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Prologue
④
「何をしている? ロイ。白身魚、食べるんだろう?」
シュリは振り返ると、ロイが登って来れるように、笑って腕を差し出した。
それを見てロイは、弾ける様に駆け出し、シュリの腕を登り、肩の上に腰を下ろした。
「シュリ、シュリ!!」
「なんだ?」
「朝ご飯に、出発~っ!!」
ロイは、にぎやかな声で歌う様に話すと、自分が座る反対側のシュリの肩を尾をしならせて、ペンベンと叩いた。
食事をとって数分後、一人と一匹は、街へと繰り出していた。
今日が祭の前夜祭で何の祭かをシュリは、宿屋の孫娘であり、食堂の看板娘でもある、ラピスと言う少女から聞き出していた。
「今日は、この国の姫様イシス様の18歳の誕生日なんですよ。毎年こうやって盛大な祭を開いて、誕生を祝っているんです」
そうラピスは満面の笑顔で言った。
今年は姫君も結婚適齢期。
この祭で、嫁入り先が決まるのではないか、と人々の口にのぼっていた。
『―俺には、関係無いけどな……』
人込みの多い通りを誰に当たるでも無く、するりと縫って歩くシュリ。
これだけ賑やかなのだから、普段でも活気があるのだろう。
『さすが王都だな……』
辺りを見回しては、そんな風に感じ取る。
この活気、シュリには故郷の街の賑やかさを、思い起こさせるには十分だった。
シュリはこの国を含めて、世界中を旅している。
腕が良いせいか、護衛やら時折出没する魔物や、盗賊退治を村や町から請け負って得る報酬を、路銀として生計を立てている。
そして、シュリのような冒険者が、街々を闊歩するこの世界は、四つの王国で構成されているドーナツ状の土地が広がる世界だ。
元々は円形の土地で国も五つあったが、大地の真ん中に位置していた国が、一夜の内に土地事消失してしまったせいで真ん中に大きな穴が開いて、跡地に水が溜まって大きな湖が出来た。
それが今の現状だが、当時は、雷鳴と大地迄もえぐり取る巨大な光の柱が国を覆い尽くし、一瞬のうちに国を滅ぼしたと、後の文献には書かれている。
かつて魔術が栄えていた頃、魔導師の国と謳われた、魔道王国ザイラス。
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そんな中、ただ一つだけ、今でもまことしやかに語り継がれている話が存在した。
「ね~。シュリ」
ロイが、シュリの肩から耳元でコソリと囁いた。
他人に聞かれないように話すロイの爪が、肩に食い込む。
シュリが、大通りから路地へと移動すると、そこをすかさずロイが、地面に飛び降りる。
無駄の無い一人と一匹の動き。
ロイがシュリを仰ぎ見た。
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