩んでいる。
パパと呼ばれるたびにくすぐったい気持ちになる。親になる不安もあるが、今は早く我が子に会いたい。これも恵の体調が安定してきたからこそ、思うことなのかもしれない。
妊娠してからの恵は、食べてもすぐに吐き戻し、ずっと泣いていた。腹はいつまでも薄く、ただでさえ細いのに痩せていく一方だった。
これで医者は順調だというのだから驚きだ。
朔が紹介してくれた産婦人科は、男性オメガの出産件数が国内で最も多い病院だったが、多都希は医師の診断に耳を疑った。
こんなに苦しんでいるのに順調なものか、と多都希は自分を責めた。
自分たちはアルファとオメガだから何事も問題なく子どもが生まれると、過信していた。このままでは恵が死んでしまう。不安でどうしようもなくなった多都希は、恵に隠れて何度も涙を流した。
二人の意志で子どもを望んだが、あの時は多都希の暴走するアルファ性を解消する一つの手段でもあった。時期尚早だったのではないか、もっと男性オメガの妊娠出産について知識を習得してから――などと、もしもの可能性を想像しては現実に打ちのめされた。
夜中に何度も起きて恵の背中をさすり、大丈夫だと励ましていたが、それは自分自身にも言い聞かせていた言葉だった。
そんな中で支えになってくれたのは、家族や友人たちだった。
結果論でしかないが、二人きりの愛の巣から実家に戻って来て良かった、と今では心の底から思う。人生にはタイミングというものがあるらしい。
自身の努力、一歩踏み出す勇気、そしてタイミング、人生においてすべてが重なる瞬間は意外と少ない。良い出来事を運命と呼ぶこともあれば、悪い出来事は偶然と位置付けることもある。
悲観的になっていた多都希に、恵との出会いは運命だった思い出させてくれたのは、恵の腹をぽこっと蹴った我が子の躍動だった。
多都希と同じくして恵の笑顔が戻って来たのは、藤江の事件が解決してからだった。
何もさせてくれないと不満を漏らす恵だが、今にも命が尽きてしまいそうな恵を数ヶ月見守ってきたのだから、これくらいの過干渉は許してほしい。
もとより人に尽くすことが苦ではない恵に、自分のための時間を設けろと説得するのも一苦労だった。
恵は隙あらば料理を作り、我が子に着せる洋服をせっせと縫う。ボーっとして姿をほとんど見たことがないほど、毎日忙しなく過ごしている。
裁縫という家族のためにもなる趣味を始めたのは、なんとも恵らしいと思った。
暇な時間を潰すために始めたようだが、手先が器用な恵は裁縫の才能もあったらしく、今では店に並んでいても遜色ないほど素晴らしい出来のベビー服を量産している。
既に有平家から双子のおさがりを片方だけ貰うことが決まっているので、新しい服を買う必要もなさそうだ。
多都希はありとあらゆるベビーカーのカタログを取り寄せては吟味しているし、肌着くらいは買わせてくれと祖父は懇願していた。おくるみは、涎掛けは、靴は、お食い初めの食器は――と、様々な人からの申し出が殺到している。
産まれる前から強力なパトロンがついてしまっている我が子の将来に少し不安を覚えた。
ぼんやり未来を思い描いていた多都希の脳天に衝撃が走る。
「……おい、どうして俺のつむじを押しているんだ」
「さっきから心ここにあらずじゃん。難しい顔してどうしたのさ。トイレ?」
「んなわけないだろ! 来年のこと考えてたんだよ」
「仕事関係?」
「お前のことだ」
「あははっ、多都希さんは心配症だからねぇ。もっとドーンと構えて行こうよ。オレもう元気だよ?」
「お前の体調のこともそうだが、再来年には結婚式も予定しているだろう。どういう服を着せようか考えていた」
目の前のことで精一杯だったが、ようやく明るい未来を想像できるようになったのだ。妄想も捗る。今までも様々な洋服を恵に贈ってきたが、結婚式ともなれば気合の入りようは言うまでもない。
恵ならばどんな服も着こなすだろうが、一生に一度の晴れ舞台だ。世界でたった一着の恵のためだけのタキシードを誂えたい。
純白は勿論のこと、シックな黒もブロンド髪とのコントラストが映えて良いだろう。
そうだ、何も一着でなくても良いのだ。前撮りは和装もいいし、抵抗がなければ白無垢姿も見たい。
同じ生地を使用して、生まれた子供と三人で揃いの衣装を――。
「ちょっと、おーい」
人差し指で頬をぷすぷす刺されて、ハッとする。
拗ねた恵は多都希の肩に額をぐりぐりとこすりつけた。
「目の前にいる可愛いめぐが呼んでるんですけど? 相変わらずオレを着飾るのが好きなんだから……。どんな衣装を考えてるのか知らないけど、もううなじを隠す必要もないし、出産したら襟足も含めて髪をばっさり切ろうかなと思ってるんだよね。赤ちゃんを抱っこしてるとめちゃくちゃ引っ張られてしゃぶられるみたいだし、洗うのも短い方が楽だよって朔さんから教えてもら……って聞いてる?」
手を握られた多都希は小さな声で「……聞いてる」と返した。
空いている手で恵のうなじを触ると、多都希の歯形の凹凸が感じられる。
細い首を見られるのは自分だけの特権だと思っていたが、形の良い耳や丸っとした頭がよりはっきり分かるようになるのは、正直とても魅力的だ。
大きなイヤリングに、首元を照らすネックレス。最高級のオーガンジーのハイネックであえて素肌を隠すスタイルも捨てがたい。
眉間に皺を寄せて唸る多都希の様子に、恵は吹き出した。
「ほんとにオレのこと好きすぎ。長い方が多都希さん好みかなと思ったけど、反応も悪くなさそうだし、やっぱり切ろうかな……。結婚式は多都希さんが着せたいものを全部着てあげるから、楽しみにしててよね」
にっと口の端を上げる恵は、多都希に愛されている自信に満ち溢れている。
多都希が「うん」と頷くと、可愛いとぎゅうぎゅうに抱き締められた。
幸せ、という囁きは、多都希の気持ちとぴったりと重なった。
藤江安祐美はナインパークを辞職した。現在は藤江家の別荘で療養中らしい。
友梨は知らなかったとはいえ藤江と不倫をしていた上、岳久に至っては不倫している自覚があり、会社宛てに不貞の証拠を送りつけたことは脅迫にもなる。双方が告訴すれば泥沼の裁判になることは目に見えていた。
それはナインパークにとっても、塩谷製薬にとっても都合の悪いことだった。
そのため誘拐事件の真実は有耶無耶になったが、不幸の元凶となった中心人物の罪は明るみに出た。なんと藤江は会社の金を横領していたのだ。身の丈に合わない生活の資金はすべて不正を働いて得た金だった。
さらに性風俗の利用に飽き足らず、売春にまで手を出していた。その中に未成年者も含まれていたため、藤江は逮捕された。
藤江を解雇したとはいえナインパークもそれなりにダメージを負ったようだが、元妻である安祐美には同情の声も集まっている。
調査報告書に目を通した多都希は、呆れて物が言えなかった。藤江は叩けば埃が山ほど出てくる男だ。当分刑務所暮らしだろう。おそらくこの先、藤江と顔を合わせることは二度とない。
報告書をテーブルに投げると、多都希は冷めたルイボスティーを飲み干す。
サイレントモードにしていた端末の画面が光った。
ロックを解除してメッセージを開くと、岳久から最後の連絡が届いていた。
内容は、藤江の被害に遭った者たちと来年の夏頃に飲食店をオープンすることになったという報告だった。いつか偶然来店してくれたら飲食代をサービスしてくれるという。
これが最後のメッセージとなる理由は、あの男の呪縛から解放されてほしいと多都希が願ったからだった。岳久にとっても、この一年半は思い出したくもない記憶ばかりなはずだ。藤江の記憶に紐づく自分の顔を見れば、嫌でも思い出してしまう。ようやく過去に囚われず、前を向けるのだ。その邪魔はしたくない。
多都希は隣でうたた寝をしていた恵にブランケットを掛け直してこめかみにキスを落すと、マグカップを二つ回収してキッチンへ向かった。
最近の恵の体調は良好で、何かしていないと落ち着かないと今まで以上にキッチンに立っていることが多い。つわりが落ち着き、料理ができるようになったのが嬉しいのだと腕を振るっている。
同居中は家事炊事のほとんどを恵に任せていた多都希だが、友梨や家政婦に教えを請いながら必死に恵のサポートに徹していた。
マグカップを洗ってソファーに戻ると、恵は眠い目を擦っていた。
「ベッドに行くか?」
「ううん、起きる。あー、また寝ちゃったか……。カップ洗ってくれてありがとう」
「寝不足続きだったんだ。寝られる時期に寝た方がいい。ほら、またブランケットがずり落ちてるぞ、ちゃんと腰にかけろ。靴下も脱げかかってる」
跪いてモコモコの靴下を上げてやると、恵はくすくすと笑い始めた。
「なんだ?」
「んふふっ、献身的だなーと思って?」
「当たり前だろ。屈んで転んだらどうするんだ」
「過保護だなぁ。少しは運動しないとってお医者さんに言われてるんだけど……。まったく、困ったパパだねぇ」
腹を撫でて囁く恵だが、頬は緩んでいる。
パパと呼ばれるたびにくすぐったい気持ちになる。親になる不安もあるが、今は早く我が子に会いたい。これも恵の体調が安定してきたからこそ、思うことなのかもしれない。
妊娠してからの恵は、食べてもすぐに吐き戻し、ずっと泣いていた。腹はいつまでも薄く、ただでさえ細いのに痩せていく一方だった。
これで医者は順調だというのだから驚きだ。
朔が紹介してくれた産婦人科は、男性オメガの出産件数が国内で最も多い病院だったが、多都希は医師の診断に耳を疑った。
こんなに苦しんでいるのに順調なものか、と多都希は自分を責めた。
自分たちはアルファとオメガだから何事も問題なく子どもが生まれると、過信していた。このままでは恵が死んでしまう。不安でどうしようもなくなった多都希は、恵に隠れて何度も涙を流した。
二人の意志で子どもを望んだが、あの時は多都希の暴走するアルファ性を解消する一つの手段でもあった。時期尚早だったのではないか、もっと男性オメガの妊娠出産について知識を習得してから――などと、もしもの可能性を想像しては現実に打ちのめされた。
夜中に何度も起きて恵の背中をさすり、大丈夫だと励ましていたが、それは自分自身にも言い聞かせていた言葉だった。
そんな中で支えになってくれたのは、家族や友人たちだった。
結果論でしかないが、二人きりの愛の巣から実家に戻って来て良かった、と今では心の底から思う。人生にはタイミングというものがあるらしい。
自身の努力、一歩踏み出す勇気、そしてタイミング、人生においてすべてが重なる瞬間は意外と少ない。良い出来事を運命と呼ぶこともあれば、悪い出来事は偶然と位置付けることもある。
悲観的になっていた多都希に、恵との出会いは運命だった思い出させてくれたのは、恵の腹をぽこっと蹴った我が子の躍動だった。
多都希と同じくして恵の笑顔が戻って来たのは、藤江の事件が解決してからだった。
何もさせてくれないと不満を漏らす恵だが、今にも命が尽きてしまいそうな恵を数ヶ月見守ってきたのだから、これくらいの過干渉は許してほしい。
もとより人に尽くすことが苦ではない恵に、自分のための時間を設けろと説得するのも一苦労だった。
恵は隙あらば料理を作り、我が子に着せる洋服をせっせと縫う。ボーっとして姿をほとんど見たことがないほど、毎日忙しなく過ごしている。
裁縫という家族のためにもなる趣味を始めたのは、なんとも恵らしいと思った。
暇な時間を潰すために始めたようだが、手先が器用な恵は裁縫の才能もあったらしく、今では店に並んでいても遜色ないほど素晴らしい出来のベビー服を量産している。
既に有平家から双子のおさがりを片方だけ貰うことが決まっているので、新しい服を買う必要もなさそうだ。
多都希はありとあらゆるベビーカーのカタログを取り寄せては吟味しているし、肌着くらいは買わせてくれと祖父は懇願していた。おくるみは、涎掛けは、靴は、お食い初めの食器は――と、様々な人からの申し出が殺到している。
産まれる前から強力なパトロンがついてしまっている我が子の将来に少し不安を覚えた。
ぼんやり未来を思い描いていた多都希の脳天に衝撃が走る。
「……おい、どうして俺のつむじを押しているんだ」
「さっきから心ここにあらずじゃん。難しい顔してどうしたのさ。トイレ?」
「んなわけないだろ! 来年のこと考えてたんだよ」
「仕事関係?」
「お前のことだ」
「あははっ、多都希さんは心配症だからねぇ。もっとドーンと構えて行こうよ。オレもう元気だよ?」
「お前の体調のこともそうだが、再来年には結婚式も予定しているだろう。どういう服を着せようか考えていた」
目の前のことで精一杯だったが、ようやく明るい未来を想像できるようになったのだ。妄想も捗る。今までも様々な洋服を恵に贈ってきたが、結婚式ともなれば気合の入りようは言うまでもない。
恵ならばどんな服も着こなすだろうが、一生に一度の晴れ舞台だ。世界でたった一着の恵のためだけのタキシードを誂えたい。
純白は勿論のこと、シックな黒もブロンド髪とのコントラストが映えて良いだろう。
そうだ、何も一着でなくても良いのだ。前撮りは和装もいいし、抵抗がなければ白無垢姿も見たい。
同じ生地を使用して、生まれた子供と三人で揃いの衣装を――。
「ちょっと、おーい」
人差し指で頬をぷすぷす刺されて、ハッとする。
拗ねた恵は多都希の肩に額をぐりぐりとこすりつけた。
「目の前にいる可愛いめぐが呼んでるんですけど? 相変わらずオレを着飾るのが好きなんだから……。どんな衣装を考えてるのか知らないけど、もううなじを隠す必要もないし、出産したら襟足も含めて髪をばっさり切ろうかなと思ってるんだよね。赤ちゃんを抱っこしてるとめちゃくちゃ引っ張られてしゃぶられるみたいだし、洗うのも短い方が楽だよって朔さんから教えてもら……って聞いてる?」
手を握られた多都希は小さな声で「……聞いてる」と返した。
空いている手で恵のうなじを触ると、多都希の歯形の凹凸が感じられる。
細い首を見られるのは自分だけの特権だと思っていたが、形の良い耳や丸っとした頭がよりはっきり分かるようになるのは、正直とても魅力的だ。
大きなイヤリングに、首元を照らすネックレス。最高級のオーガンジーのハイネックであえて素肌を隠すスタイルも捨てがたい。
眉間に皺を寄せて唸る多都希の様子に、恵は吹き出した。
「ほんとにオレのこと好きすぎ。長い方が多都希さん好みかなと思ったけど、反応も悪くなさそうだし、やっぱり切ろうかな……。結婚式は多都希さんが着せたいものを全部着てあげるから、楽しみにしててよね」
にっと口の端を上げる恵は、多都希に愛されている自信に満ち溢れている。
多都希が「うん」と頷くと、可愛いとぎゅうぎゅうに抱き締められた。
幸せ、という囁きは、多都希の気持ちとぴったりと重なった。
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★『小説家になろう』さんでも掲載しています。