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王女の花園、魔術師の庭園

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どちらからともなく、唇を寄せ合う。

2人とも、不可思議な空気に飲まれてしまっている事に気付かない。

甘い甘い花の香に、タイミングよく王宮から楽団の奏でる音が漏れ聞こえて来る。

リバーサルでもしているのであろう、本番までにはまだ早すぎる。


「イシス……… 。何故だか解らないが、今無性にお前に口付けキスしたい。嫌ならけろ。無理強いは、したくない」

「シュッ……………… うっ…… んっ… 」


それ、逃げたかったとしても、逃げれないから。

言うや否や、と言うか、言ったとたんにシュリの唇がイシスに重なり、答えようとして唇を開けていたイシスの口内に舌を差し入れる(いきなりベロちゅーですか…)。

2度目のキスは、最初のと比べものにならない程濃厚で、甘い。

最初のが契約のキスだと言う事が、イシスにも感じられる程のシロモノだ。

本当に嫌がってないか知る為に最初は遠慮がちだったシュリも、絡める舌におずおずとだが、応えてくれる彼女に本気モード突入だ。

手加減を知らないかのようなシュリの猛攻に、初心者のイシスが付いて行ける筈もなく。

安定の撃沈。

まっしぐらでした。


シュリがイシスを解放した頃には、彼女の意識は無く、


「シュリ~、やり過ぎ。おいら、此処に居るんですけどぉ~」


と、いつの間にか足元に戻って来ていたロイに、釘を刺される始末。

この男、400年以上も生きてきて、見た目とさして変わらないような所が有る。

時間ときをいくえに重ねても、見た目と精神年齢は、比例するのだろうか。

するんだろうなぁと、この男独りだけ見ていても統計は取れないが致し方無い。


「400年ぶりだぞ。許せ」

「それ、おいらに言っても仕方が無いと、思う」


シュリが、はぁ、と、大きな溜め息を吐き出す。


「あぁっ、くそっ、我慢が…… 」

頑張れ~がんがえ~シュリ~」

「ちっ、お前、人事だと思って」

「いっいじゃ~ん! おいら猫だもん~人じゃな~いし」


近くに見える東屋までイシスをお姫様抱っこで連れて行き、ベンチに寝かせるシュリは、膝枕をイシスに施し、彼女の顔を覗き込む。


「しかし…… 、17歳なんだよなぁ」

「今日、深夜で18歳だよ」

「7歳も年上だぞ、俺は。まぁ、見た目は、だけど…… 」

「本当は400歳越えてるもんね~お互い」


此処で遠い目をする1人と 1 匹。


「でも、気にしてもしょ~が無いんじゃ無い? 成るようにしかなんないさ、なっ、シュ~リ」


そう言って、意外にも切り替えが早かったのは、ロイの方であった。


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