【完結】青碧の魔術師~黄衣の王と黄金の姫君~

黄色いひよこ

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近衛騎士団詰め所


キョトンとするイシスと青蓮姫。


「元々紅蓮を使ってたのは、付随するスキルが炎の魔法と攻撃力30%upの能力の為で、青蓮姫の回復と防御スキルは俺には必要無いからだし、そもそも青蓮姫のがセレナの武器になる筈だったんだよな」


そう、淡々とシュリが話す。


「それを、セレナが先に紅蓮を見つけてしまって……… 」

セレナが紅蓮を気に入って仕舞ったのですか?」

「否、その逆。紅蓮が押し掛け武器になってしまった」

『だって、気付いちゃったんだもん。主様だって。仕方無いでしょ』 

「押し掛けおにいたん。めっ、なの」

『のあぁぁ~そんな事言わないでよっ! 青蓮姫!! 』



絶望感漂う思考をぶちかます紅蓮に、ケラケラ笑う青蓮姫。

兄は本当に妹が大好きなようだった。

シュリはと言うと、そんな騒ぎに目もくれず、考え込んでいる。

ブツブツと何か考えて、呟いているようだった。
 
そして、2つの剣の言い合いに、イシスも気を取られていたから、シュリの思考を、誰も気にも留めなかった。

だから、彼の決断に、皆、辿り着けなかった訳で。



「いっその事、お前ら2本共イシスの剣になってしまえ」



あっさりと、極簡単に、シュリに言ってのけられてしまった。

 

「はあっ? 」

『へっ? 』

「ふえっ ……… 」



当たり前だ。

3人3様の反応である。


「ととしゃま~きらい? あたし、きらい? 」


涙を目尻に溜める青蓮姫に、イシスは、思わず頭をなでなでと撫でる。

シュリは、指でそっと涙を拭ってやると、


「そんな事は、無い。俺ではお前を一人前には出来ないからな。イシスに託そうかと思っただけだ。元々お前はイシスの得物だしな」


そう言って、青蓮姫の頭を撫でた。


「イシス、2刀を使ってやってくれるか? 」

「でも、私、二刀なんて扱った事有りませんよ」

「扱い方なんて、俺が教えてやる。無理なら、用途によって使い分けると言う手もある。………… 嫌か? 」



そう言うシュリと、不安な表情を見せる青蓮姫、双方を交互に見ると、イシスは無理だと言えなくなった。

そう言う優しい所が有るのが、イシスだ。 

青蓮姫がジッとイシスを見つめる。

そして、シュリに向き直った。


「では、シュリさまは如何なさいますの? 武器がなくては戦えないのでは有りませんか? 」

「俺は、魔術師だ。元来魔術師は、魔術書グリモワールと言う書物を武器とし、己が作成した数々の得物と技術で戦うんだ。その集大成が魔術書グリモワール。其処から身を守る物や、知識を引き出す。だから2刀が手元に無くても問題無い」


そう、キッパリと言われてしまっては、イシスも、紅蓮達も何も言えなかった。

紅蓮と青蓮姫。

2刀の心には、一抹の寂しさが駆け抜けた。

納得はしていないようだったが、その反面、青蓮姫は、イシスを主に出来るとなると、嬉しいらしい。

複雑な顔をして、涙も引っ込んでしまったようだった。


「解りました。この子達は、私が預からせて頂きます。ですが、私が貴方の側にいて、いざと言う時はこの子達を使ってやって下さいませ。この子達も喜ぶでしょうから……… 」



そう言うイシスの瞳は、強く輝いていて、意志は、強かった。

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