婚約破棄された転生令嬢は、魔の森の銀の薬師に溺愛される

黄色いひよこ

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prologue

prologue⑥

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「ラスティエル嬢はランディ第二王子を愛しているのかな? 」


にっこり笑って問うアイセンレイトにラスティエルは小首を傾げた。

その仕草のなんと愛らしい事か。

アイセンレイトは心の中で身悶えした。

が、実際には眉一つ動かさない鉄面皮であった。


「解りませんわ。会った事など無いですし、私、まだ十歳ですもの。良く解りません」

「そっか、確かにそうだよね。じゃあこうしよう。ラスティエルが大人になったらもう一度、僕と会って。その時、少しでも僕の事が気になったら僕と共に生きてくれる? 婚約者の王子の事は気にしなくても大丈夫だから。それに、もし、其れまでに困ったことが有れば、北の大森林までおいで。助けてあげるから……。覚えておいて僕の名はアイセンレイト=セイ=ルリコウ」


そう言ってアイセンレイトが緩く笑ったのをラスティエルは思い出した。

この森を前にして、幼少の頃の事をはっきりと思い出したラスティエルは、真っ赤に頬を染めた。

今なら解る。

彼は私に求婚してくれたのだ。

と、言う事を。

番だと言われた事も。

霞掛かっていた記憶が、この森を前にして鮮明に思い出した。

顔も姿も朧気だったのに、今では鮮明に思い出せる。

そして、成長したからこそ解った、彼の立位置。

ルリコウ家。

爵位持ちではないから、貴族などでは無い。

けれど、四国よんこくの皇帝や王様一族よりも立場が上の存在。

この世界を創りし神よりも上位の神を当主に持つ一族。

それが、ルリコウ家だった。

逸れを知ったからこそ、ラスティエルは少し怖くなった。

そんな時、蒼空を大きな銀色が飛翔し、ラスティエルの前に降り立った。

それは、体長2メートル50センチはあるだろうか。

大きな、大きな、銀色の狼だった。


「良かった、無事だったようだな。主が待っている。そなたを保護しよう」


そう狼は言うと、ラスティエルの前に出た。

すると、その直後に人が大勢現れた。

どう見ても、少女独りを殺す為の人数では無い気がする。


「軍隊一個師団でとは仰々しいのぅ。おなご独りを害する為だけでは無いと見える。嬢ちゃん、儂の背に…… 」


乗れと言うばかりに背中を向け伏せる狼に惚けていたラスティエルは、言われるが儘に慌てて狼の背に乗り込んだ。


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